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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年2月16日
EU-OSHA News 2009年10月1日
欧州安全衛生機構(EU-OSHA)が作成した、職場における健康面の問題として、筋骨格系障害に次いで重要である、 ストレスに関する数字をとりまとめた報告書である。 欧州全般におけるストレスの状況ならびに年齢、性、産業部門・職種および雇用形態によるストレスの存在の違い、 これらに関する各国別の状況、EU15ヶ国におけるストレスによる年間経済的損失は、200億ユーロに達することなどが述べられている。 目次及び要約の中の重要と考えられる部分を紹介する。
EUROPEAN RISK OBSERVATORY REPORT en 9
OSH in figures: stress at work - facts and figures
著者: European Agency for Safety and Health at Work
刊行:2009年9月1日
(本報告書で使用の国別コードと主な用語)
AT/ オーストリア, BE/ ベルギー, BG/ ブルガリア, CY/ キプロス, CZ/ チェコ共和国, DE/ ドイツ, DK/ デンマーク, EE/ エストニア, EL/ ギリシャ, ES/ スペイン, FI/ フィンランド, FR/ フランス, HU/ ハンガリー, IE/アイルランド, IT/ イタリア, LV/ラトビア, LT/ リトアニア, LU/ ルクセンブルグ, MT/マルタ, NL/ オランダ, PL/ ポーランド, PT/ ポルトガル, RO/ ルーマニア, SE/ スウェーデン, SI/ スロヴェニア, SK/ スロヴァキア, UK/ イギリス
EU15 2004年4月以前から加盟の15ヶ国
EU10 2004年5月加盟の10ヶ国
EU25 2007年1月までに加盟した25ヶ国
EU27 2007年2月以降における加盟27ヶ国
目次
要約
EU加盟各国の職場におけるストレス
年齢とストレス
性別とストレス
産業部門・職種とストレス
雇用形態とストレス
職場のストレスは、欧州において広い範囲に存在する。欧州生活・労働条件改善財団 (European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions)が5年ごとに行っている欧州労働条件調査によると、職場における健康面の問題において、 ストレスは筋骨格系障害に次いで重要である。2005年の調査結果によると、EU加盟国の労働人口のうち、22%がストレスを体験しており、 2002年におけるEU15ヶ国に於ける職業関連ストレスによる経済的損失は、200億ユーロに達する。
2005年におけるEU15のストレスのレベルは20%で、EU10の30%及び加盟候補国のブルガリアとルーマニアの31%より低かった。
ストレスのレベルの高い国としては、ギリシャ55%、スロヴェニア38%、スウェーデン38%、ラトビア37%があり、低い国としては、
イギリス12%、ドイツ、アイルランド、オランダの16%、チェコ17%、フランス、ブルガリアの18%が挙げられる。
2000年におけるEU15の有病率は28%で、その5年前の調査とあまり変わらなかったが、2000-2005年においては減少した。
ストレスの原因として仕事の負荷が重要だが、EU15においては、労働時間の短縮によってストレスが減少したが、
一方労働密度が大きくなったことにより、ストレスは増大している。
EU25においては、2005年において以前より労働時間の長くなった労働者は14%であったが、
多くの労働者は仕事の内容が忙しくなったとしている。全般に仕事の内容は忙しくなったが、各国の間に大きな差が存在する。
例えば、スウェーデン、フィンランド、デンマークにおいて、仕事の半分以上の時間忙しかった労働者は、それぞれ85%, 77% ,
76%であったが、アイルランド、ポーランド、ラトビアにおいては、それぞれ42%, 40% , 40%であった。
仕事における裁量権の低下は、ストレスの原因として重要と認識されている。EU15において1990-1995年の間には、
裁量権は拡大の傾向が認められたが、2005年においては変化がなかった。新規加盟国においては、EU15より裁量権の低いことが認められた。
いやがらせも職場におけるストレスの原因だが、2005年において、EU25及び加盟候補の2ヶ国の労働者の5%が、
なんらかの暴力またはいやがらせ(いじめ)の対象となっている。また、2%が性的いやがらせを経験している。
EU15においては、1995-2005年の間に暴力は若干増加した。暴力及び特にいやがらせにおいて、各国間の差異はいちじるしい。
いやがらせの最も多いのは、フィンランドの17%で、オランダの12%、リトアニアの10%がこれに続く。
最も低いのは、イタリアとブルガリアの2%であった。
1995-2005年の間の調査結果では、加盟国の多くにおいて、45-54歳の年齢層における健康への影響が最大で、これより高年齢でも、 低年齢でもこの年齢層より低かった。身体暴力については、25-39歳の年齢層で最も多く、いやがらせと性的いやがらせは、 若い年齢層(24歳以下)に多かった。しかしながら、EU15における45-54歳の年齢層の数値は、2000年の32%から、2005年の23%に低下し、 全年齢層においても低下の傾向が認められた。
各回の調査結果とも、男女間の差は小さかった。2005年の調査においては、男性は23%で、女性は20%であった。 女性はいやがらせを受けることが多いが、身体的暴力においては、差が小さい。
2005年の調査では、ストレスが最も多いのは、教育・健康関連、農林水産業であった。身体的暴力を受けた比率は、 教育・健康関連14.6%、行政機関・防衛11.6%、輸送・流通9.8%、ホテル・レストラン9.3%などであった。
自営業者は、ストレスによる健康の影響が、雇用されている労働者より大であり、41%が仕事による健康への影響を受け、 25%がストレスにより健康を害している。雇用されている労働者において、これらの値はそれぞれ33% 及び 21%である(2005年の調査)。 雇用されている労働者においても、契約の形態が長期、有期、臨時のいずれであるかにより異なり、長期の労働者において比率が高い。
多くの図表を用いて、詳細な内容が記載されている。また、参考資料は、5ページにわたる76件のリストが掲載され、134-139ページは、 加盟各国の関係機関のリンク集である。
本報告書のデータの主要な出所は、欧州生活・労働条件改善財団(uropean Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions-Eurofound)が5年ごとに行っている欧州労働条件調査(European Working Conditions Survey Eurofound -EWCS)の報告書である。2005年の第4次調査までの報告書は、EurofoundのEWCSのページに掲載されている。
Eurofound
http://www.eurofound.europa.eu/
EWCS
http://www.eurofound.europa.eu/ewco/surveys/index.htm
Stress-related and psychological disorders
ストレスによる疾病に関するさまざまな統計資料が掲載されている。
ストレス全般に関する情報については、各所に膨大な情報があるので、ここでは省略する。