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各国情報・国際関係

欧州における筋骨格系障害の現況に関する報告書

2010年3月31日

EU OSHA News 2009年10月12日 別ウィンドウが開きます

職場の筋骨格系障害(MSDs)に対処するため、主として欧州の医療専門家、政策立案者、患者等から成る研究機関「仕事への適合・欧州(Fit for Work Europe 別ウィンドウが開きます )」が、欧州における筋骨格系障害の現況に関する報告書、同要約及びファクトシートを2009年9月に刊行した。

これらの資料は、筋骨格系障害の発生状況、初期防止対策、問題解決のために必要な事項の勧告等から成るが、これらの中の「要約」の概要のみを紹介する。

原資料の名称及び所在

 

仕事への適合・欧州
「仕事への適合報告書の要約」の概要
Fit for Work Executive Summary 別ウィンドウが開きます

まえがき

健康な労働力は、健全な経済につながる。欧州が繁栄し、経済の成長と競争力を確保するためには、労働者の健康と福祉の確保が重要である。労働者が健康を害することによって、短期または長期に就労できないことは、好況下においても経済における大きな損失だが、不況下においては、職場復帰が遅れたり、就労できないことによる損失が一層増大することになるので、このような事態をさけることが一層重要となる。

 

「仕事への適合・欧州」の活動

欧州連合諸国の労働者のうち、44百万人(6人に1人)が、長期的な健康の問題または障害によって、就労することが妨げられている。仕事が原因で、筋骨格系障害(MSDs)―骨、関節及び結合組織に関する問題―を生じている労働者は、欧州において40百万人に達しており、仕事が原因となる欠勤の原因の中で最も多くを占める。

本報告書は、欧州各国に所在する23の団体等から成る研究機関「仕事への適合・欧州」(Fit for Work Europe 別ウィンドウが開きます ) が以下の内容について作成したものである。

  • 欧州の多数の労働者の労働生活に対する影響、治療と支援の妥当性
  • 職場の内外における状況
  • 家族及び同僚に対する影響
  • 人的及び経済的な損失。

調査対象として腰痛(low back pain)と上肢障害(work-related upper limb disorders (WRULDs))に重点が置かれたが、進行性で就業の妨げになりやすいリューマチ性関節炎(rheumatoid arthritis (RA) 及び脊椎症(spondyloarthropathy (SpA))の2つも対象とした。

 

欧州におけるMSDsの程度、原因及び帰結

MSDsに関する定義、罹患率、影響、損失のデータの質及び量は、各国において著しく異なるが、欧州では、慢性的な筋骨格系の痛みを有する人々の数は、一億人に達し、労働人口の中にも多くが存在するのだが、この40%以上は診断を受けていない。ストレス関連疾病も増大してきたが、MSDsは欧州における欠勤の最も大きな原因である。MSDsにより生ずる損失は、直接的な分だけでもGDPの2%に達する。

業務上の原因で、MSDsを経験した労働者は、4千万人(およそ4人に1人)に達する。欧州の全人口の半数は、生涯のいずれかの時期に腰痛を経験し、3分の1以上が現に腰痛を有している。腰痛を生じた労働者の85%は、休業期間が7日以内だが、これによる損失日数は全体の半分に過ぎない。残りの15%の労働者による1ヶ月以上の欠勤が、残りの半分の損失を占める。腰痛による経済的な損失は120億ユーロに達している。

欧州の2.9百万人の人々(その多くが勤労年齢にある。)がリューマチ性関節炎を有して、3分の1が作業に支障を生じ、40%が診断の5年以内に仕事から完全に離れている。強直性脊椎症のような脊椎症状の労働人口における発生は、一般人口の3倍に達する。この疾病は、若年者に多く、早期の治療が行われないと働けなくなる。

これらの疾病は、仕事が原因で生ずることは少ないのだが、仕事によって悪化することが多い一方で、仕事の内容が適切なときは、働くことが治療につながることもある。

身体的及び社会心理的の両方の要因によるMSDsは、就労不能期間が長くなり、職場復帰の遅れることが注目される。

 

対策の早期実施が有効

生活の質の低下と就労不能の防止のためには、対策の早期実施が有効である。さまざまな対策が存在し、効果の挙がっている例も多いが、広く普及するには至っていない。(作業場所、福利システム、医療システムにおける対策事例が掲載されている。)

 

関係者に対する勧告

  1. MSDsに関する罹患率、損失等に関するデータの収集と分析
  2. MSDs に罹患した労働者の就労をうながす労働市場政策
  3. 作業場所の休憩設備整備に関する法的規制
  4. 障害を防止する作業場所優良事例の収集と提供
  5. EUの MSD指令の施行においての、仕事に起因しないMSDsが存在すること及びメンタルヘルスとの関係についての認識
  6. 臨床医による就労についての判断に関する支援
  7. 各国政府によるイギリス政府の‘Fit Note’制度の導入
  8. 身体的及び精神的治療の実施に関する推進
  9. MSDs に対する医療計画の実施
  10. MSDs の医療に関する健康技術評価(Health Technology Assessments (HTAs) )の導入

 

関連情報

MSDsは、労働者の健康確保のために最も重要な事項と認識されており、多くの情報が各機関等のサイトに掲載されている。「仕事への適合・欧州」(Fit for Work Europe)ウェブサイトのリンク集(Fit for Work Europe Links 別ウィンドウが開きます)は、これらのサイトの多くを掲載している。

上記の他の諸機関におけるMSDsに関するウェブサイトの例として下記がある。

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

中央労働災害防止協会
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館

  • 厚生労働省
  • 安全衛生マネジメントシステム審査センター
  • 安全衛生情報センター