お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年3月31日
CSB Recent News Releases 2010年2月25日
2010年2月7日に、アメリカコネチカット州、ミドルタウンのクリーンエネルギー社天然ガス発電施設(建設中、62万キロワット)で発生したガス爆発事故(5名死亡、負傷者42名以上)について、アメリカ化学物質安全委員会(
Chemical Safety and Hazard Investigation Board
-CSB)は、調査団を派遣して事故原因調査を実施してきたが、2月25日における調査状況を以下のとおり記者発表した。
更に詳細な調査結果、勧告などが、今後もCSB のウェブサイトにおいて、随時発表されるものと考えられる。
化学物質安全委員会は、国内の企業で発生した重大災害の原因について調査し、報告する独立の連邦政府機関です。CSBは、大統領が指名し、上院が承認する5人の委員から構成されています。
CSBの議会、連邦及び州の規制当局及び産業界への報告と勧告は広く受け入れられ、国内全体に適用されています。CSBの使命は、この種の破滅的な災害の再発を防止することです。
この事故が提起する安全問題は、コネチカット州に限ったことではありません。これらの問題は、いかなる会社、施設、個人をも越えるものです。アメリカは、新たな天然ガス火力発電について野心的な建設努力を傾注していることにより、数多くの労働者がこの建設工事に携わっております。これらの労働者の安全と国家のエネルギー自立は、今後20年間に建設されるガス火力発電所に関する重要な問題です。
CSBは、10名のチームでクリーンエネルギー社の事故現場の調査に当っています。CSBの調査の目的は、このような恐ろしい事故が二度と起きないようにし、将来にわたって家族がこのような膨大な損失に苦しむことのないようにすることです。
CSBチームは、2月8日の朝、現場に到着しました。以後、チームは多くの人にインタービューをし、関係書類を検討し、事故現場を何回にもわたって調査しました。
事故は、プラントの天然ガス配管内からごみ、破片等を除去する計画による作業中に発生しました。ごみ、破片等を除去するために、650ポンド/平方インチ(約450Pa、45気圧)の高圧天然ガスを使用しました。高圧天然ガスが新しい配管内のあらゆるごみ、破片等を除去するはずでした。あらかじめ決められた場所で天然ガスは配管の開放端から放出されました。この放出箇所の高さは地上20フィート(約7メートル)以下の箇所でした。放出は、発電棟の近くで南壁に沿ったところでした。配管の開放端は、スライドのとおりです。(原資料のpdf fileに掲載されているが、ここでは省略)
天然ガスが開放端から排出されているのがこの写真から分ると思います。この写真は事故前の2月7日に撮ったものです。この清掃方法は、天然ガス火力発電プラント関係者間で「ガスブロー」と言われるもので、関係者は、ガスブローは新しい、改修された配管の清掃に一般的に行われている方法であると話しています。
CSB調査団は、事故の朝のガス施設の記録を調べました。これらの記録とともに配管清掃手順書及び目撃者の証言から、午前中、断片的にガスブローが行われたことを確認しました。同時に、周辺及び発電建屋内に潜在的な点火源が存在しました。
点火源を特定することは、調査の主目的ではありません。多くの作業現場では、火気は当然に存在しており、事故防止努力は真っ先に可燃性ガス・蒸気の放出を排除または制御することです。
CSBの計算では、400,000立方フィート(約10,000m3)のガスが爆発の10分前に建物付近の大気中に放出されたと見なされています。これは、プロバスケットボール競技場の床面から天井までの全容量を満たすのに十分な量です。
このガスは、発電建屋が密集している地域に放出されたのです。この密集している地域では、ガスの拡散速度が遅かったと考えられます。ガスは、爆発下限界(約4%)を超えて蓄積し、何らかの点火源(未確定)により引火爆発したのです。
この地域の発電所を含む数社は、近い将来、同様のガスブロー作業を実施する計画であったと話しています。
CSBの調査の主要事項は、これらのガスブロー作業には、どの規則、規格または実施規範が適用されるか決定することです。この点について、特定の適用規格等は確認されていませんので、今後とも検討を継続することとしています。
一方、我々は、作業場内またはその付近において天然ガスを放出することについて、天然ガス火力発電所及びその他の産業界に対して強く警告します。というのは、この方法は本質的に不安全であるからです。
CSBは、空気、蒸気、窒素ガスまたは水の使用、ガスを安全に燃焼させる装置の使用など、この方法に対する可能な代替方法についても検討しています。フレアなどの燃焼装置は、可燃性ガスまたは蒸気を安全に燃焼させ、爆発の可能性を防止することができます。より安全な代替方法を推奨することもCSBの調査の主要事項です。
この悲劇的な事故の3日前に、CSBはガスパージによる事故を含む破滅的な爆発を防止するために、燃料ガス国家規格の変更を勧告しました。我々は、昨日(2月24日)、サンフランシスコの会議において燃料ガス規格を所管する米国防火協会(NFPA)が、ガスパージを安全に行うためのCSBの勧告について前向きに検討することを決定していることを高く評価するものであります。これらの規定が規格に採択されれば、何十万という作業現場が適用されることとなります。
この規格に記述されるパージの形式は、発電業界で行われているガスブローとは異っています。しかしながら、ガスを一方の管端から注入し他端から大気中に放出するという点において、ガスブローと類似しています。
クリーンエネルギー社をはじめとする発電会社の悲劇的事故及びその他のパージ関連事故には潜在的な共通のテーマがあります。会社は、可燃性ガスを点火源及び作業者の近くで放出しないことを厳守する必要があります。このことが、これらの悲劇からの重要な安全メッセージとなります。
我々は、ガス火力発電業界が米国防火協会及び米国ガス協会が勧告している非常に前向きな行動について、綿密に検討することを要望しています。
アメリカ化学物質安全委員会(
Chemical Safety and Hazard Investigation Board
-CSB)のウェブサイトには、同委員会の概要、作成してきた事故原因調査報告、勧告、ビデオなど、化学物質による災害に関連する多くの情報が掲載されている。