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各国情報・国際関係

アメリカ オバマ大統領が労働者記念日に当たっての声明

2010年5月21日

Presidential Proclamation -- Workers Memorial Day 2010年4月28日 別ウィンドウが開きます

最近、アメリカにおいては、下表のように多くの労働者が同時に死亡する災害が続発した。

アメリカで最近発生した大きな災害

  • ウェストヴァージニア州の炭坑爆発(死者29名)
    An explosion at the Upper Big Branch Mine in West Virginia (4月5日)
  • ルイジアナ州沿岸の石油採掘装置の爆発(死者11名)
    An explosion on an offshore oil rig in the Gulf Coast off Louisiana(4月20日)
  • ワシントン州の製油所の爆発(死者7名)
    A refinery explosion in Washington State(4月3日)
  • コネチカット州の発電所のガス爆発(死者4名)
    Accident at Kleen Energy, Middletown, Connecticut(2月7日)

(記事、写真、動画などが、マスメディアのウェブサイトに掲載されている。特に上の2件については、Wikipedia 別ウィンドウが開きます  に記事がある。)

このような事態を鑑み、主要と考えられるものを紹介する。

1
オバマ大統領による声明
オバマ大統領は4月28日の労働者記念日に声明を発表した。また、ソリス労働長官もこれに関する声明を発表した。
2
上院健康教育労働年金委員会が安全第一を実現するための公聴会を開催
アメリカ議会上院健康教育労働年金委員会においては、「安全第一を実現するための公聴会」が4月27日に開催されて、鉱山安全衛生局長官、労働安全衛生局長官、組合関係者、アメリカ産業衛生学会会長などが証言を行った。
3
「労働者保護法」の内容に賛同するとのソリス労働長官の声明
下院において審議中の現行労働安全衛生法を改正するための法律「労働者保護法」の内容に賛同する声明をソリス労働長官が行った。
4
下院教育労働委員会小委員会公聴会における「労働者保護法」に関するマイケルズ労働安全衛生局長官の証言
マイケルズOSHA長官は、2010年3月16日に開催の下院教育労働委員会小委員会公聴会において、「労働者保護法」に関する証言を行い、この法律の趣旨に沿った現行労働安全衛生法の改正が必要なことを表明した。

1 オバマ大統領の声明−4月28日の労働者記念日
Presidential Proclamation - Workers Memorial Day April 28, 2010 別ウィンドウが開きます

本年は、アメリカの労働者の働く場所の安全に対する権利及び事業者による安全の確保を約束する労働安全衛生法及び連邦炭坑安全衛生法の40周年を記念する年であるが、今日において、これらの約束は満たされることからほど遠い状況にある。労働者記念日に当たり、われわれは、職場で生命を失い、負傷し、罹病した労働者たちのすべてを思い起こし、アメリカの労働者の安全を確実なものとする責任を再確認しなければならない。

われわれは、4月5日のウェストヴァージニア州の炭坑爆発で生命を失った29名の鉱山労働者の家族について、思いをいたすとともに祈りを捧げている。この直前にワシントン州の製油所の爆発で6名の労働者の生命が失われたこと、今年のはじめにコネチカット州の発電所で4名の労働者が死亡したこと、更に先週においては、ルイジアナ州沿岸の石油採掘装置の爆発で11名が死亡したことについても追悼するものである。

このような大規模な惨劇は、衝撃的なことではあるが、職場における死亡のほとんどは、防ぐことのできる事故または疾病により、一度に一人の生命が奪われる惨劇から生じる。毎日14名の労働者が、業務上の事故によって死亡し、毎年数千人の労働者が職業性疾病によって死亡しているのである。更に、その上に毎年数百万人が負傷したり、罹病している。これらの多くについては、スポットライトが当てられることがなく、家族、友人及び同僚以外からは、認識や注目をされないが、決して忘れてはならないことである。

アメリカにおける職場の安全に関する法的な権利は、数十年間にわたって数え切れない生命が失われた後、労働者、労働組合及び公的支持者による長い激しい戦いによって、ようやく勝ち取られたものであるが、今後なすべきことがまだ多く残っている。わが労働安全衛生局は、すべてのアメリカ労働者の職場の安全を達成するという国家としての約束を再確認することに努力を傾けている。

安全な職場を作るためには、政府、企業、事業者団体、労働組合、社会組織、科学・公衆衛生組織及び各個人の間の協調した活動が必要である。われわれは、本日において、直近の大災害で失われた人たちだけでなく、職場で命を失ったすべての男女を追悼するものである。彼らを想起しつつ、惨劇を防止し、全アメリカ国民の職場の安全を確保するために、われわれ自身がさらに努力しようではないか。

ここに、アメリカ合衆国大統領であるわたくしバラクオバマは、合衆国憲法及び法律で与えられた権限に基いて、2010年4月28日が労働者記念日であることを布告し、すべてのアメリカ国民が、職場が不安全であるために生命を失った人たちを想起する行事や活動に参加することを呼びかけるものである。
アメリカ合衆国独立の234年目に当たる2010年の4月28日において、これを証するため、ここに署名する。

 

バラクオバマ

(アメリカの労働者記念日(Workers Memorial Day)は、世界労働安全衛生の日(World Day for Safety and Health at Work 別ウィンドウが開きます )と同日になっている。)

 

2 アメリカ議会上院健康教育労働年金委員会
「安全第一を実現するための全体公聴会」(2010年04月27日)におけるOSHAマイケルズ長官の証言の概要
Senate Committee on Health, Education, Labor and Pensions Full Committee Hearing
Putting Safety First: Strengthening Enforcement and Creating a Culture of Compliance at Mines and Other Dangerous Workplaces 04/27/2010

HELP委員会ウェブサイト(Senate Committee on Health, Education, Labor and Pensions 別ウィンドウが開きます )

公聴会ウェブサイト(Full Committee Hearing :Putting Safety First 別ウィンドウが開きます )

マイケルズ長官の証言(TESTIMONY OF DAVID MICHAELS 別ウィンドウが開きます )

最近発生した重大な災害のために、われわれはこの会合に参加していますが、これらの災害の他に、アメリカでは毎日14名の労働者が仕事で生命を奪われ、毎年1万人以上が仕事に関連する疾病により死亡し、460万人が重大な傷害を負っています。このような災害については、広く報道されることもなく、友人や家族の間で悲しみが分かち合われるだけに終わっているのです。アメリカの職場におけるこのような意味の無い犠牲を防ぐ方策を早急に見出さなければなりません。

1970年までは、職場における危害から労働者を守るための国家としての法律は存在しなかったのですが、労働安全衛生法が成立してから、傷害及び疾病の防止に対する関心が高まり、1973年から現在までに、傷害及び疾病の発生率は、65%低下しています。
この法律の求めるところが、働く男女のすべての職場の作業状態を可能な限り、安全で健康なものにすることであり、40年前も現在も変わらないところであります。しかしながら、現在定められている法律の内容は、この目標を達成するためには、時代遅れで不適切なものです。罰金については、20年間見直しが行われず、制定以来ほとんど変化していない他、法による有効な規制の実施をさまたげる障害や、逃げ道が多く存在し、無法な事業主たちが、労働者を危険から守らないことを許しており、これを断ち切らなくてはなりません。
ソリス労働長官の唱える「すべての人々のためのよい仕事の確保」において、「よい仕事とは、安全な仕事」であります。OSHA及び MSHAは、作業状態を改善するための規制手段を持つ必要がありますが、これと同時に事業者が労働安全衛生法の規定を順守するための強い刺激(incentives)を準備することも必要です。監督官の増員により規制を徹底することは不可能なので、罰を加えるのが目的でなく、事業者が自ら計画、予防、防止することを実現するためには、大幅な改正が必要です。

OSHAは、すでに行動を開始しており、そのひとつが春季の半期規制計画(Spring regulatory agenda)に示した傷病防止プログラム作成規則の制定です。
これは、新しい規制戦略「計画、予防、防止」(Plan/Prevent/Protect)に沿うもので、事業者が自己の作業場の状況に沿った傷病防止プログラムを作成することを要求するものです。また罰金の強化についてのプログラムも実施を予定しています。

OSHAの罰金及びその他の規制内容を改正しようとする労働者保護法(Protecting America's Workers Act (PAWA))の内容は、OSHAの支持するところで、「捕まえられるなら捕まえてみろ。」というこれまでの状態から抜け出すために有効と考えています。 (以下については、項目名のみ記載)

  • 罰金PENALTIES
  • 抗告による処置の遅延 ABATEMENT DURING CONTEST
  • 内部告発者の保護 WHISTLEBLOWER PROTECTION
  • 被災者家族の参加 FAMILIES AND VICTIMS
  • 誠意の無い抗告の防止 PREVENTING FRIVOLOUS CONTESTS
  • 故意違反の推定 PRESUMPTIVE WILLFULS
  • 差し迫った危険への対処 IMMINENT DANGER
  • 下請け労働者及び複数事業者が存在する作業場所CONTRACT EMPLOYEES AND MULTI-EMPLOYER WORKSITES

3 「労働者保護法」の内容に賛同するとのソリス労働長官の声明(2010年4月29日)の概要
Statement of US Secretary of Labor Hilda L. Solis on Protecting America's Workers Act 別ウィンドウが開きます

労働安全衛生法が成立してから40年が経過しますが、毎日14名の労働者が仕事で生命を奪われ、毎年1万人以上が仕事に関連する疾病により死亡し、460万人が重大な傷害を負っています。
21世紀にふさわしい職場を作るために、企業や政府が挑戦するためには、思い切った変化が必要なことは明白です。刑罰は小さすぎるし、内部告発者の保護は不十分で、約9百万人の公共機関労働者の職場の安全に関する権利に足りない部分があります。
「労働者保護法」は、このような問題の解決を求めるもので、わたくしは、この早急な成立を強く求めるものです。この法律は、内部告発者の保護を強化すること、災害被災者とその家族が権利を持つこと、OSHAの規制を改善すること、法規違反に対する処罰の改正により、労働安全衛生法を強化し、公共機関の労働者を法律の対象に含めるものです。
わが国の労働者は、危害から自分たちを守るこの法律の価値を認め、経営者たちは、この法律により、活動の場が公正となることを評価しています。この法律は、このような効果があるので、議会は早急に成立させるべきであります。

4 マイケルズ長官の下院教育労働委員会小委員会における「労働者保護法」に関する 証言の概要 (OSHA News 2010年3月16日 別ウィンドウが開きます)

アメリカ労働安全衛生局長官デービッド マイケルズ博士は、2010年3月16日の下院教育・労働委員会の労働力保護小委員会において「労働者保護法」に対する労働省の考え方、特に罰則の強化について証言を行った。概要は次のとおり。
「労働省労働長官の構想は、すべての人々のためのよい仕事の確保であります。よい仕事とは、安全な仕事であります。労働安全衛生局(OSHA)のより強力な監督指導は、多くの労働者の生命を救うことができます。労働安全衛生行政は、労働者保護法の目的及びその規定の実効を期するものです。
大部分の事業者は、正しいことを行うことを欲しています。しかしながら、一方、その他の多くは、強い刺激(incentives)によって安全衛生法の規定を順守するのです。安全衛生法の現行の罰則は、適当な動機付けをするのに十分大きくはないのが実態であり、実際、他の公衆衛生機関の罰則に比べて非常に低いということができます。あきらかにOSHAは、労働者の生命に正当な値段をつけることはできないのです。OSHAが労働者の生命が不必要に損なわれたときにより強いメッセージを送るためにさらなる権限を付与されることが死活的に重要です。
環境関連法は、労働安全衛生法に較べてより厳しい罰則を規定しています。例えば、2001年に硫酸のタンクがデラウェア石油精製会社において爆発し、労働者1名が死亡し、その体は硫酸に溶解してしまいました。OSHAが提示した罰金は、たったの175,000ドル(1,700万円)です。一方、同じ事故によって数千匹の魚と蟹が死にましたが、これによる水質汚染防止法による環境保護庁の罰金提示は、10,000,000ドル(9億6千万円)でした。
労働者保護法(PAWA)は、法令違反に対する罰則を強化し、事業場における労働者の声を強めることによって、OSHAの所掌範囲を公務員にも拡大することによって、そして法違反提示期間中(citation contest period)の重大な、故意の、繰り返しの危険源を除去することにより、労働安全衛生を改善することができます。
さらに、このために法務官事務所(Solisitor’s office)及び検討委員会(Review commission)を含むOSHA及びOSHAが支援する機関の予算及び作業量の課題を提起します。われわれがこの問題を的確に取り扱うことができるよう皆さんとともに努力できるよう希望します。」

関連情報

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