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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2011年6月2日
Last update on: 11 February‚ 2011
フランスの国立がん研究所(Institut National du Cancer
)は、フランスにおける職業性がんに対する施策を報告している。重点施策は2つあり、施策9“職業性がんの観察とモニタリングの改善”、施策12“特に、事業場における職業性がん予防プログラムの強化”である。フランスでは、雇用法(Employment Code)のL4121-1からL4121-5条の規定で、発がん物質の使用は、厳密に規制されている。また、アスベストに関しても、1996年12月24日の96-1133命令により、1997年に使用が全面禁止されている。また、アスベスト災害補償基金(Asbestos victim compound fund:FIVA)が2001年に創設され、アスベストによる職業性疾病として認定されたすべての被害者に対し補償を行っていることを報告している。
原資料の題名と所在
相当数の病理は仕事から起因する可能性がある。これらは、職業性疾病として認定され、補償を必要とする。
職業性がんに係るさまざまなリスク要因があり、全体として、ばく露期間の長さおよびより高い濃度レベルの汚染物質の原因により、労働者は一般住民に比べより高い度合で発がんリスク要因に係るばく露に直面している。フランスでは、職業性がんに係る事例が230〜500万人と推定されている。
2009−2013年のがん計画にある2施策は、この分野で要求される実質的な作業レベルについて焦点をあてている。
施策9:職業性がんの観察とモニタリングの改善
施策12:特に、事業場における職業性がん予防プログラムの強化
同一の事項が“the National Health Environment Action Plan 2 (2009−2013)にも適用される。
フランスでは、230〜500万人の労働者が作業中に発がん物質にばく露されている。毎年5‚000〜10‚000人の新たながん患者の発がんは、仕事が起因となる可能性がある。今日、発見される職業性がんは、一般的に数十年前に事業場でばく露された結果である。
労働者が危険物質にばく露されてから、がんと診断されるまでに、20〜40年程度が経過している可能性がある。発がん物質、ばく露状況の管理及び予防対策の実施についての知識が進歩しており、全体として、管理される環境における的確な測定の実現性、ばく露期間の長さおよびより高い濃度レベルの汚染物質の原因により、労働者の環境リスクの方が一般住民の環境リスクより多くの情報がある。研究は、がんのリスクを増加させる職業性因子を特定してきた。これらにはアスベスト、砒素、ベンゼン、クロム、塩化ビニル、芳香族アミン、多環芳香族アミン、ニッケル、木屑粉じん、なめし革粉じん、電離放射線などが含まれる。
事業場での物質と次に上げられるがんとには関連性がある:肺がん(アスベスト、他の毒性物質)、中皮腫(一次的にはアスベストに起因)、鼻腔癌(木屑粉じん、ニッケル、クロム)、膀胱癌(芳香族アミン、コールタール)、白血病(ベンゼン、電離放射線)
職業性がんの予防には、特定発がん物質の使用禁止および欧州REACH規則の実施に加え、適切な規制措置の導入も重要である。また、フランスの法律では、企業に対しすべての発がん物質を危険性の少ない物質へ代替することを要求している。
企業の産業医等は、事業場でのばく露による労働者の健康悪化を防止する中核的な役割を担っている。2001年2月1日の“CMR”命令として知られる2001-97命令で明記されている企業の産業医等の責任は、健康診断の実施(特殊健康診断が必要な場合は追加的に実施)およびワークステーション(work station) (ばく露についての情報収集と労働者への教育)を評価することも含まれている。
企業の産業医等は、CMR(Carcinogenic、Mutagenic、Reprotoxic)物質へのばく露を含む作業に適性のある労働者に対し証明書を発行することが要求される。
事業場でのリスク予防に適用される総合的な規則は、フランスの雇用法(Employment Code)のL4121-1からL4121-5条で規定され、発がん物質の使用は厳密に規制されている。事業者は、作業に関連するリスクとそれらの予防に係る方法について労働者に情報を提供し、労働者に安全訓練を実施することが要求される。事業者は労働者のばく露について定期的に測定し、職場のばく露制限の規定値または推奨値を超えないことを確認しなければならない。
事業者が発がんまたは発がんの可能性のある物質に分類されるものへのばく露リスクに対する予防措置の実施について要求される活動は次のとおりである。
労働基準監督の役割は、すべての雇用関連の法律が遵守されること(特に労働条件と安全)に責務を負っている。更に、2007年9月28日の命令は、労働基準監督にCMRリスクの検査およびCMR物質へのばく露に係る継続的な危険状態が発見された場合、強制的に業務を一時停止させる、より大きな権限を与えている。
職業性疾病として認定される条件は、フランスの社会保障法(Social Security Code)付属書の表112に列挙されている。これらの表は、疾病が職業によると認定される、医学、技術、管理上の条件を定めている。
長い間、断熱材として使用された自然鉱物繊維であるアスベストは、大きな健康被害の原因となっている。アスベストは、中皮腫(特に胸膜癌)の主な原因であり、初期の気管支癌の進行に関係している。
フランスでは、1996年12月24日の96-1133命令により、1997年にアスベストの使用が全面禁止された。
国際がん研究機関(IARC
)は、すべてのアスベストを発がん物質であると分類している(グループ1)。アスベストのばく露は、ほぼ事業場で発生しているが、家屋内または地域的な汚染の結果発生する可能性がある。
アスベスト災害補償基金(Asbestos victim compound fund:FIVA)が2001年に創設された。創設目的は、アスベストによる職業性疾病と認定されたすべての被害者及びアスベストに直接ばく露されるすべての人に十分な補償をすることである。FIVAの補償は、労働者以外、環境被害者、その家族にも拡大している。
フランス環境・労働安全衛生機構(French agency for Environmental and Occupational Health Safety
)
CMR物質の代替化ツール(
A tool to support the substitution of CMR substances
)