お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2011年10月31日
EU-OSHA News 2011年8月28日
通常、レジオネラ症は、たとえ、レジオネラ症の発生する危険性の高い場所(冷却塔、噴霧器のある建物、生物廃水処理設備、洗車工場、医療施設、温泉及びホテルを含む)において、レジオネラ症に労働者がしばしば罹患していても、労働衛生の問題というよりもむしろ公衆衛生の問題として考えられる。このファクトシートは、レジオネラ菌への職業性ばく露にかかるレジオネラ菌とレジオネラ症に関連する欧州政策の概観に基づいており、またレジオネラ菌のリスクを管理する事例についても紹介している。
原資料の題名と所在
Factsheet−Legionella and legionnaires’ disease : European policies and good practices
同 pdf
Publishing Date : 28. 08. 2011
レジオネラ症は、バクテリアレジオネラニューモフィラ菌及び関連するバクテリアにより生じる肺炎の一種である。あまり重症化しないレジオネラ症は、ボンティアック熱と呼ばれる呼吸器感染症である。
レジオネラ病は、通常、レジオネラ菌で汚染された水(エアロゾル)の飛沫を吸入することにより、罹患する。しかしながら、ほとんどの人がレジオネラ菌にばく露されても、病気にならないし、当該疾病が人から人へと感染した事例は、確認されていない。
一部の人々は、レジオネラ症の罹患に対し高いリスクを持つ。例えば、45歳以上の者、喫煙者、大酒飲み、慢性呼吸器疾病、腎臓疾病及び免疫抑制の人々である。レジオネラ症は、ホテルに滞在する旅行者等の一般人だけでなく、空調及び給水システムの保守管理技術者等の労働者にもまた罹患する。
ミスト発生器が設置される場所の労働者、歯科医、海洋石油及びガス施設の労働者、溶接工、戦車作業者、鉱山労働者、医療労働者、数多くの産業の産業廃水処理施設の労働者(例えばパルブ及び製紙工場)がレジオネラ菌にばく露される可能性がある。
欧州では、レジオネラ症の疫学及び微生物学的側面に関する知識向上のために、ネットワーク(EWGLI)が設置された。しかし、そのネットワークの設置において、職業上のリスクをほとんど考慮していなかった。これは、職業環境におけるレジオネラ症に関する信頼できるデータの欠如を意味する。
2010年4月1日に、EWGLIネットワークは、欧州疾病対策センターへ移され、そして、レジオネラ症監視ネットワーク(ELDSnet)に改名された。
前述のシステムの洗浄と保守管理は、レジオネラ菌へのばく露のリスクと関連している。
レジオネラ菌へのばく露リスクは、通常、システム中のバクテリアの増殖を防ぐ手段及び飛沫、エアロゾルへのばく露を減少させることによって管理されている。
注意点は:
最終手段として、保安要員は、個人用保護具(防塵マスクのような)の使用が必要な場合がある。
このEU-OSHA報告書は、EU加盟国及びEU非加盟国におけるレジオネラ菌及びレジオネラ症についての規制枠組み及び規則の実際の適用に関連するその他の模範的な文書を示している。また、この報告書は、WHOまたはISOのような国際機関及びCENのような規格化団体の政策を要約している。
国別にみると、ほとんどの欧州諸国では、レジオネラ菌に対する公衆衛生対策を採用し、数カ国が、労働安全衛生関連法にレジオネラ菌について特別な問題として、言及している。ほとんどのEU諸国で、レジオネラ菌の職業リスクは、「作業中における生物学的因子へのばく露に関連したリスクから労働者の保護」に関しての指令(Directive)2000/54/ECに基づく法律、命令等によりカバーされている。
レジオネラ菌の大発生は、積荷と関連しており、船上の水システム(On-board water systems)は、リスク因子である。オランダの輸送及び水管理にかかる検査官は、このリスクを管理するためにガイダンスを作成している。
水システムにおけるレジオネラ菌の予防に関する情報は、船舶で使用されるリスクに関して提示される。また、さまざまなタイプの船積み実施機関及びレジオネラ菌リスク分析及び管理計画についての情報が存在している。
ハンガリー製薬工場(Hungarian pharmaceutical plant)は、世界的な製薬グループに属している。グループ本部は、フランスにあるため、レジオネラ菌問題に関してはハンガリーより厳格なフランスの法律の規定により規制されている。会社は、ハンガリー工場にもまた、レジオネラ菌に関連するフランスの規定を適用することを決定した。
レジオネラ菌のモニタリングにより、熱水循環システムでの高いリスクのある場所を明らかにした。会社は、配管を清掃し、定期的な熱ショック処理を導入した。また、会社は、冷却水を含む、新しい社内水マネージメント計画を設立した。これを標準とする会社のアプローチは、これまでのところ、レジオネラ菌リスクに対する取り組みに役立ち、疾病を予防している。
環境健康調査プログラムが、2004年オリンピック大会のために開始された。このプログラムには、給水システム、冷却塔、人工噴水のレジオネラ症の予防のために一連の検査も含んでいる。標準化された審査報告書が、検査のために設計され、そして、評価システムが定性的な評価を実施できるよう制定された。
環境衛生検査官は、レジオネラ菌に対し一貫性があり標準化された検査と水採取を実施するための訓練を行った。レジオネラ症予防のためのガイドラインが発行され、検査官及び施設所有者に配布された。
ISPESL、トレニタリア(イタリアの国鉄)及びRFIからの専門家グループを設定し、列車における労働者及び旅行者に対するレジオネラ菌のばく露リスクを評価した。イタリアの法律(DLgs 81/2008)に従い、鉄道での生物学的なリスクアセスメント及びマネージメントに関する専門的なガイドラインに詳しく述べられている。すべての鉄道職員は、レジオネラ菌のばく露リスクに対する訓練を行った。
仕様書「列車の水タンク内のレジオネラ菌spp.(菌種)汚染防止及び管理のためのガイドライン」が、鉄道員及び保守管理職場の労働者、特に、水供給、油圧回路、清掃及び修理を扱う者向けに出された。
消毒、殺菌のために使用されるすべての化学品、消毒剤、洗浄剤または添加剤のための安全データーシート(SDS)は、作業手順の説明とともに、事業用に当該化学品を利用する者に活用できるになっている。
ブリュッセルの聖ルカ大学病院(Saint-Luc)は、1980年以来、成功度合が大幅に違うさまざまな管理手法を組み込み、テストを行うことで、温水供給システムのレジオネラ菌の増加を防ぐためのノウハウを持っている。
最近では、二酸化塩素を使用した化学消毒法の運用が大成功をおさめ、レジオネラ菌は温水においてもはや検出されない。二酸化塩素の自動投与装置は、容易に設置でき、メンテナンスできる。二酸化塩素濃度は、フランドル法(Flemish law)の法的要求事項を遵守している。