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中央労働災害防止協会(中災防)
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国際課
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2012年4月17日
ILO
は、
IEA
(International Ergonomics Association:国際人間工学協会)と、農村と農業環境で実用的な活動のための長期の共同研究を行い、低コストまたは無償で達成できる実用的な人間工学的な改善の100のイラスト入りの実例を集めたマニュアルを発刊した。農業は、先進国及び開発途上国の両方で最も危険な業務分野の一つであり、このマニュアルは、作業関連の事故と疾病を減少させ、生活水準を改善し、生産性を向上させるために農村と農業環境で実用的な活動に適用することを目的としている。ILOのディレクターの町田氏は序文(foreword)で“私は、本書が多くの国々で農業の作業場所と農村環境で生産力を向上させ、傷害と病気を減少させる有益なツールとなると信じている”と述べている。
原資料 : 農業の人間工学的なチェックポイント (
Ergonomic Checkpoints in Agriculture
)
農業は、先進国及び開発途上国の両方で最も危険な業務分野の一つである。作業関連の事故と疾病を減少させ、生活水準を改善し、生産性を向上させるために、農村と農業環境で実用的な活動を適用することに関心が高まっている。
多くの国からの報告は、農村と農業環境で労働条件と生活水準を向上させるための人間工学に基づいた技術革新の実現可能性と有効性を示している。これらの良い実例に基づいて、このマニュアルは、特に開発途上国で、簡単に実施できる人間工学的な改善について現実的で、かつ具体的なガイダンスを提示することを目的としている。
ILOとIEA間の長期の共同研究の結果、マニュアルは、低コストまたは無償で達成できる実用的な人間工学的な改善の100のイラスト入りの実例を集めている。各チェックポイントは活動を説明し、なぜそれが必要であるか、それを行う方法を示し、更なるヒントや留意点を提供している。
チェックポイントは、物質の取扱い、ワークステーション(workstation)の設定、物理的環境、福利厚生設備、チームワークの方法、コミュニティの連携のために人間工学的に設計されたツールと最高の技術に焦点を当てる。この非常に貴重な訓練ツールは、農業と農村環境でより良い職場づくりに関与するすべての関係者(事業者、スーパーバイザー(supervisor)、労働者、監督官、安全衛生従事者、教育訓練者、改良普及員(extension worker)、技術者、エルゴノミスト(ergonomist)、設計者)のために設計されている。
序文 | |
はしがき | |
マニュアルを使用するための提案 | |
農業のための人間工学的チェックリスト | |
物質の貯蔵と取扱い | |
ワークステーションとツール | |
機械安全 | |
農業用車輌 | |
物理的環境 | |
有害化学物質の管理 | |
福利厚生設備 | |
家族とコミュニティの連携 | |
作業組織と作業スケジュール | |
附属書 | |
附属書1 | 参加的行動型の訓練で農業の人間工学的チェックポイントの使用 |
附属書2 | 農業のための行動チェックリスト |
附属書3 | 農業で人間工学的チェックポイントを使用する訓練ワークショップのためのサンプルプログラム |
附属書4 | グループ作業結果の実例 |
農業は、開発途上国及び先進国の両方で最も危険な業務分野の一つである。作業関連の事故と疾病を減少させ、生活水準を改良し、生産性を向上させるために、農村と農業環境で実用的な活動を適用することに関心が高まっている。生活水準と労働条件を改善する多くの有効で、実現可能な人間工学に基づいた改善が多くの国で導入されている。
ILOとIEAは、農業及び農村環境、特に開発途上国で達成された基本的な人間工学的原則を反映した典型的な実用的な改善の収集に関し、数年にわたり共同研究を行った。ILOとIEAにより招聘された先進国及び開発途上国の両方の人間工学の専門家のグループは、典型的な改善の実例を収集し、再検討し、このマニュアルを制作した。
各地域で達成された人間工学的な適用に基づき、これらの実例で具体化されたノウハウは、生産性を向上させ、傷害や病気を減少させるのに非常に有益であろう。この実用的なマニュアルのデサインとレイアウトは、貢献した専門家と共同研究者の専門知識に基づき、以前、ILOによって発表された人間工学的チェックポイントの制作で得られた経験に基づいている。
マニュアルは、容易に種々の状況に適応できる農業及び農村環境での最も基本的な人間工学の原則を含んでいる。ここの100のチェックポイントは、農業及び農村環境で低コストまたは無償で達成できる実用的な人間工学的介入の実例であり、特に開発途上国で適用可能である。実用的な実例は、各チェックポイントに添えられているイラストで提供されている。
このマニュアルの出版は、有効な、各地域で達成された改善が、グローバルに広がることを意図し、他の人がそれらから学ぶことが出来る。それらは、訓練ツールまたは実用的な解決として、今日の世界の農業の作業場所及び農村環境で共通する問題に対処するのに使用されることを期待する。
ここに示された簡単に実施できる人間工学的な改善に関する具体的な、かつ実用的なガイダンスは、体系的な方法で農業及び農村環境で良好な作業事例(work practices)を採用する人々の支援となるだろう。直接農家を含む参加型アプローチは、このマニュアルで人間工学に基づいた解決策の適用のためのキーである。
私は、本書が多くの国々で農業の作業場所と農村環境で生産力を向上させ、傷害と病気を減少させる有益なツールになると信じている。
ILO Safe Work 部長 町田静治