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各国情報・国際関係

IARC:ディーゼルエンジン排ガスの発がん性

2012年7月23日

PDF IARC News 2012年6月12日 別ウィンドウが開きます

国際がん研究機関(IARC 別ウィンドウが開きます )は、ディーゼルエンジン排ガスを人に対して発がん性があると分類(グループ1)した。これは、大規模なアメリカ国立がん研究所/国立労働安全衛生研究所の地下鉱山労働者の排気ガスへの職業ばく露の研究の結果を2012年3月に発表によって再び強調されていた。その発表は、ばく露された労働者の肺がんによる死亡リスク増加を示している。作業グループは、ディーゼル排ガスが肺がんの原因(十分な証拠)であるとし、そしてまた、膀胱がんのリスク増加の明らかな関連(限定的証拠)に言及している。

ニュースの概要

リヨン、フランス

国際的な専門家の一週間にわたる議論の後、WHO(世界保健機構)の一部であるIARC(国際がん研究機関)は、今日、そのばく露が肺がんのリスク増加と関連している十分な証拠に基づき、ディーゼルエンジン排ガスを人に対して発がん性があると分類(グループ1)した。

背景

1988年に、IARCは、ディーゼル排ガスを人に対しておそらく発がん性がある(グループ2A)と分類した。IARC学術論文計画(モノグラフプログラム)の将来の優先事項を検証し、勧告する諮問グループは、1988年からディーゼル排ガスを再評価の優先順位が高い旨、勧告した。

ディーゼル排ガスは、特に、各種設定方法でばく露された労働者の疫学研究での知見に基づき、がんを誘発する潜在的な懸念がもたれていた。大規模なアメリカ国立がん研究所/国立労働安全衛生研究所の地下鉱山労働者の排気ガスへの職業ばく露の研究結果が2012年3月発表され、これについて再び強調された。研究結果は、ばく露された労働者の肺がんによる死亡のリスク増加を示していた。

評価

作業グループによって科学的証拠が徹底的に検証され、そして、全体的として、ディーゼル排ガスの人の発がん性について十分な証拠があると結論づけられた。作業グループは、ディーゼル排ガスが肺がんの原因(十分な証拠)であるとし、そしてまた、膀胱がんのリスク増加の明らかな関連(限定的証拠)に言及した(グループ1)。

作業グループは、ガソリン排ガスが人に対する発がん性が疑われる(グループ2B)との見解については、1989年の以前の評価を変更なしと結論した。

公衆衛生

職業上、または、大気を通じ、多数の人々が日常生活でディーゼル排ガスにばく露されている。人々は、自動車排ガスだけでなく、他の交通手段(たとえば、ディーゼル機関車と船)及び発電機などのディーゼルエンジンからの排ガスにばく露されている。

作業グループの正確な、他の影響を受けていない科学的評価があれば、政府や政策決定者には、ディーゼル排ガスの環境基準を考慮し、それらの目標に向かってエンジン及び燃料の製造者と引き続き連携する上で重要な証拠ベースとなる。

過去20年間にわたって増加する環境懸念により、北アメリカ、ヨーロッパ及びほかの場所でもディーゼル及びガソリンエンジンの両方に逐次厳しい排出基準の規制措置が行われた。基準と技術には強い相互作用があり、基準は技術を進歩させ、新技術はより厳格な基準でも可能にする。

ディーゼルエンジンの場合、硫黄含有量の著しい減少、より効率的にディーゼル燃料を燃焼させるエンジン設計の変更、そして、排気制御技術による排出の削減のような変更を必要としてきた。しかしながら、微粒子や化学物質の量は、これらの変更で減少してきたとはいえ、質的、量的変化がどのように健康への影響に変化をもたらしたかまだ明確ではない;この疑問への研究が必要である。

更に、これらの変更が加えられていない現存の燃料と車輌は、特に開発途上国−規制措置が現在それほど厳格ではない国−では置き換えられるのに、多くの年月がかかるだろう。開発途上国の多くの地域では、規制基準が欠如しており、そして、ディーゼル排気ガスの発生や影響に関するデータが限られていることは注目すべきである。

結論

IARC作業グループ議長Dr Christopher Portierは、“科学的証拠は説得力があり、作業グループの結論は、満場一致であった:ディーゼル排気ガスは、人に肺がんを誘発する”、続けて “ディーセル微粒子由来のさらなる健康への影響を考えると、この化学物質の混合物へのばく露は、世界中で削減の必要がある。” と言った。

IARC学術論文計画長Dr Kurt Straifは、“この結論に至った主な研究対象は、高ばく露労働者である。しかしながら、我々は、最初の研究で高ばく露された職業集団でリスクが示され、一般集団に対する陽性所見につながった例を、ラドンのような他の発がん物質から学んだ。それ故、ばく露を削減する活動は、労働者と一般住民を対象とする必要がある。”と指摘した。

IARC所長Dr Christopher Wildは、“IARCの任務は国内及び国際的レベルでの規制の判断のための科学的証拠を確立することであり、今日の結論は、公衆衛生上の活動が必要であるとの強いメッセージを送ることである。このことは、新技術と保護対策が採用されるのに長い年月を必要とする開発途上国のより不利益な立場の住民を含め、世界的に重要視する必要がある。”と言った。

評価の要約

評価の要約は、2012年6月15日付け出版物より早く、Lancet Oncologyにオンライン出版物として公表された。

【参考】IARCの発がん性評価

グループ1人に対する発がん性がある
グループ2人に対する発がん性があると考えられる
グループ2A人に対する発がん性がおそらくある(probably)
グループ2B人に対する発がん性が疑われる(possibly)
グループ3人に対する発がん性については分類できない
グループ4人に対する発がん性がおそらくない

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

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