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各国情報・国際関係

研究開発におけるナノ物質の安全な作業−UK

2012年11月14日

UK HSE News 2012年9月19日

イギリス・ナノ安全パートナシップグループ(UK Nanosafety Partnership Group (UKNSPG))は、研究開発の研究所でナノ材料を安全かつ信頼できる作業実務をサポートするためのガイダンスを開発した。このドキュメントの目的は、粒子状ナノ材料を取り扱う際、安全な作業場と良好で安全な実務の確立に関連する要因についての指針を提供することである。このガイダンスは、最初のバージョンで、今後の科学の進歩に併せて改定されていく予定である。また、このガイダンスは、主に粒子状ナノ材料の使用、保管、廃棄にかかわっており、ディーゼル排気ガスや溶接ヒュームのようなナノ材料の付随的な放出は対象としてない。

原資料

ニュースの概要

イギリス・ナノ安全パートナシップグループ(UK Nanosafety Partnership Group (UKNSPG))は、研究開発の研究所でナノ材料を安全かつ信頼できる作業実務をサポートするためのガイダンスを開発した。このドキュメントの目的は、粒子状ナノ材料を取り扱う際、安全な作業場と良好で安全な実務の確立に関連する要因についての指針を提供することである。それは、粒子、繊維、粉末、チューブやワイヤーだけでなく、凝集体および凝集体を含むナノ材料の広い範囲に適用され、ナノ材料を扱うときに、効果的なリスクマネージメントの開発に、以前と現在の不確実性を認識し、潜在的ばく露を最小にするための予防戦略を提唱している。

雇用者、管理者、安全衛生アドバイザー、研究開発中の粒子状ナノ材料のユーザーを対象としており、このガイダンスは、文書に引き合いにだされている他の文献とともに、COSHH の承認実施基準と併せて読まれるべきである。文書は、現時点で入手可能な安全情報を考慮し制作されており、雇用者と従業員による適切なプロトコールと管理対策の実施を支援するための指導や勧告の形式で示されている。文書は、内容の進化の本質に後れを取らないために定期的に見直され、更新されることが意図されている。ガイダンスの最初のバージョンは、現在、ダウンロードすることが可能である。

ガイダンスの序文(Foreword)の概要

私自身、エンジニアとして、今日、我々の周りで行われている新しい技術開発に非常に興奮を見出す。

我々は、この惑星で我々自身と将来の世代に直面している課題を考えるとき、医療、医学、エネルギー、気候変動、輸送、そして、今日、我々の生活を生きるまさに持続不可能な方法のその他の面に解決を提供するために、最良の科学及び技術革新を必要とすることに疑いが全くない。ナノ材料には、これらのフィールドの全てで、潜在的アプリケーションがある。

監督機関として、HSEは、新技術の開発と導入において安全衛生問題に影響を及ぼしているとしても、ビジネスが発展して、成長することを可能にすると、その役割をみなしている。我々は、ナノ材料によって提供された多くの利益があるが、それらがもたらすかもしれないリスクを理解し、管理することは、それらの完全な可能性を啓発するために不可欠であるとすべて認識している。

パートナーシップ作業は、“解決策の一部”である職場の安全衛生でのキープレーヤーをまとめる。イギリスナノ安全パートナシップグループは、ナノテクノロジーの分野の主要な専門家をまとめ、この魅力的な領域に興味がある他の人とのつながりを樹立するのを支援する。私は、パートナーシップグループが将来も継続し、産業界の代表を含め、拡大することを期待する。

Judith Hackitt CBE
安全衛生委員会議長

ガイダンスの序論(Introduction)の概要

それは、人の健康と環境に関する製造された粒子状ナノ材料の関係に関連する更なる情報と知識の極めて重要な必要性があることが広く受け入れられている。これらの物質の製造、操作、使用及び廃棄時に起こる可能性のある健康への潜在的リスクに関する懸念は、過去数年間にわたり言われている。
特に、“ナノ科学及びナノテクノロジーと不確実性”と題する2004年に発表された工学技術の王立学会及び王立アカデミー(Royal Society and Royal Academy of Engineering)の影響力のあるレポートは、ナノテクノジーとナノ材料に対するばく露に伴う健康への潜在的リスクに関する新たな懸念を述べている。
.環境汚染に関する王立委員会(Royal Commission on Environmental Pollution (RCEP, 2008))、イギリス安全衛生庁 別ウィンドウが開きます 及びイギリス環境食糧省 別ウィンドウが開きます (UK’s Department for Environment, Food & Rural Affairs)を含め、他のレポートは、更に懸念を示し、それらになんらかの方法で対処するための支援を行っている。

しかしながら、製造され、市場への導入される粒子状ナノ材料の増加量は、ばく露及びリスクアセスメントのデータギャップに対処するための必要性をもたらした。この文書は、イギリス、ナノ安全パートナーグループと安全衛生庁との共同で開発された。それは、ナノテクノロジーの分野が急速に拡大し、伝統的な学問分野の境界を超越し、製品、製造工程及び用途の広範囲に組み入れられると認識されている。

この文書は、主に粒子状ナノ材料の使用、保管、廃棄にかかわっている。それは、ディーゼル排気ガスや溶接ヒュームのようなナノ材料の付随的な放出は対象としていない。

ガイダンスの法律上の義務(Legal Duty)の概要

ナノ材料の職業的使用は、有害物質管理規則(Control of Substances Hazardous to Health (COSHH) Regulations 2002)2002(修正)で規制される。COSHHは、雇用者が職場での有害物質へのばく露から労働者を保護することを要求している。釣り合いの原則(the principles of proportionality)とリスクアセスメントを具体的に表現することについて、COSHHは、雇用者が予防または従業員の適切なばく露管理のための必要な措置に関する有効な意思決定を行うことの権利を与えている。

いくつかの粒子状ナノ材料の化学的、物理的特性は、それらがどのように取扱われるか、使用されるかに応じて、火災及び爆発のリスクをもたらすことがある。このような場合、職場での火災及び爆発を引き起こす物質の管理に適用される原則的な規制は、危険物質及び爆発性雰囲気規則2002(the Dangerous Substances and Explosive Atmospheres Regulations 2002 (DSEAR))である。DSEARは、危険物質のリスクが評価され、合理的実現可能であるように排除するか、減少させるよう義務づけている。リスクアセスメントの原則はこれらの規則の下で適用される。

化学物質の登録、評価、認可及び制限に関する規則(The Registration, Evaluation, Authorisation & CHemicals (REACH) regulation)は、ナノ材料を含め、化学物質を規制するEU全体の法律の主要な部分である。

ガイドラインの目次

  • ガイドラインの範囲
  • 用語と定義
  • 序論
  • 法律上の義務
  • ナノ材料のばく露と有害性
  • リスクマネージメントの原則
  • ナノ材料の特徴評価
    バックグラウンドとチャレンジ
    特徴評価のための特性と技術の選択
  • 毒性学
    危険情報
  • バンディングハザード(Hazard Banding)
  • ばく露管理
    リスクアセスメント
    ばく露の予防と管理
    ばく露の予防:代替品
    職場のばく露限界
    管理対策を選択するためのアプローチ
    粒子状ナノ材料へのばく露と管理
    吸入リスク
    皮膚及び経口摂取のリスク
  • 工学技術管理対策
    HEPAフイルターの効率
    局所排気装置(LEV)
    ダクト式微生物安全キャビネット(MSCs)
    ダクトレス・リサイクルHEPAフィルター抑制キャビネット及びリサイクルMSCs
    管理対策のメンテナンス、試験、検査
  • 個人用保護具(PPE)
    眼の保護
    呼吸用保護具
    手袋
    保護衣
    クリーニング(Cleaning spillages )
  • 高アスペクト比のための具体的な助言
  • 情報、指示及び訓練
  • モニタリング
    モニタリングに対する制限
    使用される計測器
    サンプリング戦略
    制限
  • ヘルスサーベランス
  • ナノ材料廃棄物の処分
    処分前のナノ材料廃棄物の調整
    廃棄物業者による処分
  • ラベルとサイン
  • 参照
    付録1
    ナノ材料のためのアメリカ微生物安全キャビネットの特性と適用性の比較
    付録2
    粒子状ナノ材料の管理対策選択フローチャート
    付録3
    工学技術管理
    付録4
    作業活動フォームの記録
    付録5
    空気中粒子状ナノ材料を放出を評価するためのサンプリングプロトコル

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

中央労働災害防止協会
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館

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