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各国情報・国際関係

交通安全が優先でない企業

2012年12月28日

Eurofound News 2012年11月9日発表

交通事故は、フランスでの労働災害死亡の主要な原因である。フランスの労働省の研究では、交通安全の問題を認めており、フランスでのすべての致命的な作業関連の負傷の57%以上は、出張中または仕事に行く途中のどちらかで道路上で被っている。研究では、ほとんどのリスク予防対策は、技術的な性質のものであり、交通事故のリスクを最小とするための作業組織の変更は、それほど目立たなかった。この研究結果が企業レベルでの交通安全対策の実施を促進することに活用されることを望まれるとしている。

Road safety not a priority for companies 別ウィンドウが開きます
Ministry of Labour, Employment, Vocational Training and Social Dialogue 別ウィンドウが開きます

交通事故は、フランスでの労働災害死亡(work-related death)の主要な原因と確認されている。しかし、フランスの労働省の研究では交通安全の問題を認めているが、交通事故の予防は、多くのフランスの企業の安全衛生戦略(health and safety strategy)で顕著には注目されていない。交通事故の予防がフランスの企業のためのトレーニングの不可欠な部分になるように、この研究の結果が交通安全(road safety)の問題の認識を提起するのに使用されることが望まれている。また、点検したすべての職場の従業員の67%が適切なトレーニングを受けていないことを示した。

研究の背景

交通事故は、フランスでの労働災害死亡の主要な原因である。労働・雇用・職業訓練・社会対話省(Ministry of Labour, Employment, Vocational Training and Social Dialogue)のレポート(フランス語、76Kb PDF)によると、フランスでのすべての致命的な作業関連の負傷の57%以上は、出張中または仕事に行く途中のどちらかで道路上で被っている。これらの数字は、本省に労働安全衛生の改善に労働による交通事故を優先して取り組むことを宣言するよう促している。

労働監督官(labour inspectorate)は、交通安全がフランス企業の安全衛生戦略の一部であるとの範囲を分析するキャンペーンを開始した。研究は、乗用車に限定し、重量物運搬車を除外した。主要な目的は、次のとおりである。

  • 作業関連の交通事故の予防を改善すること
  • 事故予防するための既存のツールの意識を高めること
  • 作業関連の交通事故の予防において、企業の義務をモニターすること
  • 仕事での交通事故のリスクが企業の安全衛生戦略に組み込まれていることを確実にすること

リスクの評価

労働条件改善局(The National Agency for the Improvement of Working Conditions:ANACT)は、2011年4月と6月の間で2,776件のモニタリング点検を行った(ANACT、2012)。これらの点検は、2つの特性を有する分野に焦点を合わせた。第1は、高い労働災害率(high rate of work-related accidents)である。第2は、夜間も含め、短時間と長時間の移動(journey)の両方に関して乗用車の集中的な使用である。評価のこの部分は、多数の計画的または非計画的な自動車出張(car trip)に従事する労働者のいる企業が含まれている。これらの2つの特徴がある確認された分野は、以下のとおりである。

  • 建設と公共事業(点検の64%)
  • メンテナンス(20%)
  • 自然保護と景観保全(8%)
  • 農業(8%)

点検した企業の最大のシェアは、10−200人を従業員のいる中小企業(62%)であり、そして、1−10人の労働者がいる職場(34%)が続く。200人以上のいる大企業は、4%を占めている。すべての研究した企業の90%について、点検は、交通事故の作業関連のリスク評価を目的とした最初のものである。

結果

研究では、研究企業の50%だけが交通事故のリスクを考慮に入れた内部の安全衛生戦略を立案しており、そして、44%だけが交通事故の予防のためのアクションプランを開発していたことがわかった。ほとんどのリスク予防対策は、技術的な性質のものであり、交通事故のリスクを最小とするための作業組織の変更は、それほど目立たなかった。

日常業務を管理するという点から、研究は、36%の企業が従業員に遅れまたは予想外の出来事を管理させており、12%だけが延長時間の遅れを認めている。更に、研究した企業の25%が、運転中、ドライバーに彼らの本社と連絡をとるためにハンズフリー自動車キット(hands-free car kits)を提供している。

ケースの3分の1以上(35%)で、従業員が車輌を停止しているときにすぐに、コールを返すことが期待された。従業員は、回答者の11%によると、運転中、彼らのボイスメールへの着信(incoming call)をリダイレクト(redirect)していると予想されたが、ところが一方で、29%は、ルールが実施していないかまたは従業員がそれらを知らないと述べている(それぞれ21%と8%)。

トレーニングの課題

フランスの労働法は、仕事で自動車を定期的に使用するならば、道路と安全に関するリスクの予防に関して従業員をトレーニングすることを企業に求めているが、この研究は、点検したすべての職場の従業員の67%が適切なトレーニングを受けていないことを示した。

法律はまた、企業が彼らの安全衛生戦略、その実施と変更に関して、安全衛生労働条件委員会(Committee for Hygiene, Safety and Working Conditions :CHSCT)に通知し、協議すべきであると述べており、適切である。

質問したすべての企業の24%がこれらの規則に従っているが、しかし、52%はCHSCTを持たないと述べた。CHSCTのない企業は、CHSCTの設置が強制的でない50人未満の主に小さい職場であった。交通事故の予防の支援のために、労働衛生サービスまたは企業の医療従事者(company medical officer)によるリスクのコミュニケーションが重要であるが、しかし、少数の企業のみがこれを実施していると述べた(それぞれ20%と16%)。

論評(commentary)

研究は、企業の安全衛生戦略における交通安全の役割について疑問を提起している。個々の質問は、リスクの予防、義務的なトレーニング、作業組織及び従業員の代表組織への通知と協議に関することである。この研究の結果は、いくつかの関連する機関及び分野レベルでの社会的パートナーに送った。また、企業レベルでの交通安全対策の実施を促進するための専門家組織及び従業員の代表ばかりでなく低レベルでの当局の関与、特に企業管理をすることが期待される。

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