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各国情報・国際関係

欧州労働組合研究所(ETUI:European Trade Union Institute)が「ナノ材料と職場の安全と健康」と題する冊子を発行したので紹介する

EU-OSHA News 2013年6月12日

ETUIは、長年にわたりナノ技術に関する情報を多数公開しており、職場でのナノ材料の生産と使用に関するこの冊子を、新たに発行した。また、この冊子は、ナノ材料が労働者の健康にどのように影響を与えるか、より良い理解をしようと試みつつ、法的枠組みの改善を示唆しており、また、今より良い予防を確保し、ばく露される労働者のためのヘルスサーベランス(health surveillance)を実施することを目的にして、労働組合や労働衛生専門家のための実用的な方法を提案している。

原資料の題名と所在:
https://osha.europa.eu/en/news/eu-nanomaterials-and-workplace-health-safety
EU-OSHA(欧州労働安全衛生機関): https://osha.europa.eu/en/about
ETUI(European Trade Union Institute:欧州労働組合研究所): http://www.etui.org

 

EU-OSHAニュースの概要

英語とフランス語のETUIガイド
ETUIは、長年にわたりナノ技術に関する情報を多数公開しており、職場でのナノ材料の生産と使用に関するこの冊子を、新たに発行した。

ナノ材料は、目のくらむようなペースで使用の範囲が拡大し、市場に出回っている一方で、社会への影響は、主体的に論じられなくなっている。欧州の規制の枠組みは、これらの微細なスケール材料に適応されていない。我々がそれらを製造または使用する人のために付随するリスクを知っているものについても、非常にまちまちである。動物実験は、そのうちのいくつかの毒性について警鐘を発している。

この冊子は、ナノ材料が労働者の健康にどのように影響を与えるか、より良い理解をしようと試みつつ、法的枠組みの改善を示唆しており、また、今より良い予防を確保し、ばく露される労働者のためのヘルスサーベランス(health surveillance)を実施する労働組合や労働衛生専門家のために実用的な方法を提案している。

 

小冊子の目次の概要

  • 序文
    • パート1 なぜ、それが労働者にとって重要か?
      • ナノ材料
      • ナノ製品と市場での応用
      • 職場でのナノ材料の一般的な例
      • ナノ粒子へのヒトばく露の経路
    • パート2 ナノ粒子を使用した作業
      • どのように、労働者はナノ材料を確認することができるか?
      • どのような活動がナノ材料で働くことを伴うか?
      • 労働者は、どのような種類の健康と安全情報を知る必要があるか?
      • 職場での安全管理ツール
    • パート3 ばく露中とばく露後のヘルスサーベランス
    • パート4 ヘルスサーベランスのためのツールとしてのばく露登録
      • 誰を登録するか?
      • 何をするか?
      • 労働者とかれらの活動を確認すること
  • 結論
  • 引用文献

 

この冊子の序文の概要

ナノ技術は、様々なかたちで21世紀の経済に偉大で大いに期待される技術と見なされている。それは、研究と知識の高揚、その高揚が保持されるかもしれないものへの畏敬、投資家の冷たいことば、あるいは、かかる無限大の微小物の使用による環境負荷なり、経済成長促進のといった様々な見方からなっている。

ナノ材料は肉眼に見えないけれども、現実の職場で生産され、使用されている。関係産業におけるSFのようなものでなく、電子顕微鏡によってもたらす画像の疑う余地のない美しさは、クリーンルームラボ環境(clean-room lab environment)からかけ離れたようなものである。

ナノ材料は、リスクが多い産業に認められるが、その予防対策は、しばしば無視され、従事する労働者の労働条件の管理がほとんどされていない。これは、科学文献や公開討論によっても主に言われており、改めて新しいものは何もない。

19世紀後半、アスベストは、豊富な材料供給源となっており、多くの使用に適応可能で安価な原料あるため"魔法の繊維"と言われた。不気味に迫りくる使用に伴う早期の警戒シグナルは、20世紀の第3四半期になっても取り上げられることもなく大規模な普及を止められなかった。無差別な使用は、何百万人もの避けられる死をもたらした。

このため、ナノ技術が"新しいアスベスト"とならないように、欧州労働組合研究所は長年にわたり、情報を出している。ナノ材料の製造とその使用に係る労働条件に関するこの小冊子が新たに発行された。ここでもなお、ナノ材料は、根拠のないものではなく、目がくらむようなペースで使用の範囲が拡大し、市場に出回っているという考えさせられる観察があるが、社会への影響面において、主体的に論じられてないとしている。労働衛生面については、その具体的な側面である。

現在のデータは、乏しく非常に内容もまちまちである。いくつかのナノ材料の毒性に関して警鐘を鳴らしている研究においても、すべての利害関係者が一様に予防原則を履行するように促すべきであるとしている。現在のEU法は、ナノ材料の特異的特性に対応しておらずこれらの新しいリスク因子の特異的必要条件を考慮するよう適合させない限り、"労働者"と"消費者"の健康は無防備になる。これらの対応は、労働者の健康の保護に関する指令と同程度の製造とマーケティングに関するルールを意味する。

この冊子は3つのことを行おうと試みている。すなわち、労働者の健康に関するナノ材料の影響をどのようにより良く理解させるかということ;法的枠組みに必要な対応を確認すること;また、今よりより良い予防を確保し、ばく露される労働者のための必要なヘルスサーベランスを実施するための労働組合と労働衛生専門家のための実用的な方法を提案することである。

Laurent Vogel
ETUI

 

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