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各国情報・国際関係

ベトナム国立労働保護研究所が労働安全衛生法の要約を英文で公表

ベトナム国立労働保護研究所(ILOのCIS協力センターでもある。)は、そのニュースレター(2015年第2号)に、ベトナムが2015年6月25日に国会で制定した「労働安全衛生法」の要約を、英文で公表しました。

 

資料出所:
NEWSLETTER On Occupational Safety and Health & Working Environment、 Number 2, 2015, Summary on the Law of Occupational Safety and Health, Written by Prof. Dr. Le Van Trinh, OSH Senior Expert, Member of Drafting Board of the 2015 OSH Law
 
Summary of the Occupational Safety and Health (PDF 476KB)
この論文の日本語への翻訳及び国際センターウェブサイトへの掲載の許諾について: 当国際センターが、2016年2月1日に、原著者から e-mail によって許諾を受けました。

 

同論文の日本語への翻訳(訳者注;以下のうち、「イタリック体の括弧書き」は、訳者が文意を補足するために挿入したものであることを示す。)

 

「労働安全衛生法」の要約
 
著者 = Le Van Trinh:
教授、博士、2015年労働安全衛生法起草委員会の構成員、労働安全衛生上級専門家、ベトナム労働安全衛生協会会長

1.はじめに

法的要求事項としての労働安全衛生規制の実施は、1994年以来制度的な及び大切な課題であって、その内容は、労働法、化学物質法、労働組合法等のような多くの文書や法令が含まれており、要領を得ないものであった。これらの法的な文書は、比較的良く労働安全衛生に関する要求事項を規定しているものの、分散しており、しばしば重複していて、実行する上で混乱の原因となっていた。
世界的な経済統合の傾向の中で、労働災害及び職業性疾患の防止に対して特別の関心を持つことが求められている。労働条件の改善、労働者の健康及び作業環境の保全は、今後数十年間の国家の社会経済発展の戦略における主導的な任務である。それゆえ、生まれるべき労働安全衛生法は、労働安全衛生上の今日の課題を解決して今後のベトナムにおける生産を助長するだけでなく、大きな社会的及び人道的重要性を持っている。

2.労働安全衛生法の内容

労働安全衛生法は、ベトナムの国会で、2015年6月25日に承認され、既存の労働安全衛生規制と比較すると、原則及び新たな事項を規定する7つの章と93か条を含んでいる。この法律は、次のように要約することができる。

 

第1章:一般規定

2012年の修正された労働法の適用範囲と比較すると、労働安全衛生法は、より広く、包括的で、詳細な労働安全衛生活動を規定している。労働者の安全及び健康を保障する条項だけでなく、この法律は、企業における労働安全衛生管理、補償、労働災害及び職業性疾患による障害手当等に関する規定を含んでいる。この法律の対象は、仕事(雇用契約及び雇用契約でないもの)を持つ被雇用者(労働者)、職場における労働安全衛生に関する監査、教育訓練、コンサルテイング等労働安全衛生を確保するための活動を行う組織及び個人、個人用保護具等を含んでいる。
この章は、さらに、州の労働安全衛生管理責任、ベトナム祖国戦線及びその他の政治的及び社会的組織、職業上の組織の責務、労働安全衛生協力メカニズムをも規定している。この法律は、また、被雇用者を代表する労働組合―三者構成の労働関係委員会の一翼―を含む上記のすべての労働安全衛生上の組織の役割及び責務を確定している。

 

第2章:有害な因子を予防する対策

この章は、次の4つの節を含んでいる:(@)労働安全衛生に関する情報、その提供、教育、(A)職場における安全と健康を確保するための規制、手順、(B)労働者の健康への配慮、(C)労働安全衛生のための厳格な要求事項がある機械、設備、物質の管理、労働災害及び疾患の予防のための管理手段、さらに労働者にとって危険及び有害な因子のばく露限界に関すること、等いくつかの新たな事項である。

 

第3章:
労働安全衛生、労働災害及び職業性疾患について、不安全な状況の原因となる技術的事象を解決するための対策

この章では、労働災害及び職業性疾患、これらに関する届け出、一覧表、報告及び調査に関する規定が、労働法第9章の規定と比較してより詳細になっている。加えて、労働契約を持たない被雇用者の死亡の届け出のための使用者(雇用者)の責務又は労働災害及び職業性疾患の犠牲者についての使用者の責務。法が許容する休憩時間の間に起こった災害又は労働者が作業から自宅に移動する場合の特別の使用者による付加的な補償及び手当の(支払いについての)義務。
この章での新たな項目は、労働災害及び職業性疾患についての保険基金に関する独立した条項を持つ。この条項では、その基金についての原則、対象者、保険料率、保険基金を得る犠牲者の資格、基金に対する使用者の追加支払い(が)不要(であること)、さらには労働災害及び職業性疾患の犠牲者が仕事に復帰する場合に職業を変更するための、及び労働災害及び職業性疾患の予防及びリスクを分かち合うための支援がある。

 

第4章:特別の労働者のための労働安全衛生の保障

この章の内容は、安全で健康的な作業場で働くという被雇用者の権利についての記述は、労働法の規定よりも詳細になされている。これは、海外で働いているベトナム人、家事使用人、家庭で仕事及び作業を与えられている被雇用者の安全衛生を含む、すべての安全衛生の分野に適用されている。

 

第5章:製造及び事務所についての労働安全衛生の保障

この章は、製造及び事務所における、リスクアセスメント及び緊急事態での救助を含む労働安全衛生活動に関する計画、点検、表彰、通知、報告等、組織及び主要な労働安全衛生活動の内容を規定している。

 

第6章:州の労働安全衛生の管理

この章の規定は、他の関連する法的な文書から取られた項目が要約され、より詳細なものとなっている。データベースを設置する労働傷病兵社会問題省の責任、労働安全衛生に関する厳格な要求事項を遵守すべき機械、設備及び物質のリストの公布、国家労働安全衛生プログラムの策定、州及び地方のレベルにおける、労働安全衛生監督機関の要員及び機能を規定している。

 

第7章:実施規定

この章は、2016年6月1日から効力を持つこの法の施行並びに労働法、社会保険法及び労働安全衛生法の間の経過措置に関する法的有効性、事務を行う事業所を規定する労働安全衛生法を適用するための行政機関、組織の促進を規定している。

 

3.結論

労働安全衛生法は、労働法第9章の条文を受け継ぎ、より詳細にしている。この法律は、特定の項目に関してより深化し、雇用契約を持つか、それを持たない被雇用者の観点を明確にしている。この法律の誕生は、ベトナムの社会経済の発展及び国際的な統合の要請に応えたものであり、必要であるとともに、時期に適っている。

 

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