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オーストラリア首都特別地域
1989年労働安全衛生法

(仮訳 国際安全衛生センター)



第III部:労働安全衛生に関する義務

27. 従業員に関連する事業者の義務

(1) 事業者はその従業員の作業中における安全衛生確保のため、すべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

(2)  事業者は(1)項の一般性を阻害することなく、下記のためにすべての合理的に実行可能な措置を取らなかった場合、同項の違反となる。

(a) 次の作業環境(プラントおよび作業システムを含む)を提供すること。

  1. 事業者の従業員にとって安全であり、その健康にリスクがないこと。
  2. 作業中の福祉のために十分な施設を提供すること。

(b) 事業者の支配下にあるあらゆる作業場について

  1. (i) 作業場が従業員にとって安全であり、その健康にリスクがないこと。
  2. (ii) 従業員にとって安全であり、その健康にリスクがないような、作業場の出入の手段を提供し、維持する。

(c) プラントまたは物質の使用、取扱い、貯蔵、輸送に関連して、従業員の作業中の安全を確保し、作業中にその健康にリスクがないことを確保する。

(d) 従業員が安全で健康にリスクがない形で作業を行えるようにするために必要な情報、指示、訓練、監督を従業員に提供する。

(e) 次のための労働安全衛生に関連する基本方針を策定し、維持する

  1. 従業員の作業中の安全衛生および福祉を確保する措置を促進し、開発するための、従業員と事業者間の効果的な協力を可能にする、
  2. それらの措置の効果を検討する十分なメカニズムを提供する。

(f) 従業員の作業中の安全衛生、福祉を確保するため、(2)(a)項に記載する基本方針の結果、開発された措置について、従業員の注意を向ける。

(g) 従業員の作業中の安全衛生および事業者の支配下にある作業場の条件を監視するための、適切な措置を取る。

(h) 従業員の安全衛生に関連する適切な情報、記録を維持する。

(i) 従業員に適切な医療、救急サービスを提供する。

(3) (2)(e)項に規定する種類の基本方針は下記と協議して開発、維持するものとする。

(a) 事業者の従業員のために設置されている安全衛生委員会

(b) 事業者の従業員のために安全衛生委員会が設置されていない場合、従業員または関係する労働組合

28. 第三者に関連する事業者の責任

事業者は、その支配下にある作業場内または近隣の、事業者の従業員以外の人々の安全衛生が、事業者の事業遂行から生じるリスクを受けることがないように、すべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

29. 作業場を管理する者の責任

どのような程度でも、下記を管理する者は安全で健康へのリスクがないことを確保するため、すべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

(a) 作業場

(b) 作業場に出入りする手段

(c) 作業場のプラントまたは物質
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

30. 従業員の義務

(1) 従業員は作業中のあらゆる場合に下記のためにすべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

(a) 従業員が働いている作業場内または近隣で、従業員または他の人々(従業員であるかないかを問わない)の安全衛生に対するリスクを生み、または既存のリスクを高めるような作為、不作為を従業員がしない。

(b) 本法または規則によって従業員の事業者または他の者に課せられる責務または義務について、その責務または義務を事業者または他の者が遂行するために必要な範囲において、事業者または他の者に協力する。

(c) 従業員の事業者が下記の機器の安全で適切な使用のための指示を与えた場合、その指示に従って機器を使用する。

  1. 事業者によって従業員に供給された機器
  2. 従業員が働いている作業場内または近隣で、従業員または他の人々(従業員であるかないかを問わない)の安全衛生を保護するために必要な機器

罰則:250罰則単位

(2) (1)項の規定は、(1)(c)項に記載する種類の機器の選択または使用方法が、本法、規則および関連法に従って、

(a) 事業者の従業員について事業者と関係する労働組合間で、

(b) 事業者の従業員について安全衛生委員会で

合意される事項ではないことを意味するものではない。

(3) (2)(a)項に記載する種類(開始日に先立って締結されたか否かを問わない)の合意、または(2)(b)項に記載する種類の合意が、事業者によって供給される特定の種類の機器を選択するプロセスを規定している場合、機器がそのプロセスに従って選択されていなければ、その事業者の従業員が供給されたその種類の機器を使用しなかった場合にも、その従業員に対して措置を取ってはならない。

(4) (2)(a)項に記載する種類(開始日に先立って締結されたか否かを問わない)の合意、または(2)(b)項に記載する種類の合意が、特定の種類の機器を使用する方法を決定するプロセスを規定している場合、使用する方法がそのプロセスに従って決定されていなければ、その事業者の従業員が供給されたその種類の機器を、事業者が要求する方法で使用しなかった場合にも、その従業員に対して措置を取ってはならない。


31. 自営業者の義務

自営業者は、自営業者によってまたはそのために行われた作業によって、他の者(自営業者の従業員以外の)の安全衛生に不利な影響が及ばないように、すべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

罰則:250罰則単位


32. プラントおよび物質に関する製造業者の義務

(1) 事業場の従業員が作業で使用することを合理的に予想すべきプラントの製造業者は、下記のためのすべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

(a) プラントはそれが適正に使用された場合に、従業員にとって安全であり、健康にリスクが及ばないように設計し、製造する。

(b) プラントの使用から生じる可能性のある従業員の安全衛生に対するリスクを発見し、除去または最低に抑えるために必要な研究、試験、検査等を行いまたは行わせる。

(c) 従業員が作業中にプラントを使用することに関連して、下記に関する十分な情報を従業員に提供する。

  1. 設計および試験された用途
  2. 設計および試験された用途に用いる場合、従業員にとって安全であり、健康にリスクが及ばないようにするために必要な条件
  3. プラントの適切な保守
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

(2)  製造業者は事業場の従業員が作業で使用することを合理的に予想すべき物質について、下記のためのすべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

(a) 製造された物質が適正に使用された場合に、従業員にとって安全であり、健康にリスクが及ばないように製造する。

(b) 物質の使用から生じる可能性のある従業員の安全衛生に対するリスクを発見し、除去または最低に抑えるために必要な研究、試験、検査等を行いまたは行わせる。

(c) 従業員が作業中に物質を使用することに関連して、下記に関する十分な情報を従業員に提供する。

  1. 製造および試験された用途
  2. その組成の詳細
  3. 製造および試験された用途に用いる場合、従業員にとって安全であり、健康にリスクが及ばないようにするために必要な条件
  4. 物質によって傷害が発生した場合、遵守すべき救急および医療上の措置
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

(3) 下記の場合、

(a) いかなる時においても、プラントまたは物質の製造業者以外の者によって、プラントまたは物質が首都特別地域内に持ち込まれ、

(b) その時点でプラントまたは物質の製造業者が首都特別地域内に事業の場所を持っていない場合、

(a)項に記載する者は、本条の目的上、プラントまたは物質の製造業者と見なされる。


33. プラントおよび物質に関連する供給者の義務

(1) 従業員が作業で使用することを供給者が合理的に予想すべきプラントまたは物質の供給者は、下記のためのすべての合理的に実行可能な措置を取るものとする。

(a) 供給した時点において、プラントまたは物質を適正に使用された場合には、それらが従業員にとって安全であり、健康にリスクが及ばないようにする。

(b) プラントまたは物質の使用から生じる可能性のある従業員の安全衛生に対するリスクを発見し、除去または最低に抑えるために必要な研究、試験、検査等を行いまたは行わせる。

(c) 従業員が作業中にプラントまたは物質を使用することに関連して、下記に関する十分な情報を従業員に提供する。

  1. 供給の時点におけるプラントまたは物質の条件
  2. もし適正に使用されなかった場合、プラントまたは物質の条件が引き起こす可能性のある、従業員の安全衛生に対するリスク
  3. かかるリスクを除去するために取る必要がある措置
  4. プラントの場合、プラントの適正な保守
  5. 物質の場合、物質が従業員に傷害を及ぼした場合、遵守すべき救急および医療上の措置
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:250罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:1,250罰則単位

(2) (1)項の目的上、ある者(本項では「外見上の供給者」という)が、従業員が作業中に使用するプラントまたは物質を事業者に供給し、その外見上の供給者が、

(a) 他の者による製品の取得または使用の資金を供給する事業を行い、

(b) その事業の過程において、事業者による第三者からのその取得、または第三者による事業者への提供の資金を供給することのみを目的として、プラントまたは物質の権利を所得し、

(c) プラントまたは物質の保有を事業者に移転することのみを目的として、プラントまたは物質の保有を取得しなかった、または取得した場合、

(1)項における供給者は、本項におけるプラントまたは物質に関連して、第三者を意味し、他の外見上の供給者を意味しないものとする。


34. 作業場にプラントを建設または設置する者の義務

従業員が作業に使用する作業場に、プラントを組み立て、設置する者は、それを使用する従業員に安全ではない、または衛生上の問題を引き起こすような方法で、プラントの組み立て、設置を行わないように、すべての妥当で実際的な措置をとるものとする。

罰則

(a)違反者が個人の場合:250罰則単位

(b)違反者が法人の場合:1,250罰則単位

35.与えられた情報または調査の結果に対する依存

(1) 27条(1)項または28条、29条の一般性を限定することなく、それらの規定の下でプラントや物質の使用の際に、妥当で実際的な措置をとることを要求された者は、いかなるプラントや物質の使用に関しても、その条項に従った措置を以下の範囲で取るものとする。

(a) その者が、プラントや物質の使用に際し、以下の項目に従うことにより、安全と衛生に関してできる限り妥当で実際的であるように確認すること。

  1. ラントや物質の、製造業者や部品製造業者から与えられた情報
  2. 承認された実施基準

(b) その者にとって、その情報を信頼することが妥当であること。

(2) 32(1)項、(2)項および33(1)項の一般性を限定することなく、プラントや物質の調査やテスト、試験を実行することに関して、妥当で実際的な措置をとることをそれらの規定の下で要求された者は、あらゆる調査やテスト、試験の実行について、以下の程度の措置を取るものとする。

(a) 調査やテスト、試験がその者とは別の者、あるいはその者の代わりに、すでに行われていること。

(b) その者にとって、その調査やテスト、試験を信頼することが妥当であること。

(3) 34条の一般性を限定することなく、同条の下でプラントを作業場に組み立てる、または設置することに関して、妥当で実際的な措置をとることを要求された者は、プラントのあらゆる組み立て、または設置に関して、その規定に従った措置を以下の範囲で取るものとする。

(a) その者が、プラントを使用する従業員の安全で衛生的な方法により、プラントを組み立てる、または設置する事に関して、できる限り妥当で実際的であるように請け合うこと。

  1. そのプラントの製造業者または部品製造業者により与えられた情報
  2. 承認された実施基準

(b) その者にとって、その情報を信頼することが妥当であること。


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