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オーストラリア首都特別地域
1989年労働安全衛生法

(仮訳 国際安全衛生センター)



第V部:監督官

第1節:監督


61. 違反に関連する事項

(1) 第V部の目的において、下記の事項は特定の違反と関連する。

(a) 違反が犯された事項

(b) 犯された違反の証拠を提供する事項

(c) 違反を犯す目的で使用された、または現在または過去に使用することが意図された事項

(2) 第V部における違反についての記載は、過去に犯されたまたは将来犯されるであろうと考えられる、妥当な根拠が存在する違反についての記載も含むものとする。


62. 監督等

(1)  本法の規定または規則が遵守されているかどうかを確かめるために、監督官は、令状の許可なしに:

(a) 居住区域以外の施設にすべての妥当な時間に立ち入り、

(b) すべての施設にいつでも占有者の同意を得て立ち入ることができる。

また、(2)項を条件として、施設が事業場として使用されている、または使用が意図されていることの妥当な根拠があると監督官が確信する場合、(3)項で記載したすべての権限を行使することができる。

(2) (1)項に基づいて施設に入った監督官は、占有者からの要求に対して監督官がその身分証明書を占有者に見せずに、施設にとどまることはできない。

(3) 施設に入った監督官は(1)項に基づき:下記の事項を行うことができる。

(a) その施設または施設における作業、機械、物資、材料のすべての体制について監督し、調査し、測定し、または検査を行う。

(b) 監督官が必要と考える装備や用具を施設に持ち込む。

(c) 施設のすべての人に、監督官が要求する施設または施設の作業、機械、物資、材料のすべての体制に関係する情報について下記を要求する。

  1. 監督官にそのような情報を与えること
  2. 監督官に対してそのような情報を含むすべての文書を提出すること

(d) (c)(ii)項の中で記載した文書を監督し、複写を作成し、または抜粋する。

(e) 監督官が必要であるとみなせば、写真を撮影し、スケッチまたは記録を作成する。

(f) 施設のすべての機械、物資、材料に関して監督や調査を行い、または測定し、検査を行うのに必要な範囲で:

  1. 機械、物資、または材料などを押収し、施設から持ち出す。
  2. 物資または材料の見本を(代金を支払わずに)入手し、またはその見本を施設から持ち出す。

(g) 監督官が本法や規則に対する違反に関連する妥当な根拠を確信する、すべての機械、物資または材料を押収し、施設から持ち出す。

(h) 監督官が本法または規則に基づいて、その権限を行使するのに必要かつ妥当な援助を占有者に要求する。

63. 立ち入りへの同意
 
監督官が62条に基づき施設への立ち入りに対する同意を施設の占有者に要求した場合、監督官は同意を拒否することができる旨を、占有者に伝えなければならない。


64. 押収の通告 

(1) 62条に基づき、監督官が何らかの機械、物資または材料を押収し、または何らかの物資や材料の見本を取った場合、その監督官は押収とその理由を下記の者に文書で通告するためのすべての妥当で実際的な措置を取るものとする:

(a) その機械、物資または材料を用いて作業を遂行している事業者

(b) その事業者を除き、その機械、物資または材料に規定された権利を持つ者

(c) 作業場での作業の遂行にその機械、物資または材料を使用する従業員が含まれる指定作業グループに安全衛生代表がいる場合にはその代表者

(2) 監督官が、機械、物資または材料に関して監督し、調査し、測定し、検査する目的で何らかの機械、物資または材料を施設から持ち出した場合、監督官は:

(a) その監督、調査、測定または検査が妥当で可能な限り速やかに行われるような措置を取り、

(b) 65条を条件として、その機械、物資または材料を妥当で可能な限り速やかに施設に返却しなければならない。

(3) 監督官はかかるすべての監督、調査、測定または検査が完了した後可能な限り速やかに、(1)項により押収の通告をしなければならない各人に対して、その監督、調査、測定または検査の結果を記載した報告書を送るものとする。


65. 特定の押収物の返却

(1) 監督官が:

(a) 62条(3)(f)項に基づき、何らかの機械、物資または材料を押収し、本法または規則に対する違反に関連する妥当な根拠を確信する場合

(b) 62条(3)(g)項に基づき、監督官が本法または規則に対する違反に関連する妥当な根拠を確信して何らかの機械、物資または材料を押収した場合

監督官は違反に対する起訴の中で証拠として示すためにその機械、物資または材料を保持することができる。

(2) そのような違反に対する起訴が押収日から60日以内に行われなかった場合、監督官は機械、物資または材料の所有権を持つと考えられる者に返却するため、すべての妥当で実際的な措置を取るものとする。


66. 捜索令状

(1) 監督官が妥当な根拠に基づき、現在またはその後の72時間以内に、施設のどこかに、本法または規則に対する違反に関連した、事物が存在すると疑った場合、監督官は:

(a) 判事にそれらの根拠を宣誓の上、情報を提出し、

(b) 施設のかかる種類の事物を捜索する令状の発行を申請することができる。

(2) 施設の捜索のための令状について(1)項に基づいて申請がなされた場合、判事は、(3)項を条件として、令状に氏名が記載されている監督官に、必要かつ妥当な支援と権限を与える下記の内容の令状を交付することができる。

(a) 施設へ立ち入り、

(b) 令状の中で特定された種類の事物について施設を捜索し、

(c) 捜索の過程で発見された事物が、監督官が該当する違反に関連するという妥当な根拠を確信する場合、かかるすべての事物を押収する。

(3) 判事は(2)項に基づき、下記の場合は令状を発行しないものとする:

(a) 資料提供者またはその他の者が判事に、令状の発行を求められた根拠について判事が必要とする詳細な情報を、口頭または書面で提供していない場合

(b) 判事が令状の発行についての妥当な根拠に確信が持てない場合

(4) 令状は:

(a) それが発行された目的を明示し、

(b) 該当する違反の種類を具体的に記載し、

(c) 入構の権限が与えられる詳しい時間を具体的に記載し、または入構が昼または夜間のすべての時間に権限が与えられていることを明示し、

(d) 令状に基づいて行使できる権限に関する事項について記載し、

(e) 令状が発行された日から1カ月以内の期間で、令状の失効日を具体的に記載するものとする。

67. 監督官への妨害

どのような者も、妥当な理由なしに、下記の事項を行ってはならない。

(a) 監督官が本法または規則に基づいてその権限を行使するのを妨害し、阻害する。

(b) 62条に基づいて監督官が行った要求を拒否する。

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:100罰則単位または12ヶ月の禁固刑、またはその両方

(b) 違反者が法人の場合:500罰則単位

68. 虚偽の情報

どのような者も、62条に基づいて監督官が行った要求の遵守と見なされる中で、下記のような行為を行ってはならない。

(a) 監督官に、その者が知る限りで虚偽のまたは紛らわしい情報を、特に重大な影響を及ぼすことについて提供する。

(b) 監督官に、その者が知る限りで虚偽のまたは紛らわしい情報を含む文書を、特に重大な影響を及ぼすことについて提供する。

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:100罰則単位または12ヶ月の禁固刑、またはその両方

(b) 違反者が法人の場合:500罰則単位

第2節:運営


69. 労働衛生安全登録官

(1) 労働衛生安全登録官を置くものとする。

(2) 登録官は、本法と規則に基づくその任務を遂行することに加えて、大臣が指揮する労働安全衛生に関連するその他の任務も遂行しなければならない。

(3) 知事は、労働衛生安全登録官の任務の遂行が含まれる職務を、政府機関の中に設け、維持するものとする。 

(4) 登録官は(3)項に記載した政府機関の職務を遂行する時には、公務員であるものとする。


70. 監督官

(1) 本法の目的のために、1人または複数の監督官を置くものとする。

(2)  知事は、監督官の任務の遂行が含まれる職務を、政府機関の中に設け、維持するものとする。 

(3) 下記のものは登録官であるものとする:

(a) (2)項の中で記載した政府機関の職務を遂行している時のすべての公務員

(b) 監督官から委任されたすべての権限を持つ、登録官代理を含む登録官

71. 身分証明書

(1) 知事は登録官に、登録官の氏名と役職が明示され、登録官の最近の写真を貼付した身分証明書を発行するものとする。

(2) 知事は監督官から委任されたすべての権限をもった登録官代理、その氏名と役職を明示した、その最近の写真を貼付した身分証明書を発行するものとする。

(3) 知事は監督官に、監督官の氏名と役職を明示した、その最近の写真を貼付した身分証明書を発行するものとする。

(4) 下記の事項が終了した場合

(a) 登録官の職務に従事する、またはその職務の遂行

(b) 監督官から委任されたすべての権限を持つ登録官代理となる

(c) 監督官の職務に従事する、またはその職を務める

妥当な理由がない場合、必ずその身分証明書を知事に返却するものとする。

罰則: 1罰則単位


74. 責任

刑事もしくは民事の訴訟またはその他の法的手続は、登録官または監督官がその本法または規則に基づいた権限に関連して誠実に行ったすべての行為、またはすべての不作為について、またはそれに関して、提起されない。


75. 登録官による委任

登録官は、本法または規則に基づく登録官のすべての権限を、83条に基づく登録官の権限を除いて、誰にでも委任することができる。


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