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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > オーストラリア 首都特別地域 1989年労働安全衛生法
オーストラリア首都特別地域
1989年労働安全衛生法


(仮訳 国際安全衛生センター)



第IV部 作業場の整備

第1節 安全と衛生の代表

36.小規模事業者には関係がない。

本節の規定は10人以上の従業員を雇用している事業者にのみ適用される。


37.事業者に指定された作業グループ

(1) 施行期日に事業者である者は:

(a) その日付から14日以内、および

(b) (10)項に従い、通告によって

その従業員のために指定作業グループを設置するものとする。

(2) 施行期日後に事業者となった者は:

(a) 事業者となった日から14日以内に、および

(b) (10)項に従い、通告によって


その従業員のために指定作業グループを設置するものとする。

(3) 妥当な理由なしに(1)、(2)項に違反する者が有罪となった場合、以下の処罰を受ける

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位を超えない罰則

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位を超えない罰則

(4) 事業者は(10)項に従って、指定作業グループを変更することができる。
(5) 指定作業グループは、以下の目的のために設置または変更されるものとする。

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位を超えない罰則業員の労働安全衛生についての利益が最良にかつ最もよく主張され、保護される。

(b) 指定作業グループのために選出された安全衛生代表が、そのグループに属するそれぞれの従業員と接触する必要性を十分に考慮する。

(6) (5)項に従って従業員をグループ化する方法を定める際には、事業者は特に以下のことに注意するものとする

(a) 従業員の人数

(b) 従業員により行われる作業の種類それぞれの内容

(c) 同様または類似した作業を行う従業員の人数とグループ

(d) それぞれの作業が行われる作業場やその中の区域

(e) 作業場の安全と衛生に関するあらゆるリスクの特性

(f) 時間超過勤務や交替制勤務に関する作業場の整備

(7) 事業者は以下の者と指定作業グループの設置、変更について協議することなしに、指定作業グループを設置、または変更しないものとする。

(a) 従業員に関連する組合

(b) そのような関連する組合がない場合、事業者が適切と判断した従業員

(8) 従業員のための指定作業グループは、どの従業員もいずれかの指定作業グループに含まれるように設置され、変更されるものとする。

(9) (5)、(6)、(7)項に従うことを条件として、ある事業者のすべての従業員は、一つの指定作業グループに属することができる。

(10) (1)、(2)項で設置された指定作業グループ、または(4)項で変更された指定作業グループは:

(a) グループとそのグループに含まれる従業員、または従業員の等級を示すものとする。

(b) グループのすべての従業員に、設置や変更が通知されるように、事業者の管理下にあるどの作業場にも掲示されるものとする。


38.登録官によって指定された作業グループ

(1) 37(1)、(2)項に該当する事業者が、その従業員に関する指定作業グループを、その項に規定された期間内に設置しなかった場合、登録官はそれらの従業員に関する指定作業グループを設置できる。

(2) 登録官は、事業者が設置したすべてのグループに属する従業員の50%以上が署名した要求書を受け取った場合には、事業者が設置した指定作業グループに代わり、指定作業グループを設置できる。

(3)  登録官は、事業者が設置したすべてのグループに属する従業員の50%以上が署名した要求書を受け取った場合には、事業者が設置した指定作業グループを変更できる。

(4) (1)、(2)項により設置される指定作業グループ、または(3)項によって変更される指定作業グループは、関係する事業者に、設置または変更されるそれぞれのグループと従業員、またはそのグループに属する従業員の等級について示した文書によって通知されるものとする。

(5) (1)、(2)または(3)項における権限の行使において、登録官は37条(6)項(a)から(f)(を含む)に明記された事項を考慮し、さらに以下と協議するものとする。

(a) 関連する従業員が加わっている各労働組合

(b) もしそのような組合がない場合、登録官が適切と判断した関連する従業員

(6) (1)、(2)項により設置された指定作業グループ、または(3)項によって変更定された指定作業グループにおいて、(4)項に従い通告を受けた事業者は、通告の日から14日以内に、設置や変更の通告を事業者の管理下にある作業場に掲示し、グループのすべての従業員にその設置や変更を周知させるものとする。

(7) 妥当な理由なしに(6)項に違反した者は、有罪となった場合、最高1罰則単位の罰金に処せられる。


39.建設現場での作業グループ

(1) 本条において:
「建築と建設業務」とは、「長期業務休暇」 (1981年建設と建築業務)法の場合と同じ意味を持つものとする。
「建設現場」とは、建築と建設業務が遂行されている、または遂行される予定の作業場を意味する。

(2) 以下において:

(a) ある者(本条では「主要請負業者」と呼ぶ)が、他の者(本条では「下請業者」と呼ぶ)と契約して(雇用せずに)建設現場で主要請負業者のために建築と建設業務を行う場合、および

(b) 下請業者が業務を行うために他の者(本条では「労働者」と呼ぶ)を雇用する場合、

登録官は、主要請負業者の申請により、本条がその現場に適用されることを現場に布告することができる。

(3) 登録官は、妥当な理由に基づき、下記の事項が認められるまで、布告を行わないものとする。

(a)
  1. 主要請負業者が建設現場での労働者の作業を実質的に支配している、または支配するであろうこと。
  2. 主要請負業者と下請業者との契約がない場合、主要請負業者がそのような支配を行った、または行っていたと思われること。

(b)
  1. 主要請負業者が、現場での他の建築や建設作業を、実質的に支配している、または支配するであろうこと。
  2. 主要請負業者と他の下請業者との契約がない場合、主要請負業者がそのような支配を行った、または行っていたと思われること。

(4) 布告の申請は文書により、登録官に提出されるものとする。

(5) 布告は官報により公示されるものとする。

(6) 布告が有効である期間には:

(a) 第4部の1、2および4節は、

  1. 建設現場における労働者による作業の遂行に関して、主要請負業者と労働者の間に雇用の契約がある場合と同様に
  2. 反対の意図が示されていない場合、これらの節(45条(3)項、48条(1)項(b)、59条(4)項を除く)において事業者、従業員の記載が、主要請負業者と労働者の記載であるのと同様に、
    主要請負業者と労働者について有効であるものとする。

(b) 7、8、82各条とその別紙は、建設現場における労働者による労働作業に関して、これらの条項、別紙における事業者、従業員の記載が、それぞれ主要請負業者、労働者の記載であるのと同様に、主要請負業者、労働者について有効であるものとする。

(c) 第IV部の1および4部(45条(3)項、48条、59条(4)項を除く)の目的においては、建設現場における労働者による労働作業に関して、下請業者は労働者の雇用主とは見なされないものとする。

40.選出

(1) 指定作業グループの安全衛生代表は1人のみとする。

(2) 指定作業グループの安全衛生代表は、そのグループの従業員により、安全衛生代表として正式に選ばれた、そのグループに属する従業員とする。

(3) 規則は安全衛生代表の選出に関する規定を設けることができ、そのような規則が有効である間は、安全衛生代表はその規則に従ってのみ選出されるものとする。

(4) (2)項によって、指定作業グループの安全衛生代表に選ばれたものは、文書によるその選出の通知を該当する事業者に提出するまで、安全衛生代表としての権限を持たないものとする。

(5) (4)項は、(3)項の目的のために制定された規則に従って安全衛生代表に選ばれたものには適用されない。

(6) 事業者は(4)項に基づく通知を受け取った後、できるだけ早く、事業者の支配下にある作業場などの場所に、その者がその指定作業グループの安全衛生代表に選ばれたことの通知を掲示するものとする。

(7) 妥当な理由なしに、(6)項に違反した者は、有罪となった場合、最高1罰則単位の罰金に処せられる。


41.選出への異議

(1) 本条は、40(3)項の目的で制定された規則が効力をもつ場合には適用されない。

(2)  登録官は、次の場合に現在の代表に代えて、新たな安全衛生代表の選出を行うものとする。

(a) 指定作業グループの安全衛生代表(このでは「現在の代表」と呼ぶ)は、本条に従って新たな選出が行われるまで、その職務を執行する場合、および

(b) 下記により署名された、現在の代表の選出への異議の通告が、(3)項に基づいて登録官に提出された場合、

  1. 指定作業グループに属するすべての従業員の事業者
  2. 指定作業グループに属する従業員の50%以上

(3) 異議の通知は、以下のように登録官に提出されるものとする。

(a) 40条(4)項に従い、現在の代表の選出通知が関係する事業者に送付された日から7日以内

(b) 登録官が、通知を送る最初の妥当な機会がこの7日間以内にはないか、またはなかったと考える妥当な理由がある場合、登録官はこの7日の期間の前または後におけるそれ以上の期間以内

(4) 本条に基づいて行われた選出により安全衛生代表が選ばれた場合、

(a) 登録官は文書で、関係する事業者と現在の代表に対し、安全衛生代表が選出されたことを書面で通知するものとする。

(b) 現在の代表は、(a)項に基づく通知を受けた日にその職務を離れるものとする。

(5) 事業者は(4)(a)項に基づく通知を受けた後、できるだけ早く、指定作業グループの安全衛生代表が選出されたことの通知を、事業者が支配する作業場の見やすい場所に掲示し、グループに選出について知らせるものとする。

(6) 妥当な理由なしに、(5)項に違反した者は、有罪となった場合、最高1罰則の罰金に処せられる。


42.安全衛生代表の名簿

(1) 事業者は、事業者の従業員からなる指定作業グループの、全安全衛生代表の名簿を作成し、更新するものとし、またその名簿を以下の者による調査に対し、すべての妥当な機会に提出するものとする。

(a) 従業員

(b) 指定作業グループに関する労働組合

(c) 監督官

(2) 妥当な理由なしに、(1)項に違反した者は、有罪となった場合、最高1罰則の罰金に処せられる。


43.法的権限

指定作業グループの従業員の一部または全員が、関連する事業者のために作業を行っている作業場において、指定作業グループに属する従業員の安全と衛生を促進し、確保する目的のため、そのグループの安全衛生代表は下記の事項を行うことができる。

(a) 次の場合には、作業場のすべて、またはあらゆる部分を検査すること。

  1. 作業場においてごく最近に、事故または危険状態があった場合
  2. 安全衛生代表が、作業場において、事故または危険状態の恐れが切迫していると考える妥当な理由がある場合
  3. 安全衛生代表が、事業者に検査の妥当な通知を与えた場合

(b) 監督官による作業場の検査の間、監督官に同行すること(安全衛生代表による要求により行われた検査であるかどうかに関わらず)。

(c) もし事業者の従業員に関する安全衛生委員会がない場合は、事態の進展に関わる事業者との会議に従業員を代表して参加し、そのグループに属する従業員の作業における安全と衛生を確保する手段の履行と再検討をすること。

(d) 事業者の従業員に関する安全衛生委員会がある場合は、その委員会のあらゆる記録を閲覧すること。

(e) 作業における従業員の安全と衛生に関して、そのグループに属する従業員が安全衛生代表に提出した苦情についてそれを調査すること。

(f) 関係する事業者の同意を得て、作業における安全と衛生に関するグループの従業員と次の者との間の会合に出席すること。

  1. 監督官
  2. 事業者またはその代理人

(g) 44条に従うことを条件として、事業者の管理下にある、あらゆる従業員の安全と衛生のリスクに関する、次のあらゆる情報を知る権利を有する。

  1. 事業者の管理下にある、あらゆる作業場のリスク
  2. 事業者による作業の管理、または事業の目的のために使われるプラントや物質から生じるリスク

(h) 44条に従うことを条件として、事業者の従業員の安全と衛生に関して、事業者の管理下にある、あらゆる情報を知る権利を有すること。

44.情報を知る権利

安全衛生代表は、以下については知る権利を持たないものとする。

(a) 事業者が要求する権利を与えられ、要求する法的な職業上の権利

(b) 次の場合を除き、事業者の従業員である、またはあった者に関する秘密の医療情報:

  1. 安全衛生代表にその情報を知る権利を許可した文書を、その者が事業者に提出している場合
  2. 情報がその者の身元を明らかにする、またはその身元を特定することのない形式になっている場


45.事業者の義務

(1) 安全衛生代表が置かれている指定作業グループに属する従業員の事業者は、

(a) 従業員の労働安全衛生に影響する作業の変更を行う場合、代表から要求が出された際には、事業者のためにある作業グループの一部またはすべての従業員が働いている作業場において、変更の実施について代表と協議する。

(b) 従業員の一部またはすべてが、事業者のために作業を行う作業場について、

  1. 安全衛生代表が、43条(1)項(a)に従い、権利を与えられた作業場の検査と、検査団による作業場のいかなる検査にも同行することを認める。
  2. 作業場に事業者の従業員に関する安全衛生委員会がない場合、安全衛生代表から要求が出された際には、従業員の労働安全衛生を確保する手段を、開発、実施、再検討するため、代表と協議する。

(c) 43条(1)項(f)に従い、安全衛生代表が出席の権利を与えられているあらゆる会談において、代表の出席を認める。

(d) 43条(1)項(g)または(h)に従い、安全衛生代表が許可を与えられている情報を知る権利を、その要求によって認める。

(e) 安全衛生代表の権限の必要かつ妥当な行使である作業休暇をとることを、報酬やその他の権利を減じることなく認める。

(ea) 安全衛生代表に、規則に従い認められた教育計画を実行するために、必要かつ妥当である作業休暇を、報酬やその他の権利を減じることなく認める。

(f) 代表に対して下記のような施設へのアクセス認めるものとする。

  1. 本項の目的のために規定された施設
  2. 代表の権限を行使するために、必要で妥当なアクセス

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

(2) 事業者は、安全衛生代表に対して、従業員である、またはあった者の秘密の医療情報を知る許可を与える場合、下記の条件によるものとする。

(a) その者が安全衛生代表にその情報を知る権利を許可する文書を事業者に提出すること
(b) 情報がその者の身元を明らかにせず、個人の情報を漏らさない形式になっていること

罰則

(a)違反者が個人の場合:50罰則単位または懲役6ヶ月、あるいはその両方

(b)違反者が法人の場合:250罰則単位

(3) 以下に関して:

(a) 39条に従う布告が建設現場に関して有効であり、

(b) 布告に関係する労働者は、その現場の従業員に関する指定作業グループの安全衛生代表である場合、

労働者を雇う下請業者は、安全衛生代表の権限の必要かつ妥当な行使である、労働者に報酬や他の権利を減ずることなく、作業休暇をとることを許可しなければならない。

罰則

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位

46. 在任期間

(1) 本節に従うことを条件として、 指定作業グループの安全衛生代表の在任期間は、各時点でのグループ内の従業員が決定する期間とし、最高で2年を超えないものとする。 

(2) 本条に従って安全衛生代表の任務を離れた者は、再選されることを妨げない。


47. 辞任等

(1) 以下のような者は指定作業グループにおける安全衛生代表の任から離れるものとする。

(a) 安全衛生代表を辞任した者

(b) 指定された作業グループの従業員ではなくなった者

(c) 48条に基づき不適任と判断された者

(2) 指定作業グループの安全衛生代表は、関連する事業者に文書で通知すれば、辞任することができる。


48. 不適任

(1) 登録官は下記の者からの申請に基づき:

(a) 指定作業グループに含まれる従業員の事業者

(b) 39条に基づく布告が建設現場に関して有効な場合:その布告に関する者の下請人であるすべての事業者

(c) 指定作業グループに関係するあらゆる労働組合

(d) 指定作業グループに関係する労働組合がない場合:そのグループ内のあらゆる従業員

そのグループの安全衛生代表を、あらゆる指定作業グループの安全衛生代表となってから5年を超えない、特定期間内に不適任と判断することができる。

(2) (1)項に記載する申請は、不適任とする根拠を文書で説明するものとする。

(3) 登録官は下記のような妥当な根拠を確信するまでは、安全衛生代表を不適任と判断しないものとする。

(a) 本法あるいは規則に基づいて、代表がその権限の行使、あるいは行使の意図において取った措置が以下のように解釈される場合

  1. 事業者またはその事業者の事業に対して損害を与える意図をもっている
  2. その権限が代表に与えられた目的に比べて無分別または衝動的である等

(b) 代表が、事業者から得た情報を安全衛生代表の権限の行使とは関連のない目的で意図的に用い、あるいは第三者に明らかにした場合

(4) (1)項に基づく権限を行使するため、登録官は以下の点について配慮するものとする。

(a) 代表の取った措置の結果として事業者あるいは事業者の事業にもたらされた損害(もしあれば)

(b) 代表の安全衛生代表としての権限行使に関する過去の記録

(c) 代表が取った措置による公益への影響(もしあれば)

(d) 上記のもの以外で登録官が適切であると考えるもの 

(5) 登録官が安全衛生代表を不適任であると判断した場合、登録官は代表の不適任について文書で通知するためにすべての妥当で実際的な措置を取るものとする。


49. 責任
 
本法またはは規則に基づき、安全衛生代表がその権限に関連して誠実に行ったすべての行為あるいは不作為について、またははそれに関して、民事もしくは刑事上の措置またはその他の手続が安全衛生代表に対して取られることはない。


50. 安全衛生副代表

(1) 安全衛生代表が選出された各指定作業グループにつき、1名の安全衛生副代表が選出されるものとする。

(2) 安全衛生副代表は安全衛生代表と同じ方法で選出されるものとする。

(3) 指定作業グループの安全衛生代表が安全衛生代表の任を離れた場合、あるいは(不在あるいはその他の理由により)安全衛生代表の権限を行使することができない場合:

(a) その権限は(もしあれば)そのグループの安全衛生副代表が行使してもよい。

(b) 本法(この条項以外)と規則は副代表に対しても相応に適用される。

(4) 安全衛生副代表が置かれている指定作業グループに含まれる従業員の事業者は、副代表に規則に基づいて許可された訓練プログラムを受けるのに必要かつ妥当である作業休暇を、報酬やその他の権利を減じることなく、許可するものとする。



第2節:暫定改善通告


51. 問題点

(1) 指定作業グループの安全衛生代表が、ある者(本条では「責任者」という)について下記についての妥当な根拠があると考える場合、:

(a) 本法あるいは規則の規定に違反している

(b) 本法あるいは規則に違反する恐れがある

それらの問題が、作業グループに含まれる1人あるいは複数の従業員に影響を及ぼす、あるいは影響を及ぼす恐れがあると、安全衛生代表が確信する違反については、代表は文書で通知することによって、責任者に違反を生じさせるあるいは違反になる恐れがある問題や活動を改めるよう要求することができる。

(2) 安全衛生代表は、下記についての妥当な根拠を得るまでは、暫定改善通告を行わないものとする。

(a) 代表は責任者の違反を生じさせるあるいは違反のおそれがある問題や活動の改善について話し合うために、すべての妥当で実際的な措置を取った。

(b) すべての措置も、それらの問題や活動の改正につながる見込みがない。

(3) 安全衛生代表は改善通告あるいは禁止通告の対象となるすべての問題については暫定改善通告を行わないものとする。

(4) 暫定改善通告は:

(a) 安全衛生代表が生じるあるいは生じる恐れがあると確信する違反について具体的に記載し、その確信の根拠を説明するものとする。

(b) 責任者が通告に関する問題や活動を改めるための期間について、通告がなされた翌日から始めて少なくとも7日の期間(代表が妥当と考える期間)を明確に示すものとする。

(5) (4)項(b)にかかわらず、建築および建設業の問題に関する暫定改善通告は、責任者が通告された問題あるいは活動を、責任者本人に通告されてから24時間以内に改めるように要求することができる。

(6) (5)項の「建築及び建設業」は1981年の長期業務停止(建築及び建設業)法の規定と同様の意味を持つ。

(7) 暫定改善通告は通告に指定された期間内に責任者が行うべき行動について具体的に記載することができる。

(8) 安全衛生代表がある者に暫定改善通告を行った場合、その代表はその通告の複写を下記の者に渡すためにすべての妥当で実際的な措置を取るものとする。

(a) 登録官

(b) ある従業員が事業者のために行った作業に関連して、その従業員に通告が行われた場合:その事業者

(c) 通告が、責任者あるいは(b)項記載の事業者以外の者が、規定された権利を持つ各種の作業場、機械、物資、材料に関連する場合:それぞれそのような者

(d) 本法あるいは規則に違反し、または違反する恐れがあると代表が確信する理由により、各種の作業場、機械、物資、材料について規定された権利を持つ者(事業者は関係しない)に通告がなされた場合:その作業場で働く従業員の、あるいはその機械や物資、材料を使用する従業員の事業者

罰則: 1罰則単位

(9) 暫定改善通告に指定された期間が終了する以前に、通告を出した安全衛生代表は責任者に文書で通知することによって、その者が通告に一致した行動を取るための期間を延長することができる。


52. 掲示

(1) 暫定改善通告が事業者に伝えられた場合、事業者は:

(a) 通告の対象である違反に関連する作業を行っている各従業員に、通告が出されたことを通知し、

(b) 通告が有効である間、通告に関する作業が通常行われている各事業所あるいはその近くの目立ちやすい場所に、通告の写しを掲示するものとする。

(2) 妥当な理由もなく(1)項に違反したものは、処罰対象の違反となり、有罪の場合には次の処罰を受ける。

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位を超えない罰金

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位を超えない罰金

53. 遵守

暫定改善通告を受けた責任者は、54条を条件として:

(a) その者が管理している通告に関するすべての問題について、通告を確実に遵守する措置を取る。

(b) その通告を出した安全衛生代表に通告を遵守するために取られた措置を知らせるために、妥当で実際的な措置を取るものとする。

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:100罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:500罰則単位

54. 取り消し

(1) 安全衛生代表が妥当な根拠に基づき、代表が暫定改善通告をした責任者が通告に関して53条に従ったと確信する場合は、代表はその者に文書で通知することによって暫定改善通告を取り消すものとする。

(2) 安全衛生代表が暫定改善通告を取り消した場合、取り消し通知の写しを可能な限り速やかに登録官に渡すものとする。


55. 審査 

(1) 有効な暫定改善通告に関係する責任者あるいは51条(8)項に従い通告の写しを受け取ったその他の者(登録官を除く)は:

(a) 通告された日から7日以内に

(b) 登録官への文書により

登録官に、通告に関連する状況についての審査の手配を要求することができる。

(2) 上記のような要求が行われ次第、その要求に関わる通告の実施は監督官が通告に関連する状況の調査を完了するまで一時停止される。

(3) 要求が出されてから可能な限り速やかに、登録官は監督官に対して通告がなされた状況についての調査を手配するものとする。

(4) (3)項に基づき手配された調査の結果について監督官が次の各項目について妥当な根拠があると確信した場合:

(a) その暫定改善通告はその者に対して出すべきではない

(b) その通告を受けた者は通告に関連して53条に従っている

(c) その他のどのような理由によっても、その通告はもはや有効ではない

監督官はその者に文書で通知することによってその通告を取り消すものとする。

(5) 暫定改善通告を撤回する監督官は51条(8)項の(b)、(c)あるいは(d)に言及した通告の写しを渡される各人物に対して、すべての妥当で実際的な措置をとり文書で撤回を通知するものとする。



第3節:緊急時手続


56. 安全衛生代表の措置

(1) 指定作業グループの安全衛生代表が妥当な根拠に基づき、従業員が特定の作業の遂行を中止しない限り、グループ内の従業員の衛生あるいは安全に対して危険が切迫すると確信した場合、代表は:

(a) 衛生と安全を脅かす作業について従業員を監督する者(本節では「監督者」という)に報告

(b) もしどの監督者にも即座に連絡が取れない場合、従業員に安全な方法で作業の遂行を中止するよう指示し、可能な限り速やかに、指示を与えたことを監督者に報告するものとする。

(2) 監督者が(1)項の(a)に従って従業員の衛生と安全の危険について報告を受けた場合、その監督者は危険を取り除くのに適切と考える措置を、従業員の作業の遂行を安全な方法で中止させる指示を含め、取るものとする。

(3) 安全衛生代表が:

(a) (1)項の(a)に基づき作業を遂行している者の衛生と安全の危険について報告を受けた監督者が、危険を取り除くのに適切であると考える措置を取った場合、その措置が危険を取り除くのに十分であるとの見方に同意できない、または 

(b) 代表が(1)項の(b)に基づき、(1)項に基づいた指示が必要であると報告した監督者との間で、意見が一致しない場合、

代表あるいは監督者は登録官に不一致の原因となっている作業の調査のための監督官の手配を要求することができる。

(4) 登録官は要求が出されてから可能な限り速やかに、作業の調査を行う監督官に指示を与え、監督官は本法に基づいた権限を、その作業に関して必要だと考える方法で行使するものとする。


57. 代替作業

この節のすべての内容は、従業員によって遂行される通常の作業が56条(1)項の(b)に従って指示の対象となっても、事業者が従業員に代替作業の遂行を要求する権利に影響を受けないものとする。   



第4節:安全衛生委員会


58. 職務

(1) 事業者の従業員に関する安全衛生委員会は下記の職務を持つ:

(a) 作業中の従業員の衛生と安全を守ることを目的とする措置を開発、実施するため、また検討中の措置の妥当性を保つために事業者を支援する。 

(b) 労働安全衛生上の問題に関して事業者と従業員との間の協力を促進する。

(c) 従業員の間に、作業中の衛生と安全に関する情報が、適切な言語で普及するよう事業者を支援する。

(d) 規定された職務

(e) 事業者と委員会の間で同意したその他の職務

(2) 安全衛生委員会はその職務を遂行するため、あるいはその職務に関連して、必要または都合のよいすべての事柄を行うための権限を持つ。


59. 事業者の義務

(1) 事業者の従業員に関して安全衛生委員会が存在する場合、事業者は:

(a) (2)項と(3)項を条件として、委員会に対して事業者が持つ従業員の衛生と安全のリスクに関する、下記のすべての情報を委員会が入手できるようにする:

  1. 事業者の管理下にあるすべての作業場におけるリスク
  2. すべての事業の事業者による指導から、あるいは事業の目的のために用いられた機械または物資から生じるリスク

(b) 事業者の従業員である委員会のすべての委員に、報酬やその他の権利を減じることなく、その委員が委員会の会議に参加するために、あるいは委員会の承認をもって委員会の業務に従事するために、必要かつ妥当である作業休暇を許可するものとする。
罰則:

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位

(2) 事業者は安全衛生委員会に対して、現在事業者の従業員である者あるいは過去に事業者の従業員だった者に関する秘密の医療情報を、下記の場合を除き、提供してはならない。 

(a) その者が事業者に対して、その情報が委員会に提供されることを許可する文書を渡した場合

(b) その情報がその者を特定しない、あるいはその者の身元を知ることはできない形式である場合

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、あるいは6ヶ月の禁固刑、またはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位


(3) 事業者は、それが法的な職業上の特権で要求することができ、または実際に要求している情報に関しては、安全衛生委員会に提供する必要がない。

(4) 下記のような場合:

(a) 39条に基づいた布告が建設現場に関して有効な場合

(b) その布告に関係する労働者がその現場の従業員に関して設置された安全衛生委員会の委員である場合

労働者を雇用している下請業者は、報酬やその他の権利を減じることなく、その労働者が委員会の会議に参加するために、あるいは委員会の承認で委員会の業務に従事するために必要かつ妥当な、作業休暇を許可するものとする。

罰則:

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位}

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位

60. 責任 
 
本法またはは規則に基づいた委員の職務に関連して、委員によって誠実になされた行為あるいは不作為について、またははそれに関して、民事あるいは刑事上の措置またはその他の手続きが安全衛生委員会の委員に対して取られることはない。


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