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オーストラリア首都特別地域
1989年労働安全衛生法

(仮訳 国際安全衛生センター)



第VII部 決定の審査

第1節:審査機関


80. 設置

本条によって労働安全衛生審査機関と呼ばれる審査機関を設置する。


80A. 構成

(1) 審査機関は労使関係評議会の委員長が任命した同委員会委員によって構成される。

(2) 下記の場合、

(a) ある手続きのために機関を構成していた委員がその手続きを完了できなくなった場合、および

(b) (1)項に従って、機関が別の評議会委員によって構成された場合、

再構成された機関はその手続きを完了するものとし、その目的のために、以前に構成された機関の記録を、手続きにおいて作成された証拠文書を含めて、参照することができる。


80B. 利害関係の公表

(1) 審査機関を構成する者が、ある手続きに関連するその職務の適正な遂行と対立する恐れのある、金銭的その他のあらゆる権益を持っている場合、

(a) その者は手続きの各当事者に対してその利害関係を公表し、

(b) 手続きのすべての当事者が同意した場合を除き、その手続きに参加できないものとする。

(2) 委員長が機関を構成する委員に、機関に付託された手続きに参加しないように指示した場合、その委員はその手続きに関与しないものとする。


第2節:決定の審査と勧告

80C. 用語の意味

本節において、「監督官」とは、登録官またはその代理を含まない。


81. 審査される決定

(1) 本部の目的において、監督官の以下の決定を審査の対象となる決定とする。

(a) 55条(4)項に基づく暫定改善通告の取り消し、または取り消しの拒否

(b) 62条(3)(f)または(g)項に基づくプラント、物質、または事物を押収する決定

(c) 76条(1)項に基づく改善通告の交付

(d) 76条(8)項に基づく改善通告の取り消し、または取り消しの拒否

(e) 77条(1)項に基づく禁止通告の交付

(f) 77条(6)項に基づく禁止通告の取り消し、または取り消しの拒否

(g) 78条(1)項に基づく指示の交付

(h) 78条(8)項に基づく指示の取り消し、または取り消しの拒否

(2) 本部の目的において、登録官の以下の決定を審査の対象となる決定とする。

(a) 38条(1)または(2)項に基づく指定作業グループの設置

(b) 38条(3)項に基づく指定作業グループの変更

(c) 48条(1)項に基づく安全衛生代表の資格停止

(d) 55条(4)項に基づく暫定改善通告の取り消し、または取り消しの拒否

(e) 62条(3)(f)または(g)項に基づくプラント、物質、事物を押収する決定

(f) 76条(1)項に基づく改善通告の交付

(g) 76条(8)項に基づく改善通告の取り消し、または取り消しの拒否

(h) 77条(1)項に基づく禁止通告の交付

(i) 77条(6)項に基づく禁止通告の取り消し、または取り消しの拒否

(j) 78条(1)項に基づく指示の交付

(k) 78条(8)項に基づく指示の取り消し、または取り消しの拒否

(l) 83条に基づく、監督官による審査決定を再検討する決定

82. 適格者

(1) 審査の対象となる決定に関連して、適格者とはその決定の審査を要求する権利を持つ者を言う。

(2) 監督官が行った審査の対象となる決定の審査を要求できる者は、別紙第1部に従って、確認されなければならない。

(3) 登録官が行った審査の対象となる決定の審査を要求できる者は、別紙第2部に従って、確認されなければならない。


83. 監督官決定の再検討

(1) 登録官は監督官が行った審査の対象となる決定を検討することができる。

(2) 登録官は監督官が行った審査の対象となる決定について、適格者から書面で要請された場合、その決定を再検討しなければならない。

(3) (4)項に従うことを条件として、審査の対象となる決定の再検討要請は、決定の実施に影響を及ぼさず、また決定実施のための措置を妨げない。

(4) 改善通告の交付に関する決定の再検討を求める要請が行われた場合、再検討の結果が明らかになるまで、決定の実施は中止される。

(5) 監督官による審査の対象となる決定を再検討する場合、登録官は、

(a) 決定を確認または変更し、

(b) 決定を取り消し、もし登録官が適切であると考えた場合、取り消した決定に代わる決定を下すことができる。

(6) 監督官が行い、登録官が再検討において変更した審査の対象となる決定、または登録官が再検討において監督官の審査の対象となる決定に代えて行った決定は、すべての目的(84項に基づく審査要請の目的を除く)において、監督官の決定と見なされ、登録官の決定が実施される場合に、登録官が別途の決定を行わない限り、審査の対象となる決定が発効する予定の期日に発効するものとする。


84. 決定の審査

(1) 審査の対象となる決定の審査についての審査機関への要請は、書面で行い、所定の手数料を添えるものとする。

(2) (3)項に従うことを条件として、審査の対象となる決定の審査要請は、決定の実施に影響を及ぼさず、また決定実施のための措置を妨げない。

(3) 改善通告を与える決定の審査のための要請が行われた場合、機関が反対の命令を下した場合を除き、審査について決定が下されるまで、決定の実施は中断される。

(4) 審査対象となる決定に関連して、適格者が機関に決定の審査を要請した場合、機関は本部に従うことを条件として、決定を審査し、

(a) 決定を確認または変更し、または

(b) 決定を取り消し、もし適切と考えられれば、取り消された決定に代わる決定を行うものとする。

(5) ある者の審査の対象となる決定が機関によって変更され、または機関がある者の審査の対象となる決定の代わりに決定を下した場合、それらの決定はすべての目的において(本項の目的を除く)その者の決定と見なされ、機関の決定が実施される際に、機関が反対の命令を下した場合を除き、審査の対象となる決定が発効する予定の期日に発効するものとする。

(6) 機関はその決定を書面で手続きの各当事者に、決定の理由を説明して、通知するものとする。


84A. 審査機関手続きの当事者

(1) 第VII部の目的上、審査機関に提出された手続きの当事者は、以下の者とする。

(a) 審査の対象となる決定の審査を機関に要請した適格者

(b) 決定を行った者

(c) (2)項に従って機関によって当事者として加えられたその他の者

(2) 審査機関は

(a) 下記の者の要請により

  1. 審査の対象となる決定に関係する適格者、または
  2. 審査の対象となる決定により、その利益が影響を受ける者

(b) 要請者に対する書面の通告により、
要請者を決定の審査のための手続きの当事者として加えることができる。

84B. 審査機関における代理

審査機関における手続きの当事者は、本人が出頭してもよく、または代理を出頭させることもできる。


84C. 手続きの通告

審査機関は手続きを開始する前に、各当事者に以下の事項を規定する通告を送るものとする。

(a) 手続きの場所と日時

(b) 手続きに関連する事項

84D. 審査機関の手順

(1) 審査機関の手続きにおいて、

(a) 機関は証拠の規則に拘束されないが、それが適切と考える方法によって、資料を得ることができる。

(b) 機関の手順は、本部に従うことを条件として、機関自身の裁量による。

(c) 手続きは本法の要件に定めるように、また事態の内容が許す限り、形式および細目にこだわらず、できるだけ迅速に遂行されるものとする。

(d) 機関は手続きに関する指示、特に経費を節減し、手続き当事者間の問題に関する意見を聴取するための指示を与えることができる。

(2) (1)項の一般性を損なうことなく、審査機関は手続きの各当事者が下記のための妥当な機会を与えられるようにしなければならない。

(a) 証拠を求め、または提出する。

(b) 証人を尋問し、反対尋問する。

(c) 手続きに関する決定に到達するために、機関が考慮することを提案した文書を検査する。

(d) 意見を提出する。

84E. 特殊な状況を除く聴聞の公開

(1) 本項に従うことを条件として、審査機関の手続きは公開で行われる。

(2) 審査機関が妥当な理由に基づいて、証拠または事項の機密性またはその他の理由のために、必要と考えた場合、審査機関は

(a) 手続きまたは手続きの一部を非公開で行う指示を与え、および出席できる者に関する指示を、

(b) 公開または機密のうちに審査機関に提出された証拠、または審査機関に提供された文書または審査機関が受理した証拠に含まれる事項の公開を禁止し、または制限する指示を与え、

(c) 審査機関に提出された証拠、または審査機関に提供された文書または審査機関が受理した証拠の内容の、当事者の一部またはすべてに対する開示を禁止し、または制限する指示を与えることができる。 

(3) 審査機関が(2)(b)項または(c)項に基づいて与えた指示に、妥当な理由なく違反してはならない。

罰則:

(a) 違反が個人による場合:50罰則単位または6カ月の懲役、またはその両方

(b) 違反が法人による場合:250罰則単位

84F. 法律に関する問題の最高裁判所への付託

(1) 審査機関は、それ自身の発議または当事者の要請に基づき、それに提起された手続きにおける法律問題を最高裁判所の決定に委ねることができる。

(2) 最高裁判所は本条に基づいて付託された法律問題を検討し、決定する管轄権を持つ。

(3) 手続きから生じた法律問題が本条に基づいて最高裁判所に付託された場合、審査機関はその手続きにおいて、

(a) 付託事項の審議中であっても、その問題が関係する決定を下し、

(b) 問題に関する最高裁判所の決定に反する方法で手続きを勧め、またはそれに反する決定を下すことができる。

84G. 最高裁判所への上訴

(1) 審査機関に提起された手続きの当事者は、その手続きにおける審査機関のあらゆる決定における法律問題について、最高裁判所に上訴することができる。

(2) (1)項に基づく上訴は次のように行う必要がある。

(a) 審査機関の決定を記載した文書がその当事者に与えられてから28日以内、または最高裁判所が認める(この期限前または後のいずれでも)期間内に、

(b) 1933年最高裁判所法に基づいて制定された裁判所規則が規定する方法で。

(3) 最高裁判所は(1)項に従って同裁判所に提起された上訴について、審理し、決定する管轄権を持っている。

(4) 最高裁判所は上訴を審理し、決定し、以下の措置を取ることができる。

(a) 審査期間の決定を確認、または破棄する命令を下し、

(b) 裁判所の指示に従って、審査機関の証拠調べをさらに行い、または行わずに、事案を再度審理、決定するために差し戻し、または

(c) 裁判所が適当と考えるその他の命令を下す。

第3節:雑 則


84H. 審査機関の権限

(1) 審査機関は手続きの目的のため、

(a) 宣誓または確約による証拠を取り、その目的のために

  1. 機関に出頭した者に宣誓または確約を行うことを要求し、
  2. その者の宣誓または確約を実行することができ、

(b) 84C項に基づく手続きの通告を与えられた者が不在でも手続きを進め、

(c) その時々において手続きを延期することができる。

(2) 機関は通告に指定する日時、場所における手続きに出席し、証言を行い、その者が保有または支配する文書を、通告が要求するとおりに提出するように、あらゆる者に書面で指示を与えることができる。

(3) 文書の提出を指示された者が保有する文書が、

(a) 文書ではなく、

(b) 英語以外の言語で書かれ、または

(c) 一見して判読できないものである場合、

その者は、それが文書であれば文書自体に加えて、文書でない場合には文書に代えて、英語で書かれ、一見して判読可能な、文書に含まれている情報のすべてを含む報告書を提出しなければならない。


84J. 検査と文書の保管

(1) 審査機関はそれに提出されたあらゆる文書を検査し、第VII部の目的のために必要な期間、それを保管し、それらの文書の写しを取り、または抜粋を作成することができる。

(2) 文書が(1)項に基づいて機関に保管されている場合、

(a) 機関に保管されていなければ、その文書を保有する権利を持つ者は、機関に要請して文書の真正な写しであることを機関が証明した、写しの提供を受けることができる。

(b) 機関に保有されていなければ、その文書を検査する権利を持つ者、またはその者によって許可された者は、妥当な時にその文書を検査し、写しを取り、または抜粋を作ることができる。

84K. 欠席等

(1) 84H(2)項によって審査機関の手続きに出席を指示された者は、妥当な理由がある場合以外、

(a) 指示を遵守し、

(b) 機関によって出席の要請を解除または免除された場合以外、毎日出席し、

(c) 指示に従って文書を提出しなければならない。

(2) 機関に承認として出席した者は、妥当な理由がある場合を除き、84H(1)項に基づいて要求された場合、宣誓または確約を行わなければならない。

罰則:50罰則単位または6カ月の懲役、またはその両方


84M. 侮辱

どのような者も、妥当な理由なく、

(a) 審査機関の職務の履行に際して、同機関を妨害または妨げてはならず、

(b) 機関の手続きを阻害してはならない。

罰則:50罰則単位または6カ月の懲役、またはその両方


84N. 虚偽の情報

どのような者も、

(a) 審査機関に、特定の事項について虚偽または誤解を招くとその者が知っているような情報を提供し、または

(b) 特定の事項について虚偽または誤解を招くとその者が知っているような情報を含む文書を提供してはならない。

罰則:

(a) 違反が個人による場合:50罰則単位または6カ月の懲役、またはその両方

(b) 違反が法人による場合:250罰則単位

84P. 上訴の対象となる決定の運用と実施

(1) 本条に従うことを条件として、審査機関の決定について最高裁判所に上訴が提出されても、それは決定の運用を妨げず、または決定の実施のための措置を取ることを妨げるものではない。

(2) 審査機関の決定について最高裁判所に上訴が提出された場合、同裁判所または同裁判所判事は、その裁判所または判事が上訴の聴聞および決定の有効性を確保する目的で、必要と考えた場合には、下記のいずれかまたは両方の運用または実施を猶予し、またはその他影響を及ぼす命令を下すことができる。

(a) 機関の決定またはその決定の一部

(b) 機関の手続きが関連する決定またはその決定の一部

(3) (2)項に基づく命令((3)項に基づいて変更された命令を含む)が出されている場合、最高裁判所または同裁判所判事はその命令を変更または取り消す命令を下すことができる。

(4) (2)項に基づいて有効な命令((3)項に基づいて変更された命令を含む)は

(a) 命令に規定された条件に従い、

(b) 以下の時期まで効力を持つ。

  1. 命令の有効期間が命令に規定されている場合には、その期間の終わるまで。その期間が終わる前に上訴に基づく決定が下された場合には、その決定が下されるまで、または
  2. 期間が規定されていない場合、上訴に関する決定まで。

84Q. 審査機関の保護等

(1) 審査機関はその職務の履行において、最高裁判所判事と同様な保護と免責の権利を有する。

(2) ある当事者に代わって審査機関に出頭した弁護士、または自身で出頭した当事者は、最高裁判所の手続きに出頭した法廷弁護士と同じ保護と免責の権利を有する。

(3) 本法に従うことを条件として、承認として審査機関に出頭することを指示された者は、最高裁判所の証人と同様の責務を負うものとする。


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