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オーストラリア首都特別地域
1989年労働安全衛生法

(仮訳 国際安全衛生センター)



第VIII部 雑

85.事象の通知


(1) 事業者が作業場やその周辺において、以下の事象の発生に気づいた場合:

(a) ある者の死亡

(b) 事業者の従業員以外の者の負傷

(c) 従業員が負傷し、規定された期間の間、働く能力を失う

(d) 危険状態の発生

その事象が作業場で事業者が実施している業務の遂行に起因する場合、事業者は規則に従い、その事象について登録官に通知するものとする。

(2) 妥当な理由なしに(1)項に違反する者は、法律違反となり、有罪の場合には次の処罰を受ける。

(a) 違反者が個人の場合:100罰則単位以内の罰金、または12ヵ月以内の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:500罰則単位以内の罰金

(2) (1)項(ただし(1)(c)項を除く)の目的により定められた規則の一般性を限定することなく、規則には以下に関する規定を含む。

(a) 事故または危険状態の通知が行われるべき期間と方法、そしてその通知の形式

(b) 事故または危険状態の報告が行われるべき期間と方法、そしてその報告の形式

86.事故等の記録

(1) 事業者は規則に従い、85条により事業者が登録官へ通知する際に義務付けられた、事故や危険状態の記録を保持するものとする。

(2) 妥当な理由なしに(1)項に違反する者は、法律違反となり、有罪の場合には次の処罰を受ける。

(a) 違反者が個人の場合:10罰則単位以内の罰金

(b) 違反者が法人の場合:50罰則単位以内の罰金

(3) (1)項の目的により定められた規則の一般性を限定することなく、規則には以下に関する規定が含まれる。

(a) 本項に従い、保持しなければならない記録の種類と内容

(b) そのような記録の保存

87.実施基準

(1) 大臣は文書によって

(a) 実施基準

(b) 承認された実施基準の変更

を事業者、自営業者、従業員へ実際的な指針を与えることを目的として、認可することができる。

(2) 提案された実施基準、または提案された実施基準の変更を認可する前に、大臣は

(a) 提案された基準や変更をについて審議会の審議を求め、

(b) 審議会によって挙げられた、あらゆる関連する提案を考慮するものとする。

(3) 承認された実施基準は、あらゆる基準、標準、規則、仕様または労働安全衛生に関する規定から構成され、現在有効である、または既存のあらゆる文書の規定を適用、採用、合体することができる。

(a) 基準、または基準の変更が承認されたとき

(b) 随時に

(4) (1)項における文書は、1989年従属法に関する法律第10条の目的では認可されない手段である。

(5) 登録官は、特別地域に配布される新聞において、(1)項に従って下された承認の通知を以下のように公表するものとする。

(a) 承認が発効する期日を明確にする

(b) 承認された基準の写しを購入できる場所を明記する

(c) 承認された基準の最新の写し、規定が承認された基準に適用、採用または合体された文書を、登録官の事務所において一般の人々が閲覧できる旨の声明を含む。

(6) 登録官は、承認された基準の最新の写し、規定が承認された基準に適用、採用または合体された文書を、登録官の事務所において一般の人々がいつでも閲覧できるような措置を取るものとする。


88.保護される情報

(1) 本法または規則に従い、あるいは基づいてあらゆる職務を遂行する者が、他の者の問題に関する保護された情報を得た場合、その情報を他の者に開示してはならない。ただしその開示が下記に該当する場合を除く。

(a) 開示が、本法または規則に従い、あるいは関連して、開示者の義務の遂行に必要である場合

(b) その情報が関連する者による、文書での開示の承諾がある場合

(c) あらゆる司法機関、裁判所、権限を委任されている機関、または文書の提出または質問への応答を要求する権限を持つ者から、開示を要求された場合

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、または6ヵ月の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

(2) 本項において「保護された情報」とは、以下を指す。

(a) ある者の個人的事象に関する情報

(b) その情報の開示によって以下のことが妥当に予想される、または予想できる情報

  1. 企業秘密を開示する
  2. その者の法的な職業上の事象に関して、その者に不利な影響を与える。

(3) 本項における保護された情報の開示に関する記載は、保護された情報を含む文書の記載を含むものと解されるべきである。


89.安全設備への妨害

(1) どのような者も妥当な理由なしに、作業場またはその周辺において、作業中の人々の衛生と安全のために提供されていることが理解できる、または当然理解できるはずの設備の機能を妨げてはならない。

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、または6ヵ月の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

(2) (1)項において、「妨げる」とは、設備の効果的な操作を阻害または妨害すると判断される、または、そのようになる可能性がある、あらゆる行動や事項を意味する。


90.作業場の通告に対する妨害

どのような者も妥当な理由なしに、

(a) 以下を妨害してはならない。

  1. 52条(b)項に従って掲示された暫定改善通告
  2. 76条(4)項に従って掲示された改善通告
  3. 77条(3)項(b)に従って掲示された禁止通知
  4. 78条(4)項に従って掲示された78条(1)項に基づく指示

(b) このような通告や指示が掲示されている場合、その有効期限が終わる前に取り除いてはならない。

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、または6ヵ月の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

91.事業者による従業員からの料金徴収禁止
 
事業者は、従業員の労働安全衛生および福祉を確保するために、本法または規則に従って行い、提供したあらゆる措置に関して、事業者の従業員から費用を徴収してはならない。

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、または6ヵ月の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

92.事業者による差別の禁止
 
事業者は従業員が下記(e)項以下に該当することを理由に、

(a) 従業員を解雇し、

(b) 従業員をその雇用に関して不当に取り扱い、

(c) 従業員の立場が不利に変更し(報酬の差し引き、控除あるいはその他のあらゆる手段により)

(d) 従業員に対して(a)項、(b)項または(c)項に関連する措置を取ると脅迫してはならない。

(e) 従業員が労働安全衛生または福祉に関する問題について、苦情を申し立てた、または申し立てを提案した。

(f) 監督官による検査、または調査の実施に対して情報を与え、またはその他の方法で支援し、あるいは支援を提案した。

(g) 以下に従い作業を中止した、あるいは中止を提案した。

  1. 56条(1)(b)項に基づく指示
  2. 暫定改善通告、改善通告、禁止通告
  3. 78条(1)項に基づく指示

罰則

(a) 違反者が個人の場合:50罰則単位、または6ヵ月の懲役、あるいはその両方

(b) 違反者が法人の場合:250罰則単位

93.取締役、従業員または代理人

(1) 本法または規則に対する違反の訴訟について、特定の行為に関する法人の意図を立証することが必要な場合、以下のことを示すことで十分であるとする。

(a) その行為が法人の取締役、従業員または代理人により、その実際的または外見上の権限の範囲内でなされたものであること

(b) その取締役、従業員または代理人がそのような意図をもつこと

(2) 法人の取締役、従業員または代理人がその実際的または外見上の権限の範囲内で行ったあらゆる行為は、本法または規則に対する違反の起訴を目的とする場合、法人がその行為を避けるために、妥当な予防措置を取り、十分な配慮を行ったことを実証した場合を除き、法人によって実施されたものと見なされる。

(3) 本法または規則に対する違反の訴訟において、特定の行為に関する個人の意図を立証することが必要な場合、以下のことを示すことで十分であるとする。

(a) その行為が個人の従業員または代理人により、その実際的または外見上の権限の範囲内でなされたものであること

(b) その従業員または代理人がその意図をもつこと

(4) 法人以外の人物のためにその個人の従業員または代理人が、その実際的または外見上の権限の範囲内で行ったあらゆる行為は、本法または規則に対する違反の起訴を目的とする場合、その人物がその行為を避けるために、妥当な予防措置を取り、十分な配慮を行ったことを実証した場合を除き、その人物によって実施されたものと見なされる。

(5) 以下の場合、

(a) 法人以外のある者が、違反に対して有罪を宣告され、

(b) もし(3)項、(4)項が作成されていなければ、その個人は違反に対して有罪を宣告されないであろう場合その者はその違反に対して、懲役により罰せられないものとする。

(6) (1)項または(3)項において、ある者の意図についての記載は以下のことの記載を含むものとする。

(a) その個人の知識、意図、考え、意見または目的

(b) その個人の意図、考え、意見または目的の理由

(7) 本項の行為を実施することに関する記載は、行為の実施を果たさない、または拒むことへの記載を含むものとする。


94.契約による逸脱の禁止
 
本法または規則の運用を排除、制限、修正することを意図する、あらゆる合意あるいは契約の条件は無効とする。


95.民事責任との無関係

本法または規則のいかなる規定も、

(a) 本法または規則のあらゆる規定の違反について、民事訴訟について訴訟の権利を付与するものではなく、

(b) あらゆる民事訴訟における防衛の権利を付与し、または民事訴訟における訴訟の権利に影響を及ぼすものではない。

96.関連する法律との不一致

関連する法律の規定が本法または規則に矛盾する場合は無効とするが、そのような規定は、本法または規則と同時に運用できる場合には、その範囲において一致すると見なされるものとする。


96A. 報酬

(1) 大臣は書面による通知によって、本法または規則の目的のための報酬を決定することができる。

(2) (1)項に基づく決定は、1989年従属法に関する法律第10条の目的では認可されない手段である。


97.規則

(1) 知事は、本法に矛盾しない規則を制定し、下記の事項を規定することができる。

(a) 本法により、規定が必要とされ、または許可されたもの

(b) 本法を実施し、または効力を与えるために規定が必要とされ、または都合のよいもの

(2) (1)項の一般性を限定することなく、規則は以下の規定を含む、従業員の労働安全衛生に影響を与える、もしくは与える可能性がある、あらゆる事項に関する規定を制定することができる。

(a) 作業場における、または作業中の従業員による、すべての作業あるいは特定作業の遂行の禁止または規制

(b) 作業場における、または作業中の従業員による以下の事項の禁止または規制

  1. 機械の製造、または使用のための機械の提供
  2. 機械の使用

(c) 作業場における、または作業中の従業員による、すべての工程あるいは特定工程の実施の禁止または規制

(d) 作業場における、または作業中の従業員による以下の事項の禁止または規制

  1. 物質の製造、あるいは使用のための提供
  2. あらゆる物質の輸送、保管、使用

(e) 32条(1)(c)項または33条(1)(c)項に基づいて、事業者に対する提供が義務付けられた情報を提供する際の形式

(f) 規則に基づいて交付された許可または資格証明書に基づく場合を除き、作業場における、または作業中の従業員による特定の機械または特定物質の使用の禁止

(g) 許可の交付、変更、変更、移転、停止および取り消し、およびかかる許可に適用される条件、さらに許可の交付、変更、移転について支払うべき手数料の規定

(ga) 資格証明書の交付、変更、変更、移転、停止、取り消し、かかる証明に適用される条件、許可の交付、変更について支払うべき手数料の規定

(h) 作業場において、または作業中の従業員により使用される機械の保守と試験の規定

(i) 作業場において、または作業中の従業員により使用される物質のラベル表示、または標識表示の規定

(j) 作業場において、または作業中の従業員により使用される特定の機械、または特定の物質の輸送の規定

(k) 以下を除く、作業場における、または作業中の従業員による特定の活動、または作業の遂行の禁止

  1. 技能、訓練、経験について、規則が要求する条件を満たす者
  2. 規則により指定された管理に従う場合


(l) 事故や危険状態を避けるための特定の行動を取ることを義務付ける

(m) 事故や危険状態である事象において、特定の行動をとることの規定または禁止

(n) 作業場において、労働安全衛生の管理に関する特定の義務を遂行するために、作業場における人の雇用の規定

(o) 作業場における、または作業中の従業員に対する防護服と機器、安全機器と救急機器の提供と使用の規定

(p) 従業員の衛生と作業場の状況監視の規定

(q) 従業員の労働安全衛生に関する事項の記録の保管を事業者に義務付ける

(r) 救急機器と設備を作業場に備えることを規定

(s) 62条(3)(f)(ii)項に基づいて採取したサンプルに関して、以下に関する規定を含む

  1. サンプルの分析
  2. サンプルの分析に関する証明書の交付


(t) 安全衛生委員会に関して、以下の規定を含む

  1. 同委員会の設立に関すること
  2. 同委員会の構成、会員の選出に関すること
  3. 同委員会の機能の遂行に関すること


(u) 安全衛生代表、副代表、または安全衛生委員会委員の労働安全衛生についての知識、技能の訓練について、以下の規定を含む

  1. 訓練計画の承認に関すること
  2. 訓練計画を実施する者の資格に関すること
  3. 安全衛生代表、副代表、または委員会委員に対し、訓練計画の立案を義務付けること
  4. 訓練計画における安全衛生代表、副代表、または委員会委員の出席に対する報酬と、それに費用を決定すること

(v) 第VII部に従い、審査の対象となる決定の再検討、または審査に関して、再検討、審査が要請される場合の方法と時期に関する規定を含む 


(w) 規則に対する違反への罰則を規定すること

  1. 違反者が個人の場合:10罰則単位以内の罰金
  2. 違反者が法人の場合:50罰則単位以内の罰金


(3) (2)(u)項に規定する事項に関する規則を制定する前に、知事は

(a) その事項について審議会と話し合い、

(b) その事項について審議会から知事に提出されたあらゆる提案を考慮するものとする。

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