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モンゴル労働法(1999年)
LABOUR LAW OF MONGOLIA

(仮訳 国際安全衛生センター)


第1章

一般的規定


第1条 本法の目的

 本法の目的は、雇用契約、労働協約又は団体交渉に基づき労働関係の当事者となる使用者及び労働者の一般的な権利及び義務を規定し、集団的労使紛争、個別的労使紛争、労働条件、労務管理、本法律の監督及び法律違反に対する罰則について規定を定め以って労使双方の公平を期することにある。


第2条 労働法の制定

第2条の1
 労働に関する法規は、モンゴル国憲法、本法律、及びこうした法律等に準拠するその他の法規で構成される。

第2条の2
 本法律が、わが国の批准する国際条約に抵触する場合は、その国際条約の規定が優先する。


第3条 定義

第3条の1
 本法律で使用される以下の用語はつぎの意味を持つ。

第3条の1の1
 「使用者」とは雇用契約にもとづき労働者を雇用する者を意味する。

第3条の1の2
 「労働者」とは雇用契約にもとづき使用者に雇用される市民を意味する。

第3条の1の3
 「雇用契約」とは労働者と使用者の間の合意事項を意味する。この雇用契約にもとづき、労働者は使用者が本法律に準じて制定したところの内部労働規則に従い一定の作業を遂行することを請け負い、使用者は労働者の作業結果に対し賃金を与えかつ本法律、労働協約、その他関連の合意事項で定められた労働条件を確保することを請け負う。

第3条の1の4
 「労働協約」とは、使用者及び企業又は組織の労働者の代表との間で交わされた合意事項を意味する。労働協約の目的は、労働者の労働に係る諸権利及び法律上の諸利益を法律で保証されたものより一層有利なものとし、本法律では直接言及されていない事項を定めることにある。

第3条の1の5
 「団体交渉」とは、使用者、その使用者の労働者の代表、及び全国又は地域レベルの行政機関、若しくは、行政地区単位、経済部門又は職業に関係した行政機関との間で交わされた合意事項を意味し、労使双方の労働に係る諸権利及び法律上の関係諸利益を守ることを目的とする。

第3条の1の6
 「使用者の代表」とは、企業又は組織の経営陣から権限を授与された者、又はその設立綱領により使用者の権利と法律上の諸利益を代表することを請け負う組織体を意味する。

第3条の1の7
 「労働者の代表」とは、労働者の権利と法律上の諸利益を代表し擁護することを請け負う 労働組合、又はそうした労働組合がない場合は、労働者全員による集会で選ばれた個々の代表のことを意味する。

第3条の1の8
 「個別的労使紛争」とは、雇用契約で結ばれた当事者間の紛争を意味し、労働に係る諸権利及び法律上の関連諸利益について争われる。

第3条の1の9
 「集団的労使紛争」とは、労働協約又は団体交渉の当事者を巻き込む紛争を意味し、そうした労働協約又は団体交渉の、交渉、実施、監視、あるいは監督内容について争われる。

第3条の1の10
 「異常な作業条件」とはある職場の条件のことで、適用を受ける労働安全衛生要件を遵守することができず、かつその条件による悪影響を取り除くことが不可能な職場条件を意味する。

第3条の1の11
 「労働災害」とは、労働者が労働義務を行使する過程で事故に遭う、又はその他の産業要素により悪影響を受ける事態を言う。

第3条の1の12
 「職業性疾病」とは、労働者が労働義務を行使する過程で遭遇する職場条件の悪影響のために罹患する疾患を意味する。

第3条の1の13
 「ストライキ」とは、集団的労使紛争に関係して労働者が行う行為のことで、労働者がある一定期間完全にあるいは部分的に働くことを自発的に中止することを意味する。

第4条 労働法で規制される諸関係
第4条の1
 本法律は以下にかかげる当事者間の雇用契約関係及びその他の労働関係を定める。

第4条の1の1
 モンゴル市民と国内企業、若しくは組織、又はモンゴル市民とモンゴル領土内で活動している外国企業、若しくは組織との労働関係。

第4条の1の2
 モンゴル市民同士の労働関係、モンゴル市民と外国人の労働関係、又はモンゴル市民と無国籍者の労働関係。

第4条の1の3
 国内企業(又は組織)と外国人(又は無国籍者)の労働関係。

第4条の1の4
 モンゴル領土内で活動している外国企業、外国の組織、外国人、及び無国籍者の間の労働関係で、モンゴルが批准している国際条約で別段の定めがある場合を除く。
第4条の2
 個人がある企業に対し財産あるいは労働を提供することを請け負いその個人と企業の間で労働関係の合意がまだ成立していない場合、又はその個人が本法律を守ることに合意している場合は、その個人と企業の労働関係につき本法律の諸規定を適用しなくてはならない。


第5条  使用者の権利と義務

第5条の1
 使用者は、労働者に雇用契約上の義務の履行を求め、本法律にもとづき義務の履行を強制するため、モンゴルの法律に従い内部労働規則を採択し施行する権利を有するものとする。

第5条の2
 使用者は労働者に対し、仕事及び適度に快適な労働条件を提供し、その労働者の労働に対し賃金を与え、又、本法律、雇用契約、ならびに内部労働規則で定められた使用者の義務を履行するよう義務付けられている。


第6条 労働者の権利と義務

第6条の1
 労働者は、安全衛生要件を満たす労働条件を付与される権利、作業に対する賃金を受ける権利、適用すべき内部規則で定められた休暇を取得する権利、代表又は代表機関を通じて権利と法律上の諸利益を守るため他の労働者と結集する権利、及び、適用される契約書に規定された年金、社会保障、その他の給付金を受け取る権利を有する。

第6条の2
 労働者は誠意をもって働き、仕事及び職務のうち法律で極秘と指定された事項の秘密を守り、雇用契約、労働協約、内部労働規則、及び安全衛生規則の適用を受ける条項に厳格に従い、これを遵守する義務を負う。


第7条  差別、制限又は特権の禁止

第7条の1
 なんびとも労働を強要されてはならない。

第7条の2
 国籍、人種、性別、出身又は社会的な地位、財産、宗教、イデオロギーにもとづく差別、制限の構築、又は特権の樹立は、これを禁止する。

第7条の3
 労働者の割り当て作業又は職務の性質上及び必要上、使用者がその労働者の権利と自由を制限する場合、その使用者はそうした行為を正当化する根拠を示さなければならない。

第7条の4
 使用者は労働者の雇用に際し、就業させる仕事の性質上関係ある場合を除き、労働者の私生活、イデオロギー、配偶者の有無、政党員か否か、宗教、妊娠の有無について質問してはならない。

第7条の5
 上記第7条の4に違反し使用者が労働者にかかる禁止事項の質問を行った場合、労働者は返答する義務を負わない。


目次
第1章 / 第2章 / 第3章 / 第4章 / 第5章
第6章 / 第7章 / 第8章 / 第9章 / 第10章
第11章 / 第12章 / 第13章 / 第14章 / 第15章