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モンゴル労働法(1999年)
LABOUR LAW OF MONGOLIA

(仮訳 国際安全衛生センター)


第4章

賃金

第47条 賃金

第47条の1
 賃金は、基本給、追加給、特別給、及び特別賞与で構成される。

第48条 賃金規制

第48条の1
 最低賃金は法律で定められる。

第48条の2
 特定の職業及び特定の業務の料率及び生産ノルマを示す規範文書は、使用者及び労働者の権利と法律上の利益を代表し保護するところの国内団体からの申し出に基づき、労働問題を担当する中央行政機関で作られる。

第48条の3
 使用者は、適用される法律、労働協約、及び団体交渉に基づき、つぎの規則を採択しなくてはならない。

第48条の3の1
 業務と地位の一覧表

第48条の3の2
 業務と地位の規範文書

第48条の3の3
 生産ノルマ

第48条の3の4
 基本給及び、追加給、特別給、特別賞与を受けるための資格基準
第49条 賃金支払いの原則と形態

第49条の1
 賃金は、業績又はその他の基準により時間給で支払うことができる。

第49条の2
 同一の業務を行う男性労働者及び女性労働者には同一額の賃金を支払わなくてはならない。

第49条の3
 特殊性、知識、又は専門性を求められる業務に対しては、相対的に高い賃金を支払わなくてはならない。

第50条 追加給

第50条の1
 労働者は基本賃金に加え業績により追加給を受け取ることができる。

第50条の2
 追加給は労働者の基本賃金に基づき計算されなくてはならず、つぎの場合に決定され支払われなくてはならない。つまり、労働者が基本職務の他に同時に他の業務又は地位にも就いた場合、休職労働者の代わりに働いた場合、又は業務内容説明書に記載されていない職務を追加で行った場合、又は定常勤務時間外に働いた場合。

第50条の3
 追加給は、適用される労働協約に基づき決定され労働者の合意を得なくてはならない。

第51条 特別給

第51条の1
 特殊な条件のもとに行われた作業又は専門知識を必要とする作業に対する特別給は、関連の労働協約の規定に従い、その労働者の業務内容説明書を考慮に入れ、決定され、支払われなくてはならない。

第52条 祝祭日労働に対する追加給

第52条の1
 労働者が祝祭日に働き、その祝祭日労働日数に相当する休暇日数を与えられない場合、その労働者はその労働の対価として、その者の平均賃金を2倍した支払い額を受け取るものとする。

第53条 時間外又は週休日の労働に対する追加給

第53条の1
 労働者が時間外又は週休日に働き、その日数に相当する休暇を与えられない場合、その労働者はその労働の対価として、その者の平均賃金の少なくとも1.5倍に相当する追加給を受け取るものとする。

第53条の2
 第53条の1に定める追加給に関する取り決めについては、該当する労働協約及び雇用契約が優先する。

第54条 夜間労働に対する追加給

第54条の1
 労働者が夜間に勤務し、その夜間労働時間に見合った休養時間を通常勤務時間内にもらえない場合、適用される労働協約及び雇用契約に従い特別給を受け取るものとする。

第55条 有給休暇中の賃金

第55条の1
 有給休暇中の労働者に対しては、有給休暇給が支払われなくてはならない。

第55条の2
 有給休暇給の額は、その労働者が働く年の平均賃金にもとづき、適用される労働協約又は雇用契約の中で決定される。

第56条 休業中の賃金

第56条の1
 労働者が、休業中に、自らの過失ではなく使用者の事業との関連で他の業務へ転換することができない場合、その労働者は、適用される労働協約に示された額を受け取るものとする。

第56条の2
 労働協約で定められる休業期間中の賃金は、その労働者の基本給の少なくとも60%に相当する額とし、又、業務内容説明書の記載事項により受け取り可能な最低賃金を下回ってはならない。

第56条の3
 労働者が自らの行為を原因として休業した場合、その労働者には休業期間中の賃金を受ける権利は与えられない。

第56条の4
 労働者が休業期間中に使用者のために他の業務を行う場合、その労働者はその業務内容に準じて支払いを受けるものとするが、その支払い額はいかなる場合も前述の平均賃金を下回ってはならない。

第57条 やむを得ない理由により他の業務に一時的に転換された労働者の賃金

第57条の1
 第33条により労働者が他の業務に転換され、その転換により、新しい業務の賃金がそれまでの賃金を下回る場合、その労働者は、新しい業務の賃金に加え、新旧賃金の差額を受け取る権利を有する。

第58条 18歳未満の労働者の賃金

第58条の1
 18歳未満の労働者の賃金は作業単位又は時間給単位で計算することができ、さらに、18歳未満の労働者の短縮された労働時間は労働時間とみなされ、この短縮時間に対し基本時間給を支払わなくてはならない。

第59条 職務の転換中の賃金

第59条の1
 労働者がある使用者から他の使用者へ職務の転換を行う間は、前使用者がひきつづき賃金を支払わなくてはならない。

第59条の2
 職務転換が使用者側の事由により予定された期限内に終了しない場合、その使用者はこの職務転換を完遂させるまでその労働者に対し賃金を支払い続けなくてはならない。

第59条の3
 職務転換が労働者側の事由により予定された期限内に終了しない場合、その労働者はこの職務転換を完遂させるまでの間の賃金を受ける資格を失うものとする。

第60条 賃金支払いの時期

第60条の1
 労働者への賃金は、少なくとも月2回定められた日に支払われなくてはならない。

第60条の2
 賃金は、時間給、日給、又は週給計算にもとづいて支払うことができる。

第60条の3
 労働者からの要請があれば、前払いを行ってもよい。


第61条 賃金の形態

第61条の1
 基本給、追加給、特別給、及びその他の賃金は現金で支払われなければならない。

第62条 賃金変更の通知

第62条の1
 使用者が労働協約の規定に基づき労働者の賃金の額又は支払い形態の変更を決定する場合、その使用者は労働者に対し変更実施日の少なくとも10日前までに通知し、関係する雇用契約条項を修正しなくてはならない。

第63条 賃金からの控除 − 控除額の制限

第63条の1
 労働者の賃金からの控除は次の場合に限り行うことができる。

第63条の1の1
 使用者は労働者に対しその労働者が自分で発生させた損失又は損害を弁済しなくてはならないと要求することができ、この場合この弁済額はその労働者の月平均賃金を上限としこれを超えてはならない。

第63条の1の2
 法律で定めるその他のケース
第63条の2
 労働者の月間賃金からの控除額は、控除措置1件につき(源泉徴収される所得税を除いた)賃金の20%を超えてはならないが、児童扶養手当の支払いが行われている場合、又は控除措置が複数行われる場合、こうした控除額の総額はその労働者の月間賃金の50%を超えてはならない。

第63条の3
 労働者が使用者からの控除請求又は控除額の計算に異議がある場合、その労働者は関係する労使紛争調停委員会に苦情を申し立てることができる。

第63条の4
 労働者の月平均賃金を超える控除額に対する苦情申し立ては、法廷に対し行わなくてはならない。

第63条の5
 使用者が労働者の賃金から違法に控除を行った場合、その労働者は、関係する労使紛争調停委員会に対し異議申し立てを行うことができる。

第64条 地位が維持されている労働者への特別手当と支払い

第64条の1
 労働者が、第35条の1の3により健康診断を受けている場合又はドナーとして献血行為を行っている場合、第35条の1の5により労働協約の作成又は団体交渉に関わっている場合、又は、第35条の1の1及び第35条の1の6が定める場合、その労働者は引き続き月平均賃金を受け取る資格を有するものとする。

第64条の2
 第35条に定める場合の手当て及び支払いについては、第64条の1に定める場合を除き、本法律、関係する法律、労働協約及び団体交渉、及び雇用契約の条項を適用するものとする。

第65条 他の場所へ配置転換された場合の補償

第65条の1
 労働者が他のAimag(郡)、都市、Soum(州)、又はKhorooにある他の団体へ配置転換された場合、その労働者と家族が要する交通費及び日当は転換先の組織が負担するものとする。

第66条 妥当な理由による欠勤期間中の支払い

第66条の1
 労働者が、自然災害、社会騒乱、又はその他妥当な理由により職場へ赴くことができない場合、その労働者はその欠勤期間中その者の基本給の50%を受け取る資格を有する。

第66条の2
 その労働者が、第66条の1に定めるあらゆる自然災害又は社会騒乱がもたらす不安状態の秩序を回復させる活動に参加する場合、その労働者はその者の基本給を受け取る資格を有する。

第67条 労働時間短縮中の賃金

第67条の1
 第71条の1、第71条の2、及び第71条の4に定める労働者の短縮労働時間は、労働時間とみなされ、その労働者は、その者の平均賃金にもとづいた賃金を受け取る資格を有する。

第67条の2
 労働者が第71条の3及び第71条の5により労働時間の短縮を受けた場合、その労働者はその者の過去6ヶ月にわたる賃金の平均に基づき計算された額を受け取る資格を有する。

第68条 健康に反しない他の業務に転換された労働者の賃金における差異

第68条の1
 妊娠をしている労働者又は授乳中の労働者が、第107条の1の定めるところにより健康を理由として配置転換され、その者の賃金が配置転換先の仕事内容のため減額となった場合、その労働者は配置転換先の賃金に加え以前の賃金と新しく受け取る賃金との差額を受け取る資格を有する。

第68条の2
 労働者が第34条の定めるところにより健康を理由として転換され、その者の賃金が転換先の仕事内容のため減額となった場合、その労働者は転換先の賃金に加え過去6ヶ月間の平均賃金と新しく受け取る賃金との差額を受け取る資格を有する。

第69条 不当な解雇又は転換に対する支払い

第69条の1
 労働者が第32条の1及び2の定めるところにより前職又は以前の地位に復職した場合、その労働者は休職期間又は減額された賃金額を受け取っていた期間について、以前の平均賃金又は、以前の賃金と減額された賃金との差により生じた差額を受け取る資格を有する。



目次
第1章 / 第2章 / 第3章 / 第4章 / 第5章
第6章 / 第7章 / 第8章 / 第9章 / 第10章
第11章 / 第12章 / 第13章 / 第14章 / 第15章