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マレーシア法 第139号

工場・機械法(1967年)

〔1988年改正〕


(仮訳 国際安全衛生センター)


マレーシア法

法律第139号

1967年工場・機械法

本法は、工場に就業する労働者の安全、衛生及び福祉に関わる事項、また工場の機械の登録及び検査に関わる事項、その他これらに関連する事項を定め、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

[1970年2月1日]

第1章

総則

名称

第1条

(1) 本法は、1967年工場・機械法と称する。

(2) (削除)

(3) 大臣は命令により特定の州において本法の全部あるいは一部の施行を中断し、またはその中断を解除することができる。

「工場」の定義

第2条

(1) 本法においては、特記なき限り「工場」とは以下に述べる全ての場所またはその一部を指す。

(a)特定の区画を有する土地、その上に建つ建物またはこれらの一部で、その構内において人が製造、変換、修理、装飾加工、選り分け、仕上げ、清掃、洗浄、破壊、解体、建設、再建築、装着、再装着、物品の調整または採用等の肉体労働に従事する場所。

(b)但し、前述の肉体労働は、利益追及または商業目的で行われるものを指す。

また、(前述の定義による理由で工場とされるかどうかに関わらず)その構内において人が肉体労働に従事している以下に述べる場所を含む。

(i)船舶の建造、再建造、修理、再装着、仕上げ、解体等が行われる全ての場所またはドックで、これらに付随する施設を含む。

(ii)瓶、容器、その他包装物品類の洗浄または包装作業等の商業行為が工場の操業目的として行われる場所。

(iii)紡績糸あるいは布地のフックつけ、ひだ取り、プリーツ取り、化粧または包装等を行う全ての場所。

(iv)商業目的または公共目的として行われる全てのクリーニング作業場

(v)鉄道車両、自動車、その他交通目的に利用される設備の建設、再建、修理が、公共交通事業または商業目的で行われる全ての場所。

(vi)紙印刷、リトグラフ、写真製版、その他これらに類する作業、製本等の作業が商業目的で行われる全ての場所。

(vii)映画フィルムの製作が商業目的で行われる全ての場所。

(viii)人による肉体労働が行われ、かつ機械を使用して金属あるいは木製の物品の製造または修理が商業目的で行われる全ての場所。

(ix)容量5,000立法フィートを超えるタンクを使用して気体を貯蔵する全ての場所。

(x)建築物の建設作業または土木工事作業が行われる全ての土地や空間。

(xi)連邦政府、州政府、地方自治体、その他の公共組織が所有または占有し、本法が規定する工場が存在する全ての場所。但し第2条(1)項(b)は適用しない。

但し、以下に述べるものは適用除外とする。

(i)機関車または車両の収容を目的として使用されるもので、清掃、洗浄、修理、その他小規模な調整作業を行う場所。

(ii)作業の内容から判断する場合、本章が規定する工場に該当するものの、その構内において作業に従事する人員数が5人を超えない場所。

(2) 工場操業に関連するいかなる作業ラインまたは付属施設も、本法が定める工場の一部と見なされる。

その他の用語の定義

第3条

本法においては、特記なき限り、各用語は以下のように定義される。

「物品」とは、固体、液体、気体、またはこれらが組み合わされた物質で、電気を含む。

「人体への損傷」とは、人間の健康に害をもたらす、という解釈を含む。

「建設業務」とは、建築物の新築、主要構造部の取り替え、修繕あるいは維持管理(組積造の積み直し、室内仕上げ工事のやり直し、主要構造部の外部の清掃業務をも含む)、を意味し、また、既存建築物の解体、新築しようとする建築物のための基礎工事を含む。但し、本法で定義する土木工事に該当する業務は含まない。

「資格証明書」とは、本法に基づいて首席検査官から発行される証明書であり、当該証明書の所有者は証明書に記載されている機械を運転操業するにたる十分な資格要件を満足していることを証明するものである。

「適合性証明書」とは、本法に基づいて首席検査官から発行される証明書であり、当該証明書に記載されている機械は検査済みであり、また当該機械は本法で定める要件を満足しており、運転操業できる状態にあることを証明するものである。

「首席検査官」、「副首席検査官」、「主任検査官」、「検査官」はそれぞれ、本法の第4条に基づいて任命される、工場と機械の操業に関する首席検査官、工場と機械の操業に関する副首席検査官、工場と機械の操業に関する主任検査官、工場と機械の操業に関する検査官をいう。

「危険な状況」とは、別表1に掲載されているもののいずれかをいう。

「ドレッジ」(しゅんせつ機)とは、すず鉱石の採掘、河川のしゅんせつ、埋め立て等に用いられる水上に浮かぶ形式のしゅんせつ用構造物をいい、バケット積載型のドレッジやカッター吸引型のドレッジを含む。

「ドレッジ・マスター」とは、本法第30条に基づいて発行されるドレッジ・マスター資格証明書を保有する者をいう。

「駆動式機械」とは、動力源である機械から力の伝達を受けて駆動する全ての機械及び機器の類をいう。

「運転者」とは、本法第30条に基づいて発行される動力運転者資格証明書を保有する者をいう。

「技術者」とは、本法第30条に基づいて発行される技術者資格証明書を保有する者をいう。

「フェンス」とは、人体への危害を防止するために設置される事故防止用の全器材を指し、防護柵やガードレールを含む。

「煙」は、気体状態にある物質、蒸気を含む。

「ガスシリンダー」とは、鋼製のシリンダーあるいはボトル状の容器で、加圧気体、溶解気体、または液化気体の貯蔵または運搬に使われるものをいう。

「ガスホルダー」とは、吊り鐘状の形をした水槽の中に浮かぶ構造物で、当該水槽内のガスを収集するためのものをいう。

「防護柵」とは、金属あるいはこれに類する他の材料で作られた固体あるいは網状の囲いの全部またはその一部をいう。

「ガードレール」とは、金属性あるいは木製のレール状のもので、適切な強度を有する支柱で支えられているものをいう。

「ホイスト」とは、機械力、運転台、運転ケージ等により作動し、その巻上げの運動方向がガイドによって一定に保たれている形式の巻上げ機械以外のものをいう。

「ホイステイング・マシーン」とは、リフト、エスカレーター、ホイスト、クレーン、垂直昇降機、綿操り機、巻上げ機、ウインチ、掘削機、走行路、運搬機、杭打ち用構造物をいい、その他これらに付属する器材を含む。

「ホイステイング用具」とは、鎖あるいはロープ吊り下げ用三つ股、リング、フック、かせ、回転台、鎖、ロープ、滑車台、鎖台をいう。

「検査官」とは、第4条に基づいて任命される首席検査官、副首席検査官、主任検査官のいずれかをいう。

「リフト」とは、乗客あるいは物品またはその両方を、高さの異なる2つ以上の位置の間を電気式モーターで作動する昇降かごまたは昇降台を用いて上下に運搬するために設計された機械をいい、付属する機器類、吊りロープ、油圧式ランマー、支持構造物、その他必要な防護用の囲いの類も含み、電気式の他、油圧式リフト、ベルトコンベアー等を含む。但し、地下鉱山で使用される採掘用ケージは含まない。

「機械」とは、蒸気ボイラー、非加熱加圧容器、主動力機、ガス・シリンダー、ガス・ホルダー、ホイステイング・マシーンとその付属器材、動力伝達機械、駆動式機械、その他鋳造、溶接、金属電気溶解のための機械、加圧ガスまたは空気を用いて金属等に噴霧するための機械をいう。但し、以下を除く。

(a) 蒸気ボイラー、蒸気エンジン以外で、自動車の推進力として用いられる機械。

(b) ホイステイング・マシーン以外で、人力で駆動する機械。

(c) 個人的利用または自家用にのみ用いられる機械。

(d) 事務用機械

「維持管理」とは、当該機械が効率良く作動する状態または適切に修理された状態を維持することをいう。

「障害」とは、人間の視覚、臭覚、聴覚に対して危害、不快感、損害、危険を現に及ぼしている、あるいは及ぼす可能性があり、人体の健康や財産を危険にさらしている、あるいはさらす可能性のある人間の行動または物をいう。

工場の「占有者」とは、工場としての土地、構造物を占有または使用している者をいう。

「事務用機械」とは、一般的な事務的業務に使用される機械を指し、電動タイプライター、計算機、レジスター、コンピューター等を含む。

「オペレーター」とは、当該機械の操作、管理等の役務提供のために雇用されている全ての者をいう。

「所有者」とは、当語句が使用されている土地等または機械の、賃料または利益を受けている者を指し、(土地等または機械を)自らの所有する者であるか、土地等または機械がリースの場合には他者または同様の賃料や利益を受ける者の代理人もしくは被信託人であるかを問わない。

「試験委員会」とは、本法第30条に基づいて任命される試験委員会をいう。

「土地等」とは、あらゆる建築物、空間、または土地に定着されていない構造物を含む。

「主動力」とは、全ての種類のエンジン、モーター、その他の駆動源となる機器を指し、空気、蒸気、水、風、電気、化石燃料、その他の動力源を用いて機械的エネルギーを供給するものをいう。

「命令」とは、本法の規定により大臣が行う命令をいう。

「衛生器具」とは、小便器、水洗便所、汲み取り式便所、灰だめ、その他これらに類するものをいう。

「きわめて危険な状況」とは、別表2に掲載されている事項のいずれかをいう。

「蒸気ボイラー」とは、外気から遮断された容器で、その中で大気圧を超える圧力下で蒸気が生成されるものを指し、当該容器に供給される水を熱するための節炭器(エコノマイザ)、蒸気を加熱するための大型加熱機、その他これらに付属するパイプ類、付属機器類を含む。

「動力伝達機械」とは軸、ホイール、回転ドラム、滑車、高速及びたるみ式滑車、連結器、クラッチ、動力ベルト、その他主動力の機械的運動を他の機械に伝達する、あるいは当該運動を受けるための機械をいう。

「地下室」とは、その全体または一部が地下にあり、当該室の天井の高さの半分以上が当該室に接する地盤面より下にあるものをいう。

「非加熱加圧容器」とは、ガスあるいは複数の異なるガスの混合またはそれらの組み合わせにより、大気圧を超える圧力下にある密閉された容器をいい、蒸気ボイラーの外部に接続されている蒸気加圧式容器、及び液体あるいはガスまたはその両方により加圧されている容器で、当該容器の内部の圧力が大気圧に満たないものを含む。但し、ガス・シリンダーは除く。

「土木工事業務」とは、鉄道網の敷設及びドック、港湾、空港、トンネル、橋梁、高架橋、水理施設、ガスホルダーの建設、主要構造部の取り替え、修復(基礎のやり直し及び再塗装工事を含む)、解体をいい、大臣がその命令によって特記するその他の業務を含む。

「作業床面積」とは、当該工場や機械によって占有されている区画及び周辺の全ての付属施設を含む範囲で、届け出の際の平面図あるいは概略図に示されている範囲をいう。なお、地盤面下にある全ての当該床面積を含む。

但し、機械類にアクセスするためのキャット・ウオーク(小通路)、梯子、その他これらに類するものは、当該床面積を算定する際には算入されない。

「若年層」とは、満16歳に達していない全ての者をいう。

検査官の任命

第4条

(1) 本法の目的を遂行するために、首席検査官1名と複数の副首席検査官、主任検査官及び検査官が任命される。

(2) 本法に基づいて大臣が命令する業務を遂行するために必要と思われるその他の担当官が任命される。

検査官等の指揮監督

第5条

(1) 本法第4条(2)に基づいて任命される全ての副首席検査官、主任検査官、検査官及びその他の担当官は、首席検査官の指揮監督下に置かれる。

(2) 主任検査官は、本法に基づいて検査官に付与される全ての権限を行使することができ、また首席検査官及び副首席検査官は、同様に主任検査官及び検査官に付与される全ての権限を行使することができる。

公務員としての担当官

第6条

本法第4条に基づいて任命される全ての担当官は公務員と見なされ、また公務員に対する罰則規定も当該担当官に適用される。

検査官の権限

第7条

(1) 本法の目的を遂行するために、検査官は以下に述べる業務上の行為の全てまたはその一部を行う権限を有する。

(a)何らかの作業あるいは操業が行われていると思うにたる十分な理由が認められる場合、昼夜を問わず、当該場所に立ち入り、検査、調査を行うこと。また、当該場所が工場であると思うにたる十分な理由が認められ、あるいは当該場所が工場の一部を成していると思うにたる十分な理由が認められ、かつ爆発性のある危険物質あるいはきわめて可燃性の高い物質を使用もしくは貯蔵していると思われる場合、当該工場に立ち入り、必要に応じて同工場内における全ての機械、プラント、機器類、付属施設等を検査、調査すること。

(b)本法に基づき、工場の操業記録、各種証明書、報告書、その他の書類の作成及び保持を要請すること。

(c)本法による規定条項が、当該工場及び同工場で雇用されている被雇用者に正しく適用されているかを確認するため、必要に応じて試験及び聞き取り調査を行うこと。

(d)工場内にいる者に対して、当該工場の所有者を特定する質問を行うこと。

(e)検査官が医療に関する資格を持っている場合、本法に基づく業務を遂行する上で必要な医学上の試験を行うこと。

(f) 工場内で発生するまたは工場外に排出されている固体、液体、気体あるいは噴霧状の全物質のサンプルを採取すること。

(g)本法が定める規定条項を満足していない機械が認められた場合、封印またはその他最も適切と思われる手段により、当該機械の稼働を停止させること。

(2) 検査官の要請を受けた場合、工場のいかなる占有者も当該検査官の立ち入り、検査、調査、聞き取り調査、サンプル採取、その他本法に基づく当該検査官の業務遂行に協力しなくてはならない。

(3) 本条(1)に基づく権限を行使して土地等に立ち入ろうとする検査官は、あらかじめ大臣が指定する形式の身分証明書を所持し、要請に応じて提示しなければならない。この身分証明書の提示がない限り、いかなる者も自己の工場に、検査官と称する者を立ち入らせる義務を負わない。

業務妨害

第8条

以下の行為を行う者は、業務妨害の罪に問われ、有罪が確定した場合、5,000ドル以下の罰金刑あるいは2年以下の禁固刑またはその両方の刑に処せられる。

(a)本法に基づく権限を行使しようとする検査官の業務を意図的に遅延させること。

(b)検査官が本法に基づく権限を行使中に検査官の命令に従わないこと。

(c)工場あるいは機械の占有者または所有者が誰であるかを意図的に隠したり、検査官の立ち入り前あるいは立ち入り検査中において特定の者の身柄を隠すまたは隠そうと意図すること。その他、検査官の業務執行を妨害する行為。

守秘義務

第9条

本法に基づく権限を行使する段階において知りえた製造上または商業上の秘密を第3者に漏洩する者は、その罪を問われ、有罪が確定した場合、5,000ドル以下の罰金刑あるいは2年以下の禁固刑またはその両方の刑に処せられる。


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