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マレーシア法 第139号

工場・機械法(1967年)

〔1988年改正〕


(仮訳 国際安全衛生センター)


第6章

その他一般

刑法あるいは民法上の責任への影響

第47条

本法が定めるいずれの部分も、民法または刑法に照らして所有者、占有者、技術者、ドレッジ・マスター、運転者、その他の者の責任を問うものではない。

手数料

第48条

本法に基づいて支払われる全ての手数料の支払い方法、支払い期間等は大臣が別途定める。

首席検査官の権限

第49条

首席検査官が、特定の工場あるいはその一部または工程が、全ての状況を総合的に勘案して、本法の規定あるいは要請内容を満足する必要がないと認める場合、当該工場あるいは工程の一部を、本法に基づく規制の対象外とすることができる。その場合、首席検査官はその旨の証明書を発行し、規定の対象外となる部分等を具体的に当該証明書に記載する。

違反

第50条

(1) 本条(2)から(4)までの内容に関連して、工場の占有者が本法に違反した場合、当該占有者はその罪を問われる。

(2) 前述の違反は、本法の規定に照らして所有者がその責任を負うと認められる場合は、当該所有者はその罪を問われる。

(3) 前項の(1)及び(2)が定めるところに関わらず、本法の違反が当該工場あるいは機械の占有者または所有者以外の者の責任に帰すると司法裁判が結論を出した場合であっても、当該占有者または所有者が、当該違反は自己の知るところではなく、また自己の同意を得たものではないこと、さらに当該違反等の発生を未然に防ぐため、また、本法を尊守するための全ての合理的対策を講じていたことを司法裁判において明らかにできない限り、当該占有者または所有者もその責任を回避することはできず、相応の刑罰を受ける。

但し、本条は、司法裁判に基づき責任を負うべきと判断された、最初に述べた占有者または所有者以外の者の責任と刑罰の免除を意味するものではない。

(4) 工場あるいは機械の占有者または所有者が、本法に基づく、あるいは本法が定める適用除外規定を利用し、また、当該適用除外規定のための全条件を満足することができない場合、当該占有者または所有者はその罪を問われる。

刑罰

第51条

(1) 第19条(1)、第31条、第34条(1)、第36条(1)、第37条、第38条(1)、第39条(1)、第40条(3)のいずれかの規定に違反した者は、その罪を問われ、有罪が確定した場合、5,000ドル以下の罰金刑に処せられる。

(2) 本法が定める他の規定で、その規定に違反した場合の罰則規定が記載されていない条項に違反した者は、その罪を問われ、有罪が確定した場合、2,000ドル以下の罰金刑に処せられる。

(3) 有罪が確定した者が同じ違反行為を繰り返した場合、当該者は、繰り返した違反行為に対する罰則とは別に、最初の有罪が確定した日から通算して、一日当たり100ドルの罰金刑に処される。

起訴

第52条

検査官は、本法に対するいかなる違反行為をも、司法裁判所に起訴する権限を有する。

和議の権限

第52条A

(1) 首席検査官または副首席検査官は、自己の判断により、本法に対する違反行為のうち大臣が特に定めるものに関しては、和議を行うことができる。この場合、首席検査官または副首席検査官は、当該違反行為を犯した者の起訴を取り下げる一方、当該者から100ドル以下の罰金を徴収する。

(2) 大臣は、前述の和議に関してその方法、手続きを定めることができる。

合意内容を改変する権限

第53条

本法に基づく、または本法が定める基準あるいは規定を遵守するために土地等の構造上の改造やその他の変更が必要と判断されるにもかかわらず、工場として供されている土地等の所有者と占有者の間で取り交わされている合意内容が、所有者または占有者による当該改造等を禁止している場合、所有者または占有者は、高等裁判所に当該合意条項の削除あるいは変更を申し立てることができる。この場合、裁判所は両者の主張を聴き、また両者が出廷を求めた証人の意見をも聴いた後、最も適切かつ公平と判断される方法で当該合意条項の削除あるいは変更を行う命令を下すことができる。

費用を分担させる権限

第54条

全体あるいは一部が工場として供されている土地等において、本法あるいは本法に基づく、または本法が定める基準や規定を遵守するため構造上の改造やその他の変更が必要とされる場合で、所有者(または占有者)が当該改造等にかかる費用の全てまたは一部を占有者(または所有者)の負担に帰すべきであると主張している場合、所有者または占有者は、当該費用が両者間で相応に分担されるよう高等裁判所に申し立てを行うことができる。この場合、裁判所は、両者の主張を聴き、また両者が出廷を求めた証人の意見をも聴いた後、最も適切かつ公平と判断される方法で当該費用の分担に関する命令を下すことができる。また裁判所は、両者間における契約条件の変更を行い、または所有者あるいは占有者いずれかの要請に基づき賃借契約の内容を決定することができる、

免除

第55条

(1) 本法のいずれの部分も以下には適用されない。

(a)以下の全ての工場または機械

(i)軍の管理下にあるもの、または、

(ii)政府とマレーシアに駐留が法的に認められている海外の軍との間で取り交わされている合意に基づくもの。

(b)貿易海運に関する法律の管理下に置かれているもの。

(2) 以下の全ての工場と機械で、

(a)連邦政府及び州政府のいずれかの管理下にあるものは、

(i)第34条、第35条、第38条、第48条の規定の全てが適用されず、また、

(ii)第36条、第37条、第39条、第40条、第43条の規定は、蒸気ボイラー、蒸気レシーバー、リフト以外の機械に関してのみ適用されない。

(b)鉄道管理局には、

(i)第34条、第35条、第38条、第48条の規定の全てが適用されず、また、

(ii)第36条、第37条の規定は、リフト以外の機械に関してのみ適用されない。

(3) 大臣は命令によって、条件付きまたは無条件で、本法が定める、または本法に基づく規定の全てあるいはいずれかに関して、特定の工場、機械、工場の種類または機械の種類を適用除外とすることができ、また当該免除規定を解除したり、変更したりすることができる。

規定

第56条

(1) 大臣は、本法に定められている事項のいずれに関しても、その命令により、以下のような規定を設けることができる。

(a)首席検査官及び第4条に基づいて任命される担当官の任務を規定する。

(b)機械あるいは工場、または検査に関して保存されるべき記録を規定する。さらには、証明書、その他本法に関係する諸事項とその様式及び保存の行為の責任者を規定する。

(c)維持されるべき工場の清潔さの基準、工場内の特定の工程から発生し人体に危害を及ぼす煙あるいは粉塵等を除去する方法、または、被雇用者の健康を確保するために特別な方法が取られなければならない工場の種類とその具体的な方法を規定する。

(d)機械の運転操作等、工場内で雇用される被雇用者の安全、衛生、福祉を確保する上で重要と思われる事項を規定する。

(e)適合性証明書の取得が義務づけられる機械の種類を特定する。また、危険と判断された機械について、使用禁止、該当機械であることの標識設置、廃棄処分を命ずる。

(f) 蒸気ボイラー、非加熱圧力容器、ガス・シリンダーの安全な作動圧力の計算方法、主動力の馬力の計算方法、ホイスティング・マシーンや吊り上げ器具の安全な作動荷重の計算方法を規定する。

(g)機械及び工場の立ち入り検査の頻度と方法を規定する。また、検査の際に必要に応じて発行される通知の内容、及び当該検査の事前準備作業内容を規定する。

(h)特定の機械の維持管理業務にあたる者が保有すべき資格要件等を規定する。

(i) 技術者、ドレッジ・マスター、運転者としての資格証明書を付与するための試験の内容、その資格証明書の様式と付与するための条件と方法、当該試験の受験及び資格証明書受領時の手数料、資格証明の停止あるいは剥奪の条件とその方法、及び資格証明の種類を規定する。

(j) 工場または機械の検査の際に支払われる手数料とその支払い方法、適合性証明書、資格証明書、その他の証明書を必要とする機械の登録、当該諸証明書の様式、発行、停止、取り消し処分等の条件とその方法、当該諸証明書の有効期間等を規定する。

(k)本法第33条に基づく聞き取り調査の実施方法を規定する。

(l) 大臣が、本法の目的を果たす上で必要と判断するその他の事項を規定する。

(2) 特定の種類の工場において発生する事故に関して、その発生頻度及び事故の内容により、当該工場に対して、被雇用者の安全確保の観点から特別な規制を行うことが妥当であると判断される時、大臣は命令により、当該工場の占有者に対して安全確保のための管理、状況調査、事故の原因調査等を義務づける規制を要請することができる。

(3) 建築物の一部が、個別の工場として使用されている場合、本法が定める内容は、工場の占有者を建物の所有者等と言い換えて、当該工場に適用することができる。また、本法に基づく履行すべき義務及び違反行為に対する罰則規定も同様に適用される。

医師による管理

第57条

いかなる工場においても、以下のような事態が認められる場合、大臣は、当該工場で雇用されている被雇用者に対して、医師による予防的診察または治療を施すための規制を行うことができる。

(a) 工程またはその他の労働環境が原因と思われる疾病が発生した場合。

(b) 工程に従事している者の健康を害する危険性があると判断される場合。

(c) 満18歳未満またはその前後の年齢の者が、健康に危害を及ぼす危険性のある作業に従事している場合。

法の廃止

第58条

1953年マラヤ州の機械に関する条例、及びサバ州の機械に関する条例と付随する全ての規制条項は、廃止される。但し、

(a) 前述の条例に基づき定められた任命事項、免除事項のうち、本法の規定と合致するものは、本法に基づいた任命事項、免除事項と見なされる。また、本法の規定に適用されうる当該条例の各部分は、本法に基づく新たな任命事項、免除事項に取って代られるまで、効力を有する。

(b) 前述の条例に基づき付与された機械を操業するための証明書、文書による許可証のいずれも、本法に基づいて付与されたと見なされ、すでに記載されている有効期間に限って、効力を有する。

なお、サバ州に関しては、本条の規定は、本法に基づく全ての規制が当該州において施行されるまで、効力を有しない。

別表の改正

第59条

大臣はその命令により、必要に応じて別表の内容を改正することができる。

別表1

危険な状況

第3条関係)

1. 機械式動力により駆動する回転式容器、車輪、砥石、回転式研磨機の破裂。

2. クレーン、デリック起重機、ウインチ、ホイスト、杭打ち用やぐら、人あるいは物品の昇降に使用される機器あるいはその一部の倒壊(但し、鎖、ロープ等のはずれを除く)及びクレーンの転覆。

3. 人が雇用されている室、場所または機械やプラントが設置されている室、場所の安全性または強度に影響する主要構造部の爆発、火災または倒壊。

4. 蒸気ボイラーあるいは非加熱圧力式容器の安全性または強度に影響する、主要構造部の爆発または倒壊、ボイラーからの漏水、溶解性プラグの融解及び管類の爆発。

別表2

深刻な人体への損傷

第3条関係)

1. 生殖器の喪失

2. 片方以上の眼の視覚喪失

3. 片方以上の耳の聴覚喪失

4. 一個所以上の肢体喪失

5. 一個所以上の肢体の損傷または機能不全

6. 頭部または顔面の回復不可能な変形

7. 骨折または脱臼

8. 損傷を受けた者が21日間以上にわたって、深刻な身体的苦痛を覚える、または通常の業務に就業できない状態に置かれるなど、その他生命の危険に当該者をさらす損傷。

別表3

報告が義務づけられる疾患

第32条関係)

1. 粉塵に起因する肺疾患

(a)ケイ肺症―粉塵を含むシリカ(二酸化ケイ素)の吸入

(b)すず肺症―すずの粉塵あるいは煙の吸入

(c)鉄沈着症―鉄分、シリカ及び赤鉄鉱の吸入

(d)アスベスト症―アスベストを含む粉塵あるいは繊維の吸入

(e)アレルギー性気管支喘息あるいは慢性的喘息、またはプラントから排出される綿、木片、亜麻、ジュート、米のもみ殻、コーク、香料、大麻、シサル麻、たばこ、茶、小麦粉、その他これらに類するもの、またはセメント、銅、亜鉛、骨あるいは髪等の動物性粉塵の吸入に起因する綿肺症等の胸部疾患。

(f)その他、アルミニウム、滑石あるいは石炭の吸入に起因する塵肺症または繊維症。

2. 鉛、水銀、マンガン、リン、アンモニア、クロム、ニッケル、ベリリウム等の金属またはこれら金属の含有物に起因する身体組織の中毒。

3. ベンゼン等の芳香性炭化水素、炭素二硫化物、塩素系炭化水素、石油またはその派生生成品などの溶液の使用に起因する中毒。

4. 窒素酸化物、硫黄酸化物、塩素、ホスゲン、アンモニア等の吸入に起因する肺疾患。

5. 有機リン酸化合物、窒素化合物または塩素化合物などの殺虫剤、除草剤、防かび剤の取扱に起因する中毒。

6. 鉱物油、酸、アルカリ、粉塵、その他の刺激物の取扱に起因する業務上において発生する皮膚疾患。

7. ひだつそ、ばひそ、レプトスピラ病、結核、らい病等の業務上において発生する疾患(但し最後の2つの疾患に関しては、業務上その疾患と接触したことが明らかな場合)。

8. 発がん性タールまたは放射性粉塵の取扱、吸入、接触に起因する悪性疾患。

9. 熱白内障、放射性白内障等の外傷に起因する、または刺激物に起因する眼の疾患。

10. ベンゼンあるいはその他の物質から派生する窒素系またはアミノ酸系生成物に起因する中毒性黄だん。

11. 過度のあるいは長期にわたる摩擦、または圧力を伴う肉体労働に起因する膝、手、腕の皮下疾患あるいは急性疾患。

12. 熱けいれんまたは熱発作等、過度に熱にあたることによって引き起こされる疾患。

13. 過度の高強度の騒音にさらされることによって引き起こされる聴覚障害。

14. イオン化または非イオン化放射にさらされることによって引き起こされる疾患。

15. 潜函病または水中下での労働に起因する疾患。


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