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国際安全衛生センタートップ国別情報(目次) > マレーシア 1996年労働安全衛生(重大災害危険の管理)規則
労働安全衛生法 (1994年)
Occupational Safety and Health Act 1994

1996年労働安全衛生(重大災害危険の管理)規則 (マレーシア)
Occupational Safety and Health ( Control of Industrial Major Accident Hazards) Regulations 1996

(資料出所:His Majesty's Government Gazette Published by Authority 1st February 1996)

(仮訳 国際安全衛生センター)

重大災害危険の管理規則(1996年)

人的資源大臣は、1994年労働安全衛生法第66条によリ付与された権限を行使し、次の規則を定めるものとする。

第1章



第1条    引用及び開始期

 本規則は、1996年労働安全衛生(重大災害危険の管理)規則として引用するものとし、施行日を1996年2月1日とする。

第2条    適用

 本規則は、以下を除くすべての産業活動に適用される。

(a) 核施設における産業活動

(b) 軍の施設における産業活動

(c) 産業活動の敷地へ又は、敷地からの車両または船舶による危険有害物質の輸送

(d) 一定量の危険有害物質、又は一種類以上の物質を使用する、若しくは使用する可能性のある産業活動で、当該危険有害物質又は物質の量がその閾値量の10%未満である場合。

第3条    解釈

 本規則では、条文中に他の定めのない限リ以下の用語を次のとおり解釈する。

 「資格者」とは、第4章の規定により報告書を作成するために、製造者により任命され、局長より文書で承認されるところの労働者又はその他の者を意味する。

 表3の「付帯情報」とは、重大災害の潜在的な影響を評価する際に必要な情報で、状況により求められる次のものを意味する。

(a) 調査官が、労働災害によって発生した安全衛生リスクを評価するため、又、災害の際にとるべき行動を知りかつ理解するため正当に要求するところの情報

(b) 情報が製造者によって開示される場合は、法律の要件及びその製造者の商業的利益を考慮した上で、開示する事が適切である場合とする。

 「危険有害物質」とは次のものを意味する。

(a) 表1において定められた基準のうちのいずれかに該当する物質。又は、

(b) 表2の第一部に挙げられた物質。


 「産業活動」とは、以下を意味する。

(a) 表4において示された産業設備内で行われる作業で、一種類以上の危険有害物質を使用する若しくは使用する可能性のある作業であり、その作業に関係した貯蔵及び輸送を含む。または、

(b) 事業所の内外にある貯蔵の目的で用いられる場所、施設、現場、建物又は区域において、危険有害物質又は製剤を貯蔵すること。

 「地方機関」とは、市議会、市協議会、地方議会、町村議会、町村委員会、地方協議会、農村委員会、又は成文法によって設立された他の類似の地方機関を意味し、成文法によって設立された連邦直轄区(Federal Territory)を担当する機関も含む。

 「重大災害」とは、産業活動の過程で制御不能な状況から発生する大規模な流出、火災、爆発を含む災害のことで、ただちに又はその後に、設備の内外において、人又は環境に重大な危険を及ぼし、一種類以上の危険有害物質が関係する災害を意味する。

 「重大災害危険を有する設備」とは、一種類以上の危険有害物質若しくは危険有害物質の範疇に入る物質を、限界量に等しい量又は限界量を超えた量をもって一時的に又は恒常的に生産し、加工し、操作し、使用し、廃棄し、又は保管する産業活動のこと、若しくは第7条第2項により局長がしかるべく定めた産業活動を意味する。

 「製造者」とは、事業者、又はある産業活動を管理する占有者を意味する。

 「管理者」とは、法第5条により任命された安全衛生管理者を意味する。

 「港湾当局」とは、成文法に従って設立された港湾当局を意味する。

 「調剤」とは、二種類以上の物質の混合物又は混合溶液を意味する。

 「現場」とは次を意味する。

(a) 製造者の管理のもとにある土地の、ある区域全体を意味し、埠頭、桟橋、又は類似の構造物を含み、それが水に浮揚しているかどうかは問わない。又は、

(b) 製造者の管理のもとにある構造物で、それが水に浮揚しているかどうかは問わない。

 「限界量」とは、所定の危険有害物質、あるいは危険有害物質の範疇にある物質に関係して用いられる言葉で、表2において定められた量と等しい量を意味する。

第4条   安全衛生管理者の権限の制限

 本規則により総局長に付与されたすべての権限及び課せられた義務については、規則第7条第2項及び規則第13条において定めるところのものを除き、安全衛生管理者が履行することができる。

第5条   製造者及び労働者の義務

 第1項 産業活動を開始するすべての製造者は、以下の義務を負うものとする。

(a) 製造者は、本規則の要件に従わなければならない。

(b) 製造者は、人又は環境の安全に影響を及ぼす可能性のある差し迫った危険を認知した時はただちに、その状況を正すための行動をとらなければならない。

(c) 規則第14条第1項及び同規則第16条により作成される報告書に重大災害が記載されている場合は、製造者は、その重大災害を管理するための良好な管理システムを設立し維持しなければならない。

第2項 全ての労働者は以下の義務を負うものとする。

(a) 労働者は、本規則の要件を遵守するに当たり製造者に協力しなければならない。

(b) 労働者は、労働者自身を危険に陥れることのない方法、又は労働者自身若しくは他の者に身体的な傷害を与えない又は与える恐れのない方法、若しくは生命財産に損害を与えない方法で、行動しなくてはならない。

(c) 労働者は、重大災害を発生させる恐れのある潜在的な危険が存在すると認識した場合は、ただちに製造者にその旨通知しなければならず、及び、その潜在的な危険を安全衛生管理者に通報する権利を有するものとする。

第2章

産業活動の確定及び届出

第6条    適用

 本章は、危険有害物質が関係する又は関係する恐れのある産業活動に適用されるものとする。

第7条    確定及び届出

 第1項 すべての製造者は以下の義務を負うものとする。

(a) 製造者は、自己の管理下にある産業活動を把握していなければならない。

(b) 製造者は、表5で指定された産業活動届出用紙(以下「届出」)を総局長宛提出しなければならない。提出期限は次のとおり。

(i) 既存の設備又は建設中の設備については、本規則の施行後3ヶ月以内

(ii) 本規則の発効後新たに建設される設備については、建設の1ヶ月前まで

 第2項 総局長は、届出の受理に当たり、以下を決定することができる。

(a) 表2の第1部に挙げられた危険有害物質、又は表2の第2部において指定された種類に該当する物質及び調剤が、その設備にあっては限界量未満で使用されている場合でも、総局長から見て、その設備が重大災害を引き起こす可能性があると思われる場合は、総局長は、その設備を重大災害危険を有する設備であると決定することができる。

(b) 表2の第1部に挙げられた危険物質の量、あういは、表2の第2部において定められた種類に該当する物質及び調剤が、その設備にあっては限界量と同量又は限界量を超えた量をもって使用されている場合であっても、総局長から見てその設備が重大災害を引き起こすことは不可能と思える場合は、総局長は、その設備は重大災害危険を有する設備ではないと決定することができる。

第8条 変更の届出

  製造者は、敷地内又はパイプラインの中に存在する若しくは存在する恐れのある危険有害物質の最大量の増加若しくは減少、若しくは産業活動の休止を含み、届出に記載されたいかなる細部のいかなる変更についても、届出を再提出することにより総局長に対し直ちに通知しなければならない。

第3章

重大災害危険を有しない設備のための安全操作の説明

第9条    適用

 本章は、以下に適用されるものとする。

(a) 次の状況に関係する又は関係する恐れのある産業活動。

(i) 表2の第1部に挙げられた危険有害物質については、その量が、規定された限界量を超えない場合。

(ii) 表2の第2部で規定された種類に該当する物質及び調剤については、その種類に該当する物質及び調剤の総量が、その中で規定された限界量未満であって、規則第7条第2項a号により、重大災害危険を有する設備の旨の決定を受けていない場合

(b) 規則第7条第2項b号により、総局長が重大災害危険を有しない設備として決定するところの設備。

第10条 安全操作の説明

 本章の適用を受ける産業活動を管理する製造者は、いかなるときも総局長の求めに応じ、文書の作成を含め、以下を証明する証拠を示さなければならない。

(a) 製造者は、起こり得る重大災害危険を確認している。

(b) 製造者は、以下を目的として十分な措置を講じている。

(i) 重大災害を防止する、又は人や環境に対する重大災害の影響を最小にする。

(ii) 敷地内で働く者に対し、自らの安全を確保するために必要な情報、訓練、及び装備を提供する。

(c) 製造者は、重大災害の対処方法を詳述した適切な現地緊急対策計画を作成し、絶えず更新している。

第11条 安全操作の説明の審査

 総局長は、製造者に対し、製造者が規則第10条により作成したところの産業設備の安全操作説明書の提出を求めることができ、かつその文書を審理することができる。総局長は、提出された文書を不十分なものと判断する場合は、製造者に対し、総局長が指定する時間内などに文書により追加の情報を提供するよう指示しなければならない。


第4章

産業活動の報告および重大災害危険を有する設備のための緊急時対策計画の作成

第12条 適用


 本章は以下に適用される。
(a) 次のものに関係する又は関係する恐れのある産業活動で、規則第7条第2項b号により総局長から重大災害危険設備ではない旨の決定を受けている設備以外の設備における産業活動。

(i) 表2の第1部に挙げられた危険有害物質については、その量が、指定されている限界量と同量の場合又は限界量を超えている場合

(ii) 表2の第2部で指定された種類に該当する物質及び調剤については、その種類に属する物質又は調剤の総量が、指定された限界量と同量の場合又は限界量を超えている場合

(b) 規則第7条第2項a号により総局長が重大災害危険を有する設備として決定した設備における産業活動。


第13条 資格者の登録

 第1項 総局長は、本章により職務の遂行を目的として任命されるべき者の資格要件を規定し、その資格者を登録しなければならない。

 第2項 総局長は、"資格者登録簿"を保管し、こうして登録された者の氏名及びこうした登録を抹消された者の氏名が毎年官報に掲載されるよう計らわなければならない。

第14条 産業活動についての報告

 第1項 製造者は、その製造者が表6において規定された情報を含む報告書を作成するにあたり、資格者に助言を求めていない場合、及びその活動を始める少なくとも3ヶ月前までに、あるいは局長が文書により同意与えることのできるより短い期間までに局長に対し報告書の写しを送付していない場合、本章が適用される産業活動に着手してはならない。

 第2項 製造者が、

(a) 本規則の発効以前に産業活動を始めていた場合、又は、

(b) 本規則が発効する6ヶ月前までに、産業活動を行う目的で産業設備の建設を始めていた場合は、その製造者が、本規則の発効後12ヶ月以内に、あるいは局長が文書で同意を与えることのできるより長い期間内に局長に対し報告書の写しを送るならば、それは、前1項を十分に遵守したものとされる。

 第3項 ある産業活動が規則第7条第2項a号により重大災害危険を有する設備における活動として決定された場合、製造者は、その決定の日から12ヶ月以内又は総局長が文書で同意を与えることのできるより長い期間内に、局長に対し報告書の写しを送らなければならない。

第15条 修正

 第1項 製造者が、規則第14条第1項により報告書を作成している場合で、その製造者がその報告書の修正を勘案した追加の報告書の作成にあたり資格者に助言を求めておらず、かつ、修正を行う時点の少なくとも3ヶ月前までに又は局長が文書で同意を与えることのできるより短い期間までに総局長に対しその追加の報告書の写しを送付していない時は、その製造者は、その報告書が関係する産業化活動への修正で、報告書の細部に著しく影響しうる修正については、いかなる修正もこれをおこなってはならない。

 第2項 製造者は、第1項の規定にかかわらず、生命及び財産に対する急迫した危険を排除すること又は防止することを目的とした、産業活動関係の緊急措置及び是正措置を講じる権利を有し、総局長に対し、その講じられた措置を説明するための報告書を速やかに提出しなければならない。

第16条 報告書の更新

  製造者が規則第14条第1項又は第15条第1項により報告書を作成している場合で、かつその産業活動が継続している時は、製造者は、最後の報告の日から3年以内に有資格者に助言を求め、特に、安全と危険アセスメント知識を増進させることに係る新しい専門知識で先の報告書の細部に重大な影響を与える専門知識を勘案した追加の報告書を作成し、その3年の期限終了後一ヶ月以内又は局長が文書で同意を与えることのできるより長い期間内に、総局長に対し、その最新報告書の写しを送付しなければならない。

第17条 報告書の審査

  総局長は、規則第14条第1項、第15条第1項及び規則第16条により、総局長に対し提出された報告書を審査することができ、提出された情報が不十分であると考える時は、製造者に対し総局長が指定する期間内に追加の情報を提出するよう文書で指示しなければならない。

第18条 現場内緊急対策計画

 第1項 本章が適用になる産業活動を管理する製造者は、資格者に助言を求めた後、産業活動がおこなわれている現場内における重大災害の対処方法を詳述した最新かつ十分な現場内緊急対策を作成かつ維持し、その緊急対策計画上に、当該現場内における安全責任者の名前及び緊急時にその緊急対策計画に基づき行動する権限が与えられている者の名前を記載しなければならない。

 第2項 製造者は、第1項により作成された現場敷地内緊急対策計画が、産業活動の過程で発生する重大な変更を勘案して絶えず更新され、当該計画に係る現場内の者すべてがその関係する規定について知ることができるよう図らなければならない。

 第3項 製造者は、現場内緊急対策計画を作成し、次のいずれかの期間内にこれを総局長へ提出しなければならない。

(a) 産業活動の開始の少なくとも3ヶ月前まで

(b) その産業活動が、本規則の発効前に開始されている場合は、規則発効後3ヶ月以内に、または総局長が文書で同意を与えることのできるより長い期間内

(c) その産業活動が、規則第7条第2項a号に従い、重大災害危険を有する設備における産業活動として総局長により決定されている場合は、その決定の日から3ヶ月以内、または総局長が文章で同意を与えることのできるより長い期間内

第19条 現場内緊急対策計画の更新

  製造者が規則第18条第1項により現場内緊急対策計画を作成している場合で、かつ関係する産業活動が継続している時は、製造者は規則第16条で求められる報告作業の一環として、現場内緊急対策計画を更新しなければならない。

第20条 現場内緊急対策計画の審査

  総局長は、規則第18条第1項及び規則第19条により総局長に対し提出された敷地内緊急対策について審査することができるものとし、かつ提出された計画を総局長が不十分であると判断する場合は、局長は製造者に対し、局長が定める期限内に緊急対策を改善するよう、文書で命令するものとする。

第21条 現場外緊急対策計画

 第1項 本章が適用される産業活動を管理をする製造者は、当該地域の市町村当局または港湾当局に対し、その産業活動が重大災害の危険を発生させるおそれがあること、また、製造者の現場を囲む区域で、重大災害の影響を受ける恐れのある区域のために現場外緊急対策計画を作成する必要があることを、通知しなければならない。

 第2項 製造者は、第1項に基づき以下を行わなければならない。

(a) 本規則の発効以前に産業活動を開始している場合は、本規則の発効後3ヶ月以内に、また、その産業活動が規則第7条第2項a号により局長から重大災害危険設備における産業活動として決定されている時は、その決定の日から3ヶ月以内に、地方機関又は港湾当局に対し通知しなければならない。

(b) 地方機関又は港湾当局が、重大災害となるおそれのある災害の性質、範囲、現場外へ及ぼす可能性のある影響を含む情報を適切に要求する場合は、製造者の管理下にあるその産業活動に関係する情報を、その地方機関又は港湾当局に提出しなければならない。

(c) 地方機関又は港湾当局から要請がある場合は、現場外緊急対策計画を作成し、実行するための相当な便宜をその地方機関又は港湾当局に与えなければならない。

 第3項 地方機関又は港湾当局は、その情報を受け取ることにより、最新かつ十分な現場外緊急対策計画を作成し、維持することができる。

第22条 一般市民への情報

 第1項 本章が適用される産業活動を管理する製造者は、現場内で重大災害が発生した場合その影響を受ける恐れがあると局長により判断される現場外区域の市民が、少なくとも表3に示された情報については、要請をしなくても適切な方法で与えられるように計らわなくてはならない。

 第2項 製造者は、第1項の製造者の義務を損なうことなく、表3に指定される情報を関係者に広めるため、産業活動が行われている区域の地方機関又は港湾当局と協定を結ぶよう努めなければならないが、その提供される情報の正確性、完全無欠性、及び形式については製造者が責任を負うものとする。

 第3項 製造者は、第1項により提供される情報が、適切な頻度で、更新され、再提供されるよう計らわなければならない。

 第4項 製造者は、第1項及び第2項を遵守するための全ての必要な措置をその産業活動を開始する前に講じなければならないが、以下の場合を除く。

(a) その産業活動が、本規則の発効以前に既に開始されている場合は、製造者が本規則の発効後6ヶ月以内に必要な措置をとるならば、それは規則を十分遵守しているものとされる。

(b) その産業活動が、規則第7条第2項a号に基づき局長により重大災害危険設備における産業活動として決定されている場合は、製造者がその決定の日から6ヶ月以内に必要な措置をとるならば、それは規則を十分に遵守しているものとされる。


第5章

重大災害の届出

第23条 重大災害の届出

 製造者は、現場内で重大災害が発生した場合は、可能な限り素早い方法で最も近い労働安全衛生事務所に対しその災害を届け出なくてはならないが、その際その届け出を行う製造者には次の義務が課せられるものとする。

(a) 災害に関係する以下の情報を入手後ただちに提供しなければならない。

(i) 災害の状況

(ii) 関与している危険有害物質

(iii) 人及び環境に対する災害の影響の評価に必要な日数

(iv) 講じられた緊急対策


(b) その災害の中長期の影響がある場合はその影響を軽減するため計画された措置、及びこうした災害の再発防止のために計画された措置の一覧表を提出しなければならない。


第6章

罰則


第24条 罰則

 第1項 製造者が本規則の規定に違反しかつその違反に対応する罰則が労働安全衛生法で規定されていない場合は、その製造者には、有罪判決に基づき5万リンギットを越えない罰金刑又は2年を越えない懲役刑又はその両方が課せられるものとする。

 第2項 労働者が本規則の規定に違反しかつその違反に対応する罰則が労働安全衛生法で規定されていない場合は、その労働者には、有罪判決に基づき1000リンギットを越えない罰金刑又は3ヶ月を越えない懲役刑若しくはその両方が課せられるものとする。


この法律のオリジナル(英語及びマレー語)は国際安全衛生センターの図書館が閉鎖となりましたのでご覧いただけません。