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ヒヤリ・ハット特集
Learning from Near-Accidents

資料出所:オーストリアARBEITSELEBENとスウェーデンUniversity of Lundの
共同プロジェクトによるウェブサイト「Near-Accident Net」

http://www.near-accident.net/UNIQ108858438104049712/doc2565A.html

(仮訳 国際安全衛生センター)



 
ヒヤリ・ハットから学ぶ
  利点
ヒヤリ・ハットから学ぶ方法
  ヒヤリ・ハットの報告
  事例研究
  体験討議
  スタッフ調査
教育訓練
リンク
ヒヤリ・ハットの報告(要約)
(*原文はこちら

1. 排水管の漏れをチェック:
 排水管の漏れをチェックしていました。これは、パイプの中で風船をふくらませて行うものです。もし水漏れがなければ、パイプの上方から注水した場合、風船の中の空気が押し出されます。風船の空気弁は、自転車の弁のような働きをしています。私は上の方の穴(天井のすぐ下にある)に手を入れ、その弁を開けました。風船は縮み、私の手は水圧で開口部から引き抜けなくなってしまいました。冷たい水が腕を伝って全身に流れ落ちていきました。怖くなりました。しかし同僚たちが私の乗ったはしごを押さえ、水がすべて流れ落ち風船の圧力がなくなるまで私をつかまえていてくれました。もしはしごから落ちていたら、大怪我を負ったか、手をなくしていたでしょう。

2. 電球交換時に感電:
 照明装置を修理しなければなりませんでした。それで配電箱のところへ行きヒューズを外し、再び照明装置のところへ戻りましたが、いつもの習慣で電流が通じているかいないかチェックしませんでした。そうこうしているうちに、誰かがヒューズを元通りにしてしまいました。照明装置に手を差し入れた瞬間、飛び上がってしまいました。今回はこの程度で済みましたが、もっとひどい事態になった可能性もあります。

3. 1.5トンを吊り上げ中、ケーブル切断:
 先週、私達は重さ1.5トンの部品を吊り上げようとしていました。ちょうど2mの高さに持ち上げた時、ホイストが突然壊れました。幸いなことに、誰もその下にいませんでした。ホイストには初めから欠陥があったに違いありません。

4. マークのない全面ガラス:
 地階に貸しフラットがあり、ドアとドアの付属部品全てがガラスでできていました。ドアが開いているかどうか誰にも判別できなかったでしょう。私は中に入ろうとしました。が、ドアに当たり、文字通りはじき飛ばされてしまいました。同僚にそのできごとを告げてから私はドアを開け、奥へと進みました。しばらくしてガラスの壊れる音を聞きました。別の従業員が私と同じようにフラットに入ろうとしたのです。この経験から言えることは、透明な個所には粘着テープなどを貼りはっきりと表示しなければならない、ということです。

5. 溶接時に火傷:
 漏れ止めのための溶接作業が急ピッチで行われていました。切断機が360度もの熱さになるとは、知りませんでした。もし近づいて触れたならば大火傷を負うところでした。私はすんでのタイミングで手を引っこめました。

6. 防護装置なしで研磨機を使用:
 ある同僚が、プロテクターのついていない研磨機を片手で使っているのを見ました。彼は熟練工ですが、そのような使い方をすれば誰でも怪我をします。私はかつてこうした状況で指を切断したことがあります。彼には「危険だ」と注意しました。

7. 加工中の木片が当たる:
 木片を加工中、その木片が機械にはさまれ猛烈な勢いで飛び跳ねるケースをよく目にします。ある時、間一髪の事態が起きました。ほんの少しタイミングが早かったら私の同僚に当たるところでした。

8. 刃物を手で止めようとした:
 時間がなく、フライス盤のカッターを急いで取り替えなければなりませんでした。フライス盤が止まるまでには、少し時間がかかります。そこで同僚は、フライス盤の主軸を手を使って止めたのです。「もし表面に何かが飛び出ていたら君は指を切断したよ」と、彼に注意しました。

9. 屋根の上で滑る:
 屋根の上で屋根の寸法を計っている時、携帯電話が鳴りました。その屋根は平らな部分とそれに続く傾斜した部分でできていました。注意もせずに後ずさりしたところ、屋根の境目につまずき傾斜した部分に滑り落ちていきました。私はとっさに煙突掃除用の取っ手をつかみ、どうにか助かりました。この体験が教訓になり、今では屋根上での計測の際には携帯電話の電源を切っておくようになりました。

10. 重量物の倒壊:
 男性従業員が2人で重量物を縦にして運んでいました。そのうちの1人にとっては耐えがたい重さでした。その従業員は、重量物を強く押さなくてはならないのに反対に手を離してしまいました。もう一方の従業員に荷重がかかり、彼も支えきれず手を離してしまいました。2人共危ういところで後ろへ飛び去り難をのがれました。この種の作業を行う時は、意識を集中させることが大切です。

11. 重い機械が落下:
 私達は、適切な荷重面がない重い機械を1台、2つの架台の上に置きました。作業員が不注意にも架台の一方にぶつかったところ、機械が地面に落ちてしまいました。その機械は非常に重かったので、足の上に落ちていたら足が砕かれてしまったことでしょう。

12. 墜落のリスク:
 私は、建築現場を示す大きな表示板を外そうとしていました。はしごを会社に置いきてしまったので表示板をよじ登り、地上4mのところでネジを外し始めました。もし表示板がもっと早く外れていたならば、私は簡単に落下していたことでしょう。父にこの話をしたところ、重大なうっかりミスだと言われました。起こったかもしれないことを作業の後にあらためて考えるならば、その作業をする前にもっとよく考えるべきです。

13. 円筒容器(5トン)のベアリング交換:
 私達はある現場で、重さ5トンの円筒容器の吊り上げ作業を行っていました。その容器のベアリングを交換するためです。作業をおこなうにあたって私たちは、いくつかのリベットを見落としていました。移動式クレーンで容器を持ち上げようとしましたが、びくともしません。時々あることですが、古い容器は地面にくっついているため、強く引っ張らなければ持ち上がりません。そこでクレーンの力を強めました。しかしクレーンの張力が7トンになっても、容器は依然として動きません。クレーンを作動させたまま同僚が容器の中に入り調べたところ、3本のリベットがついているのが見つかりました。その時突然リベットが外れ、同僚を中に入れたまま容器が空中に舞い上がりました。幸いにも同僚は無事でした。

14.固定されていないはしご付き足場:
 冬のある日、我々は、はしご付き足場を1セット設置しました。3つのはしごに足場板を渡したものです。はしごは、動かないように地面にしっかりと固定しなければならないのですが、我々は手抜きをし、そのまま足場の上で作業を始めました。一方、地面の霜は溶けかかっていて、真中のはしごが滑り始めていました。しかし幸いにもはしごはベースにぶつかり止まりました。足場板は、真中のはしごの部分で、留め金によりつながっていたのです。我々はすぐはしごを降り、ほっとして深呼吸をしました。そしてはしごを安全に据え直しました。

15. 突き出し屋根を作る:
 我々は1本のはしごの上に立ち、突き出し屋根を急いで作っていました。突き出し屋根を手で持ち上げた後、握り方を変えなければならなくなりました。その時屋根が手から滑り落ちそうになりました。正しい向きで立っていなかったので、同僚がもう少しで落ちるところだったことに気付きませんでした。

16. ドリルに水が落ちた:
 そのドリルは、外側がプラスチックの絶縁体でできており握りはゴムで覆われているため、たとえ電気ケーブルに穴をあけたとしても危険ではありません。しかしあるとき、上の方から水が落ちてきて感電してしまいました。電気ショックが強いものではなかったため無事でしたが、危ないところでした。

17. 荷台からレンガを下ろす:
 私達は建築工事の作業中でした。私は荷台の上に立って積荷のレンガを下ろしていました。私を含めたすべての重量が一枚の板の上にかかり、その板が壊れてしまいました。私はとっさに近くの物につかまり、無事でした。