お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別、分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年7月13日
シンガポールの安全衛生統計については、 シンガポール人材開発省( Ministry of Manpower )のウェブサイトに掲載の安全衛生に関する年次報告書( Occupational Safety and Health Division (OSHD)Annual Report 2008 )の7.情報と統計( 7. Information & Statistics )の項に掲載されているので、その一部を紹介する。
2008年の労働者10万人当りの労働災害による死亡者数(死亡10万人率)は、2.8で前年の2.9から減少し、引続き減少傾向にある。2018年までに死亡10万人率を1.8まで引き下げるという国家目標に順調に向っている。
死亡災害件数では、2007年の59件に対し2008年は60件でほぼ同じであるが、一度に複数が死亡する事故が発生していることから、死亡者数では、63人から67人に増加した(表1及び2)。雇用増加により労働者数が増加したことにより、死亡10万人率は減少した。
2008年の死傷災害は、2007年より10.5%増加し、11‚072件であった。最も多い一時労働不能災害は、いくつかの産業において労働活動が活発化したことから、2007年の9,792件から10,873件に増加した(表2)。
永久(全部、一部)労働不能災害は、それらの多くは上肢の切断災害であるが、2007年の163件から132件と減少した(表2)。
度数率(100万労働時間当りの労働災害件数)は、1.9で、2006年以来変化がなかった(表3)。強度率(100万労働時間当りの労働損失日数)は、2004年から減少傾向を示している(表3)。強度率は、2007年の116人日に対して、112人日と減少した。しかしながら、強度率は低下したが、総損失日数では前年の617,000人日から643,000人日と増加した。
職業性疾病に関しては、2008年には新たに855件が確認されたが、これは前年に比べて42%増加した(表2)。職業性疾病の大幅な増加のために、10万人当りの発生件数も36.2と前年の27.7に比べて増加した(表3)。
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | |
---|---|---|---|---|---|
死亡者数 | 83 | 71 | 62 | 63 | 67 |
死亡10万人率 | 4.9 | 4.0 | 3.1 | 2.9 | 2.8 |
2008 | 2007 | |
---|---|---|
死傷災害計 | 11,072 | 10,018 |
死亡災害 | 67 | 63 |
永久(全部、一部)労働不能 | 132 | 163 |
一時労働不能(休業4日以上) | 10,873 | 9,792 |
職業性疾病 | 855 | 602 |
2008 | 2007 | |
---|---|---|
死傷災害発生率 | 469 | 460 |
死亡災害 | 2.8 | 2.9 |
永久(一部、全部)労働不能 | 5.6 | 7.5 |
一時労働不能 | 460 | 450 |
度数率 | 1.9 | 1.9 |
強度率 | 112 | 116 |
職業性疾病発生率 | 36.2 | 27.7 |
2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | |
---|---|---|---|---|---|
度数率 | 2.1 | 2.1 | 1.9 | 1.9 | 1.9 |
強度率 | 164 | 145 | 125 | 116 | 112 |
2008年には855件の職業性疾病が確認された、これは前年のほぼ1.5倍に相当する。全疾病件数は、労働者10万人当り36.2であり、前年の27.7より増加した。これは、主として騒音性難聴の増加によるものであり、2007年に開始した騒音性難聴対策が図られ、報告件数が増加したものである。
医師及び事業者による届出が労働安全衛生(事故等報告)規則により義務付けられている。31の疾病が要届出疾病とされている。シンガポール人材開発省労働安全衛生局は、国家医療グループ等をパートナーとし、この届出を促進している。届出のあった事案については、業務関連性を調査するとともに他の労働者も影響を受けているかどうかについて確認している。そして適切な健康管理対策について関係業種、企業及び労働者に勧告をしている。
2008年の職業性疾病は、労働者10万人当り36.2で前年の27.7より増加した。最も多いのが製造業で3分の2(66%)となっている(表5)。このうち、ほぼ5分の4(78%)が金属加工及び輸送用機器で発生している。労働者数を考慮すると輸送機器においては、最高の発生率となっている(10万人当り908件)。これは全産業の発生率の25倍に相当する。
業 種 | 2008 | 2007 |
---|---|---|
全産業 | 855 | 602 |
建設業 | 56 | 45 |
海運業 | 75 | 33 |
製造業 | 565 | 359 |
金属加工 | 244 | 179 |
輸送用機器 | 198 | 63 |
石油製品 | 29 | 5 |
食品、員良品、煙草 | 21 | 7 |
ゴム及びプラスチック製品 | 19 | 26 |
電気電子機器 | 18 | 28 |
製紙及び印刷 | 15 | 11 |
上下水道、廃棄物管理 | 7 | 16 |
運輸及び輸送 | 64 | 79 |
ホテル、レストラン | 10 | 6 |
医療 | 7 | 8 |
その他 | 71 | 56 |
疾病の種類 | 2008 | 2007 |
---|---|---|
合計 | 855 | 602 |
騒音性難聴 | 743 | 490 |
初期段階 | 741 | 485 |
進行段階 | 1 | 5 |
皮膚疾患 | 66 | 59 |
化学物質の吸入過剰 | 11 | 3 |
化学物質による中毒 | 8 | - |
高気圧による疾患 | 7 | 2 |
気圧障害 | 5 | 17 |
肺がん | 5 | 3 |
筋骨格系障害 | 5 | 25 |
中皮腫 | 4 | - |
その他 | 1 | 3 |
労働者の健康診断の結果、異常所見率(労働者1,000人当りの異常所見数)は、3.6で、前年の5.4から減少している。また、異常所見の多くは、金属加工、船舶造修業における騒音によるものである。
1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
17.0 | 6.9 | 6.0 | 4.4 | 5.7 | 2.9 | 6.5 | 7.3 | 5.4 | 3.6 |