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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年8月11日
香港における労働災害統計については、香港職業安全健康局(OSHC
) ウェブサイトで閲覧することができる。
下記資料の2件から災害統計の概況を紹介する。
2008年の全事業場における労働災害による死傷者数は、41,900人で前年よりも4.7%減少し、千人率は16.9から15.8と6.3%減少した(図1)。
図1 労働災害による死傷者数及び年千人率(1999〜2008)
※棒グラフは死傷者数、折れ線グラフは年千人率
2008年の全事業場における労働災害による死亡者数は、181人、前年の172人に比べて5.2%増加した。千人率も0.068で前年よりも3.5%増加した(図2)。
図2 労働災害による死亡者数及び年千人率(1999〜2008)
※棒グラフは死亡者数、折れ線グラフは年千人率
労働災害による死傷者41,900人のうち、80%以上は下記の主要経済部門において発生している(表1)。
表1 主要経済部門別の死傷災害の発生の状況
卸し小売、レストラン、ホテル | 30.6% |
地域、社会、個人サービス | 27.5% |
金融、保健、不動産及び輸出入業 | 13.1% |
輸送及び関連業、倉庫、通信 | 12.3% |
2008年の産業災害による死傷者数は、14,932人で前年よりも7.4%減少した。産業災害千人率では、27.2で前年よりも7.3%減少した(図3)。
図3 産業災害による死傷者数及び年千人率(1999〜2008)
※棒グラフは死傷者数、折れ線グラフは年千人率
産業災害による死亡者数は、24人で前年よりも4.0%減少した。千人率は、0.044で前年よりも4.0%減少した(図4)。
図4 産業災害による死亡者数及び年千人率(1999〜2008)
※棒グラフは死亡者数、折れ線グラフは年千人率
建設業における産業災害死傷者数は、3,033人で前年よりも0.3%減少したが、千人率は、61.4で前年よりも1.2%増加した(図5)。
図5 建設業における産業災害死傷者数及び千人率の推移(1999〜2000)
※棒グラフは死傷者数、折れ線グラフは年千人率
建設業における産業災害死亡者数は、20人で前年より増加し、千人率は、0.405で前年より増加した(図6)。過去5年間の平均では、死亡者数全体の76%が建設業で発生している。
図6 建設業における産業災害死亡者数及び千人率(1999〜2008)
※棒グラフは、死亡者数、折れ線グラフは年千人率
外食産業における産業災害死傷者数は、8,049人で前年より9.3%減少し、千人率は、38.7で前年より10.9%減少した(図7)。
図7 外食産業における産業災害死傷者数及び千人率(1999〜2000)
※棒グラフは死傷者数、折れ線グラフは年千人率
製造業における産業災害死傷者数は、2,467人で前年より9.8%減少し、千人率は、16.3で前年より6.6%減少した(図8)。
図8 製造業における産業災害死傷者数及び千人率(1999〜2000)
※棒グラフは死傷者数、折れ線グラフは年千人率
職業性疾病認定の推移:2008年の職業性疾病認定件数は、2007年の177件に対して204件であった(図9)。
図9 職業性疾病認定の件数(1999〜2008)
種類別の状況:2008年の認定職業性疾病は、多い順に、珪肺、職業性難聴、手または前腕の腱滑膜炎及び結核であった(表2)。
表2 種類別職業性疾病認定状況(2008)
職業性疾病 | 件数 |
---|---|
珪肺 (Silicosis) | 65 |
職業性難聴 (Occupational deafness) | 58 |
手または前腕の腱滑膜炎(Tenosynovitis of hand or forearm) | 40 |
結核 (Tuberculosis) | 25 |
石綿肺 (Asbestosis) | 5 |
ガス中毒 Gas poisoning) | 4 |
職業性皮膚炎 (Occupational dermatitis) | 3 |
連鎖球菌感染症 (Streptococcus suis infection) | 3 |
中皮腫 (Mesothelioma) | 1 |
合計 | 204 |
じん肺発生状況:2008 年には、65件の珪肺の認定があり、大部分は建設業と採石業において発生している。石綿肺の5件は、船舶造修業、建設業及び解体業で発生したものである(図10)。
図10 じん肺発生の件数(1999〜2008)
※赤は珪肺、白は石綿肺
職業性難聴:2008年には、58件の職業性難聴が認定され、作業別では、多い順に、岩石研磨、ハツリ、切断、ハンマー作業が47%、金属研磨が29%、紡織(10%)、岩石等の破砕、選別機械の近傍の作業(5%)、金属打撃(3%)、丸鋸盤等の使用(3%)、その他(3%)であった。
図11 職業性難聴の件数(1999〜2008)
腱膜炎(手前腕):2008年には、40件の腱膜炎が認定されし、ケータリングに従事する労働者、一般作業者、事務所労働者、実験室テクニシャンなど医療関連労働者に多い。
業種別では、多い順に、地域、社会、個人サービスが50%、卸し小売、レストラン、ホテルが30%、製造業(8%)、建設業(5%)、金融、保健、不動産及び輸出入業が5%、輸送及び関連業、倉庫、通信が2%であった。
図12 腱膜炎(手前腕)の件数(1999〜2008)
結 核:2008年には、25件の結核が認定された。多くのケースは医師、看護士、実験室テクニシャン及び医療支援職員であった。
図13 医療関係者の結核罹患の件数(1999〜2008)
労働災害における死傷者(Occupational injuries):作業中の災害により負傷し、死亡または4日以上の労働不能となり、労働者災害補償令に基づき報告されたもの(産業災害を含む。)
産業災害(Industrial accidents):工場及び事業場令により定義されている事業場における産業活動により生じる負傷または死亡災害
職業性疾病(Occupational diseases):労働者災害補償令、職業性難聴(補償)令及びじん肺・中皮腫(補償)令に基づき報告され、認定された職業性疾病をいう。
区分 | 2008年 | 2009年 | 対前年比 |
---|---|---|---|
産業災害 | 14,932(20) | 13,600(21) | -8.9% |
建設業 | 3,033(20) | 2,755(19) | -9.2% |
外食産業 | 8,049 | 7,4,70 | -7.2% |
製造業 | 2,467(2) | 2,045(1) | -17.1% |
その他 | 1,383(2) | 1,330(1) | -3.8% |
労働災害 | 41,900(181) | 39,579(165) | -5.5% |
職業性疾病認定件数 | 204 | 265 | +31.4% |
※カッコ内は、死亡者数
主要経済部門 | 2008年 | 2009年 |
---|---|---|
農業、水産業 | 186 | 186(2) |
鉱業、採石業 | 0 | 1 |
製造業 | 3,587(16) | 3,146(6) |
電気、ガス | 48 | 35 |
建設業 | 3,087(36) | 2,827(41) |
卸し小売、レストランホテル | 12,805(16) | 12,237(12) |
輸送、倉庫、通信 | 5,169(23) | 4,432(26) |
金融、保険、不動産、輸出入 | 5,478(52) | 5,315(39) |
地域、社会、個人サービス | 11,531(38) | 11,499(39) |
定義不能 | 0 | 0 |
合計 | 41,900(181) | 39,579(165) |
種類 | 2008年 | 2009年 |
---|---|---|
製造業 | 2,467(2) | 2.045(1) |
繊維 | 186 | 95 |
衣料 | 62 | 37 |
電子機器 | 116 | 78 |
金属 | 78 | 45 |
プラスティック | 58 | 42 |
船舶造修 | 78 | 76 |
印刷 | 251(1) | 185 |
その他 | 1,632(1) | 1,487(1) |
建設業 | 3,033(20) | 2,755(19) |
外食産業 | 8,049 | 7,470 |
鉱業採石、公益事業、運輸、サービス | 1,383(2) | 1,330(1) |
合計 | 14,932(24) | 13,600(21) |
種 類 | 疾病コード(2008) | 疾病コード(2009) | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3 | 8 | 14 | 16 | 40 | 計 | 3 | 8 | 14 | 16 | 40 | 計 | |
農業、水産業 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
鉱業、採石業 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
製造業 | 0 | 3 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 |
電気、ガス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
建設 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 4 |
卸し小売、輸出入 | 9 | 12 | 0 | 2 | 0 | 14 | 0 | 10 | 0 | 0 | 2 | 12 |
運輸、倉庫、通信 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 4 | 0 | 0 | 0 | 4 |
金融、保険、不動産、サービス | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
地域、社会、個人サービス | 0 | 20 | 50 | 0 | 2 | 47 | 0 | 21 | 18 | 0 | 5 | 44 |
合計 | 0 | 40 | 25 | 3 | 3 | 71 | 1 | 39 | 18 | 0 | 10 | 68 |
JISHA海外トピックス 2009年7月30日 海外の労働安全衛生統計−香港(2007)