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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年8月11日
NIOSH eNews 2010年 7月
(Volume 8 Number 2)
アメリカ国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、国家安全衛生研究計画(NORA- National Occupational Research Agenda
)の一環として、10の産業分野について協議会を設置して、分野ごとの研究計画書の策定を進めてきたが、2010年7月に「製造業編」(
National Manufacturing Agenda-June 2010
)及びこれに付帯するファクトシート10件を刊行したので、これらの概要を紹介する。
原資料の題名と所在
計画書の概要 National Manufacturing Agenda- June
計画書本文
National Manufacturing Agenda - June 2010
(PDF 153KB 22pages)
ファクトシート
製造業における災害発生の概況とこれらを防止するための10項目の戦略目標を達成するための計画が示されている。
2007年において、アメリカの製造業では、1‚600万人の労働者が、食品、飲料、たばこ、繊維製品、石油、化学、金属、機械、コンピューター、輸送機械、家具製造などの21の業種に雇用されている。このうち、30%が女性、30%が少数民族(ヒスパニック15%、黒人またはアフリカ系、10%、アジア系5%)である。また、アメリカの全労働者の製造業に従事する労働者の占める比率は、10%である。
業務上の傷害による死亡者数は、393人(主に衝突140人、交通災害102人、墜落48人)で、死亡に至らない傷害及び疾病の数は、783‚100件、このうち半数以上が休業を要した。件数が多いのは、衝突 70‚210件、過剰・繰り返し負荷によるもの52‚120件、墜落26‚160件などであった。
戦略目標 1: | 衝突による傷害及び死亡件数の減少 |
戦略目標 2: | 墜落による傷害及び死亡件数の減少 |
戦略目標 3: | 筋骨格系障害(MSDs) 件数の減少及び重大性の低下 |
戦略目標 4: | 聴力障害件数の減少 |
戦略目標 5: | 呼吸器系疾患件数の減少 |
戦略目標 6: | 職業がん件数の減少 |
戦略目標 7: | 短期契約労働者、若年及び高年労働者、移民、妊娠中の女性、介護従事者など弱い立場にある労働者の傷害及び死亡件数の減少 |
戦略目標 8: | 労働者数100名以下の小企業および特殊な部門における傷害及び死亡件数の減少 |
戦略目標 9: | 健康及び安全において、今後増大が見込まれるリスクに関する情報入手の強化 |
戦略目標 10: | 破局的災害件数の減少 |
Work-Related Respiratory Diseases -
NIOSH Publication No. 2010-144: May 2010
製造業においては、他の分野と比較して、綿肺、珪肺、アスベスト肺、ベリリウム肺、じん肺、間質性肺炎の発生の多いことが認められている。喘息は職場におけるばく露によって、発生したり、悪化することがある。
Catastrophic Incidents in Manufacturing-
NIOSH Publication No. 2010-149: May 2010
2005年においては、破局的な爆発、火災事故の発生により、製油所において15名が死亡し、2007年においては、製油所の粉じん爆発によって、14名が死亡した。その他においても、多数の死傷者と設備の損害が発生しているが、これらの発生を体系的に把握するシステムがいまだ存在していない。
Occupational Emerging Risks-
NIOSH Publication No. 2010-148: May 2010
人的及び設備的な損失を招く危険性が知られていないものについて、把握に努める必要がある。新しく開発された化学物質に対するばく露は、そのひとつの例である。
Small Businesses in Manufacturing-
NIOSH Publication No. 2010-147: May 2010
アメリカの製造業においては、従業員数100名以下の事業場が30万2‚000存在し、91.4%を占める。規模の小さい事業場は安全衛生担当者の設置が困難なので、業界団体、コンサルタント、保険会社及び政府機関に頼ることが必要となる。
Health Disparities in Manufacturing-
NIOSH Publication No. 2010-146: May 2010
人種的少数派は、言語の違い、識字能力、経済力、危険有害性に関する知識不足及び労働安全衛生の普及が不十分なこと等が原因となって、健康対策の格差が生じやすいので、これに対処する必要がある。
Work-Related Cancer -
NIOSH Publication No. 2010-145: May 2010
アメリカにおけるがんによる死亡の4%が職業性ばく露によるものだと見積もられてきたが、これは過小評価だと見られる。職業性ばく露の大部分は、製造業において生じたもので、ばく露防止対策を推進することが必要である。
Occupational Injuries & Fatalities Due To Falls -
NIOSH Publication No.2010-143: May 2010
2008年における製造業の傷害による死亡411件のうち、衝突によるものは116件、交通災害104件、墜落58件であった。休業災害のうち、衝突によるもの60‚430件、過剰・繰り返し負荷によるもの47‚190件、墜落によるもの24‚260件であったので、衝突と墜落を取り上げることとした。
Injuries & Fatalities From Contact with Objects-
NIOSH Publication No.2010-142: May 2010
墜落による傷害と死亡と同一内容
Occupationally-Induced Hearing Loss -
NIOSH Publication No. 2010-136: March 2010
聴力障害を生じた労働者のうち、72%は製造業に属する。聴力障害の多くは、自身が気づかぬ間に徐々に進行するが、最初の10年間における進行が早いので、新たに就業した労働者における対策の実施が特に重要だが、中年及び高年においても、会話領域の周波数の聴力低下の防止に努めなければならない。
Musculoskeletal Disorders in Manufacturing-
NIOSH Publication No. 2010-129:March 2010
2007年の統計によると、製造業のMSDsの発生件数は、労働者10‚000人当たり41件にも達しており、この発生を防止することは、生産性の向上及び労災補償費、医療費の節減に効果がある。NORAの製造業分野協議会は、検診、疫学調査、ばく露評価及び、原因調査のための研究計画を開発した。
アメリカ国立労働安全衛生研究所(National Institute for Occupational Safety and Health-NIOSH)国家安全衛生研究計画(National
Occupational Research Agenda- NORA
)のホームページ
国家安全衛生研究計画(National Occupational Research Agenda- NORA)の趣旨については、下記旧JICOSH記事を参照
NORA(National Occupational Research Agenda
)について