お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年10月29日
EU-OSHA Press Releases 2010年7月21日
欧州安全衛生機構(EU-OSHA)は、職場健康増進(WHP- Workplace Health Promotion)が重要であるとの記者発表(Workplace Health Promotion improves productivity and well-being)を行うとともに、これに関するウェ ブサイトを新設して関連情報を掲載した。
EU-OSHAが作成したファクトシートの概要及びこれに関する最近の主要な動向について紹介する。
職場健康増進とは、事業者、従業員及び関連機関が、職場で働く人々の健康と福祉を改善するために行う活動(参考資料:http://www.enwhp.org
)で 、以下の各項の結びつきによって達成される。
作業組織における手段
職場環境における 手段
個人面における手段
従業員が健康的に働くことにより企業は繁栄する。 従業員が働きやすく健康的な環境を作ること(参考資料:http://www.enwhp.org
)により、以下の効果が得られる(参考資料:
http://www.who.int/occupational_health/topics/workplace/en/index1.html
)。
ある調査報告によると職場健康増進に対する投資は、投資額1ユーロに対し、欠勤低減の効果により2.5−4.8ユーロの利益をもたらした(参考資料:
http://www.iga-info.de/fileadmin/texte/iga_report_3e.pdf
)。
職場健康増進を成功させるためには、企業内のあらゆる部門、特に経営層の継続的な参加が重要である。職場健康増進プログラムの内容は、企業及び従業員のニーズに合致したものであることが必要で、標準化されたモデルは存在せず、職場健康増進の原理に沿って、個々の企業の状況に合致する以下を含む ことが必要である。
−職場健康増進プログラムの実施に際しては、安全で健康な作業環境が必要である。職場健康増進は、適切なリスクマネジメントを要求する健康カルチャーを基礎とする。
−職場健康増進は、法律の要求 を超える、労使双方の自発的な行動に基づくものである。
−職場健康増進は、事業所全体の経営活動に永続的要素として組み込まれなければ成功を得ることはできない。
欧州においては、職場の筋骨格系障害、ストレスなどへの対策として、個別的な対策に加えて職場健康増進(WHP-Workplace Health Promotion)を取り入れる傾向が強まっているように考えられるため 、最近の主な動向について項目のみを紹介する。
EU-OSHA Press Releases 2010年7月21日
EU-OSHA が職場健康増進を推進するのは、健康の向上、欠勤の減少、動機付けの強化及び生産性の向上が得られることによる。事業者は、従業員のライフスタイルが健康的であるために、重要な役割を果たす。ある調査報告によると職場健康増進に対する投資は、投資額1ユーロに対し、欠勤低減の効果により2.5−4.8ユーロの利益をもたらした(注1)とし、職場健康増進(WHP)に関するサイトを設置したことを記者発表した。
(注1)WHPによる利益の根拠資料
IGA-Report 3e: Health-related and economic benefits of workplace health promotion and prevention‚ Summary of the scientific evidence
欧州職場健康増進ネットワーク(ENWHP−The European Network for Workplace Health Promotion
)は、欧州各国における職場健康増進担当機関の連合体である。2年ごとにテーマを変えて、キャンペーンを行っている。EUとしての取り組み方針他、ENWHPとしての指針など多数の刊行物及び各国で作成された指針、手引きなど300件以上の資料を含むデータベースなども提供している。
世界保健機関(WHO)は、世界保健総会(World Health Assembly )が2007年に承認した「世界労働者の健康活動計画」の一環として「健康な職場モデル」を策定した。健康な職場に関する文献収集及び2009年10月に開催された22ヶ国、56名の専門家によるワークショップに基づくものである。
の三つの要素を包括的に考慮して、行動を行うためのモデルである。個別の内容は特に斬新ではないが、証拠に基づいた取り組み、健康の保護と増進に関する原理を結合して、革新的に組み立てたものである。諸要素への取り組みが、従来は個別的になりがちであったところを、統合的に対処しようとすることに特色がある。
なお、社会心理的リスクマネジメントに関しては、WHOは、「PRIMA-EF Consortium の欧州フレームワークによる社会心理的リスクマネジメントの手引き」を「労働者の健康保護シリーズ」9号として刊行している。また、PRIMA-EF(Psychosocial Risk Ma nagement−European Framework)のサイトには、他の多くの関連情報が掲載されている。
PRIMA-EF: Guidance on the European Framework for Psychosocial Risk Management: A Resource for Employers and Worker Representatives
(WHO Protecting Workers' Health Series: No. 9)(2008)
欧州生活・労働条件改善財団(European Foundation for the Improvement of Living and Working Conditions-Eurofound
)が、欧州連合27ヶ国及びノルウェイから提出された「欠勤」の状況に関する情報をとりまとめた報告書である。
「欠勤」とは、一般に予定されていた勤務に就かなかったことをいうが、詳細な定義およびこの発生状況の把握手段は、各国においてそれぞれ異なるため、各国間の厳密な比較は困難である。欠勤率については、 イタリアの0.7%が最も小さく、 ノルウェイの7.7%が最大となり 幅が広い。欧州全体において、欠勤による労働時間の損失は、低下する傾向にあり、平均的には3-6%である。また、これによる経済的損失は、GDPの2.5%に達する。欠勤の主たる原因は健康上の問題によるものであり、各国の欠勤を防止する政策においては、働きやすい職場づくり、健康増進、労働者の福祉などによって、出勤率の向上をうながす施策を取り入れる国が増加しつつある。
各国の状況を調査比較した報告書(Counting the cost of absence from work
)
NEBOSH News posted on 11 March 2010
イギリス安全衛生資格認定委員会(National Examination Board in Occupational Safety and Health-NEBOSH
)は、職場健康増進活動の管理者(NEBOSH Certificate in the Management of Health and Well-being at Work)の資格認定を開始した。養成のための教育課程、学習時間なども掲載されている。
これは、イギリス政府の働く人たちの健康・福祉に関する新政策に対応する人材を育成するためのものである。イギリス政府の新政策の概要については、下記JISHA海外トピックスを参照。
JISHA 海外トピックス:イギリス政府の働く人たちの健康・福祉に関する新政策 2009年4月17日
ILO-Safeworkは、2010年世界労働安全衛生の日(World Day for Safety and Health at Work
)のリーフレット「変動する労働の世界に新たに出現しつつあるリスクと新しい予防形態」(
Emerging risks and new forms of prevention in a changing world of work
)において、職場健康増進をリスクアセスメント・マネジメントと同列に取り上げている。
そのウェ ブサイト(> SAFEWORK home > Areas of work)には、職場の健康増進及び福祉(Health Promotion and Well-Being in the Workplace
)並びに社会心理的ハザード及びメンタルストレス(
Psychosocial hazards and mental stress
)のページがある。
また、安全衛生施策への健康増進の統合(SOLVE: Integrating health promotion into OSH Policies)プログラムによる訓練コース(イタリアのILOトリノ訓練センターで実施)が掲載されている。
http://www.ilo.org/safework/lang--en/index.htm
訓練コース開催案内リーフレット(
SOLVE: Addressing Psychosocial Factors through Health Promotion in the Workplace‚ 15 - 19 November 2010 Turin‚ Italy
)