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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
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国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2012年3月28日
欧州労働安全衛生機構(EU-OSHA
)から2012年1月4日付け、標記の解説書が発刊されている。この資料は33ページに及ぶ膨大なものであるが、そのうちの概況(Introduction)を紹介する。
原資料の所在:
EU-OSHA:労働安全衛生向上のための経済的インセンチブをどのようにして創出するか−実施解説:
How to create economic incentives in occupational safety and health: A practical guide
実施解説の目次
欧州各国は、事業場の安全衛生を向上させるために経済的インセンチブを導入し、労働者の保護に最善を尽くす事業場を報奨することにより利益を得ることができる。これは、EU-OSHAが推進している経済的インセンチブ事業のメッセージである。
いくつかの欧州の国々では、すでに、労働者の安全確保に投資する企業に対して様々な財政的報奨制度を提供している。これらの報奨制度は、国の補助・助成から税金の控除、銀行による貸付の優遇措置、好成績の企業に対する保険料率の低減など多岐にわたっている。
労働安全衛生に関する欧州戦略(2007−2012)において、企業が労働災害防止活動に好事例を用いるよう動機付けるための経済的インセンチブの必要性を認めている。
EU-OSHAは、最も成功すると考えられる各種の経済的インセンチブについての情報を提供することによりこの需要に合うよう貢献してきている。外部からの経済的インセンチブはすべての組織における災害防止投資を刺激することができ、かくしてより低い災害発生率をもたらすことが、研究の結果からも証明されている。例えば、
このプロジェクトにおいて、各種のインセンチブスキームは非常に効果的であり、企業における労働安全衛生の改善努力を促進していることを明確に示している。エルスラー(Elsler)等によれば、EU各国においてインセンチブスキームに支出した1ユーロは、労働条件の改善により労働災害の防止、職業性疾病の予防及び欠勤率の低下を通じて4.81ユーロの節約効果があった。
企業に対する上記のようなビジネスケースのほかに、経済的インセンチブスキームについては次のような効果についても議論されている。
このプロジェクトは、2007〜2012年において労働災害を25%減少させるとしている欧州労働安全衛生戦略により加速され、最初のフェーズで次のようないくつかの成果がもたらされた。
第2フェーズにおいては、インセンチブスキームを開発し、最適化することに関心がある組織のためのより実際的な成果物が産み出されつつある。
この資料は、我々の経済的インセンチブプロジェクトにより得られた知見に基づいており、欧州域内のインセンチブ提供者がそのスキームを創出し、最適化を支援することを意図しているものである。第一義的な対象は、労働安全衛生を向上させるために経済的インセンチブを提供することができる組織体であり、例えば、保険会社、ソーシャルパートナー、政府機関などである。
これらの組織体は、保険機関の顧客など企業の更なる努力を促進させる重要な媒介体である。
欧州安全衛生機構の経済的インセンチブプロジェクトからの1つの結論は、「インセンチブスキームは単に過去の労働安全衛生管理についての結果を報奨するのではなく、将来の労働災害及び業務上疾病に対する防止努力に対しても報奨する」というものである。