お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2012年6月20日
危険有害な化学品から労働者を適切に保護するために、アメリカ労働省労働安全衛生局(OSHA
)は、国連のGHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)に合わせて、危険有害性周知規則を改正する。改正に係る報告書は、858ページにも及び、種々の角度から検討し、そして、OSHAの改正危険有害性周知規則は、労働者の受理する危険有害性情報の品質、一貫性、透明性を向上させ、労働者が安全に仕事ができるようにし、事業者がグローバル市場で競争力を維持することを容易にするだろうと述べている。また、改正規則は、年間で43人の死亡と521人の傷害と疾病を防ぐと推定し、OSHAは、改正規則の金銭に換算された安全衛生の便益は、年間2億5000万ドルであり、コスト削減と生産性の向上は、年間で5億700万ドルとなると報告している。
危険有害な化学品から労働者を適切に保護するために、アメリカ労働省労働安全衛生局(OSHA)は、国連のGHS(化学品の分類及び表示に関する世界調和システム)に合わせて、危険有害性周知規則を改正する。新規則が施行されれば、毎年、アメリカ企業において、推定で、43人の死亡を予防し、4億7520万ドルの生産性の向上につながるだろう。
"危険有害な化学品へのばく露は、今日のアメリカの労働者が直面する最も危険なものの一つである"と労働長官ヒルダ・L・ソリスは述べている。"OSHAの改正危険有害性周知規則は、労働者の得る危険有害性情報の品質、一貫性、透明性を向上させ、労働者が安全に仕事をできるようにし、事業者がグローバル市場で競争力を維持することを容易にするだろう"
国連のGHSに合わせて改正された危険有害性周知規則は、2016年に完全に施行され、事業場での化学品の危険性の混乱を減らし、安全教育を促進し、危険性の理解を向上させ、労働者、特に知識経験の乏しい労働者のために便益をもたらすだろう。
OSHAの規則は、健康面と物理的な危険性に基づき化学品を分類し、アメリカ国内で製造される及び海外から輸入されるすべての化学品に一貫性のあるラベルと安全データシートが整備されることになる。改正規則はまた、毎年、推定585人の傷害と病気を予防すると期待される。
それは貿易障壁を減らし、規則の対象となる化学品の安全データシートとラベルを定期的に更新するアメリカの企業の3220万ドルのコスト削減だけでなく、定期的に危険な化学品を取り扱い、貯蔵し、使用するアメリカの企業の生産性の改善で予測可能な毎年の便益をもたらす。
"1983年のOSHA危険有害性周知規則は、労働者に知る権利を与えた。規則制定の過程で1人の関係者が述べたように、この改正は、彼らに理解するための権利を与える"と労働安全衛生局次官ラビット・マイケル博士が言った。
規則に記載された完全施行日まで移行期間中、化学品生産者、輸入業者、販売/流通業者、事業者は、連邦規則1910.1200(最終規則)のコード29、現在の規則または両方のいずれかに従っても差し支えない。改正規則の最終版は、http://s.dol.gov/P1
で利用可能である。
危険な化学品の労働者、事業者及び下流消費者のための更なる情報は、OSHA危険有害性周知安全衛生トピック(http://www.osha.gov/dsg/hazcom/index.html
)で調べられる。OSHAの改正危険有害性周知規則とQ&A OSHAファクトシート及びクイックカード(Quick Cards)のようなガイダンス資料へのリンクが張ってある。
1970年の労働安全衛生法(the Occupational Safety and Health Act)の下で、事業者は、従業員に安全で健康的な職場を提供する責任がある。OSHAの役割は、アメリカで働く男性と女性のために、規則を設定し、適用すること、教育訓練と支援を提供することにより、これらの条件を確保することである。更なる情報は、http://www.osha.gov
を参照。
原資料の所在
同pdf
この改正規則は、OSHAが、国連のGHSに適合させるために危険有害性周知規則(HCS)を改正するものである。OSHAは、改正がコストと負担を削減し、また、化学品の危険有害性に関する事業者と従業員に提供される情報の質と一貫性を向上させると確信している。
大統領令13563(既存の規則の評価と、必要に応じての修正と改正を要請している)の要請に基づき、この改善された情報が、従業員がばく露の可能性のある化学品の危険有害性の知見を得ることを確実にし、そして、化学品に関連した職業性疾病と傷害を減少させるHCSの効果を強化すると、OSHAは、結論づけた。
規則の改正は、化学品の危険有害性の分類のための改正された分類基準;標準化された注意喚起語(signal words)、絵表示(pictograms)、危険有害性情報、注意書きの使用のための要件といったラベルの改正規定;安全データシートのための指定されたフォーマット;そして、規則で使用される用語の定義に関連した改正、及びラベルと安全データシートに関する従業員の訓練の要請がその内容となっている。
OSHAは、また、改正されたHCSの要件との整合性を確保するため、引火性及び可燃性液体に関する基準、プロセス安全管理(process safety management)、ほとんどの物質固有の健康基準など他の基準の規定を改正する。
これらの改正の結果、安全を向上させ、基準の国際的な調和を促進し、年間何億ドルも経費節減につながる。
施行日時:この改正規則は、[この連邦官報(Federal Register)で公表後60日を挿入]で効力が生じる。適用を受ける当事者は、労働省が行政管理予算局(the Office of Management and Budget:OMB)で割り当てられた管理番号を連邦官報で公表するまで改正規則による情報収集要件を遵守する必要がない。
住所: ( 略 )
詳細な情報の連絡先: ( 略 )
議論の概要は、次の通りである:
HCSは、化学品製造者と輸入業者が製造または輸入する化学品を評価し、容器にラベルを貼り、安全データシートを用意することにより川下の事業者及び従業員に危険有害性情報を提供することを要求する。
この改正規則は、国連のGHSの規定に合わせて、現在のHCSを改正する。HCSに対する改正は、かなりの負担とコストを削減し、また、化学品の危険有害性に関し、危険有害な化学品の分類とラベル化及びこれらの化学品のための安全データシート準備のための調和した規則を提供することにより、事業者及び従業員に提供する情報の質と一貫性を向上させる。
OSHAは、1970年の安全衛生(OHS)法で、可能な限り、すべての働く男性と女性のために安全で健康的な労働条件を確保する必要があるとされている。OHS法の第3(8)条(29米国連邦法典(U.S.C:United States Code)§652(8))は、労働長官に"安全で健康的な雇用及び雇用場所を提供する合理的に必要または適切な"規則を公布する権限を与えている。この表現は、OSHA規則が重大なリスクに対処し、このリスクを著しく減らすことを要求されていると最高裁判所によって解釈されている。Industrial Union Dep’t v. American Petroleum Institute(米国石油協会), 448 U.S. 607(1980)を参照のこと。
この前文のセクションⅣとⅤで論ぜられるように、化学品の危険有害性に関する従業員への不十分な情報伝達が、危害の重大なリスクを構成するが、OSHAは、改正規則がこのリスクを著しく減らすと推定している。
大統領令13563は、コストと便益の両方の定量化、すなわちコストの削減、調和のルール、柔軟性の促進の重要性を強調している。この規則は、大統領令12866の3(f)(1)で経済的に重要な規制措置として指定されいる。従い、この規則は、行政管理予算局(the Office of Management and Budget)で検討が行われ、そして、このセクションの残りの部分は、改正規則のコストと便益に関して解析の重要な知見をまとめたものである。
この改正規則は、国連のGHSの規定に合わせて、現在のHCSを変更するものであるため、改正規則に関する利用可能な代替案は、非常に限られたものである。OSHAは、は規則案に二つの主要な代替案を実質的に検討した−(1)既存のHCSの枠組みの中でGHSの自主的な採用、(2)特定のGHS構成要素の限定採用、この前文のセクションⅢ−、しかし、これらの代替案のコストと便益の定量的な推定は、合理的に実施することができない。
しかしながら、OSHAは、これらの代替案の両方ともこの規則の便益の重要な部分を排除するであろうと決定した。それは、米国で使用されるシステムが、一貫して均一に全国に適用され、国際的に調和のとれたシステムに準拠の場合のみ達成できるものだからである。
この前文のセクションⅣに提示された資料から作成された表SI-1は、改正規則のコストと便益の要約を提供する。示されるように、改正規則は、年間で43人の死亡と521人の傷害と疾病を防ぐと推定される。また、OSHAは、改正規則の金銭に換算した安全衛生の便益は、年間2億5000万ドルであり、年間のコスト削減と生産性の向上は、年間で5億700万ドルであると推定する。
さらに、OSHAは、簡略化された危険有害性の情報伝達の訓練及び貿易障壁の削減に基づく国際貿易の機会の拡大から改正規則がかなり(非定量的な)の経費節減を生み出す。この規則の推定されるコストは、年間で2億100万ドルである。
表SI-1に示されるように、改正規則に関連する主要なコスト要素には、新しいフォーマットと内容条件を満たすために、GHS基準とそれに対応する安全データシートとラベルの改正に従う化学的危険有害性の分類(2250万ドル);新しい警告シンボルと改正した安全データシートに精通する従業員の訓練(9540万ドル);必要に応じてのマネージメントの習熟と他のマネージメント関連コスト(5900万ドル);アップグレードされた印刷機器及び消耗品の購入または製品ラベルに赤枠のダイヤモンド形で囲まれた危険警告の標章(pictograms:絵表示)を含めるために事前に印刷された色ラベルを購入するコスト(2410万ドル)が含まれる。
改正規則は、年間コストと便益を7%の割引率を利用するなら、年間で金銭換算すると5億5600万ドルの実質便益を生み出すと推定される。3%の割引率の使用では、1年あたり1億6100万ドルまでコストを下げ、1年あたり8億3900万ドルの総便益を増加させることになる。この結果は、1年あたり5億5600万ドルから6億7800万ドルに実質便益(net benefits)を増加させる。
これらの推定は、情報提供のみを目的としており、改正規則の要件に関する決定の基礎としてOSHAで使用されているわけではない。
以下のポイント推定値は、解析を通して述べたような不確実性を反映するものではない。OSHAは、定量範囲を提供するのは消極的であるが、これらの推定が不確実であることを認識している。OSHAは、この前文のセクションⅥ.Kでこれらの推定に関する感度解析(Sensitivity Analysis)を提供する。
〔年間コスト(割引率 7%)〕 | |
化学品の危険有害性の再分類とSDSsとラベルの改正 | 2250万ドル |
従業員の訓練 | 9540万ドル |
マネージメントの習熟とその他の経費 | 5900万ドル |
危険有害な化学品のための包装とラベルのカラー印刷 | 2410万ドル |
総年間コスト | 2億100万ドル |
〔毎年の安全衛生の便益〕 | |
予防される休業を要しない傷害と疾病数 | 318(159〜1,590) |
予防される傷害と疾病による休業日 | 203(101〜1,015) |
予防される慢性傷害数 | 64(33〜320) |
予防される死亡者数 | 43(22〜215) |
〔年間便益〕 | |
安全衛生リスクの削減の金銭に換算した便益 | 2億5000万ドル |
安全衛生管理者及び担当者(Logistic Personnel)の生産性向上による経費節減 | 4億7520万ドル |
SDSsとラベルの定期的な更新による経費節減 | 3220万ドル |
簡略化された危険有害性の情報伝達訓練による経費節減 | 非定量 |
非関税貿易障壁の削減による経費節減 | 非定量 |
国際基準、各種合意基準及び他の連邦機関の基準とOSHA規則の一致 | 非定量 |
合衆国政府が支援している国際的な目標の達成への貢献 | 非定量 |
〔金銭換算可能な年間便益〕 | 7億5700万ドル(6億3200万〜17億5700万ドル) |
〔金銭換算可能な実質便益(便益−経費)〕 | 5億5600万ドル(4億3100万〜15億5600万ドル) |