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ハンガリーにおける労働災害統計については、ハンガリー中央統計局(Hungarian Central Statistical Office)ウェブサイトで閲覧できる。本ページでは、欧州安全衛生機構ウェブサイトのハンガリーのページに掲載された労働災害統計の概況を紹介する。
1.労働災害統計a)ここ十年、労働災害をめぐる数字は一見すると良好な傾向を示している。80年代半ば以降、労働災害届出件数は着実に減少を続けた。1989年の労働災害件数は8万を超えていたが、1998年にはわずか28,668件になった。重工業における高リスク作業の縮小、失業の発生(要するに求職者数仕事と就業者数の減少)、さらに多くの職場における労働生産性の低下といった要因すべてが、労働災害の減少に寄与貢献したのである。次に示すのは、(国立労働安全基準諮問評議会(Orszagos Munkabiztonsagi es Munkaugyi Fofelugyeloseg: OMMF)が調査対象としている事業者から得られた)近年のデータである。
同じ時期、事業場の監督では労働安全の低下がみられた。 1998年には、それまでの10年間で初めて、労働災害件数の着実な減少がストップした。これは、経済の活性化によって職場のハザードが増加したことを示唆していると思われる。1,000人当たりの労働災害件数に目立った変化はない。 b)死亡労働災害の傾向は、上に述べたものとは異なっている:1998年を除いて死亡労働災害件数の絶対数は減少しているが、死亡率は1991年以来ほとんど変わっていない。 c)労働安全衛生をめぐる状況を労働災害統計から判断する場合には注意が必要である。国立労働安全基準諮問評議会(OMMF)は1995年に全国レベルの調査キャンペーンを行って、実際に事業者が規定どおり労働災害の届出を行っているかどうかを調べた。この調査の結果は現在も依然有効であって、労働災害の少なくとも25%は届出がなされていない。したがって労働災害件数が表向き減少しているのは、部分的には過少報告の増加によるものである。過少報告の原因の一つは蔓延するヤミ経済の存在にあるが、不法労働の災害については、ごく少数の重篤なケースや死亡例を除いて、推定値すらも存在しないのが現実である。自営業者、すなわち従業員のいない1人だけの法人は、現状では労働安全衛生関連規制の枠外であり、したがって労働災害に関しても利用できる情報はない。ただし鉱山局(Mining Authority)が管轄する分野では、労働災害の過少報告は一般的ではない。 2. 職業性疾病とばく露増加の傾向職業性疾病とばく露増加の傾向は、職場のハザードの影響をあらわす指標とみなすことができる。 次に示すのは、1996〜1998年の労働者10,000人当たりの職業性疾病届出件数である。
次に示すのは、労働者10,000人当たりの疾病届出件数の主要産業部門別分布である。
職業性疾病のリストは1996年以降互いに類似したものになってはいるが、疾病の定義、労災届出後の請求の調査と承認、および労災補償のしくみが異なるために、上に示した数字とEU加盟諸国の公表値とを比較することはできない。 ハンガリーで届出の多い職業性疾病のうち、騒音による聴力障害はEU加盟諸国でもリストのトップにあり、これに職業性の感染症と皮膚病が続いている。他方、職業性喘息とエルゴノミクス的要因による筋骨格系障害の届出はハンガリーでは稀であり、どちらの疾病(疾病群)も補償対象ではないことがその原因と考えられる。 職業性疾病の中には、ばく露の増加を監視することで効果的に予防できるものがある。ばく露の増加自体は疾病ではないが、リスクの増加を示唆するものである。この段階で事業者がさまざまな措置を講じれば、職業性疾病は予防可能である。ハンガリーは1981年に世界で初めて、ばく露増加の届出を義務付ける法律を整備した。 次に示すのは、労働者10,000人当たりのばく露増加届出件数である。
同様の届出を義務付けたEU指令98/24/EUが発効するのは2002年になってからなので、上に示した数字とEU加盟諸国の状況とを比較することはできない。 (「ハンガリー労働安全衛生国家プログラム(Hungarian National Program of Occupational Safety and Health)」に基づく統計情報) |