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モンゴル労働法(1999年)
LABOUR LAW OF MONGOLIA
(仮訳 国際安全衛生センター)
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第2章
労働協約と団体交渉(Collective Agreement and Bargaining)
第8条 労働協約と団体交渉に関する基本原則
- 第8条の1
労働協約又は団体交渉を締結するときは、次の基本理念に従わなければならない。
- 第8条の1の1
公開性
第8条の1の2
労働法の遵守
第8条の1の3
交渉当事者双方から同数の代表が出席していること
第8条の1の4
当事者の交渉能力が同レベルにあること
第8条の1の5
労働協約及び団体交渉の諸問題ついての充分な討議
第8条の1の6
義務項目が自発的に遂行されること
第8条の1の7
当事者の義務項目の限定性
第9条 情報の提供
第9条の1
国の関係機関及び使用者は労働者の代表に対し、労働協約又は団体交渉の交渉過程で、要求されたすべての情報を提供する義務を負う。
第9条の2
交渉当事者は、労働協約又は団体交渉の進展具合及び実施状況を監視する際には、その所有するすべての情報を交換しなければならない。
第10条 第3者の関与の禁止
第10条の1
労働協約及び団体交渉を締結し実施する過程では、無関係な第3者が関与すること、当事者の権利の行使を妨害すること、又は、政府、非政府組織、宗教団体、政党、無関係な市民、若しくは無関係な官吏が当事者の法律上の諸利益を制限することは、これを禁止する。
第11条 労働協約と団体交渉の開始
第11条の1
どのような者も、労働協約又は団体交渉を修正、変更、及び作成するための交渉を開始することができる。
第11条の2
労働協約及び団体交渉を求める当事者は、もう一方の当事者に対し、その意志を書面で通知しなければならない。
第11条の3
使用者に代わって交渉を行う権利は、本法律第3条の1の6で規定されたとおり使用者を代表する者によって行使されなければならない。
第11条の4
本法律第3条の1の7に定められた使用者の代表は、使用者に代わって労働協約を作成し団体交渉を行う権利を有する。
第11条の5
関係労働組合が、国レベル、地域レベル、若しくは行政管轄区レベル、又は特定の経済部門や特定の職業、又は企業若しくは組織に複数存在する場合、かかる労働組合は、その構成員の人数に比例した代表者を通じ労働協約又は団体交渉の話し合いと締結に参加するものとする。
第12条 交渉の実施
第12条の1
交渉当事者双方は話し合いにより労働協約を作成し団体交渉を行わなければならない。
第12条の2
交渉を開始する当事者は、交渉の主題及び求める労働協約又は団体交渉の要求事項と条件を盛り込んだ文書を作成するか、又は、そうした契約、交渉の修正条項、若しくは追加条項を明記した草案を作成しなければならない。及び、その草案に、交渉の時と場所を示した通知書を添付し、相手方当事者あて配布しなければならない。
第12条の3
交渉に関する通知書を受け取った相手方当事者は、受領後5労働日以内に書面で回答しなければならない。
- 第12条の4
交渉に関する通知書を受け取った相手方当事者は、次の期間内に交渉を開始する義務を負う。
- 第12条の4の1
労働協約作成のための交渉に関する通知書、又はそうした契約事項の修正若しくは追加に関する通知書の場合は、受領後10労働日以内。
第12条の4の2
団体交渉を成立させるための話し合いに関する通知書の場合は、受領後15労働日以内。
第12条の5
通知書を受け取った相手方当事者が、上記第12条の3及び第12条の4に明記された期間内に回答しない場合、又は交渉を開始しない場合、又は交渉の過程で解決不能な問題が発生した場合、こうした問題は本法律第10章の規定にもとづいて処理されなければならない。
第12条の6
交渉に参加している当事者双方は、交渉過程で得られた極秘情報又は業界の機密情報守秘義務を負う。
第12条の7
交渉の過程で発生する費用、たとえば当事者双方合意のもとにその交渉に参加している専門家へ支払う報酬やその他の費用は、適用される労働協約及び団体交渉で定められた規則に従い賄う。
第12条の8
組合の代表に選ばれた者、及び非組合の代表に選ばれた者が本来の職務に就いたまま交渉に参加している場合、使用者は、その者の上司から前もって提出された許可書を受け取ることなしにその者に罰則を課すこと、交渉の途中又は交渉終結後1年以内にその者を他の部署へ配置換えすること、及び当該期間中にその者の雇用を中止することはしてはならない。
第12条の9
当事者の代表全員が労働協約又は団体交渉に署名した場合、その交渉は締結されたものとみなされる。
第13条 労働協約と団体交渉の範囲
第13条の1
労働協約と団体交渉は、交渉に参加した全使用者及び全労働者に適用され、かつ、その使用者と労働者の、労働に関する権利及び法的な利益を定める。
第14条 労働協約と団体交渉の成立
第14条の1
労働協約及び団体交渉を成立させる場合には、本法律第12条の規定を遵守しなくてはならない。
第14条の2
企業又は組織におけるすべての部署の労働者の権利と義務、及びその使用者の権利と義務は、単一の労働協約又は団体交渉によって定められなければならない。
第14条の3
団体交渉を開始する人数に関わりなく、(※)当該レベル毎にひとつの団体交渉が成立する。
(※)註:各レベルについては20条の3参照
第14条の4
使用者は労働協約又は団体交渉の折衝過程で交渉当事者に対し、関連情報、文具、事務機器、労働時間外に行われる会合のための部屋を提供し、交渉当事者がおこなう宣伝活動、世論喚起活動、及び広告活動を支援する義務を負う。
第14条の5
労働協約は最低1年、団体交渉は最低2年の有効期限付きで成立させなくてはならない。
第15条 労働協約と団体交渉の登録
第15条の1
使用者は労働協約又は団体交渉締結後10日以内に、その企業が活動の本拠地としているSoum(州)又は行政区の知事に対し、その労働協約又は団体交渉を送付し登録しなくてはならない。
第15条の2
特定経済部門、特定地域、特定Aimag(郡)、特定首都、又は特定職業に働く労働者に関する団体交渉は、団体協議締結後10日以内に、労働問題を担当する国の行政機関に登録されなくてはならない。
第15条の3
特定Soum(州)又は特定行政区で雇用された労働者に関する団体交渉は、関係Aimag(郡)、又は首都の知事の事務所に対し、交渉締結後15日以内に登録されなければならない。
第15条の4
本条で定められた労働協約若しくは団体交渉の登録機関は、登録用に送付された労働協約及び団体交渉の受領後10労働日以内にその労働協約又は団体交渉の再検討を行い、それらが本法律を遵守しているものであるなら登録を行わなくてはならない。
第15条の5
労働協約若しくは団体交渉のうち、登録されていないもの、又は本法律に抵触するもの、又は本法律に拠らず労働者の権利が制限されているものは無効とみなされ効力を持たない。
第16条 労働協約と団体交渉の履行
第16条の1
労働協約と団体交渉は、前述第15条で定められたように登録の完了をもって有効とされ効力を発する。
第16条の2
企業又は組織の在籍地の変更、若しくは管理機構の変更、組織変更は、これを労働協約又は団体交渉を終了する根拠としてはならない。
第16条の3
企業若しくは組織が組織改正を行う場合、又はその所有者が代わる場合、労働協約若しくは団体交渉の変更又は修正に係る項目は、使用者と労働者の代表の間で交渉により解決されなくてはならない。
第16条の4
企業又は組織が労働法にもとづき解散する場合、該当する労働協約又は団体交渉の規定条項も同様に消滅する。
第16条の5
労働協約又は団体交渉の修正に関わる事項は、関係の契約書及び団体交渉の規定に従い当事者間の合意により解決されなくてはならない。労働協約又は団体交渉にそうした修正事項の規定がない場合は、その労働協約又は団体交渉を成立させる際用いられた交渉手順に従わなくてはならない。
第17条 当事者による労働協約と団体交渉の監視
第17条の1
労働協約の実施は、労使双方又は労使双方の代表がこれを監視しなくてはならない。
第17条の2
Aimag(郡)、首都、Soum(州)、又は行政区レベルで成立した団体交渉の実施については、当事者又は当事者の代表、及び労働問題を担当する国の行政機関、又は該当Aimag(郡)、該当首都、該当Soum(州)、若しくは行政区の知事がこれを監視しなくてはならない。
第17条の3
当事者は監視を行う過程で、労働協約又は団体交渉に関わる情報のうち所有するすべての情報を交換しなければならない。
第17条の4
当事者は、2年に1回、又は労働協約あるいは団体交渉で定められた時期に、個別にあるいは労使共同で労働協約又は団体交渉の実施状況を評価し、その評価結果を労働者全員に通知しなくてはならない。
第18条 労働協約の規制を受ける諸関係
- 第18条の1
以下のことがらについては、本法律でとくに定めがない限り、適用される労働協約で定めなくてはならない。
- 第18条の1の1
労働者の基本賃金の額の設定、引き上げ並びに基本賃金の支給形式、支給日、特別給、追加給、特別賞与、追加年金、特別手当、その他手当、支給額及び生産量の割り当て高の設定と変更
第18条の1の2
特殊教育と再教育の必須項目、就業時教育、雇用保証条項
第18条の1の3
労働時間と休憩の時間割作成
第18条の1の4
妊娠女性、未成年者、身体障害者又は機能損傷のある労働者等の労働者のための労働安全衛生状況の改善
第18条の1の5
使用者の企業若しくは組織、又はその支店、営業所が、再編成される場合あるいは私有化される場合に、労働者の法的な権利と利益を守ること
第18条の1の6
インフレ率又は外貨交換率の低下に基づき賃金を調整すること
第18条の1の7
使用者の社会年金プログラムの負担額を決定すること
第18条の1の8
生態環境安全と労働安全衛生に関する基準及び要請事項を遵守すること
第18条の1の9
作業を行いつつ訓練を受ける労働者の作業量の軽減措置を講じること
第18条の1の10
企業又は組織による労働者のための住居の建設と利用、並びに幼稚園及び就学前デイケアセンター、社会的文化的な目的のための建物の設立、並びに子供の多い労働者、所帯主となる未婚の母親労働者又は父親労働者、又は障害児を持つ労働者の作業量軽減措置、並びに職業性疾病、急性中毒、又は、労働災害により健康障害を持つ労働者の生活水準の改善、並びに、企業又は組織に雇用されたのち障害者となった、あるいは高齢化した労働者に関することがら
第18条の1の11
組合、その構成員、又はその他選出された労働者の代表に対し、組合活動を行う機会と条件を与えること
第18条の2
労働協約で保障された労働者の権利を本法律で保障された労働者の権利より労働者にとって有利なものとすることができる。
第18条の3
労働協約には、雇用契約、労使双方への通達、及び交渉を行う際の手順を作成し監視するための規定、並びに、2者間及び3者間の労働関係を発展させるための規定が含まれなくてはならない。
第19条 団体交渉の規制を受ける諸関係
- 第19条の1
以下の労働に係る利害関係は、団体交渉により規定されるものとする。
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第19条の1の1
労働利害関係についての諸方針、たとえば社会保障に関する権利や市民の働く権利と法的な利益などに関する一般的なことがらは、全国レベルの団体交渉で決定されるものとする。
第19条の1の2
業務、特殊な技能を持った労働者の賃金、労働条件、労働組織、及び生産高の割り当てに関する一般的なことがらは、産業部門レベルの団体協議で決定されるものとする。
第19条の1の3
最低賃金、補償、市民の働く権利、及び、関連の法的な利益に関する一般的なことがらは、地域レベルの団体交渉で決定されるものとする。
第19条の1の4
管理部門労働者又は地域単位の労働者の雇用と労働利害関係に関する一般的なことがらは、Aimag(郡)レベル、首都レベル、Soum(州)レベル、又は行政地区レベルの団体交渉で決定されるものとする。
第19条の1の5
特殊な職業に従事する労働者の労働関係一般項目は、専門職の料率に関する協議で定められるものとする。
第20条 団体交渉に参加する当事者
第20条の1
本法律第3条の1の6及び第3条の1の7で規定された労使双方の代表者に加え、国の関連行政機関からの代表者も団体交渉に参加できる。
第20条の2
参加当事者により、団体交渉は2者による協議又は3者による協議とすることができる。
第20条の3
議題の範囲、又参加当事者に基づき、団体交渉は次の種類のどれかに該当しなくてはならない。国レベル;全国団体交渉又は産業部門別団体交渉。行政単位レベル又は地域単位レベル;地域別団体交渉、Aimag(郡)別団体交渉、首都別団体交渉、Soum(州)別又は行政地区別団体交渉。特定職業レベル;専門職の料率に関する団体交渉
- 第20条の4
団体交渉の種類に基づき、次の当事者が当該交渉に参加するものとする。
- 第20条の4の1
全国団体交渉;中央政府、使用者と労働者の権利及び法的な利益を代表し擁護する全国組織の団体
第20条の4の2
産業部門別団体交渉;当該産業部門を担当する国の行政機関、使用者と労働者の権利及び法的な利益を代表し擁護する団体
第20条の4の3
地域別団体交渉;或る地域の知事、使用者と労働者の権利及び法的な利益を代表し擁護する組織のうち当該地域に所在するもの
第20条の4の4
Aimag(郡)別、首都別、Soum(州)別、又は行政地区別団体交渉;当該地域の知事、使用者と労働者の権利及び法的な利益を代表し擁護する関連組織
第20条の4の5
専門職の料率の取り決め;特定職業の諸問題を担当する国の行政団体、使用者と労働者の権利及び法的な利益を代表する組織
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