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モンゴル労働法(1999年)
LABOUR LAW OF MONGOLIA
(仮訳 国際安全衛生センター)
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第3章
雇用契約
第21条 雇用契約
- 第21条の1
次の基本項目は雇用契約で定めるものとする。
- 第21条の1の1
雇用される地位又は役職
第21条の1の2
行うべき職務と作業
第21条の1の3
基本給と職務給
第21条の1の4
労働条件
第21条の2
雇用契約に関わらないものが雇用契約の諸規定を一方的に修正することはこれを禁止する。
第21条の3
雇用契約に関する交渉の過程で先の本法律第21条の1に規定された基本条件のすべてが合意に至らない場合には、雇用契約は成立しないものとみなされる。
第21条の4
雇用契約は、本法律、該当労働協約、及び団体交渉を遵守するものでなくてはならない。
第21条の5
雇用契約の諸条件が、本法律又は該当する労働協約あるいは団体協議により不利な場合には、当該雇用契約条件は無効とされる。
第21条の6
雇用契約の当事者は、本法律第21条の1に示された基本条件に加え、雇用契約の諸条件に合意してもよい。
第21条の7
雇用契約は署名された日から有効とする。
第22条 独立契約
第22条の1
所有権若しくはその所有権を授権された者又は使用者は、特殊な才能、特殊な技能を持った個人と、独立契約を結ぶことができる。
第22条の2
第22条の1により成立する独立契約が関わるところの職務又は役職についての一覧表は、労働問題を担当する政府閣僚によって作成されるものとする。
第23条 雇用契約の期間
第23条の1
雇用契約の期間は、期限付き又は無期限のどちらでもよい。
第23条の2
雇用契約の期間は、遂行する職務内容にもとづき当事者間で決定される。
第23条の3
雇用契約の期間が終了し、かつ労使双方が契約の修了を望まず、労働者が作業を続ける場合には、こうした雇用契約は、契約上に当初明記された期間につき延長されたとみなされる。
第24条 雇用契約の成立
第24条の1
使用者は、労働者と文書による雇用契約を結び、契約書のコピー1部を労働者に与えなくてはならない。
第24条の2
使用者が、同一作業場に複数の労働者を雇う場合には、それぞれの労働者と個別に雇用契約を結ばなくてはならない。
第24条の3
雇用契約が文書で交わされていない場合、使用者は労働者に対し、いかなる作業、職務の遂行も求めてはならない。
第25条 独立した契約の成立とその内容
第25条の1
独立した契約は文書で交わされなくてはならない。
第25条の2
独立した契約の契約期間は5年を超えてはならない。
第25条の3
独立した契約は、契約期間、労働者の行う作業、労働者の職務、独立した契約を履行する際の評価基準、労働者の管理下におかれる資産についての記述、所有に関する規定、この資産の使用と譲渡、賃金、労働者の社会保障、労働者との利益配分措置、ならびに使用者の義務項目を明記しなくてはならない。
第25条の4
独立した契約にもとづいて行われた業績を評価した結果、その労働者が充分に職務を履行したと認められる場合には、その独立した契約を延長することができる。
第26条 複数の業務又は職務への同時就労
第26条の1
労働者は一定の労働時間の範囲内で、雇用契約条項で認められるならば、使用者又は他の組織のために同時就労すること、使用者のために他の職務を兼任すること、又は、使用者の合意が得られる場合、欠勤者の職務を代行することができる。いずれの場合もその労働者の作業量は増える可能性がある。
第26条の2
労働者は、第28条で定められた場合を除き、複数の使用者と複数の雇用契約を結ぶことができる。
第27条 関係当事者に関する禁止事項
第27条の1
国営企業又は半官半民企業に働く労働者の家族又は親戚は、その労働者の労働を管理監督してはならない。
第28条 複数の使用者のもとでの同時就労
第28条の1
国営企業の労働者で、その職務がその企業の財産処理に関わる者、又はこうした企業の管理監督的な立場にある者は、類似の業務を行っている他のいかなる企業においても、同時に類似の仕事に就くこと、又は管理監督的な地位に就くことは、してはならない。
第28条の2
第28条の1は、同時雇用(simultaneous employment)にも適用される。
第28条の3
使用者が本条に違反した結果生じる損失又は損害は、すべて労働者の責任に帰するものとする。
第29条 法的不適格による雇用契約破棄の期間
第29条の1
使用者と、法的資格を欠いている者又は法的資格が制限されている者との間で交わされる雇用契約は、その労働者が職務を中止した時点で失効するとみなされる。
第30条 雇用契約の特定条項の無効化
第30条の1
雇用契約の条項の一部失効が決定されても、その雇用契約のその他の条項の効力には影響を及ぼさないものとする。
第31条 雇用契約に規定されていない業務への就労の禁止
第31条の1
使用者は、本法律に規定されていない限り、労働者に対し、雇用契約条項に規定されていない業務への就労を求めてはならない。
第32条 やむを得ない業務上の要求による労働者の他の業務への一時的転換
第32条の1
自然災害又は労働災害を防止するため、並びに、その災害から派生する重大な事象を取り除くため避けられない必要性が生じた場合、あるいは、予測できない状況により使用者の組織活動が阻害された場合、使用者は労働者を契約に規定されていない他の業務へ45日を限度として転換させてもよい。
第33条 休業期間中の労働者の他の業務への一時的転換
第33条の1
使用者は労働者の同意があれば、労働者をその休業期間中に、雇用契約に規定されていないその組織内の業務、又は他の組織内の業務に転換させることができる。
第34条 健康上の理由による労働者の他の業務への転換
第34条の1
関係する労働医事専門家委員会によりその労働条件が労働者の健康に悪影響を与えていると判断される場合、労働者の合意の上でその労働者はその組織内で、そうした労働条件のない他の業務へ転換することができる。
第35条 労働者が職務を遂行していない期間中の業務又は地位の維持
- 第35条の1
労働者は次の状況下では、与えられた職務を遂行していない場合でも職又は地位を維持するものとする。
- 第35条の1の1
労働者が、3ヶ月を限度として国の組織に代わり特殊業務を行っている場合
第35条の1の2
労働者が年次休暇を取得している場合
第35条の1の3
労働者が健康診断を受けている場合、ドナーとして行動している場合、使用者の許可を得て休職している場合、又は医者の証明書により休職している場合
第35条の1の4
労働者が妊娠休暇、出産休暇、又は乳幼児ケアのための休暇を取得している場合
第35条の1の5
労働者が、労働協約若しくは団体交渉に入るための協議や交渉を行っている場合、又は、合法的に組織されたストライキを行っている場合
第35条の1の6
労働者が、軍事行動委員会から、軍務中のレポートを提出するよう求められている場合
第35条の1の7
その他、本法律で規定されている場合、関連の労働協約で規定されている場合、及び雇用契約で規定されている場合
第36条 労働者の以前の業務又は部署への復職
- 第36条の1
使用者は次の状況下では、労働者を以前の業務又は部署へ復職させなくてはならない。
- 第36条の1の1
労働者が労働災害、中毒、職業性疾病のために障害を受け雇用契約が終了した場合、その労働者は、そうした障害の回復後1ヶ月以内に復職できる。
第36条の1の2
裁判所により、その労働者は理由なく解雇され復職すべきと判断された場合
第36条の1の3
その他法律により定められた場合
第36条の2
労働者が従事していた職又は地位が廃止された場合、使用者はその労働者との間で交わされる合意に基づき、その労働者を雇用し類似の職又は地位を与えなくてはならない。
第36条の3
労働者の職や地位が、第40条の1の1に従い廃止され、さらに、その後3ヶ月以内にその職又は地位が再び設置され、その地位を廃止したことが不合理であったと判断される場合には、その労働者はその職又は地位へ復職するものとする。
第37条 雇用契約終了の根拠
- 第37条の1
雇用契約は次の場合には終了する。
- 第37条の1の1
契約当事者が終了させることに合意した場合
第37条の1の2
使用者又は労働者の一方が死亡した場合
第37条の1の3
契約期間が失効し、当事者がその契約を延長させないことを選ぶ場合
第37条の1の4
権限のある組織が法律に基づき雇用契約の終了を要請した場合
第37条の1の5
誤って解雇された労働者が、その前職又は以前の地位へ復職した場合
第37条の1の6
労働者が軍務に就くよう要請された場合
第37条の1の7
労働者が裁判で有罪とされ、その量刑のために職務を遂行することができない場合
第37条の1の8
使用者又は労働者の提案により雇用契約を終了させる場合
第38条 雇用契約の終了
- 第38条の1 次の場合には雇用契約を終了させることができる。
- 第38条の1の1
労働者から提案された場合
第38条の1の2
使用者から提案された場合
39条 労働者の意思による雇用契約の終了
第39条の1
本法律及び雇用契約に規定されている場合を除き、労働者は使用者に対し雇用契約の終了を30日前に通知することにより離職する権利を有する。この場合、雇用契約は終了したものとみなされる。
第39条の2
雇用契約は、終了させるに足る妥当な根拠がある場合には、又は、使用者と労働者双方が終了させることに合意した場合には、本法律第39条の1に規定された時限より前に終了させることができる。
第40条 使用者の意思による雇用契約の終了
- 第40条の1
次の根拠が存在する場合には使用者の意思で雇用契約を終了させることができる。
- 第40条の1の1
使用者の企業若しくは組織、その支店若しくは職場単位が解散した場合、又は、従業員数が縮小された場合
第40条の1の2
労働者が専門の資格や能力に欠け、又は健康上の理由でその仕事や地位に必要な要件を満たすことが出来ないと判断された場合
第40条の1の3
労働者が60歳に達し年金受給資格を得た場合
第40条の1の4
労働者が使用者の懲戒規程に繰り返し違反した場合、又は労働者が雇用契約の規定により自動的に労働関係が終了するような重大な違反を犯した場合
第40条の1の5
使用者の資産又は資金を担当する労働者が不正を働き、その結果使用者の信頼を失った場合
第40条の1の6
労働者が、選抜され、使用者の組織内における他の有給業務に任命された場合
第40条の1の7
その他、雇用契約に明示された場合
第40条の2
正当な理由なく解雇された労働者が裁判所の判断により復職した場合、使用者はその解雇された労働者の業務を代行すべく雇用された新しい労働者との雇用契約を終了し、さらに可能であれば、その使用者はそうした新人労働者に別の業務を与えなくてはならない。
第40条の3
使用者は、その事業が解散する場合を除きいかなる場合も、職や地位が確保されている労働者との雇用契約を終了してはならない。
第40条の4
企業又は組織の所有権の移転、又は経営権の移転は、これを雇用契約終了の根拠としてはならない。
第40条の5
第40条の1の1又は第40条の1の2にもとづく雇用契約の終了については、遅くとも終了させる1ヶ月前までに労働者に対し通告を行わなければならない。企業又は組織が、解散による雇用契約の終了をすべての労働者に通告する場合は、労働者の代表に対し、遅くとも解散の45日前までに通告し、しかる後、使用者とその労働者の代表者は、本法律に規定された適切な交渉に入るものとする。
第41条 独立契約終了の根拠
- 第41条の1
独立契約は、本法律で先に規定された根拠に加え、つぎの根拠が存在する場合には使用者の意思で終了させることができる。
- 第41条の1の1
使用者が、労働者に対する評価にもとづき、その労働者は正当な理由もなく独立契約に対し満足すべき業績をあげていないと判断する場合
第41条の1の2
労働者が、第28条の規定に違反して、重複雇用契約、又は他の使用者との間に独立契約を結んでいる場合
第41条の1の3
組織又は企業の所有権が、その使用者から他の使用者へ移転した時
第41条の1の4
労働者が労働者の管理下に置かれた所有者の資産を効率悪く又は無駄に取り扱った、又は契約に基づき労働者へ移転された所有者の資産を労働者が浪費した、又は、労働者が所有者から付与された権限の越権行為を行った事実が立証できるとき
第41条の2
第41条1の3による雇用契約終了の場合、使用者は労働者に対し、雇用契約終了の少なくとも2ヶ月前にはその旨通知し、労働者の平均給与3か月分を下回らない額に相当する金額を支払わなくてはならない。
第42条 解雇補償
第42条の1
使用者は労働者に対し、第37条の1の6、又は第40条の1の1、又は第40条の1の2、又は第40条の1の3に規定された根拠にもとづきその雇用契約が終了した場合には、労働者の平均給与の少なくとも1か月分に相当する額を追加給として支払わなくてはならない。
第42条の2
大量の労働者の雇用契約が大規模に終了した場合、使用者から労働者へ支払われる追加給については、使用者と労働者の代表の間で合意がなされなくてはならない。
第43条 雇用の終了と労働者の職務の転換
第43条の1
使用者は、労働者との雇用契約を終了させる場合、その労働者の職務を遂行すべく雇用された新しい労働者へ前労働者の職務を移転するための時間を設け、先の労働者雇用終了決定書の上に記載しなくてはならない。
第43条の2
雇用契約は、先の労働者が新しい労働者へ職務の移転を完了させた時点をもって終了したとみなされる。
第43条の3
使用者は契約の終了した労働者に、終了決定書と労働者の社会年金記録を与え、さらに法律上の規定があれば、終了当日に終了賃金を与えなくてはならない。
第43条の4
労働者の要請があれば使用者は労働者に対し、その者の職種、業務、専門分野、地位、賃金について記載された人物証明書を与えなくてはならない。
第44条 一時的停職
第44条の1
監督官庁からの合法的な要請があれば、労働者の職務や地位の維持を一時的に中断しその労働者への賃金の支払いを停止することができる。
第45条 職場での訓練
第45条の1
使用者は労働者に対し、専門技能を身に付ける機会を与え再教育訓練を行わなくてはならない。
第45条の2
職場における理論的かつ実際的な訓練は労働時間内に行うことができる。
第46条 社会保険
第46条の1
法による定めがない場合、使用者は雇用契約に基づき雇用された労働者に社会保険、健康保険を与えなければならない。さらに、法の定めるところにより保険料を給与から毎月控除しなくてはならない。
第46条の2
使用者は雇用契約成立後、各労働者に対し社会保険、健康保険の記録帖を開示しなくてはならない。又、適用される規則に拠り、毎月の社会保険、健康保険の保険料控除と関係費用についての記録を保存しなくてはならない。
第46条の3
労働者が季節労働に従事し、該当する季節にフルタイムで働く場合、その労働者のオフシーズンの社会保険料、健康保険料は、法で定めるその職業に対する最低賃金にもとづき、使用者が、その労働者に代わって支わなくてはならない。
第46条の4
雇用契約により外国企業又は組織で働く労働者の社会保険、健康保険の保険料控除及び費用については、法の定めるところにより徴収が行われ支払われなくてはならない。
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