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中央労働災害防止協会(中災防)
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp
お知らせ
国からの委託事業であった
「国際安全衛生センター(JICOSH)」
が2008年3月末をもって廃止されました。
永らくのご利用ありがとうございました。
同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの
国別、
分野別情報にリンクして取り込んでおります。
2010年12月7日
EU-OSHA News 2010年7月6日
企業経営においては、安全衛生に関する活動を単独で運営するのではなく、企業活動全体に統合して行うことに多大な利点がある。このため、このような動向を普及、拡大することを目的として、欧州労働安全衛生機構 (EU-OSHA)が「安全衛生活動の企業経営全般への統合における動向」と題する報告を刊行したので、その全体の構成と概要及び同時に刊行されたファクトシート92 「安全衛生活動の企業経営全般への統合における動向―報告書の要約」を紹介する。
以下の3編から成る。
労働安全衛生(OSH) に関する取り組み方は、企業による違いがあり、一部のOSHに関する知識の足りない企業は、業務上災害、業務上疾病、欠勤問題などが発生したとき、それぞれに対する措置を行うだけに終わっているが、体系的なOSHのマネジメントを実施するか、さらに進取的には、OSHのマネジメントを企業経営全般のマネジメントへ統合して組み入れている企業もある。
本報告書を作成した目的としては、OSHのマネジメントの企業経営全般のマネジメントへの統合は、如何にして実現されるか、統合により得られる職場環境の安全と健康の向上及び企業の全体的経営成績の向上に関する証拠と情報を提供することにある。
本報告書の主体となる部分は、文献調査結果、政策、指針、手引き及び実施事例の3編から構成されている。
企業においてOSHマネジメントがどのようにして有効に実施されるか及び企業経営全般のマネジメントと経営の仕組みに、どの程度組み込まれるべきであるか、に関する証拠についての文献調査結果の概観を記載している。OSHの経営マネジメントへの組み込みに関し、特に重点を置いている。
また、昔からの方法と体系的OSHマネジメントとの差異及びOSHマネジメントシステムの適用と有効性についても論じ、品質マネジメント及び健康プログラム(例えば、職場健康推進プログラム)とのつながりについても触れている。
企業が複数のマネジメントシステム及びマネジメントシステム規格を同時に導入しようとするとき、(例えば品質、環境及びOSHに関し)これらを統合する必要性は、一層高まるため、統合マネジメントシステム(Integrated Management Systems (IMS))に関する問題についても検討している。
これらの調査結果においては、OSHマネジメントは、経営全般のマネジメントの構成の一部と見るべきで、別個の経営活動と見るべきではないことについて、全体における合意が成立している。
OSHの企業経営の中核への結びつけを強化しようとする時期は、企業活動において経営の悪化、合併、合理化、技術革新などの変化が生じた際に行うことが適しているとされている。
文献調査によって明確となった事項を以下に示す。
OSHマネジメントの策定、実施及び統合された積極的な推進は、国際間、欧州及び国ごとのレベルで確立された政策及び実施の手引きにより支援されている。
本報告書には、これらのOSH問題のマネジメントに関し、統合を推進、支援する政策及び実施の手引きも掲載されている。
また、国際機関、欧州連合、政府、事業者及び労働者の団体、労働基準監督官、保険機関などの関係機関が作成した戦略、法的条項、基準、手引き、プログラム、キャンペーン資料についても検討を行っている。
OSHマネジメントに関する政策には、義務であるものと任意であるものとがある。欧州においては、体系的にOSHマネジメントシステムを実施する法的な枠組みは、枠組み指令によって確立されている。
この指令は、OSHマネジメントの基本的目標及びこの目標を達成するために必要な手段を定義している。 法的規制の実施は、OSHの改善に向けたさまざまな任意の活動によって支えられている。
国際労働機関(ILO)は、OSHマネジメントシステムの任意の導入と実施の推進において、重要な役割を果たしている。ILOによる取り組みは、いくつかの国における国別の実施の手引き、推進プログラムにより支持されている。
本報告に記載した例によって、EU各国において成功した活動について、明確となった事項を以下に示す。
多くの企業は、OSHの状態を改善するために、体系的、継続的な努力を行おうとしている。また、一部の企業は、単に規制を守るだけでなく、安全文化を企業文化の中に組み込むことを目的とした活動を行っている。このような企業においては、OSHマネジメントは、経営全体のマネジメントに組み込まれている。
本報告書に記載の実施事例には、OSHがどのように全般のマネジメントと経営上の手順に組み込まれたかの事例、優良事例への助言が含まれており、EU12カ国における詳細な事例から20件を選定したものである。
これらの事例は、OSHマネジメントにおいて以下の効果が得られたことを示している。
本報告の多くの例が、企業が継続的に作業条件と労働者の安全と衛生の継続的改善に努力している状況を示している。これらは、単に道義的な理由によるものではなく、安全で健康的な作業環境を作り出すことによって、損失が抑制され、生産性と競争力が改善されるからである。
有効なOSHマネジメントは、企業の全体的経営成績を向上する戦略との間に密接な関連性がある。
報告書の英文本文は、EU-OSHAの下記サイトから無料でダウンロードすることができる。
ファクトシートについては、EU全言語で作成されたものを下記サイトからダウンロードすることができる。
本報告書の「6文献」の項には、177ページから185ページまで多数の文献等のリストが掲載されている。
ISO 26000の刊行により、ISOによる 「マネジメント及びリーダーシップに関する規格」
(Management and leadership standards
)に含まれるものは、以下の4件となった。