お問合せ

中央労働災害防止協会(中災防)
技術支援部
国際課
TEL 03-3452-6297
FAX 03-5445-1774
E-mail: kokusai@jisha.or.jp

 

お知らせ

国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

Get ADOBE READER
PDF形式のファイルをご覧になるには、Adobe Systems Incorporated(アドビシステムズ社)のAdobe® Reader™が必要です。

 

各国情報・国際関係

EU-OSHA報告書:多様な労働者のすべてを対象としたリスクアセスメント

2010年1月29日

EU-OSHA News 2009年10月28日 別ウィンドウが開きます

欧州安全衛生機構(EU-OSHA)は、2008-2009 年の2年にまたがるリスクアセスメントキャンペーンの成果として、この報告書を刊行したので、その概要を紹介する。

原資料の題名と所在

pdf Workforce diversity and risk assessment: ensuring everyone is covered 別ウィンドウが開きます
著者: European Agency for Safety and Health at Work
発行日: 20.10.2009

 

EU-OSHA報告書:「多様な労働者のすべてを対象としたリスクアセスメント」の概要

目次

前書き
 
要旨
 
1
序論
2
リスクの大きい労働者グループ
2.1
外国人労働者
2.2
若年労働者
2.3
障害労働者
2.4
女性労働者
2.5
高齢労働者
2.6
臨時(派遣)労働者
3
優良事例
3.1
序論
3.1.1
事例のマトリックス
3.1.2
各事例の概要
3.2
作業場所の適合による事例
3.3
教育訓練と情報提供による解決の事例
結論
 

要旨

この報告は、リスクアセスメント及びマネジメントを行う際において、労働力の多様性を考慮した包括的なリスクアセスメントを実施することの必要性を強調するものである。

労働者は、すべて同じようなリスクに直面しているわけではなく、また、特定のグループの労働者は、増幅されたリスク下におかれる(または、特別な要件に従属する)ことがある。労働者が増幅されたまたは特別のリスク下におかれるという場合には、当該労働者が年齢、出身、性別、身体条件または企業内の地位により、特定のリスクの下におかれていることと考える。これらの人々は、ある一定のリスクにはより脆弱で、作業における特定の要件を必要としている。

EUの枠組指令(89/391/EEC)では、作業を個人に合わせる必要(6.2条)、事業者が安全衛生に係るリスクアセスメントを掌握する義務(9.1条)及びリスクの影響を受けやすいグループが、特に影響を受ける危険から保護すること(15条)を強調している。リスクアセスメントが包括的であることの必要性は、他のリスクアセスメントに関する資料である「作業におけるリスクアセスメントのEU指針」(増幅されたリスクに直面するグループの限定的なリスト)、「作業における品質と生産性の改善:安全衛生に係る2007−2009年の共同体戦略」及び「枠組指令とその5つの個別指令の実施に係る欧州委員会報告」などにおいても述べられている。

この報告の主な狙いは、リスクアセスメントがなぜ、どのようにすべての労働力をカバーすることができ、また、すべきなのかを記述することであり、かつ、すべての労働者のリスクを評価することが重要であることについて事業者、労働者、安全衛生代表者及び安全衛生専門家などの関係者の認識を高めることである。この報告は、リスクアセスメントを実施する責任者及び担当者を主な対象としている。

増幅したリスクに直面する状態にあると考えられる労働者の6つの類型(外国人労働者、障害労働者、若年及び高年齢労働者、女性及び臨時(派遣)労働者)の安全衛生に係ることを述べている。各々のサブセクションの最後に、詳細情報、実施指針及びリスクアセスメント方法についてのリンク先を示している。

次いで報告は、グループ別の労働者が直面するリスクの防止に焦点をあてている。報告では、作業場レベルの実際行動と目標とするグループを含むこれらの背景を記述し、そして結果を確認し評価する方法、付随的効果、成功の要因及び問題点についてふれている。さらに業種レベルの構想(initiative)の例にもふれている。この節では、各種の労働者のグループまたは多様な労働力が直面するリスクアセスメント及びマネジメントの優良事例、プログラム及び活動についての例を紹介している。

この報告においては、企業が講じている15の優良事例及びすべての職種を対象としたリスクアセスメントにより、作業場レベルのリスクを防止するための国家/業種レベルの構想について記載している。いくつかの活動とプロジェクトについては、企業内または業種における機会均等と無差別政策の観点から策定されている。しかしながら、多くは無差別というより、安全衛生重視という視点が考慮されている。

リスク防止活動を成功させるための鍵を次に掲げる。

  • 適切なリスクアセスメントの実施
  • 仕事を作業者に合わせることを可能にするリスクアセスメントの方法の開発と活用
  • 労働者の参加と社会対話
  • 各対象グループに適応した教育訓練と情報提供
  • 成功的協調
  • 各種対策の組み合わせ

包括的で、よい感性のリスクアセスメントのための他の鍵を次に掲げる。

  • 多様であることを重大に受け止め、かつ、積極的に関与する。
  • 何が危険源で、誰がリスクに直面しているかについての事前仮定を排除する。
  • 労働力の多様性を価値あるものとし、問題点とはしない。
  • 不健康を予防し、福祉を増進させることは、多様な労働者の労働の質を高めるために重要である。
  • 全労働者を対象とする(掃除人、受付者、保全員等を含む)。
  • 作業を作業者に合わせる(仕事を個人に適応させる)。
  • 設計、計画段階から多様な労働力に対処する必要性を考慮する。
  • 弱者グループの安全衛生の改善を差別に関する他の問題と別のものと見なすことはできない。
  • 平等及び無差別政策を含め、安全衛生を平等確保行動に結びつける。
  • 政策及び実行のすべてに亘って、多様性を包含する総合的平等確保教育に、安全衛生を含めるべきである。
  • 安全衛生リスクに係る多様性に関する関連教育と情報をリスク評価者、管理者及び監督者に提供する
  • 各作業者に適切な安全衛生教育を行う(教材は作業者の必要性と特異性にあわせる)。
  • 包括的リスクアセスメントは、関係労働者を含め、かつ、実際の作業状況の検討に基づく参加型とする。
  • 優れた優良事例は、様々な防止対策の混成である(作業を個人に合わせる、技術進歩にあわせる、作業者に適切な指示を与える、特定の教育を作業者に行うなど)、これらの相互に関連する対策を採用することは、成功の鍵となる。
  • 企業または組織が作業場の物理的環境に変更を加え、または新たな装置を導入する場合には、これらの変更または導入が多様な労働力に対して適応していることが大切である。
  • 会社または組織の特定の労働者グループが直面するリスクに対処する能力に欠如している場合には、他に助言を求めることが重要である。これらの助言は、安全衛生サービス行政部門、労働衛生専門家、安全専門家、人間工学専門家、身体障害専門家、移民労働者機関等から得ることができる。
  • 包括的リスクアセスメントの優良事例においては、アセスメントが効果的であるためには労働者、労働者代表、作業委員会、管理者、安全衛生専門家、請負業者、下請負業者、公的機関などのすべての関係者が参画していることが示されている。

 

関連情報

JISHA海外トピックス

BAuAがリスクアセスメント支援データベースを設置 2009年11月30日

EUリスクアセスメントキャンペーン初年の中間状況 2009年10月16日

リスクアセスメント及びOSHMSに関する最近の海外動向−中災防調査研究報告書より 2009年5月26日
 他

EU-OSHA リスクアセスメントのサイト

Risk assessment別ウィンドウが開きます

イギリス安全衛生庁(HSE)リスクマネジメントのサイト

Risk management別ウィンドウが開きます

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

中央労働災害防止協会
〒108-0014 東京都港区芝5-35-2 安全衛生総合会館

  • 厚生労働省
  • 安全衛生マネジメントシステム審査センター
  • 安全衛生情報センター