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労働衛生調査分析センター

確認測定としての個人ばく露測定 

事業者は、労働者の化学物質のばく露の程度を最小限度とするため、リスクアセスメントの一環として、個人ばく露測定を行うことがあります。また、令和6年4月からは、労働安全衛生規則に基づき、67物質についての濃度基準値が定められたため、技術上の指針に基づき確認測定の実施が必要となることがあります。
中央労働災害防止協会では、令和6年4月から、一部の物質を対象に、個人ばく露測定のサービスを始めました。個人ばく露測定は、確認測定のほか、リスクアセスメントの一環として行うこともできます。

1 ) 個人ばく露測定を受け付けている物質(令和6年4月~)

ニッケルアセトニトリル
タリウムヒドロキノン
しよう脳テトラメチルチラウムジスルフィド
ビフェニル2-エチルヘキサン酸
ε-カプロラクタムヒドラジン
塩化アリル酢酸ビニル

2 ) 個人ばく露測定の受付を開始した物質(令和6年6月~)

アクリル酸エチルエチレングリコール
エピクロロヒドリンジエチルケトン
ピリジンニトロベンゼン
アクリル酸メチルパラ-ターシャリ-ブチルトルエン
フルフリルアルコールメチル-ターシャリ-ブチルエーテル
クメンパラ-ジクロロベンゼン
1-ブロモプロパンメタクリロニトリル
キシリジンジエタノールアミン
イソホロングルタルアルデヒド
1,3-ジクロロプロペン2,6-ターシャリ-ブチル-4-クレゾール
※その他の物質については、捕集剤や試薬の手配が必要ですので、早めにご相談ください。

リスクアセスメント対象物に対するリスクの見積り測定、または技術上の指針に基づく確認測定をご希望の方は、中災防の作業環境測定士を派遣しますので、地区安全衛生サービスセンターまでお問い合わせください。

また、中災防では、これまで10年余にわたる国の職場における化学物質のリスク評価推進事業の成果を踏まえ、サンプリングのみを実施する作業環境測定機関に対し、分析業務を引き受けるサービスも始めました。分析支援を必要とする作業環境測定機関の担当者は、労働衛生調査分析センター(03 3452-3145)または大阪労働衛生総合センター(06 6448-3788)まで直接ご相談ください。

また、建築工事などで、作業者にサンプラー器具やポンプの装着が望ましくないようでしたら、小型(直径3cm厚さ5㎜程度)のバッジでの簡易測定と分析を提案いたします。労働衛生調査分析センターパッシブサンプラー担当(03 3452-3145)までご相談ください。

濃度基準値設定物質

令和6年4月1日から、リスクアセスメント対象物のうち濃度基準値が設定された67物質を製造し、または取り扱う業務を行う屋内作業場においては、事業者は、労働者のばく露の程度を、濃度基準値以下とする必要があります。従来のような特別則の下での管理濃度(作業場所の作業環境の良否を判断する管理上の指標)とは異なり、濃度基準値を超えてのばく露は法令違反となり、健康障害のおそれがあるとして、漏洩事故における大量ばく露と同様に、リスクアセスメント対象物健康診断(第4項健診)を直ちに実施する義務が課されます。

労働者のばく露の程度は、リスクアセスメント対象物の取扱量や作業方法に応じて、労働者の呼吸域の濃度を見積もることによっても把握でき、事業者(化学物質管理者)が明らかに低いと判断できる場合など、必ずしも実測が必要とはされていません。
しかし、国が公示する技術上の指針によれば、事業者による労働者の呼吸域の濃度の見積り等により、濃度基準値の2分の1を超えると判断される場合は、労働者の呼吸域の濃度を実測する「確認測定」をするよう定められています。

確認測定の結果、呼吸域における濃度が濃度基準値を超えた場合の措置としては、密閉化、換気装置の設置・稼働、管理的対策など様々なものが考えられ、呼吸用保護具の使用も選択肢の1つとなります。呼吸用保護具によるばく露防止措置を講ずる場合は、保護具着用管理責任者を選任し、保護具の適正な選択、使用と保守管理を管理させなければなりません。また、法令の義務付けはありませんが、技術上の指針で、フィットテストについても規定されています。

詳しくは、濃度基準値が定められた令和5年厚生労働省告示第177号および技術上の指針(令和5年技術上の指針公示第24号)を参照ください。これら確認測定の実務については、令和6年5月8日改正分を含め、化学物質管理者選任時テキスト第3版(令和6年6月7日中災防刊)別タブで開きますに掲載しております。

リスクの見積り測定と確認測定の違い

個人ばく露測定のサービスは、安衛法第65条に規定する作業環境測定の対象以外に対して、労働者の呼吸域における物質の濃度を測定するものです。ばく露低減のためのリスクアセスメントの一環としての個人ばく露測定、濃度基準値設定物質に対する確認測定の2つがあります。

種類リスクの見積り測定確認測定
対象リスクアセスメント対象物ほか濃度基準値設定物質
利用例簡易ツールでうまくいかない場合呼吸域濃度が濃度基準値の2分の1を超えるリスク見積り
精度測定実施者が妥当性を判断作業環境測定士の関与による精度担保が望ましい

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中災防は、化学物質管理者研修を令和4年10月から、保護具着用管理責任者研修を令和5年5月から実施しており、質の高い研修を受講できます。
また、企業として、化学物質管理者研修や保護具着用管理責任者選任時研修を自社研修室などで開催し、出張研修サービスを利用して労働衛生調査分析センターの専門スタッフを講師とすることもできます。