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「国際安全衛生センター(JICOSH)」
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2010年10月29日
アメリカ労働統計局(Bureau of Labor Statistics - BLS)から、2009年におけるアメリカの業務上死亡災害件数(暫定値)が公表されたので、概要を紹介する。
原資料の題名と所在
NATIONAL CENSUS OF FATAL OCCUPATIONAL INJURIES IN 2009
(PRELIMINARY RESULTS)
2009年のアメリカの死亡災害件数(暫定)は、4‚340件で、前年の確定値5‚214件に比べて減少した。この暫定値は、1992年から死亡災害全国調査(Census of Fatal Occupational Injuries‚ CFOI)を実施して以来の最小の値である。死亡災害率は、10万常用労働者当り3.3件で、前年の3.7件より減少した(最終結果は2011年4月に判明する)。
2009年の死亡災害件数の減少は、経済的要因が主なものとなっている。総労働時間は、前年に比べて6%減少した。建設業など過去に死亡災害の発生率が大きかった産業において、雇用及び労働時間が大幅に減少している。
交通事故による死亡者数は、多くの事故の型において2008年に比べて減少した。公道上の死亡事故は27%減少、車両及び自走装置による激突されたことによる死亡事故は19%減少、航空機による死亡事故は18%減少、トラクターの転倒などの非公道上の死亡事故は8%減少した。水上交通死亡事故は、増加(2008年の76名から2009年は82名)した。
事業場内殺人は、2009年には1%減少した。事業場内殺人(暫定)は、521名で、1994年の1‚080名からは半減している。事業場内自殺は、2008年の263名に比べて237名と10%減少している。しかしながら、この数は過去2番目に多い数値である。
墜落・転落による死亡災害は、12%減少した(2008年の700名から2009年は617名)。過去最高の2007年の847名に比べて27%の減少である。約半数の墜落・転落による死亡災害は、建設業で発生しており、2007年以降の建設工事量と雇用者数の減少がこの2年間の減少を示しているようである。物、装置との接触による死亡災害は、2008年には増加したが、2009年には22%減少した。また、有害物又は有害環境(感電を含む) へのばく露による死亡災害件数は、11%減少した。
死亡災害の90%は、民間産業において発生している。このうち、49%はサービス提供型産業においてであり、41%は物品生産産業においてである。政府関連は、10%である。2009年の死亡災害は、民間、政府関連ともに17%減少した。
建設労働者は、全産業のうちで最も多く被災しているが、2008年の19%に引き続いて2009年には16%減少した。この減少により、建設業の死亡災害は、2006年に最高であった死亡災害の3分の1以上減少した。建設業の総労働時間は、17%減少したこと、その前年には10%減少したことなどの経済状態がこの減少の多くを説明している。建築労働者の死亡災害は、前年に比べて27%減少(非住居建設では、55名で44%の減少)であった。土木工事関連では、12%減少し、死亡災害が最も多い職種別請負業者(Trade contractors)は、16%減少した。
農林漁狩猟業の死亡災害は、2009年には19%減少した。林業、木材製造業の死亡災害は、50%(2008年の101名に対して2009年は51名)減少した。他の多くの産業と違って、漁業、狩猟労働者の死亡災害は増加している。鉱業(43%)、製造業(26%)では、減少している。
サービス提供型産業では、運輸・倉庫業の死亡災害は、579名で27%減少した。この分野で最も死亡災害の多い業種の貨物自動車運送業は、2009年には32%減少した。その他の分野、航空、鉄道、水運労働者の死亡災害はさらに減少した。
卸売業は、2008年に比べて2009年の死亡災害が増加した数少ない業種の1つである。卸売業では、3%増加したが、小売業では若干減少している。公益事業及び情報事業では、急激な減少を見たが、他の分野では、緩やかな減少であった(金融:-5%、専門及びビジネスサービス:-2%、教育及び医療:4%、余暇及び接客:9%)。
政府関連労働者の死亡災害は、17%減少した。州及び地方自治体では減少したが、連邦政府関連では死亡災害が116名となり7%増加した(主に国家保安サブセクター関連)。
輸送関連職種における死亡者数は、全死亡災害の5分の1を占めているが、2009年には28%減少した。運転/販売労働者(Driving and sales workers)及びトラック運転者は、輸送関連職種のサブグループで死亡災害の最も多いグループであるが、2009年には2008年に比べて32%減少した。
建設関連職種における死亡災害は、2008年に前年比17%減であったが、2009年にも前年比16%減であった。2009年には16%減少(2008年の726名から2009年は607名)したが、死亡災害は、電工、配管工、大工などの職種において多く発生している。建設作業員は(laborers)、建設関連職種で最も死亡災害が多いグループであるが、2009年には7%減少し、224名であった。
災害防止関連職種(消防士等)の死亡災害は、2009年には21%減少した(2007年の最も多かった時より30%減)。法執行官、消防士、警備員の死亡災害が少なかったことにより、この職種グループの減少となった。
清掃保全関連職種は、死亡災害が多い少数の職種グループの1つであり、2009年には6%増加した。これは、保全関連労働者の死亡災害が147名で12%増加したことによる。
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