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シンガポール 工場法
   
(仮訳 国際安全衛生センター)
   

第XI部  違反、罰則及び訴訟手続き


88.

(1) 工場で、工場に関して、もしくは工場に関連して、本法、または本法の下に制定される規制、規則もしくは命令の規定の違反が生じた場合には、工場の占有者または(本法の規定により、違反について所有者が責任を負うとされる場合に)所有者は法令違反に当たり、本法の以降の規定による処罰される。


(2) 被雇用者が、被雇用者の職務に関する第IX部の規定を違反した場合、またはいずれかの者が本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定により被雇用者に明示的に課する職務に違反した場合には、かかる者は法令違反に当たり、第IX部に定める規定の違反もしくは職務を課する規定の違反(いずれか該当するもの)の理由のみによって占有者または所有者(いずれか該当するもの)が法令違反となるものではない。ただし、かかる者(占有者または所有者)が、違反を防止するためにあらゆる妥当な手段を取らなかったことが証明される場合を除く。また本項は、前述の規定以外の何らかの規定により、同一の事項について占有者または所有者の責任が定められている場合に、かかる責任について何ら影響を及ぼすと解釈されるものではない。


(3) 第80条に違反した被雇用者は、警察官または、監督官により書面でその旨認められた検査官が令状なくこれを逮捕し治安判事裁判所に送ることができる。かかる者は、これを500ドル以下の罰金に処すものとし、2回目以降の違反については2,000ドル以下の罰金に処する。


(4) 第(3)項または当面効力を有するその他の明文法に拘わらず、第(3)の規定により逮捕を実行した警察官または検査官が逮捕された者の身分、氏名及び住所を認める場合には、その裁量により、かかる者を裁判所もしくは警察署に連行せず、第102条の規定する書式により同人宛て通告を発して、当該通告に明記される日時に示される裁判所に出頭するよう要請することができる。


(5) 警察官または検査官は、逮捕された者の身分を認めるため、必要と見なす身分の証明を提示するよう逮捕された者に要求することができる。


(6) 第(4)項に定める通告は、警察官または検査官(いずれか該当するもの)が写しを作成し、裁判所から要請がある場合に裁判所に提出する。


(7) 被告人が第(4)項に規定する通告により裁判所に出頭した場合には、裁判所は、罪状を認め、同人が第(3)項の規定によって出頭した場合と同様に、手続きを行う。


(8) 前述の通告が発せられた者が、通告に従って裁判所に出頭しない場合には、裁判所は同人の逮捕のために同人の令状を発する。


(9) 第(8)項の規定により発せられた令状により逮捕された者が裁判所に出頭した場合には、裁判所は、同人が第(3)項の規定によって出頭した場合と同様に手続きを行い、裁判所は、同人に対して発せられた通告を遵守して出頭しなかったことについて罰せられない理由を示すよう、訴訟手続きの終わりに同人に求め、かかる理由が示されなかった場合には、2,000ドル以下の罰金または2ヶ月以下の禁固を科すことができる。


(10) 工場の占有者が本法により、もしくは本法の下の特別除外規定の適用を受け、当該除外規定に付される条件のいずれかを遵守しない場合には、本法の規定に違反したと見なす。


(11) 人が、本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定を遵守することなく、工場に雇用されている場合には、各被雇用者について別個の違反が存在すると見なす。


(12) 会社、共同組合またはその他の社団の犯した本法違反が、会社、協同組合もしくはその他の社団の理事長、会長、管理者、秘書役もしくはその他の役員の同意もしくは共謀を得て行われたこと、またはこれらの者の過失(neglect)により便宜を受けていたことが証明される場合には、会社、共同組合もしくはその他の社団に加えて、同人が法令違反と見なされ、訴訟手続きを受け、相当の処罰を受ける。



89.

(1) 本法の規定により法令違反とされる者は、本法で罰則が明示されていない場合には、第XI部のこれ以降の規定も適用され、以下に示す刑罰に処する。

  1. 被雇用者である場合には、1,000ドル以下の罰金。

  2. それ以外である場合には、2,000ドル以下の罰金。

有罪とされた違反が判決後も継続する場合には、さらなる法令違反に当たり、違反が継続している1日当たり100ドル以下の罰金に処する。


(2) 人の死亡または身体に傷害を生じる恐れのある違反の場合には、法令違反とされる者に、10,000ドル以下の罰金もしくは6ヶ月以下の禁固もしくはその両者を科するものとし、有罪とされた違反が判決の後にも継続する場合には、(第90条の規定が適用され)さらなる法令違反とし、違反が継続している1日当たり1,000ドル以下の罰金に処する。


(3) 人の死亡または重大な身体傷害を生じた違反の場合には、法令違反の者に、25,000ドル以下の罰金もしくは1年以下の禁固、またはその両者を科する。



90. 人が、

  1. 本法、または本法の下に定める規制、規則もしくは命令により、必要とされる証明書を偽造または模造した場合、

  2. 重要な事項について偽りであることを知っている証明書を交付した場合、または署名した場合、

  3. 前述の通り偽造もしくは模造した証明書または偽りである証明書を、そのことを知りながら行使または使用した場合、

  4. 証明書が適用されない者に対して、そのことを知りながら適用されるとして証明書を行使または使用した場合、

  5. 証明書に記されている者の氏名をかたった場合、

  6. 検査官である旨偽った場合
  7. 前述のような偽造、模造、交付、署名、行使、使用、名をかたること、または偽ることについて、故意に共謀した場合、

  8. 本法、または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令により必要とされ工場記録、通知、証明書もしくは文書に、偽りの記入をして、保管、提出もしくは送付を行った場合、

  9. 本法、または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令により必要とされる偽りの供述(declaration)を、故意に作成、署名した場合、または
  10. 前述の記入または供述を、そのことを知りながら使用した場合には、


    法令違反に当たり、2,000ドル以下の罰金、または6ヶ月以下の禁固に処する。ただし、この他の罰を科すことを妨げない。

92. 本法の規定により行為または不作為に責任を負わなければならない場合で、かかる行為または不作為が他の者のものであった場合には、当該他の者を法令違反とし、同人を頭書の者である場合と同様の罪に処する。


93.

(1) 人が、本法の規定の違反で告訴された場合には、同人に対する告訴が然るべくなされた時点で、検察官に対して書面により3日間以内に事前通知を発して、実の違反者であると同人の主張する他の者(その者の代理人または被用者か否かを問わない)を裁判所に出頭させ、指定の日時に嫌疑について尋問する権利を有する。違反の行為が証明された場合には、第一の者が裁判所の得心するように、以下の点を証明する場合には、

  1. 同人が、本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令のいずれの実施をも遂行するよう相当のあらゆる注意を払ったこと、及び

  2. 当該他の者が、同人の同意、共謀または故意による不作為なくして問題の違反を犯したこと。

当該他の者を違反について有罪とし、第一の者は法令違反でないものとし、裁判所の裁量により、かかる有罪とされた者が訴訟に付随する費用の支払いについても責任を負う。


(2) かかる事例で、第一の者がその主張支持のため証拠及び証人を求める場合には、検察官は、第一の者を反対尋問し、その証拠に反証する権利を有する。


(3) 違反を発見した時点で、検査官にとって以下のことが明らかに認められる場合には、

  1. 本項の一部に対して(起訴等の)手続きを受ける者が、本法及び本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定を遂行するに当たり相当のあらゆる注意を払っていること、

  2. 違反を犯した者の特定、

  3. 当該違反が、第一の者の同意、共謀もしくは故意による不作為によらず、また同人の命令に反して行われたこと、


検査官は、第一の者に対する手続きを行うことなく、検査官が実の違反者と考える者に対して手続きを行う。

(4) 原動機、伝導装置及びその他の機械に関する第V部の規定により、機械の部分が、確実に(フェンスで)囲っているのと同等に、施設内の被雇用者もしくは作業者にとり安全な位置にあるか否かを判断するに当たって、以下の点が裁判所の認める程度に示される場合には、その機械の部分に接近する者については考慮されない。

  1. 工場の占有者または所有者(いずれか該当するもの)が本法及び本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定を遂行するに当たり、相当なあらゆる注意を払っていること。

  2. 接近行為が、占有者もしくは所有者の同意、共謀または故意による不作為によらず、また同人の命令に反して行われたこと、

  3. 接近行為が、その行為を行う者の故意による重大な違法行為に相当する性格をもつものであること。


94. 本法において、本法の規定に関してある者が別の者に代替した場合には、本法の規定の目的のために、本法により別の者に関連して送達される、もしくは行われることが要請もしくは認められる命令、召喚、通告または訴訟手続きは、第一の者に関連して送達される、もしくは行われることが要請もしくは認められる(いずれか該当するもの)。


95. 工場内で、機械的動力により稼働される機械もしくは備品の所有者または賃借人が工場の占有者でない場合には、当該機械または備品に関連して雇用された者で、所有者または賃借人の雇用もしくは賃金支払いの下にある者に関連して犯された本法の違反に関して、所有者または賃借人を工場の占有者と見なす。


96.

(1) これに反するいかなる明文法の規定にも拘わらず、地方裁判所または治安判事裁判所は、いかなる違反を審理する裁判権も有する。ただし、治安判事裁判所は、1年を超える禁固の判決を下すことはできない。

(2) 本法の下で行われる手続きにおける告訴もしくは通報では、工場が本法の定義による工場であると主張し、表面上の占有者の名称(占有者が会社である場合には、当該会社の名称)を述べることで十分とする。当該施設が工場でないこと、または告訴もしくは通報に記された占有者が工場の占有者でないことを証明する証明義務は、かかる事実を主張する者に存する。

(3) 本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令に示される期限内に、検査を行わないこと、報告書を作成しないこと、もしくはその他のことを行わないことが理由で、本法の違反とされる場合には、検査が行われる時点、報告書が作成される時点、もしくはその他のことが行われる時点(いずれか該当するもの)まで、当該違反が継続していると見なす。


97. 局長(工場主任検査官)は、本法の規定の違反に関し、かかる違反を犯していることが妥当に疑われる者について、200ドル以下の金額を受けて違反を(compound)することができる。


98. 工場記録またはその他の記録に、本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令により記入が要請される場合には、工場の占有者の行った、もしくは同人のために行われた記入は、同人にとり当該記録に記される事実の証拠として認められる。本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定の遵守に関して要請される記入が行われていない場合には、当該規定が遵守されていない証拠として認められる。


99.

(1) 本法の規定により送達することが要請または認められるいかなる文書(召喚もしくは命令を含む)も、以下の方法で送達することができる。

  1. いずれの者に対しても、当該者本人に配達すること、または当該者本人の居所に留置く、もしくは書留郵便で送付することにより送達すること。

  2. いずれの企業に対しても、当該企業のいずれかの社員に配達すること、または当該企業の事務所に留置くこと、もしくは書留郵便での送付により送達すること。

  3. 工場の所有者または占有者(所有者または占有者が会社法の下で登録されている会社、もしくは共同組合法の下で登録されている共同組合である場合を含む)に対して、前述の方法により送達すること、または文書もしくはその真正謄本を工場の管理者、工場長もしくはその他の責任者に配達することにより送達すること。


(2) 文書を工場の占有者に送達するためには、かかる文書は当該工場の適切な郵便住所の「占有者」宛てとし、それ以上の呼称または名称を省くことができる。


(3) 第(1)項、及び(2)項は、本法の規定の下で人、企業、所有者もしくは占有者宛てに送付することが要請もしくは認められている文書、またはかかる文書の送付、住所、及び配達に関して、適宜修正を加えて適用される。


100. 所有者と占有者の間の協定により、施設の全部または一部が工場として賃貸され、施設の構造的改変もしくはその他の改変(本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定を遵守するため、もしくは本法により課される基準もしくは要件を遵守するために必要なもの)を、所有者または占有者が行うことが妨げられる場合には、所有者または占有者は、高等裁判所に当該協定の条項の除外または変更を申請することができる。当該裁判所は、当事者及び当事者が召喚することを望む証人を聴取して、裁判所が当該ケースの状況に照らして正当かつ公平であると認めるように、協定の条項を除外または変更することができる。


101. 施設の全てまたはその一部が工場として賃貸されている場合で、本法または本法の下で定められる規制、規則もしくは命令の規定を遵守するために、または本法により課される基準や要件を遵守するために、構造的な改変またはその他の改変が必要な場合で、所有者または占有者(いずれか該当するもの)が改変の費用の全部または一部が占有者または所有者が負担すべき旨を主張する場合には、所有者または占有者は改変の費用を所有者及び占有者の間で配分するよう、高等裁判所に申請することができる。当該裁判所は、当事者及び当事者が召喚されることを望む証人を聴取して、裁判所が当該ケースの状況に照らして正当かつ衡平であると認めるよう、当事者間の契約条件を考慮して、費用の配分について命令を下すことができる。または、その代替として裁判所は、所有者または占有者からの要請により、賃貸借を決定することができる。



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