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シンガポール 工場法
   
(仮訳 国際安全衛生センター)
   


第VII   衛生、安全及び福祉(特別規定及び規制)

59.

(1) 継続される何らかの工程に関連して、被雇用者に有害もしくは危険となる恐れがある種類及び程度の粉じん、ヒュームもしくはその他の不純物、または相当な量の粉じん(種類を問わない)が発生する工場では、被雇用者を粉じん、ヒュームまたはその他の不純物の吸引から保護し、いかなる作業場でもその蓄積を防止するため、実行可能なあらゆる措置を取るものとし、特に工程の種類に照らして実行可能である場合には、いかなる作業室の空気侵入も防止するために、粉じん、ヒュームまたはその他の不純物の発生源にできるだけ近い地点に排気装置を設置、維持する。


(2) 定置式内燃機関は、当該機関からの排気を大気に排出する措置がない場合には、これを使用してはならない。


(3) 危険もしくは不快な物質を製造、取扱い、または使用する作業場では、資格ある者が十分な間隔をおいて空気を試験し、毒性または刺激性の粉じん、ヒューム、ガス、繊維、ミストもしくは蒸気が、雇用されている人の健康に害を及ぼす恐れがある量で存在しないことを確認する。


(4) 第(3)項の規定の下で行われる毎回の試験について、当該試験日から最低3年の間、検査官による点検のため試験記録を備えておく。


(5) 工場の占有者は、被雇用者が特別な危険に接する場所では、その旨の警告通知及び危険を回避するために取るべき注意事項を掲出する。


(6) 第(1)項及び第(3)項に規定する要件は、当該作業所で遵守することが実行不可能であり、当該作業所で就業する者が呼吸器具を使用する場合には、適用されない。


(7) 大臣は、官報に公告する命令を発して、工場の作業場における毒性物質の許容レベルを設定することができる。



60.

(1) 工場内の毒性物質は、毒性物質の特性及びその危険性に関して十分な知識を有する資格ある者の管理の下に置く。


(2) 毒性物質の設置場所への全ての出入口またはそれに隣接した場所には、工場内の被雇用者の理解できる言語で、当該毒性物質の危険の種類を表示した警告文言を掲出する。


(3) 工場内で毒性物質に接する恐れのある被雇用者には、関連する危険及び遵守すべき安全措置について、注意を与える。


(4) 毒性物質の容器には、関連する危険を警告するために、工場の被雇用者が容易に理解できるラベルを貼付する。



61.

(1) いかなる部屋の中でも、毒性物質またはその他の有害物質が、粉じんまたはヒュームを発生させるような方法で使用される場合には、いかなる者もかかる部屋の中で食物もしくは飲料を摂取すること、または食事もしくは休憩のために認められた時間(interval)に当該部屋に残ることを許可されることはなく、また食物もしくは飲料がいかなる時にもかかる部屋に貯蔵され、もしくはそこを通って運ばれることはない。


(2) 第(1)項に示される部屋で雇用される者について、工場内の別の場所で食事を取ることを可能にするよう、適切な措置を取る。



62.

(1) 作業者が工場内で、湿気、極端な高温もしくは騒音、極端な低温、または何らかの有害もしくは危険な物質に関わる工程に従事する場合には、かかる作業者の使用のために、適切な保護衣服及び装置(必要な場合には、適切な手袋、履き物、ゴーグル、耳おおい及び頭保護具を含む)を備え、維持する。


(2) 工場内で人が、飛行または落下する物体もしくは物質の危険に関連する工程に従事する場合には、かかる人の使用のために、認められた頭部保護具を備え、維持する。


(3) 頭髪が機械の運動部分にからまり損傷を生じる危険のある場合には、かかる危険に接する被雇用者の頭髪を閉じ込めるため、頭保護具を備える。


(4) 工場で、手に切り傷またはやけどを生じる危険に絶えず接している被雇用者には、手の保護具を備える。


(5) 工場で、高温もしくは腐食性の物質または落下物による損傷を足に生じる危険に接している被雇用者には、足の保護具を備える。


(6) 人が水中で作業しなければならない場合には、かかる人の使用のために、水中呼吸器具、ゴーグル、ならびにその他の保護衣服及び装置を備える。


(7) 大臣は、官報に通達を掲載して、本条の目的のため、認められる衣服及び装置の種類(型)を設定することができる。



63.

(1) 付表第5に規定する工程、または工程の過程で飛び交う粒子もしくは破片により目に損傷を生じる特別の危険に関わる工程では、かかる工程に携わる者の目を保護するために、適切なゴーグルまたは効果的なスクリーンを備える。


(2) いずれの工場でも、電気アーク溶接が継続作業され、被雇用者(溶接工程に携わる者を除く)が電気アーク閃光に接する危険を生じる恐れのある場合には、かかる危険発生を防止するために、スクリーンまたはその他の方法により、効果ある措置を講じる。



64. 人が工場内で、健康に危害を及ぼす恐れのある過剰な騒音または振動を生じる工程に従事する場合には、実行可能な限り騒音または振動を低減するために効果的な措置を講じる。



65.

(1) 工場の占有者は、可能な限り、有害な物質、工程もしくは技術を、無害なまたは害の少ない物質、工程もしくは技術と代替する。


(2) 危険な工程は、別個の部屋、建屋または構内で、最小人数の作業者により行われる。


(3) 有害な放射線から作業者を保護するため、有害物質の放散に対して防止措置を取る。


(4) 危険な工程が行われている部屋、建屋もしくは構内に、いかなる者も立入りまたは留まらないものとし、いかなる者も、他人が立入ることもしくは留まることを、要請、許可または命令することない。



66. 局長(工場主任検査官)は、工場内で毒性、有害もしくは危険な物質の製造、取扱い、または使用に関わる工程が継続されている場合で、適切と認める場合には、書面による命令を発することにより、工場の占有者に対し、当該命令に示す期間以内に、被雇用者のための更衣及び洗面施設を分離するよう命じることができる。

67.

(1) 患者を診察または診察するよう要請された登録医師で、患者が付表第6に示される疾病に罹り工場内で感染したと考えられる場合には、直ちに付表第10に規定する書式による届出を局長(工場主任検査官)宛てに送達する(ただし、それまでにかかる届出が送達されている場合を除く)。


(2) 本条に違反して、登録医師が本条に定める要件を遵守して届出を送達しない場合には法令違反に当たり、500ドル以下の罰金に処する。


(3) 工場内で付表第6に示されるいずれかの疾病が発生した場合には、占有者はそれぞれのケースについて定められている事項とともに文書による届出を局長(工場主任検査官)宛てに送達する。かかる場合には、第51条に規定する危険が発生した場合と同様に、危険発生の届出に関する規定が適用される。


(4) 大臣は、官報に公告して命令を発することにより、全ての工場に関し、または工場の何らかの型もしくは種類に関して、本条の規定を付表第6に示す以外の疾病に適用することができる。



68.

(1) 大臣は、工場内で用いられている製造法、機械、機械装置(プラント)、機器(equipment)、装置、工程または単純労働の種類が、被雇用者もしくはいずれの種類の人にも、身体的損傷の危険を生じる性質であると認める場合には、無理なく実行可能で、必要性に合致すると見なされる規則を制定することができる。


(2) かかる規則では、以下の事項を制定することができる。

  1. 製造法、機械、機器(equipment)、工程または単純労働の種類に関連して、全ての者のもしくはいずれかの種類の人の就業を禁止すること、または就業時間を変更もしくは制限すること。

  2. 資材または工程の使用を禁止、制限もしくは制御すること。

  3. いずれかの型もしくは種類の工場に関して、第IV部、第V部、第VI部もしくは第VII部の規定で健康もしくは安全に関する要件を定める規定を、修正または拡張すること。特別規則は、製造法、機械、機械装置(プラント)、機器(equipment)、装置、工程もしくは単純労働の種類が用いられている全ての工場に適用すること、またはかかる工場の特定の型もしくは種類に適用することができ、特定の型もしくは種類の工場に対して、適用除外(絶対的もしくは条件付き)を規定することができる。

  4. 工場内で被雇用者が持上げ、運搬、または移動することができる最大荷重を規定すること。かかる規則では、異なる状況において異なる荷重を規定することができる。かかる規則では、人全般、特定の種類の人、または特定の型もしくは種類の工場もしくは特定の工程に携わる者を対象とすることができる。


(e) 機械もしくは機械装置(プラント)に従事する者の資格、または機械もしくは機械装置(プラント)の作業訓練を受ける者の資格を規定すること。


(3) かかる規則では、所有者、(作業に携わる)被雇用者及びその他の者ならびに占有者の義務を設定することができる。


(4) 本条の規定による全ての規則は官報に公告するものとし、公告の後できるだけ早く国会に提出する。



69.

(1) 工場で、またはある型もしくは種類の工場で、大臣が以下のことを認める場合に、

  1. 疾病(大臣が、工程の性質またはその他の業務状況に原因があると思料する理由があるもの)のケースが発生したこと。

  2. 工程もしくは工程に使用される物質の変更、または新しい工程もしくは工程に使用される新しい物質の理由により、当該工程に携わる者の健康に傷害が生じる危険があること。

  3. 健康に傷害を生じる危険のある業務に、18歳未満の者が携わること、または携わろうとしていること。

  4. 付表第7に示すいずれかの職種で、当該職種で使用もしくは取扱うために工場に持ち込む物質もしくは資材により、または業務の状況もしくは工場のその他の状況の変更により、当該職種に携わる者の健康に傷害を生じる恐れがあること。

規則を制定して、工場、または当該規則に定める特定の型もしくは種類の工場での作業に携わる者もしくは何らかの種類の人について、医療観察及び医療検査(予防的な性格を有する医療行為を除く)を行うよう妥当な手配を求めることができる。


(2) 本条の規定の下で制定される規則には、当該規則の下で行われる医療観察及び医療検査は局長(工場主任検査官)に登録した者が行う旨を規定することができ、また本条の目的での登録に必要な資格及びその他の条件を制定することができる。



70.

(1) 検査官は、占有者または占有者が直ちに対応できない場合には工場長(foreman)もしくはその他の責任ある者に通告を行った後いつでも、本法の規定の下で行われる検査または調査のために必要な物質の十分なサンプル、それに関して検査官が本法の違反を疑う物質、または検査官の意見から被雇用者に身体的傷害を生じる、もしくは分析の結果生じる恐れのあることが証明されうる物質を、持出して分析することができる。


(2) 占有者または工場長もしくはそのほかの責任ある者は、本条の規定によりサンプルが持出される時に、必要な装置を提供して、サンプルを3つに分割し、印を付し、その物質の性質により許容される方法で密封もしくは封印し、以下のことを行うよう検査官に要求することができる。

  1. 1部を占有者または工場長もしくはその他の責任ある者に提供すること。

  2. さらに1部を、将来の比較用として残すこと。

  3. 1部を分析のために科学技術長官(Director of Scientific Services)に提出すること。


(3) 本条の規定により行われるサンプル分析の結果に関する科学技術員(Scientific Officer)による証明書は、当該証明書に記される事項の証明として、本法の規定の下で行われる訴訟手続きで証拠として認められ、いずれの側も、分析を行った者を証人として召喚することができる。


(4) 本条の下で行われる分析結果は、これを出版すること、またはいかなる者にも公開することは、違反を起訴する目的で必要である場合を除いて違法とし、本項に違反した者は法令違反に当たり、2,000ドル以下の罰金に処する。


71.

(1) 本条は、大臣が官報に公告して命令を発することにより指定する型もしくは種類の工場に、適用する。


(2) 本条が適用される工場の占有者は、安全管理者として資格ある者を雇用する。


(3) 本条の規定により雇用される安全管理者は、本法及び本法の下で制定される規則の規定の遵守について一般的監督を行い、工場内の業務の安全な実行一般を促進するためにのみ指名、雇用される。



72.

(1) 一時に50人以上を雇用する工場の占有者は、安全委員会(被雇用者及び経営者双方を代表するもので、工場に従事する者の安全と健康に影響を及ぼす、または影響を及ぼす可能性のある工場内の状況を見直すことを目的とするもの)を設置する。


(2) 工場の安全委員会の機能は、以下の通りとする。

  1. 工場内で安全で健康な労働条件を達成、維持するために、経営者及び、占有者により工場内での作業に雇用される被雇用者の間の協力を促進すること。

  2. 就業する者の安全と健康の利益のため、時には工場内の検査を実施すること、及び事故または危険発生の現場を検査すること。

(3) 安全委員会は、本条の規定の下で機能を実行する目的のために妥当な程度に必要とする便宜及び援助を得る。


(4) 安全委員会が本条の規定の下で検査を実施する場合には、当該検査の終了後、検査記録(検査の日時、検査を行った工場の部分、検査によって明らかにされた事項で同委員会の意見によれば検査の時点で工場内で被雇用者の安全または健康に害を与える事項を記載したもの)を作成し、これに署名する。占有者は、かかる記録を記入する登録簿を備える。



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