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シンガポール 工場法
   
(仮訳 国際安全衛生センター)
   


II   定義


6.

(1) 「工場(factory)」とは、施設であって、その中で、または構内、宅地もしくは範囲内で、以下の目的のいずれかのための工程もしくは以下の目的のいずれかに付随する工程に、人が雇用されるものを意味し、本条の規定が適用される。

  1. 物品または物品の一部の製作

  2. 物品の改造、補修、装飾、仕上げ、清掃、洗浄または分解もしくは取壊し

  3. 販売のために物品を適合させることであって、中で、または構内、宅地もしくは範囲内で、業務としてもしくは営利を目的として、業務が継続され、中で被雇用者を雇用している者が立入りもしくは管理する権利を有する施設



(2) 施設が、前項の定義により工場とされるか否かに拘わらず、「工場」には、次に掲げる施設であって、中で人が肉体労働に従事するものを含む。


  1. ヤードもしくは乾ドック(構内を含む)であって、その中で船舶の建造、再建造、補修、改装、仕上げまたは分解が行われるもの。

  2. 工場で行われる業務の準備として、もしくは工場の目的に付随して、物品の仕分け業務が行われる施設

  3. 工場の目的に付随して、瓶もしくは容器の洗浄業務もしくは充填業務または物品の梱包業務が行われる施設

  4. 織り糸もしくは布地のホック留め、編み、ラップ、仕上げまたは梱包業務が行われる施設

  5. 別の業務の補助業務として、もしくは公共機関の目的に付随して、行われる洗濯場

  6. 輸送事業もしくはその他の工業もしくは商業事業の補助業務として、機関車、航空機、車両もしくはその他輸送目的に用いる機械装置(プラント)の製造、再製造または補修が行われる施設。ただし、機関車、航空機または車両を保管する目的に使用される施設で、中で清掃、洗浄、応急修理もしくは小規模調整のみが行われるものを除く。

  7. 業務としてまたは営利もしくは他の業務に付随する目的で、活版印刷、リトグラフ、フォトグラビア、もしくはその他同様の工程による印刷、または製本が行われる施設

  8. 業務または映画もしくは劇場公演の営利目的で行われる製作、展示もしくは上演に付随して、衣装、舞台面もしくは物の製造、適合または補修が行われる施設。ただし、劇場内の舞台または衣装室であって、適合もしくは補修が時折行われるものを除く。

  9. 漁業に付随して、網の作成業務または補修業務が行われる施設

  10. 業務としてまたは営利目的で行われる業務に付随して、物品の製造もしくは補修に関連して、機械的動力が用いられる施設

  11. 業務としてまたは営利目的で映画の製作が行われる施設。ただし、かかる施設で、演技者及び演技者の付添い人の雇用は、工場内で行われる雇用とは見なされない。

  12. 建築作業もしくは建設工事作業の実施に付随して、物品が製造または準備される施設。ただし、中で当該作業もしくは業務が行われる施設を除く。

  13. 140立方メートル以上の貯蔵容量を有するガスホールダーを使用して、ガスの貯蔵をおこなう施設

  14. 業務としての供給、工業もしくは商業的事業、もしくは公共建築物もしくは公共機関への供給のため、または道路もしくはその他の公共の場所への供給のため、電気エネルギーの生成に関連して人が雇用される施設

  15. 水の供給の目的で、もしくは水の供給に関連して、機械的動力が使用される施設で、人が常時雇用されるもの

  16. 機械的動力が使用される下水事業、及びこれに関連して使用される揚水場

  17. 建築作業または建設工事作業が継続される施設



(3) 工場に関連して、及び工場の目的のために使用される線路または側線は、工場の一部と見なす。かかる線路または側線が2つ以上の工場(異なる占有者に属するもの)に関連して使用される場合には、線路または側線は別個の工場と見なす。


(4) 所有者または占有者の許可もしくは同意の下で、10人以上の人が何らかの業務を行っている作業場(業務を行っている者が作業場の所有者もしくは占有者の雇用下にあると仮定すると、当該作業場が工場と見なされるされることになる状況である場合)は、本法の目的のためには工場と見なす。かかる作業場では、本法の規定は、作業場の所有者または占有者が工場の占有者、そこで業務を行っている者が工場における被雇用者であるとして、適用される。


(5) 被雇用者が10人未満で、以下の条件に該当する場合には、施設は工場と見なされない。

  1. 機械的動力、蒸気ボイラー、蒸気コンテナ、蒸気溜め、鋳鉄下方燃焼式加硫装置、空気溜め、冷凍・冷蔵装置の圧力溜めまたはガス発生装置が使用されていないこと、及び

  2. 高度の可燃性もしくは毒性の高い物質の操作、使用、または生成が行われないこと。


(6) 工場を構成する構内、宅地もしくは範囲内に位置する場所が、工場で行われる工程とは別の目的のみに使用されている場合には、かかる場所は、本法の目的のためには工場の一部とは見なさない。ただし、かかる場合でな
い場合には、別個の工場と見なす。

(7) 局長(工場主任検査官)の書面による承認がある場合には、工場の一部を別個の工場と見なすことができる。また、局長(工場主任検査官)の書面による承認がある場合には、2つ以上の工場を単一の工場と見なすことができる。


(8) 施設は、野外の施設であるという理由のみで、工場の定義から除外されることはない。


(9) 政府または法定の委員会もしくは機関に属する、もしくはこれらが占有する施設は、工場でないと見なされることはなく、政府もしくは上記委員会もしくは機関により、もしくはこれらのために行われる建築作業もしくは建設工事作業が行われている施設は、行われている業務が業務としてもしくは営利目的ではないという理由のみによって、本法の運用から除外されることはない。



7.

(1) 本法では、文脈によりこれと異なる解釈が要求される場合を除き、以下の通りとする。

「空気溜め(air receiver)」とは、

  1. 圧搾空気を含有し、空気圧縮機装置に接続している容器(ただし、パイプ、コイル、またはコンプレッサーに付属している、もしくはその一部であるアクセサリーを除く)

  2. 圧搾空気を含有し、内燃機関を始動する目的に使用される固定容器

  3. 噴射空気びん(blast air bottle)、及び

  4. 中に固体または液体の物質が貯蔵されており、それらが圧搾空気でそこから押し出される容器


を意味する。

「認定された者(approved person)」とは、第29条、第30条または第31条の規定により、これらの条の目的で、それぞれホイスト及びリフト、玉掛用具、または吊り上げ装置及び吊り上げ機械(いずれか該当するもの)の検査及び試験を行うために、局長(工場主任検査官)が書面による証明書を発行して認めた者(政府職員か否かを問わない)を意味する。

「物品(article)」には、固体、液体、もしくは気体、またはこれらの混合を含む。

「認められたボイラー検査官(authorized boiler inspector)」とは、第36条、第37条、第38条、第39条または第40条の規定により、これらの条の目的で、それぞれ蒸気ボイラー、蒸気溜め、鋳鉄下方燃焼式加硫装置、圧縮空気タンク(溜め)、または冷凍・冷蔵装置の圧力溜め(いずれか該当するもの)の検査及び試験を行うために、局長(工場主任検査官)が官報に公告して認めた者(政府職員か否かを問わない)を意味する。

「身体の傷害(bodily injury)」には、健康に及ぼした損害を含む。

「建築作業(building operation)」とは、建物の建設、構造変更、補修または維持(構造物の塗直し、改装及び外部清掃を含む)、建物の取壊し、ならびに建物と意図するものの準備及び基礎敷設を意味し、本法の定義する建設工事作業である作業を含まない。

「鋳鉄下方燃焼式加硫装置(cast iron underfired vulcaniser)」または「加硫装置(vulcaniser)」とは、単一セグメントもしくは複数セグメントの加硫装置であって、外部火力により中で蒸気を生成するものを意味する。

「承認された蒸気ボイラー係員(certified steam boiler attendant)」とは、規定される資格を有し規定される証明書を保持する者で、特定のボイラーの管理を行う旨認定されたボイラー検査として然るべく通知が行われた者を意味する。

「局長(工場主任検査官)(Chief Inspector)」とは、本法の規定により指名された局長(工場主任検査官)、またはその代理として行為することがコミッショナー(commissioner)により認められたその他の検査官(inspector)を意味する。

工場についての「型もしくは種類(class or description)」には、地域を特定して指定される一連の工場を含む。

「監督官(commissioner)」とは、雇用法第3条の規定により指名された労働監督官(commissioner for labour)を意味する。

規定に関する「違反(contravention)」には、当該規定を遵守しないことを含み、「違反する(contravene)」も同様に解釈する。

「危険の発生(dangerous occurrence)」とは、付表第4に掲げるいずれの種類の発生も意味する。

「伝導ベルト(driving-belt)」には、伝導ストラップ、チェーンまたはロープを含む。

「電気機器(electrical equipment)」とは、作動もしくは使用に電気を消費もしくは利用する機械、装置、器具または照明用具を意味し、ケーブル、ワイヤ及び電気供給源に接続するために必要なその他の装置(デバイス)を含む。

「電気設備(electricity installation)」とは、電気の移動、管理もしくは管理のため、もしくはこれらに付随する目的のために使用されるケーブル、ワイヤ、用具,アクセサリー、器具またはその他の装置(デバイス)を意味する。

「ヒューム(fume)」には、ガスまたは蒸気を含む。

「インダストリアルハイジニスト(industrial hygienist)」とは、政府が雇用するインダストリアルハイジニストを意味する。

「検査官(inspector)」とは、本法の規定により指名される検査官で、局長(工場主任検査官)、検査局次長(Deputy Chief Inspector)及び上級検査官(Senior Inspector)を含む。

「吊り上げ装置(lifting appliance)」には、滑車装置、ジンホイール(wheel)、チェーン・ブロックまたはチェーン・ブロックのセットを含む。

「吊り上げ機械(lifting machine)」には、クレーン、ウィンチ台車(crab)、ウインチ、teagle、走行路、運搬クレーン、杭打ちフレーム及び、クライマー(climber)もしくはウインチにより昇降できる吊り足場を含む。

「機械(machinery)」には、オイル・エンジン、ガス・エンジン、スチーム・エンジン及び機械的運動(線的もしくは回転またはその両者)が生じるその他の機械、蒸気ボイラー、ボンベ(gas cylinder)、圧縮空気タンク(溜め)、蒸気溜め、蒸気コンテナ、鋳鉄下方燃焼式加硫装置、冷凍・冷蔵装置の圧力溜め、ロープ、ベルト、チェーン、伝導ストラップもしくはバンドまたはギアによる力の伝達装置、電気ジェネレータならびに電気モータを含む。ただし、車両の推進のために使用される機械または事務所機械を含まない。

「維持される(maintained)」とは、効率よい状態、効率よい作動状態で、補修が行き届いているように維持されることを意味する。

「マレー鉄道(Malayan Railway)」とは、マレーシア政府により管理される鉄道を意味する。

「最大許容作動圧力(maximum permissible working pressure)」とは、新しい蒸気ボイラーにあっては、第36条(13)項に定める証明書に示されるもの、第36条の規定にしたがって検査される蒸気ボイラーにあっては、最後の検査の報告書に示されるものを意味する。

工場に関する「占有者(occupier)」とは、施設を工場として占有または使用する者を意味する。

「所有者(owner)」とは、施設の賃貸料または利益を当面受取る者(同人の自己勘定によるか、他の者、または、施設が賃貸された場合に賃貸料もしくは利益を受取るべき者の代理人もしくは受託者としてかを問わず)を意味する。

「規定された(prescribed)」とは、本法の下で定める命令または規制により大臣が規定するものを意味する。

「圧力容器(pressure vessel)」とは、高圧下で下の物質を保持するために使用される入れ物または容器で、蒸気ボイラー、蒸気溜め、蒸気コンテナ、鋳鉄下方燃焼式加硫装置、空気溜め、冷凍・冷蔵装置の圧力溜め及びボンベ(gas cylinder)を含む。

「原動機(prime mover)」とは、エンジン、モータ、または蒸気、水、風、電気、燃料もしくはその他の素材の燃焼から機械的エネルギーを生成するその他の装置を意味する。

「工程(process)」には、機関車の使用を含む。

「冷凍・冷蔵装置の圧力溜め(refrigerating plant pressure receiver)」とは、高圧の下の冷媒を含有する容器を意味する。

「安全作動荷重(safe working load)」とは、以下のものを意味する。

  1. 第30条(2)項または第31条(1)項の目的のために取得される試験証明書に示される安全作動荷重

  2. かかる証明書が要求されない場合には、玉掛用具、吊り上げ装置もしくは吊り上げ機械(いずれか該当するもの)に記される、または表示される安全作動荷重

  3. かかる証明書または表示がない場合には、認定された者の確認する安全作動荷重


「安全作業圧力(safe working pressure)」とは、新しい蒸気溜め、空気溜めまたは冷凍・冷蔵装置の圧力溜めについては、第37条(7)項、第39条(7)項もしくは第40条(1)項に定める証明書に示される圧力ならびに、第37条、第39条もしくは第40条の規定により検査された蒸気溜め、空気溜めもしくは冷凍・冷蔵装置の圧力溜めについては、最終検査の報告書に示される圧力を意味する。

「衛生施設(sanitary conveniences)」には、尿瓶、水洗便所、土砂散布式便所、屋外便所、灰溜め場(ashpits)及びこの他の同様の(生活上有用な)設備を含む。

「船舶(ship)」には、航行に供される船、海上掘削機(floating rig)、または海上における何らかの作業に使用されるプラットフォームを含む。

「蒸気ボイラー(steam boiler)」とは、密閉された容器であって、その中で大気圧より高い圧力の下で何らかの目的のために蒸気が生成されるものを意味し、かかる容器に供給される水を熱するために使用されるエコノマイザー(economiser)、及び加熱蒸気のために使用される過熱機を含む。

「蒸気コンテナ(steam container)」とは、大気もしくは大気圧を超えない圧力の空間に通じる常設の放出口を備えて設置された容器(スチーム・パイプもしくはコイルを除く)であって、その中を、加熱、沸騰、乾燥、蒸発またはこれと同様の目的のために、蒸気が大気圧もしくはほぼ大気圧で通過するものを意味する。

「蒸気溜め(steam receiver)」とは、大気圧より高い圧力の下で蒸気を含有するために使用される容器または装置(ただし、蒸気ボイラー、蒸気コンテナ、スチーム・パイプもしくはコイル、または原動機の一部を除く)を意味する。

「伝導装置(transmission machinery)」とは、原動機の運動が機械もしくは装置に伝達する、またはこれを機械もしくは装置で受けるための軸(shaft)、車輪(wheel)、ドラム(drum)、滑車(pulley)、固定及び自由滑車システム(system of fast and loose pulleys)、継手(coupling)、クラッチ(clutch)、駆動ベルト(driving belt)またはその他の装置(device)を意味する。

「建設工事作業(work of engineering construction)」とは、鉄道線路もしくは側線(siding)の建設、ならびにドック、港、内陸水路、トンネル、橋りょう、陸橋、水道設備、貯水池、パイプライン、水道、下水道、下水設備もしくはガスタンクの建設、構造改変もしくは補修(塗直し及び再塗装を含む)または取壊しを意味し、大臣が官報に公告する命令を発して指定する上記外の工事を含む。

(2) 本法の目的のために、機械または機械装置(プラント)は1960年6月1日より以前、または本法の下の規制もしくは規則の制定より以前に、建設もしくは再建設されたと見なし、工場もしくは建物は本法施行より以前に建設、再建設もしくは拡張、追加もしくは工場としての使用への転用が行われた(かかる建設、再建設、拡張、追加、転用が1960年6月1日より以前または本法の下の規制もしくは規則の制定より以前に始められた場合)と見なす。


(3) 本法の目的のために、機械的動力は、作業部屋もしくは工場のその他の部分の暖房(加熱)、換気、冷却、空調または照明のために用いられているとの理由のみでは、工場で使用されていると見なされるものではない。


(4) 本法の目的のために、見習者は被雇用者と見なす。





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