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1984年労働安全衛生法
(西オーストラリア州)


(仮訳 国際安全衛生センター)



第III部:労働安全衛生に関する一般規定

19. 事業者の義務

(1) 事業者は実行可能な限り、従業員が危険性に暴露されない作業環境を提供、維持しなければならない。特に前記の一般的規定を限定することなく、事業者は以下の義務を負う。

(a) 実行可能な限り、従業員が危険性に暴露されない作業場、プラント、作業システムを提供、維持する。

(b) 従業員が危険性に暴露されることなく、作業を遂行するために必要な、情報、指示、訓練を与え、そのように従業員を監督する。

(c) 作業場における労働安全衛生について、安全衛生代表(配置されている場合)および作業場の他の従業員と協議し、協力する。

(d) 作業場に危険性が存在することを回避できない場合、危険性から従業員を保護するために実行可能な、十分な保護衣、保護具を従業員に費用負担をかけずに提供し、準備する。

(e) 実行可能な限り、作業場における下記の行動が、従業員を危険性に暴露せずに実行できるような措置を取る。

  1. プラントの使用、浄化、保守、輸送、および処分
  2. 物質の使用、取り扱い、処理、貯蔵、輸送、および処分


(2) (1)(b)項に従って実施すべき訓練を決定する場合、従業員が遂行すべき職務、およびそれらが雇用された資格について考慮しなければならない。

(3)  もし作業場において従業員が傷害を受け、または病気にかかった場合、

(a) その結果として従業員が死亡し、または

(b) その傷害または病気が本項の目的のための規則に定める性質のものであった場合、

その従業員の事業者は規定の様式でコミッショナーに届出を行い、それに規定する内容を記載しなければならない。

(4) 本条の目的において、ある者(本条では「事業者本人」という)が取引または事業を行う過程において、他の者(本条では「請負業者」という)に事業者本人のために作業を行わせる契約を結んだ場合、

(a) 事業者本人は、それが支配している、ただし、事業者本人と請負業者間の契約が反対の趣旨である場合には、支配していたと思われる事項に関連して、

  1. 請負業者、および
  2. 作業を遂行し、または遂行を支援するために請負業者が雇用したまたは契約したあらゆる者ならびに、

(b)(a)(i)および(ii)項に規定する者は、これらの事項に関して、事業者本人の被雇用者であると見なされる。

(5) (4)項の規定は下記の義務を免責するものではない。

(a) 事業者本人の請負業者に対する義務または

(b) 請負業者の雇用した者または契約した者に対する義務

(6) (1)項に違反した事業者は法律違反となり、罰金10万ドルに処せられる。

(7) 事業者が(1)項に違反し、その結果として従業員が死亡し、または重大な危害を受けた場合、事業者は法律違反となり、罰金20万ドルに処せられる。

(8)  (3)項に違反した事業者は法律違反となり、罰金2万5000ドルに処せられる。

(9) (7)項に違反した事業者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(6)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。



20. 従業員の義務

(1) 従業員は以下の事項について妥当な注意を払わなければならない。

(a) それ自身の作業中の安全衛生を確保する。

(b) それ自身の作業中のあらゆる作為、不作為を通じて、他の者の安全衛生に不利な影響を及ぼすことを回避する。

(2) (1)項の規定の一般性を損なうことなく、従業員は以下の場合には(1)項の違反となる。

(a) 十分に可能であるにもかかわらず、それ自身の安全衛生および他の者の安全衛生のために、事業者が与えた指示に従わなかった場合

(b) 19(1)(d)項に規定するように、事業者から使用するように適切な指示を受け、提供または準備された保護衣、保護具を使用しなかった場合

(c) 安全衛生のために提供された機器を誤用または損傷した場合

(d) 以下の事項を事業者に報告しなかった場合

  1. 人に危険性を及ぼすと妥当に考えられ、自分では是正できない、作業場におけるあらゆる状況
  2. 自分の作業の過程で、またはそれに関連して、発生に気づいたあらゆる傷害または健康への危害

(3) 従業員はその事業者が本法に基づいておわされた義務を履行する際に、それに協力しなければならない。

(4) (1)または(3)項に違反した従業員は法律違反であり、罰金1万ドルに処せられる。

(5)  従業員が(1)または(3)項に違反し、その違反の結果として人の死亡または重大な傷害を引き起こした場合、その従業員は法律違反となり、罰金2万ドルに処せられる。

(6)  (5)項に違反した事業者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(4)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。



21. 事業者および自営業者の義務

(1) 事業者および自営業者は

(a) それ自身の作業中の安全衛生を確保するために妥当な注意を払い、

(b) 実行可能な限り、自分の従業員ではない者の安全衛生が、自分またはその従業員が従事した作業の結果、全面的にまたは部分的に不利な影響を受けないような措置を取るものとする。

(2) (1)項に違反した者は法律違反となり、罰金10万ドルに処せられる。

(3) これらの者が (1)項に違反し、その違反の結果として人の死亡または重大な傷害を引き起こした場合、その者は法律違反となり、罰金20万ドルに処せられる。

(4)  (3)項に違反した者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(2)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。



22. 作業場を支配する者の義務

(1) 下記を支配している者は、その程度に関わりなく、その作業場、作業場に出入りする手段について、作業場にいる人々、作業場の出入り手段を利用する人々が危険性に暴露されないように、実行可能な限りの措置を取らなければならない。

(a) 作業場を支配する者の従業員以外の人々が働き、または作業の過程でそこにいる可能性のある作業場

(b) 作業場に出入りする手段

(2) 契約またはリースに基づいて作業場の維持または修理、または作業場の出入り手段に関連して、どのような程度でも、義務を負っている者は、(1)項の目的においては、その作業場または作業場の出入り手段を支配している者として、取り扱われるものとする。

(3) 本条において作業場、作業場に出入りする手段を支配する者という記載は、その者に取引、事業、または計画(営利または非営利のどちらでも)の実施に関連して、作業場、作業場に出入りする手段を支配する者を意味する。

(4) (1)項の規定に違反した者は法律違反となり、罰金10万ドルに処せられる。

(5)  前記の者が(1)項に違反し、その違反の結果として人の死亡または重大な傷害を引き起こした場合、その者は法律違反となり、罰金20万ドルに処せられる。

(6)  (5)項に違反した者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(4)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。

(7) その義務が20条に規定されている者には、本条は適用されない。



23. 製造業者等の義務

(1) 作業場で使用するプラントを設計、製造、輸入、供給する者は、実行可能な限り、下記の事項を実施しなければならない。

(a) プラントの設計および構造がそれを適切に設置、維持、または使用する者に、そうした作業の過程において、危険性に暴露されないような措置を取る。

(b) プラントの設計および構造が(a)項の規定に合致するように、プラントを試験、検査し、または試験、検査の手続きをとる。

(c) 下記に関する十分な情報が、プラントが納品された時、およびその後に要求されたあらゆる時に、提供されるような措置を取る。

  1. プラントに付随するあらゆる危険
  2. プラントの仕様、および(b)項に規定するプラントの試験で得られたデータ
  3. プラントを適正に使用する者が、その使用の過程において、危険性に暴露されないような措置を取るために必要な条件
  4. プラントの適正な保守

(2) 作業場で使用するためのプラントを建設または設置する者は、実行可能な限り、プラントを適正に使用する者が、プラントの建設または設置の方法から生じる、またはそれによって増大した危険性に暴露されないように、プラントの建設、設置が行われるような措置を取らなければならない。

(3) 作業場で使用する物質を製造、輸入、または供給する者は、実行可能な限り、その物質に関する十分な毒物学的データ、およびその物質の安全な使用、取り扱い、処理、貯蔵、輸送、処分に関連するその他のデータを、下記の時に提供する措置を取らなければならない。

(a) 物質が納品された時

(b) その後に要求された場合は常に

(3a) 作業場で使用するための、仮設構造物を含む建物または構造物を設計または建設する者は、実行可能な限り、建物または構造体を設計または建設する際に、下記の人々がその作業の過程で危険性に暴露されないような措置を取らなければならない。

(a) 建物または構造体を適正に建設、維持、修理、またはサービスする者

(b) 建物または構造体を適正に使用する者

(4) (1)、(2)、(3)または(3a)項に違反した者は法律違反となり、10万ドルの罰金に処せられる。

(5) 前記の者が(1) 、(2)、(3)または(3a)項に違反し、その違反の結果として人の死亡または重大な傷害を引き起こした場合、その者は法律違反となり、罰金20万ドルに処せられる。

(6)  (5)項に違反した者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(4)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。



23A. 規定地域内の禁止行為

(1) 本条の目的で規定された州内地域の作業場においては、下記の行為を行ってはならない。

(a) 規定された行為以外の行為を行うこと。

(b) 規定された方法以外で、規定された行為を行うこと。

(2) (1)項に違反した者は法律違反となり、10万ドルの罰金に処せられる。

(3) 前記の者が(1)項に違反し、その違反の結果として人の死亡または重大な傷害を引き起こした場合、その者は法律違反となり、罰金20万ドルに処せられる。

(4)  (3)項に違反した者は、その違反について有罪を宣告される代わりに、(2)項に対する違反で有罪を宣告される場合がある。



23B. 二重処罰の禁止

いかなる者も、あらゆる作為、不作為について本法の下で二重に処罰を受けることはない。



24. 作業場における問題の解決

(1) 労働安全衛生に関連する何らかの問題が作業場で発生した場合、事業者は関連する手続きに従って、関連手続きに特定さている、下記の者とともに問題の解決を試みるものとする。

(a) 安全衛生代表

(b) 安全衛生委員会

(c) 従業員

(2) (1)項の目的において、「関連する手続き」とは、関係する作業場について適用することが事業者と従業員の間で合意されている手続き、または手続きについての合意がない場合、規則においてその目的のために規定されている手続きを言う。

(3) (1)項に記載した問題解決のための試みが成功せず、関係する作業場に安全衛生代表および安全衛生委員会がある場合、安全衛生代表は問題を安全衛生委員会に付託し、問題の解決を試みることができる。

(4) (1)または(3)項に違反した者は法律違反となる。



25. 問題未解決の場合の監督官への通報

(1) 24条に記載する問題解決の試みが成功せず、しかもいずれかの者に切迫した重大な傷害、または健康に対する切迫した重大な危害のリスクがある場合、事業者、安全衛生代表、または安全衛生代表がいない場合には従業員が、その問題について監督官に通報することができる。

(2) (1)項に基づく通報を受けた監督官は、作業場を検分し、以下のいずれかの措置を取るものとする。

(a) 監督官が適切と考える本法に基づく措置を取る、または

(b) その状況では本法に基づく措置を取る必要はないと決定する。


26. ある種のケースにおける従業員の就労拒否

(1) 25条の規定は、従業員が今後就労を続けた場合には、同人またはその他の者に切迫した重大な傷害、または切迫した重大な危害のリスクがあると考える妥当な根拠を持っている場合、その従業員は就労を拒否することを妨げるものではない。

(1a) (1)項に記載する、従業員が妥当な根拠を持っているか否かを決定する場合、監督官が25(1)項に規定するリスクの通報を受けた後に、その作業場を検分したかどうか、および

(a) リスクを生じる問題の解決のため、監督官が是正措置を要求していた場合に、その措置が取られたかどうか、

(b) リスクを生じる問題の解決のため、監督官が是正措置を要求していた場合に、その問題の影響が消滅しているかどうか、または

(c) 監督官が本法に基づいて取るべき措置はないと決定しているかどうか、
  を考慮することが必要である。

(2) (1)項に記載するように、従業員就労を拒否した場合、従業員はそのことを事業者、および関係作業場に安全衛生代表がいる場合には、その代表に通知し、その問題は24(1)項が適用される問題であると見なされるものとする。

(2a) (1)項に記載する就労を拒否した従業員は、従業員が(2)項に基づいて事業者にそれを通知し、事業者が作業場を離れることを従業員に許可するまでは、作業場を離れてはならない。

(2b) もし従業員が作業場に止まった場合には、切迫した重大な傷害、または切迫した重大な危害のリスクがあると考える妥当な根拠を持っている場合、(2a)項は適用されない。

(3) (2)または(2a)項に違反した従業員は法律違反となる。



27. 他の作業への配置

26(1)項に記載する就労を拒否した従業員には、その通常の作業を再開するまで、妥当な代わりの作業を与えることができる。



28. 権利の継続

(1)  26(1)項に記載する就労を拒否した従業員は、就労を拒否しなかった場合に権利があるものと同じ給与、その他の給付を得る権利を持つものとする。

(1a) 下記の場合には(1)項は適用されない。

(a) その従業員が26(2a)項に規定する事業者の許可を得ずに、作業場を離れた場合

(b) 従業員が27項に基づいて提供された妥当な代わりの作業を拒否した場合

(2) 下記について紛争が生じた場合、いずれの当事者でも紛争を安全衛生判事に解決を求めることができる。

(a) (1)項に従って、ある者が給与または給付の権利を有するか否か、

(b) ある者が権利を持っている給与または給付の額

28A. 法律違反:就労拒否

(1) 本条において「権利を有しない従業員」とは、以下の根拠に基づいてあらゆる期間中に就労を拒否した従業員を言う。

(a) 就労することはあらゆる者に対する傷害または危害のリスクを伴うとの理由

(b) 別の従業員が、就労することはあらゆる者に対する傷害または危害のリスクを伴うとの理由で、就労を拒否しているとの理由

ただし、26(1)項に記載する就労を拒否した従業員であって、28(1)項に基づいて給与および給付の権利を持つものは含まれない。

(2) 従業員が権利を有しない従業員である期間について、もしその従業員が就労を継続していたならば、得ることができたはずの給与およびその他の給付を、事業者から受け取った場合、それは法律違反となる。

(3) 従業員が権利を有しない従業員である期間について、もしその従業員が就労を継続していたならば、得ることができたはずの給与およびその他の給付を、事業者がその従業員に支払った場合、それは法律違反となる。

(4) (2)および(3)項における給与およびその他の給付とは、本条の目的のために規定された給与または給付を含まない。

(5) 本条は、1979年労使関係法、および同法の下で制定または登録されたあらゆる命令、裁定、または合意を含む、あらゆる他の法律の規定にかかわらず、効力を持つものとする。


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