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中央労働災害防止協会(中災防)
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国際課
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E-mail: kokusai@jisha.or.jp

 

お知らせ

国からの委託事業であった 「国際安全衛生センター(JICOSH)」 別ウィンドウが開きます が2008年3月末をもって廃止されました。 永らくのご利用ありがとうございました。 同センターのサイトに掲載されていた個別の情報については、中災防WEBサイトの国別分野別情報にリンクして取り込んでおります。

 

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各国情報・国際関係

リスクアセスメント及びOSHMSに関する最近の海外動向−中災防調査研究報告書より

2009年5月26日

ア:イギリス安全衛生庁(HSE)

ア:1 「実効あるリスクアセスメント」(sensible risk assessment)の原理

実効あるリスクアセスメント/マネジメント
  • 労働者と公衆の適切な保護を確実に行う。
  • 起こるおそれが大きく、重大な損失を招く、現実に存在するリスクの防止に焦点を置く。 その費用は、社会全体として適切な範囲とする。
  • 革新と向上をうながすものとする。
  • リスクをもたらす人々が、その管理に責任を持つことが必要であり、管理の欠陥があるとき、 事態が悪化するということを確実に理解させる。
  • 個人の各々が、自己の権利を主張することと同じように、責任を果たすべきであることを理解させる。
実効のないリスクアセスメント/マネジメント
  • リスクがまったく存在しない社会を作ろうとする。
  • 無駄な書類の山を築く。
  • リスクが些細であっても、誇張したり、喧伝して人々をおびやかす。
  • リスクをおそれて、本来必要な活動を妨げる。
  • 損害や苦痛を生ずる現実に存在するリスクの防止を阻害する。

原資料:http://www.hse.gov.uk/risk/principles.htm 別ウィンドウが開きます
  訳  :旧JICOSH
        /international/jicosh/japanese/country/uk/topics/reference/riskassessment/02.html 別ウィンドウが開きます

安全衛生協会IOSHの提唱する現実的リスクアセスメントのためのチェックリスト (Reality checklist)
  1. 全員参加 Get together
       企業トップも作業者もリスクマネジメントの一員
  2. 認識が必要 Be aware
       全員による自己の責任と権利に対する理解が必要
  3. 現実的取り組み Think about the real world
       すべてのリスクの完全な除去はできない。
       実効、費用に見合う効果、バランスが取れ、優良事例に沿った対策。形式的ではない。
  4. 前向きの取組み Take a positive approach
       よい結果を助けるものであり、妨げとはならない。

原資料:PDF 別ウィンドウが開きます http://www.iosh.co.uk/files/news/REALITYCHECKLIST.pdf

ア:2 5ステップリスクアセスメントリーフレット
       INDG163(第2版)(2006年6月改訂)

表紙構成

  • レッドステップ1 ハザードを特定する
  • グリーンステップ2 誰がどのような危害を受ける可能性があるか見極める
  • ブルーステップ3 リスクを評価し、予防措置にういて検討する
  • ピンクステップ4 調査結果を記録し、予防措置を論じる
  • オレンジステップ5 リスクアセスメントを見直し、必要に応じて修正する

原資料:PDF 別ウィンドウが開きます http://www.hse.gov.uk/pubns/indg163.pdf
  訳  :旧JICOSH
        PDF 別ウィンドウが開きます /international/jicosh/japanese/country/uk/topics/reference/riskassessment/five_steps_to_risk_assessment.pdf

実効あるリスクマネジメントに関するよくある質問とその回答(FAQ)(目次)

用語の定義

ハザードとは? /リスクとは?/リスクマネジメントとは?/リスクアセスメントとは? /
「ALARP」、「SFAIRP」の意味は?/「合理的に実施可能な」の意味は?

リスクアセスメント

リスクアセスメントはなぜ重要なのか?/リスクアセスメントはどのように実施するのか? / リスクアセスメントの実施方法はHSEの5ステップに渡るリスクアセスメントだけか?/ 誰をリスクアセスメントに参加させるのか?/リスクアセスメントの記録には何を書く必要があるか? / リスクアセスメントはいつ実施するのか?/実施したリスクアセスメントの見直しはいつするのか?/ 「優良事例」(good practices)とはどういう意味で、どうやって見つけるのか?

実効あるリスクマネジメント

リスクアセスメントの実施に当たってコンサルタントに相談する必要はあるか? / リスクアセスメントの結果は記録する必要があるか?/必要があるとすればなぜか?/お役所的ではないか? / リスクアセスメントの記録に使用する様式は指定されているのか?/リスクアセスメントに意味はあるのか?/ 社内の人間はすべて大人だし、わざわざ人から言われなくとも自分の面倒は自分で見ることができるのだから。/ リスクアセスメントは安全対策をいたずらに増やすだけで、そのほとんどは無駄なのでは?/ HSEも自身がリスクを過剰視しているのでは?

予防原則    予防原則とは?

原資料:http://www.hse.gov.uk/risk/faq.htm 別ウィンドウが開きます
  訳  :旧JICOSH
        /international/jicosh/japanese/country/uk/topics/reference/riskassessment/03.html 別ウィンドウが開きます

ア:3 業種別(約30業種)における実施例(Example risk assessments)

リスクアセスメント実施例掲載の職種
店舗自動車関連事務所その他
コンビニエンスストア/新聞販売店自動車修理工場旅行代理店契約れんが工
美容院自動車ショールーム不動産仲介業倉庫
酒類販売店/パブ個人ハイヤー事務所を用いる事業冷蔵貯蔵と流通
肉屋駐車場一般的な事務所の清掃冷蔵倉庫
くじ売り場道路運送製造業における事務所作業養鶏場
ドライクリーニング店車体工場コールセンター左官
大型小売店の清掃  木工
ショッピングセンター通路の清掃  公民館
食品調製とサービス  ナイトクラブ
チャリテイーショップ   工場保全部門

原資料:http://www.hse.gov.uk/risk/casestudies/index.htm 別ウィンドウが開きます
  訳  :旧JICOSH
        http://www.jisha.or.jp/international/topics/200810_06.html
        例の訳 倉庫 旧JICOSH 別ウィンドウが開きます
        美容院 JISHA海外トピックス

ア:4 新様式のリスクアセスメント用チェックリスト (Vehicles at work checklist)

「事業場内輸送安全チェックリスト」は、10分野約80項目から成る。マネジメント体制、 作業場レイアウト、使用する機器の選定、作業手順の整備、保全、教育訓練の実施状況などが幅広く掲げられている上に、 各々の項目をチェックするための解説と関連する情報のリンクが付されている。

原資料: http://www.hse.gov.uk/workplacetransport/checklist/index.htm 別ウィンドウが開きます
  訳  : 旧JICOSH
         http://www.jisha.or.jp/international/topics/200811_02.html

ア:5 リスクアセスメントによるストレスへの対応
(職業ストレスマネジメント基準Management standards for work-related stress)

5stepのリスクアセスメントによる対応を2004年11月から普及を開始した。 ストレスの程度に関する、仕事内容(Demands)/主体性(Control)/ 周辺の支援(Support)/対人関係(Relationships)/役割(Role)/組織変更(Change) の各分野別の評価ツール(35項目の質問票)などから成る。
(ドイツのSTART process、欧州のメンタルヘルスに関する上級会議の決定(Pact)、 WHOのProtecting Workers’ Health Seriesにおいてもストレス対策にリスクアセスメントが取り上げられている。)

原資料:http://www.hse.gov.uk/stress/standards/index.htm 別ウィンドウが開きます
  訳  :旧JICOSH
         /international/jicosh/japanese/country/uk/topics/reference/stressmanagement/index.html 別ウィンドウが開きます

ア:6 企業経営者の安全衛生におけるリーダーシップに関する指針をHSEと経営者団体が共同で作成 (Leading health and safety at work)

経営者のリーダーシップについては、すでに2002年に指針が作成されていたが イギリス安全衛生庁(HSE)と経営者協会(IoD)が共同して作成した改訂版を2007年10月に刊行した。

「経営者の姿勢が安全衛生には不可欠である。 リーダーシップを発揮しない経営者は、企業に対する責任を果たしていない。」などの前書きにはじまり、 リーダーシップ、従業員参加、見直しの3点が重要であること、計画、実行、状況把握、 見直しの4ステップの各々における実践の指針、チェックリスト、法的な義務、情報源などが、10ページの指針にまとめられている。

2008年4月までに、この印刷物84,000部が発行され、このサイトへのアクセスは、50,000件に達した。

原資料:http://www.hse.gov.uk/leadership/index.htm 別ウィンドウが開きます

ア:7 低リスク中小企業への対応に関する行政改善庁 (Better Regulation Executive)報告書

現状に関する認識

イギリスの安全衛生に関する規制の根幹をなす、 目標設定によるアプローチによる事業主責任によるリスクアセスメントおよび合理的に可能な限り (ALARP–As low as reasonably practicable) リスクを下げる対策の実施は、規制する側からも、規制される側からもすぐれた方式で、 イギリスの安全成績は世界の中でも上位にある。 しかし、小規模企業にとっては、リスクアセスメントとは、具体的に何をするのかが理解しにくい、 リスクアセスメントが有効に行われない、余計な費用負担などの問題点がある。

施策の勧告
  • 公的機関による電話相談(HSE Infoline)の充実(現在年間30万件を処理)
  • ウェブサイト 別ウィンドウが開きます からのわかりやすい形の無償の情報、資料の提供の一層の強化
    (職種別のリスクアセスメント実施例の提供(約30の業種) は好評(2008年3月までに32,000件のアクセスと9万ページのダウンロード)、 オンラインツールとしたチェックリストも有効だと考えられる
  • スコットランドのサイト「健康な職業生活」が模範的な存在である。

原資料:PDF 別ウィンドウが開きます http://www.berr.gov.uk/files/file47324.pdf
  訳  :JISHA海外トピックス(概要)
         http://www.jisha.or.jp/international/topics/200901_01.html

ア:8 安全衛生の停滞を打開、再出発するための新戦略 (new/strategy/for/health/and/safety)

イギリス安全衛生庁(HSE)は、2000年から開始した安全衛生再活性化計画の効果が現れず、 安全衛生成績の向上が停滞しているため、このような状況を打破する新戦略を策定することとなり、 2008年12月に3ヶ月にわたる意見募集を開始した。新戦略における目標の案として以下事項が提示されている。

  • 強力なリーダーシップの発揮
  • 安全衛生従事者の能力向上
  • 労働者参加の強化
  • 健康で安全な職場の創出
  • 特に中小企業を対象とした支援
  • 破局的災害の防止
  • 広範な視野からの取り組み

原 資 料 : http://www.hse.gov.uk/strategy/index.htm 別ウィンドウが開きます
訳(概要):JISHA海外トピックス http://www.jisha.or.jp/international/topics/200904_01.html

全ての働く人々に安全・健康を 〜Safe Work , Safe Life〜

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