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各国情報・国際関係

海外の安全衛生統計−アメリカ(2010業務上の負傷及び疾病発生状況)

2011年12月6日

BLS News Release 2011年10月21日

アメリカ労働省労働統計局(Bureau of labor Statistics-BLS)から、2010年におけるアメリカの業務上の負傷及び疾病発生状況が公表されたので、概要を紹介する。

2010年には、約310万件の業務上の負傷・疾病が民間企業の事業者において報告され、常用労働者換算100人当りの傷病件数(傷病率、incident rate)は3.5であり、前年の3.6から減少した。業務上傷病調査(Survey of Occupational Injury and Illness SOII)による総要記録傷病(Total recordable cases, TRC)の傷病率は、2002年以降、着実に減少してきている。

2010年業務上の傷病調査から分る主な事項

原資料: PDF Workplace Injuries and Illnesses-2010 別ウィンドウが開きます

  • 民間企業における傷病率は、総要記録傷病及びその他の傷病について減少している。休業を伴う傷病、業務転換・制限を伴う傷病及び休業・業務転換・制限を伴う傷病ともに2009年に較べて変化はなかった(図1参照)。
  • 製造業では、2010年の常用労働者100人当りの傷病率が、2009年の4.3から4.4に増加した。これは、報告件数の減少よりも労働時間の減少がより大きかったことによる。
  • 民間建設業におけるTRCに係る常用労働者100人当りの傷病率は、0.3減少し、4.0であった。専門工事業(Specialty trade contractor)においては、0.3減少し、4.3であり、建設業全体の減少に大きく寄与している。
  • 医療及び社会福祉(Health care and social assistance)分野については、雇用及び労働時間が増加した分野であるが、5.2と2009年の5.4から減少した

2010年の調査で報告があった民間企業の傷病件数310万件のうち、2分の1以上は、重篤とされる休業・作業転換・作業制限を伴う傷病(DART)であった。これらの傷病率については、傷病年100人率で1.8であり、2009年と較べて変わっていない(表7参照)。休業傷病率及び作業転換・制限傷病率は、それぞれ、1.1及び0.8で、2009年と同じであった。製造業においては、しかしながら作業転換・制限傷病率が休業傷病率を上回っており、この傾向は13年間変わっていない。その他の要記録傷病(休業、作業転換・制限を伴わない事案)は、150万件であり、傷病100人率は1.7で2009年の1.8より減少している。

2010年の総要記録傷病年100人率は、中規模民間事業場(労働者50人から249人)において最も高く、小規模事業場(労働者10人以下)において最も低くなっている(表3及び図2参照)。

民間企業の負傷及び疾病

負傷:
310万件のうちの94.9%(290万件)は、負傷によるものであった。これらのうちの220万件(75.8%)は、この調査の対象民間労働力の82.4%を占めるサービス提供型業種で発生している。70万件(24.2%)が物の生産型業種で発生し、これらの産業の労働力は17.6%である。
疾病:
業務上の疾病は、310万件のうちの5.1%であった(表6a参照)。疾病率は、常用労働者10,000人当り18.1で、2009年の18.3と統計的に変化はなかった。

物の生産型業種における業務上疾病は、全体の36.3%を占めており、疾病率は常用労働者10,000人当り31.8であり、2009年の29.1を上回った。製造業における業務上の疾病は、民間企業の全業務上疾病の30%を占め、常用労働者10,000人当りの疾病率でも41.9となっており、2009年の39.0を上回り、最悪となっている。サービス提供型業種では、業務上疾病の63.7%を占めており、疾病率では常用労働者10,000人当り14.6であり、2009年と較べて統計的な変化は見られなかった。サービス提供型業種のうち、医療及び社会福祉関連業種では疾病数で24.2%を占めており、疾病率は常用労働者10,000人当り30.2で、2009年の34.8を下回った。

図1 年別傷病区分別傷病年100人率(民間企業)

図1 年別傷病区分別傷病年100人率(民間企業)

図2 年別企業規模別傷病年100人率(民間企業)

図2 年別企業規模別傷病年100人率(民間企業)

注1
業務上の負傷及び疾病事案(総要記録傷病(Total recordable case TRC))は、休業、作業転換・制限を伴う傷病(休業等傷病(Days away from work job transfer or restriction cases DART))とその他の傷病に区分され、休業等傷病は、休業を伴う傷病(休業傷病事案(Day away from work case DAFW))及び作業転換・制限を伴う傷病(作業転換等事案(Job transfer or restriction cases DJTR))に区分される。
   2
アメリカでは、労働安全衛生法第8条により業務上の死亡、負傷、疾病の正確な記録を作成することが事業者に義務付けられている。ただし救急措置のみを必要とし、医学的治療、意識の喪失、作業転換又は制限などを伴わないものは除かれる。

 

表1 業種別事案別業務上傷病年100人率(2010年)
産業別 年平均雇用者数 (1,000) 総傷病年100人率 (TRC) うち、休業、作業転換、制限を伴う傷病(DART) うち、その他の傷病
合計DAFWDJTR
全産業(政府関連を含む) 124,868.5 3.8 1.9 1.2 0.8 1.9
民間産業 106,444.4 3.5 1.8 1.1 0.8 1.7
物の生産型 18,727.9 4.2 2.3 1.2 1.1 1.9
農林水産狩猟業 967.8 4.8 2.7 1.7 1.1 2.0
鉱業 612.0 2.3 1.4 1.0 0.4 0.9
建設業 5,701.5 4.0 2.1 1.5 0.6 1.9
製造業 11,446.6 4.4 2.4 1.1 1.3 2.0
サービス提供型 87,716.6 3.4 1.7 1.0 0.7 1.6
商業、運輸、公益事業 24,503.5 4.1 2.4 1.4 1.1 1.7
情報通信業 2,725.6 1.8 1.1 0.8 0.3 0.8
金融業 7,508.5 1.3 0.6 0.4 0.2 0.7
専門・ビジネスサービス 16,664.9 1.7 0.9 0.6 0.3 0.8
教育・医療サービス 18,596.7 4.8 2.2 1.3 0.9 2.6
レジャー・接客業 13,232.5 3.9 1.7 1.1 0.6 2.2
その他のサービス 4,504.8 2.7 1.3 0.9 0.4 1.4
政府(連邦・州)関連 18,424.1 5.7 2.5 1.8 0.7 3.2
注1
年平均雇用者数:Annual average employment、総要記録傷病:Total recordable cases (TRC)、休業、作業転換・制限を伴う傷病事案:Days away from work  job transfer or restriction cases (DART)、休業を伴う傷病:Days away from work cases (DAFW)、作業転換・制限を伴う傷病:Job transfer or restriction cases (DJTR)
  2
常用労働者100人当りの年間傷病件数(傷病年100人率)は、次式で計算される。
傷病年100人率=(N/EH)×200,000
ここで、N = 傷病数 EH = 年延べ労働時間
200,000=常用労働者100人が年50週、週40時間労働すると仮定

 

表2 業種別事案別業務上傷病数(2010年)
産業別 総傷病数(TRC) うち、休業、作業転換、制限を伴う傷病(DART) うち、その他の傷病
合計 DAFW DJTR
全産業(政府関連を含む) 3,883.6 1957.2 1,191.1 766.1 1926.4
民間産業 3,063.4 1,598.1 933.2 664.9 1,465.2
物の生産型 759.6 416.6 223.0 193.6 343.0
農林水産狩猟業 40.2 23.0 14.0 11.9 17.2
鉱業 15.5 9.8 6.9 2.9 5.8
建設業 202.1 105.4 75.0 30.4 96.7
製造業 501.8 278.4 127.1 151.3 223.4
サービス提供型 2,303.7 1,181.5 710.2 471.4 1,122.2
商業、運輸、公益事業 852.5 503.2 284.6 218.6 349.2
情報通信業 46.3 27.0 19.3 7.6 19.3
金融業 88.8 41.8 27.5 14.3 47.0
専門・ビジネスサービス 224.1 113.7 75.9 37.8 110.5
教育・医療サービス 691.2 319.4 186.8 132.5 371.8
レジャー・接客業 321.7 137.6 88.7 48.9 184.1
その他のサービス 79.1 38.8 27.3 11.6 40.3
政府(連邦・州)関連 820.3 359.1 257.9 101.2 461.2
表3 業種別規模別業務上傷病年100人率
産業別 全産業 企業規模
1〜10人 11〜49人 50〜249人 249〜999人 1000人以上
全産業(政府関連を含む) 3.8 1.7 3.3 4.6 4.2 4.7
民間産業 3.5 1.6 3.2 4.4 3.8 4.0
物の生産型 4.2 2.9 4.6 5.0 3.8 3.5
農林水産狩猟業、鉱業 3.7 1.7 3.7 4.3 3.6 2.8
建設業 4.0 3.4 4.6 4.6 2.6 1.2
製造業 4.4 2.1 4.8 5.2 4.0 3.6
サービス提供型 3.4 1.4 2.9 4.3 3.8 4.1
商業、運輸、公益事業 4.1 1.9 3.7 5.0 4.9 4.5
情報通信業 1.8 - 1.8 2.5 1.7 1.1
金融業 1.3 1.3 1.3 1.7 1.2 .7
専門・ビジネスサービス 1.7 1.0 2.0 2.1 1.5 1.0
教育・医療サービス 4.8 1.1 2.9 6.0 6.0 5.9
レジャー・接客業 3.9 1.2 3.1 4.8 6.3 5.5
その他のサービス 2.7 1.8 3.0 4.0 3.2 2.5
政府(連邦・州)関連 5.7 3.2 4.6 5.7 6.2 5.8
表4 業種別業務上負傷率及び負傷数
産業別 負傷年100人率 負傷数(1,000)
全産業(政府関連を含む) 3.6 3,670.8
民間産業 3.4 2,906.1
物の生産型 3.9 702.7
農林水産狩猟業 4.5 37.6
鉱業 2.2 15.1
建設業 3.9 195.9
製造業 4.0 454.1
サービス提供型 3.2 2,203.5
商業、運輸、公益事業 4.0 826.3
情報通信業 1.7 43.3
金融業 1.2 83.0
専門・ビジネスサービス 1.6 211.5
教育・医療サービス 4.5 650.9
レジャー・接客業 3.7 311.7
その他のサービス 2.7 76.7
政府(連邦・州)関連 5.3 764.7
表5a 業種別、疾病種類別10,000人率(2010年)
産業別 合計 皮膚疾患 呼吸器 中毒 難聴 その他
全産業(政府関連を含む) 21.1 3.4 1.9 0.3 2.1 13.3
民間産業 18.1 2.9 1.5 0.3 2.2 11.3
物の生産型 31.8 3.8 1.3 0.5 8.4 17.8
農林水産狩猟業、鉱業 20.2 5.1 1.1 0.9 2.3 10.9
建設業 12.3 1.8 1.1 0.9 0.2 8.3
製造業 41.9 4.5 1.5 0.2 12.9 22.9
サービス提供型 14.6 2.6 1.5 0.2 0.5 9.7
商業、運輸、公益事業 12.6 1.8 1.1 0.3 1.3 8.1
情報通信業 11.8 2.2 0.6 0.1 0.9 7.9
金融業 8.5 0.7 1.7 - - 6.0
専門・ビジネスサービス 9.6 2.7 0.8 0.1 0.3 5.8
教育・医療サービス 28.2 4.6 3.2 0.3 0.1 19.9
レジャー・接客業 12.0 3.2 1.2 0.4 0.2 7.0
その他のサービス - 1.9 0.7 - 0.2 -
政府(連邦・州)関連 38.6 6.6 4.5 0.5 1.6 25.3
表5b 業種別、疾病種類別業務上疾病数(2010年)
産業別 合計 皮膚疾患 呼吸器 中毒 難聴 その他
全産業(政府関連を含む) 212.8 34.4 19.3 3.2 21.1 134.8
民間産業 157.2 24.9 12.8 2.4 18.8 98.3
物の生産型 57.0 6.7 2.4 0.8 15.1 31.9
農林水産狩猟業、鉱業 3.1 0.8 0.2 0.1 0.3 1.6
建設業 6.2 0.9 0.5 0.5 0.1 4.2
製造業 47.7 5.1 1.7 0.2 14.7 26.1
サービス提供型 100.2 18.1 10.4 1.6 3.7 66.5
商業、運輸、公益事業 26.1 3.8 2.2 0.6 2.7 16.9
情報通信業 2.9 0.6 0.2 0.2 2.0
金融業 5.8 0.5 1.2 - - 4.1
専門・ビジネスサービス 12.6 3.5 1.0 0.2 0.4 7.6
教育・医療サービス 40.3 6.6 4.6 0.4 0.1 28.5
レジャー・接客業 10.0 2.7 1.0 0.3 0.1 5.8
その他のサービス - 0.6 0.2 - 0.1 -
政府(連邦・州)関連 55.6 9.5 6.6 0.8 2.3 36.5

※表示不可能な小さな数字

表6 主要民間産業における年別(2007〜2009)傷病年100人率
産業別(Industry sector) 要記録傷病数合計(TRC) 休業、作業転換・制限を伴う傷病(DART) その他の要記録傷病
合計 休業(DAFW) 転換・制限(DJTR)
2008 2009 2010 2008 2009 2010 2008 2009 2010 2008 2009 2010 2008 2009 2010
民間産業 3.9 3.6 3.5 2.0 1.8 1.8 1.1 1.1 1.1 0.9 0.8 0.8 1.9 1.8 1.7
物の生産型 4.9 4.3 4.2 2.6 2.3 2.3 1.4 1.2 1.2 1.2 1.1 1.1 2.2 2.0 1.9
農林水産狩猟業、鉱業 4.1 4.0 3.7 2.5 2.2 2.2 1.6 1.4 1.4 0.9 0.8 0.8 1.7 1.7 1.5
建設業 4.7 4.3 4.0 2.5 2.3 2.1 1.7 1.6 1.5 0.7 0.7 0.6 2.2 2.0 1.9
製造業 5.0 4.3 4.2 2.7 2.3 2.4 1.2 1.0 1.1 1.5 1.3 1.3 2.3 2.0 2.0
サービス提供型 3.6 3.4 3.4 1.8 1.7 1.7 1.1 1.0 1.0 0.8 0.7 0.7 1.8 1.7 1.6
商業、運輸、公益事業 4.4 4.1 4.1 2.6 2.4 2.4 1.4 1.4 1.4 1.1 1.0 1.1 1.9 1.8 1.7
情報通信業 2.0 1.9 1.8 1.1 1.0 1.1 0.7 0.7 0.8 0.4 0.3 0.3 0.9 0.9 0.8
金融業 1.5 1.5 1.3 0.7 0.6 0.6 0.5 0.4 0.4 0.2 0.2 0.2 0.8 0.8 0.7
専門・ビジネスサービス 1.9 1.8 1.7 1.0 0.9 0.9 0.6 0.6 0.6 0.3 0.3 0.3 0.9 0.9 0.8
教育・医療サービス 5.0 5.0 4.8 2.3 2.2 2.2 1.3 1.3 1.3 1.0 1.0 0.9 2.7 2.7 2.6
レジャー・接客業 4.2 3.9 3.9 1.6 1.6 1.7 1.0 1.0 1.1 0.7 0.6 0.6 2.6 2.3 2.2
その他のサービス 3.1 2.9 2.7 1.5 1.4 1.3 1.0 1.0 0.9 .0.5 0.5 0.4 1.6 1.5 1.4

 

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