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欧州連合の労働安全衛生の状況−パイロット調査

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行
「The State of Occupational Safety and Health」
http://osha.europa.eu/publications/reports/#stateofoshsum
http://osha.europa.eu/publications/reports/404/en/summary_report.pdf
(PDF format in English)

(訳 国際安全衛生センター)

2.2 データソース

データは、欧州全体は各国で利用可能な既存データを基に収集した。また加盟国には、ダブリン財団とユーロスタットが作成した欧州レベルの関連データから各国分を抽出したものを提供した。

労働安全衛生情報を提示し比較する各国のプロセス

一般的には、国内ネットワークを活用して関連情報を収集し、これを関連する技術的専門家などの団体の協力を得て政府諸機関が調整するケースが多くみられた。情報源としては各国内の調査、統計報告書、国内ネットワーク団体の専門家の意見などを活用している。

利用できるデータがない場合は、質問表を作成して労働安全衛生の専門家に問い合わせている。専門家は労働安全衛生に関わっている権威ある人物から選んでいる。情報は、社会パートナー、労災補償基金、労働者保険基金、医学団体など、幅広い組織から得ている。

また欧州レベルの2つの情報源からの国別データと情報も活用している。これについては以下に示す。

労働条件に関する第2次欧州調査(ESWC)

ダブリン財団は、1995年末と1996年初頭に第2次ESWCを実施した。全労働人口、つまり調査時点で雇用されている人か、自営業者のなかから標本を集めた。

面接調査の対象は15歳以上である。退職者、失業者、主婦などはすべて除外した。欧州以外の出身者については、労働している国の言語で回答できることを条件に、調査対象に含めた。

面接調査はEUの全加盟国で、対象者の家庭において実施した。

対象者数は1国当たり1,000人(ただしルクセンブルグは500人、ドイツは旧東独1,000人と旧西独1,000人で合計2000人)とした。

調査方法とデータ比較の両面で、読者が知っておくべき限界があることは明らかだった。この限界については"Second European Survey on Working Conditions『労働条件に関する第2次欧州調査』"報告書(1997年にダブリン財団が発行)で詳述されている。具体的には、各国ごとの産業構造の差異、法律的文化的な差異、産業と職業別の労働人口の分布、標本数などである。

労働災害に関する欧州統計(ESAW)

ユーロスタットがEU加盟国と緊密に協力して実施したESAWプロジェクトの目的は、欧州規模で比較可能な労働災害に関するデータを収集し、データベースを構築することである。

ESAWのデータには、3暦日以上の病休を伴なう労働災害の全事例が含まれている。

労働災害の定義は「肉体的または精神的損傷を引き起こした労働行為中での個別事象」とされている。これは急性中毒、他者による故意の行為を含むが、意図的な自傷、職場への往復路での災害(通勤災害)は含まない。「労働行為中」とは、職業的活動に関与している間、または作業に費やしている時間中を意味する。これには労働行為中での交通事故を含む。

死亡災害とは、災害発生から(災害の翌日から)1年以内に被害者が死亡した災害と定義されている。実際には大多数の加盟国が、国内統計で死亡災害に算入された事例を含めている。

加盟国ごとの災害報告の方法(保険を基礎にしたシステムか、または基礎にしていないシステムか)によって、労働災害報告の対実績比に差がある。一般には保険を基礎にしたシステムの対実績比はきわめて高く、ほぼ100%とみられる。保険を基礎にしていないシステムの対実績比は半分程度で、全部門を平均して30%から50%が普通である。従って保険を基礎にしたデータと、基礎にしないデータを対実績比で調整したデータとの比較は、厳密であるとはいえない。



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