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欧州連合の労働安全衛生の状況−パイロット調査

資料出所:European Agency for Safety and Health at Work発行
「The State of Occupational Safety and Health」
http://osha.europa.eu/publications/reports/#stateofoshsum
http://osha.europa.eu/publications/reports/404/en/summary_report.pdf
(PDF format in English)

(訳 国際安全衛生センター)

3.3 リスク分類

産業および職業

暴露指標/OSH上の諸結果のそれぞれについて、もっとも回答数の多かったリスク産業と職業を以下の表に示した。

産業分類コード

産業別

のべ回答数

45

建設

112

28

金属加工製品の製造(機械および設備を除く)

63

01

農業、狩猟および関連業種

62

85

医療およびソーシャルワーク

57

15

食品および飲料製造

52

27

金属材料の製造

34

60

陸上輸送、パイプライン輸送

33

55

ホテルおよびレストラン

27

17

織物の製造

25

20

木材ならびに木材およびコルク製品の製造(家具を除く)

23

75

行政および防衛、強制社会保険

20

93

その他のサービス業

15

80

教育

15

24

化学物質および化学製品の製造

14

14

その他の鉱業および採石

13

02

林業、伐採および関連業種

12

05

漁業および養魚場の運営、漁業関連の業種

11

18

衣料品製造、毛皮の仕上げおよび着色

11

52

小売り(自動車およびオートバイを除く)、個人および家庭用品の修理

11

26

その他の非金属鉱物製品の製造

8

21

紙および紙製品の製造

7

19

皮のなめしおよび仕上げ、ならびにかばん、ハンドバッグ、馬具、ハーネスおよび履物の製造

7

64

郵便および電気通信

6

65

金融仲介(保険および年金を除く)

5

50

自動車およびオートバイの販売および保守、自動車燃料の小売り

4

90

下水および廃棄物の処理、衛生設備および同様の業種

3

40

電気、ガス、蒸気および湯の供給

3

34

自動車、トレーラー、セミトレーラーの製造

3

30

事務用、会計およびコンピューター機器の製造

3

22

出版、印刷、記録媒体の複写

3

25

ゴムおよびプラスチック製品の製造

3

16

タバコ製品の製造

3

51

卸売りおよび委託販売(自動車およびオートバイを除く)

2


JICOSH 注) 国際標準産業分類(ISIC; International Standard Industrial Classification )はこちら

「建設」産業は、20項目の暴露指標/OSH上の諸結果のうち、以下の9項目でリスクが最大とする回答がもっとも多かった(112回)。


■ 振動、低温、重量物の持ち上げ/移動、緊張を強いる作業姿勢、個人用保護具の使用

■ 3日を超える休業を伴なう災害、死亡災害、職業性疾病、筋骨格障害

次に回答数が多かった(63回〜52回)産業グループは、「金属加工製品の製造(機械および設備を除く)」「農業、狩猟および関連業種」「医療およびソーシャルワーク」「食品および飲料の製造」である。

職業分類コード

職業

のべ回答数

93

鉱業、建設業、製造業および運輸の単純労働者

123

72

金属、機械および関連職業従事者

80

71

採鉱、建築職従事者

76

82

機械操作員および組立工

73

81

定置装置および関連操作員

40

83

運転手、移動プラント操作員

39

91

販売、サービスの初級職業

36

42

顧客サービス事務員

35

92

農林漁業および関連単純労働者

33

74

その他の職人および関連職従事者

29

51

個人、保安サービス職業従事者

25

22

生命科学、保健の専門職

20

32

生命科学、保健関連の準専門職

19

61

市場志向の熟練農林漁業職業従事者

17

52

モデル、販売員、実演販売員

13

12

会社管理者

10

23

教育の専門職

10

73

精密、手工芸、印刷および関連職従事者

7

13

総合管理者

4

41

事務所事務員

3


JICOSH 注) 国際標準産業分類(ISIC; International Standard Industrial Classification )はこちら

「鉱業、建設業、製造業および運輸の単純労働者」は、20の暴露指標/OSH上の諸結果のうち、以下の10の職業でリスクが最大であるとする回答がもっとも多かった(123回)。

■ 振動、低温、高温、重量物の持ち上げ/移動、化学物質の取り扱い、緊張を強いる作業姿勢

■ 死亡災害、職業性の病休、職業性疾病、筋骨格障害

2位から4位の職業グループは「金属、機械および関連職業従事者」(80回)「採鉱、建築職従事者」(76回)「機械操作員および組立工」(73回)である。

回答数が19回〜36回あったのは、「販売」「顧客サービス」「医療およびソーシャルワーク」関連の官民の職業である。

その他のリスク分類−企業規模、性別、年齢、雇用形態

各国段階での情報が得られないため、企業規模、性別、年齢、雇用形態のリスク種別に関連した回答数は少なかった。したがって、これらの分類のうちでリスクが最大なのはどれかは判断できなかった(4.2参照)。そこで「性別」以外は、国別報告でフォーカル・ポイントが共通にコメントした内容だけを以下に記載した。


性別

国別報告のデータから、騒音、振動、高温、低温に対しては男性の方がリスクが高いとみられていることは明白である。また男性は、3日を超える休業を伴なう労働災害、死亡災害、職業性疾病のリスクも高いとされている。一般に女性は、反復動作とセクシャルハラスメントのリスクが高いとみられている。

暴露指標/OSH上の諸結果について、性別のリスクを報告したフォーカル・ポイントの数を以下の表に記載した。

暴露指標/OSHAの諸結果

性別の回答数

男性

女性

騒音

11

0

振動

11

0

高温

10

0

低温

8

0

重量物の持ち上げ/移動

5

3

反復動作

1

7

セクシャルハラスメント

0

8

3日を超える休業を伴なう災害

13

0

死亡災害

12

0

職業性疾病

9

1

フォーカル・ポイントの共通のコメントを基にしたその他のリスク分類

企業規模

小規模企業ほどリスクが高いとの指摘が多かった。その理由は、職場の個別の危険有害要因と、リスク低下に最適な既存の慣行を理解するためのリソース(時間、資金、専門要員)が限られているからである。

年齢

多くの理由から、若年層は職場の危険有害要因の影響をとくに受けやすいとする意見が多かった。若年労働者はリスクのある作業により積極的であるとの報告もあり、また若年であるために経験と労働環境への理解が不足し、リスクがより大きいとみられている。さらに同僚労働者にみずからの能力を誇示したいと考える場合もあり、これも災害の可能性を高める要因になりうる。

若年労働者はリスクに対する判断力も弱い場合がある。騒音、手作業、有害物質などは、最初に暴露してから職業性の負傷という結果をもたらすまでに相当の時間がかかる場合があるからである。したがってリスクが十分に理解されず、制御対策も十分に守られないおそれがある。個人用保護具の装着に積極的でない若年労働者がいるとされるが、これが一因かもしれない。

雇用形態

自営業者、派遣労働者、短期契約労働者がリスクが高いとする指摘や意見が多かった。リソースが少なく、とくに安全衛生の研修と情報へのアクセスが限られているからである。これらのグループへの安全衛生の取り組みが十分か、経営者の責任が何かは不明である。安全衛生の情報が十分に提供されているか、そのためにどのような制度があるかも明らかではない。これらのグループが安全衛生情報と研修の活用法を確立することが重要である。




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