欧州連合の労働安全衛生の状況−パイロット調査
2.3 データ統合のプロセス
本節では、データ統合の方法を「職場での騒音への暴露リスクがもっとも高いと思われる職業」を例に説明する。
国別報告で指摘された職業を以下の一覧表に挿入する。これによりフォーカル・ポイントが報告する、職場での騒音リスクがもっとも高い全職業を知ることができる。
各フォーカル・ポイントには、もっともリスクの高い5つの職業を特定するよう要請している。したがって職業の回答総数は最大で75(5×15)になる。これでは数が多すぎるため、読者に明確な傾向を示すことがむずかしい。そこでカットオフ値を用いてグラフに入れる職業と補足の表に入れる職業を分けた。カットオフ値の決定は、情報分析にあたった労働安全衛生の専門家に任せた。
職業(ISCO)
(国際標準
作業分類)
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合
計
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フォーカル・ポイント
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イ
ギ
リ
ス
|
フ
ィ
ン
ラ
ン
ド
|
ド
イ
ツ
|
ア
イ
ル
ラ
ン
ド
|
ス
ペ
イ
ン
|
デ
ン
マ
l
ク
|
ベ
ル
ギ
l
|
ギ
リ
シ
ャ
|
オ
l
ス
ト
リ
ア
|
ス
ウ
ェ
l
デ
ン
|
イ
タ
リ
ア
|
ル
ク
セ
ン
ブ
ル
グ
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フ
ラ
ン
ス
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オ
ラ
ン
ダ
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ポ
ル
ト
ガ
ル
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01
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1
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61
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1
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80
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1
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*
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84
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1
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*
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85
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1
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*
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91
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1
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*
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92
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2
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*
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*
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73
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5
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*
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*
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*
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74
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5
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*
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*
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83
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5
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*
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71
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6
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*
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*
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*
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*
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93
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9
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*
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81
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10
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*
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*
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*
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72
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12
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82
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14
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上述の一覧表のデータを15ページのグラフにした。このグラフから、回答数5前後が自然なカットオフ・ラインであることがわかる。今回は回答数が5以上あった職業をグラフに入れ、5未満は補足の表に入れた。
JICOSH 注) 国際標準作業分類(ISCO; International Standard Classification
of occupations )はこちら
表のデータにカットオフ基準を適用したため、以下のグラフでは、国別報告で指摘された職業のうち回答数が5以上のものだけを示している。


理想としては、プロジェクト用に開発したグラフ・モデルを、すべてのリスク分類(産業、職業、性別、年齢、企業規模、雇用形態など)の結果を示すために使用すべきであろう。しかし国別情報の得られない質問が多数あり、これらをグラフに示す根拠が薄いと思われた。そこで、回答を提出したフォーカル・ポイントが8つ以上あったものだけをグラフに示した。一例として年齢別のデータを下に示している。企業規模、性別、年齢、雇用形態別については、フォーカル・ポイントのデータでは欧州全体の状況をまとめることができないため、グラフがほとんどないという結果になった。

主報告書では、暴露指標/OSH上の諸結果ごとに以下の情報を記載している。
■調査結果の概要
■欧州全体の状況:ここではダブリン財団第2次欧州調査(ESWC)、またはユーロスタットの労働災害に関する欧州統計のデータに基づいて欧州全体の状況をまとめている。
■欧州レベルのデータと各国データの比較:フォーカル・ポイントが暴露指標に関するデータを提供している場合、これをESWCのデータと比較し、両者に差異があるかを確認してコメントするよう要請した。
■リスクのある産業と職業:リスクが最大であるとするフォーカル・ポイントの回答がもっとも多かった産業と職業を示し、コメントをつけている。
■その他のリスク分類(企業規模、性別、年齢、雇用形態など)についての情報:これらのリスク分類に関し、フォーカル・ポイントのデータで欧州全体の状況が明らかになるものについて、調査結果を示している。
■傾向:過去3年から5年間に、暴露指標に暴露し、または労働安全衛生上の影響を受ける労働者数が、減少、横ばい、または増加傾向にあるかをフォーカル・ポイントが回答した。また、明らかになった傾向に対するフォーカル・ポイントのコメントも掲載した。
■評価:ここでは、新しい防止対策策定の必要性についての国別報告をまとめている。
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