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マレーシア国法

法律番号514

労働安全衛生法 1994年
Occupational Safety and Health Act 1994


(仮訳 国際安全衛生センター)

原文はこちらから(マレーシアNIOSHへのリンク)
   

第11章
施行と調査


39. 立入り、監督、監督、差押えの権限

(1) 安全衛生担当官吏(本章では「担当官」という)は、本法または本法に基づく規則の目的を遂行するために、合理的な時期に、免許証を呈示した上で、居住目的に限定して使用されている場所を除くあらゆる職場に立ち入り、検査を行うことができる。
 但し、担当官は所有者から同意を得た場合、または本法もしくは本法に基づく規則に違反し、または違反している可能性があると信じる相当の理由がある場合は、居住場所に立ち入ることができる。

(2) (1)項に基づく権限を行使する場合、担当官は以下の権限を有するものとする。
 (a) 本法または本法に基づく規則が遵守されていることを確認するために、必要に応じて、設備、物質、物品またはその他のすべての事物を調査および検査すること。
 (b) (a)号に基づく調査または検査の目的のために合理的に必要であるかぎり、職場もしくはその一部、または職場もしくはその一部にある事物を、全面的にまたは特定の部分だけ、そのままの状態に維持するよう命令すること。
 (c) (a)号に基づく調査または検査の目的のために担当官が必要と考える測定を行い、写真を撮影し、記録を取ること。
 (d) 担当官が立ち入る権限を有する職場で発見した物品または物質の見本、および職場の空気または職場の近辺の空気環境の見本を採取すること。
 (e) 1967年機械設備法の付属書3に定める疾病、または本法に基づき主務大臣が制定した規則または下した命令で指定された疾病が発生し、または発生する可能性がある職場で雇用されている労働者に対して、登録された医師または保健所職員が実施する健康診断を受けることを義務づけること。

(3) 担当官が設備または物質が安全衛生に害を及ぼし、または害を及ぼす可能性があると判断する場合、担当官は以下の権限を有するものとする。
 (a) 都合のよい場所で、担当官が指定した合理的な時期に、かかる設備または物質を撤去させるか、または令状もしくは試験の対象とすること。但し、設備または物質を傷つけたり、破壊してはならない。
 (b) 以下の目的に必要であるかぎり、かかる設備または物質を保有または保持すること。
  (i) 検査および担当官が権限を有することを実施する。
  (ii) 検査が完了するまで、不正な変更が加えられないようにする。
 (iii) 本法または本法に基づく規則に基づく違反に関する法的手続において証拠として使用できるようにする。

(4) 担当官が保健所職員である場合、担当官は以下の権限を有するものとする。
 (a) 本法または本法に基づいて制定された規則に基づく担当官の職務上の目的に必要な健康診断を実施すること。
 (b) (2)項および(3)項に基づいて付与され、または必要なその他の権限を行使すること。

(5) 担当官は、本条の目的のために、担当官の職務を履行する上で重大な障害と考える合理的な理由がある場合、必要に応じて警察の支援を求めることができる。

(6) (5)項の規定を棄損することなく、(1)項に基づいて職場または居住場所に立ち入る場合、担当官は(a) 総局長から正式に授権されたその他の者を同伴し、または(b) 立入権を行使するために必要な機材を携行することができる。

40. 捜査令状および押収の権限に基づく施設への立入り

 職場または居住場所にある物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部が本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反行為に使用され、または使用することを企図していると推測する合理的な理由となる情報を宣誓をした上で下級判事に提出する場合、下級判事は自ら署名した令状を交付するものとし、令状に指定された担当官は、昼夜を問わず合理的な時間に職場または居住場所に立ち入り、物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部を捜査し、押収し、または封印を施すことができる。

41. 捜査令状および押収の権限を持たない施設への立入り

捜査令状の取得が遅れたことにより、担当官が入手した情報から、本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反行為に使用し、または使用することを企図している、職場または居住場所にある物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部が撤去または廃棄される可能性があると信じる合理的な理由があると確信する場合、担当官は、令状なしで、職場または居住場所に立ち入り、発見した物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部を押収し、または封印を施すことができる。
法的権限なしに、物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部を破壊、変更もしくは撤去し、または封印を剥がし、またはそのような試みをなすことは法律違反になるものとする。

42. 強制的に施設に立ち入り、施設から押収した物品の署名をしたリストの写しを占有者に送達する権限

(1) 担当官が第40条または第41条に基づく権限の行使に際して必要である場合、
 (a) 職場または居住場所の内側または外側のドアをこじ開けて、職場または居住場所に立ち入り、
 (b) 職場または居住場所またはその一部に力ずくで立ち入り、
 (c) 与えられた権限に基づいて力ずくで障害物を撤去した上で立ち入り、捜査、押収および撤去し、
 (d) 職場または居住場所の捜査が完了するまでかかる場所に残るすべての人間を拘留することができる。

(2) 担当官が40条または第41条に基づいて物品、事物、帳簿、書類、設備、物質、架設物またはそれらの一部を押収する場合、押収物のリストを作成して、直ちにまたは可能なかぎり早期に、担当官が署名した押収物リストの写しを占有者またはその代理人または施設内に残る使用人に送達し、また施設に占有者がいない場合は、必要に応じて施設に押収物のリストを掲示するものとする。

43. 監督に関する追加規定

(1) 担当官が職場に立ち入る場合、雇用主および安全衛生委員会に立入りを通知するために、あらゆる道理にあった手段を講じるものとする。

(2) 担当官は監督が完了し次第、観察事項および職場に関して講じるべき措置に関する情報を雇用主および安全衛生委員会に通知するものとする。

(3) 担当官が分析の目的に職場から見本を採取することを計画する場合、その旨を雇用主および安全衛生委員会に通知し、また見本を採取した後、可能なかぎり、
 (a) 採取した見本をできるかぎり多数に分割し、見本の性質が許すかぎり、分割したそれぞれの見本を封印、封入または印を付け、
 (b) 雇用主または安全衛生委員会から要求された場合、分割したそれぞれの見本を雇用主または安全衛生委員会に送付し、 
 (c) 将来比較を行うために一部を保持し、
 (d) 見本の分析を行う場合は、その他の見本を分析官に提出するものとする。

44. 調査権

(1) 担当官は本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反行為を調査する権限を有するものとする。

(2) 担当官は本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反行為の調査に関して、警察捜査に関する特別な権限を行使することができる。但し、担当官は、自分で逮捕可能な違反行為についても、刑事訴訟法(F.M.S.第6章)に定める令状なしに逮捕する権限を行使することはできない。

(3) 調査が完了し次第、担当官は、警察署の担当者に違反行為に関するすべての情報を通知するものとする。担当者は令状によって本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反を犯した者を逮捕することができる。

45. 参考人を尋問する権利

(1) 担当官が第39条または第44条に基づく調査を行う場合、事件に関する事実および事情を知ると思われる者を口頭で尋問することができる。

(2) (1)項に述べる者は、事件に関して担当官が尋ねたすべての質問に答える法的義務を負うものとする。
 但し、かかる者は第7条(1)項に基づき総局長から交付された許可証を呈示することを求めて、担当官がこれを呈示しない場合、または呈示することを拒否した場合は、質問に答えることを拒否できる。
 また上記の者が質問に答えた場合に刑事罰、処罰または罰金が科される恐れがあるときは、質問に答えることを拒否できる。

(3) 本条に基づく陳述を行う者は、陳述がすべての質問に答えたものか、または一部の質問に答えたものかに関係なく、真実を述べる法的義務を負うものとする。

(4) 担当官が参考人から情報を入手する場合は、最初に(2)項および(3)項の規定を参考人に通知するものとする。

(5) 本条に基づき参考人が行った陳述は、可能なかぎり書面にするものとし、参考人が陳述した言語で陳述書を読み上げ、参考人が希望する場合は訂正する機会を与えた後、場合に応じて、参考人が署名をするか、または親指で捺印するものとする。

(6) 担当官が通訳の手を借りる場合、担当官に代わって通訳が行う質問または命令は実質的に担当官が行ったものと見なし、通訳に対する答えは担当官に対して答えたものと見なすものとする。

46. 雇用主等の担当官に対する支援

 職場の所有者、占有者もしくは雇用主および職場の所有者、占有者もしくは雇用主の代理人または労働者は、担当官が立入り、検査、調査もしくは尋問を行い、または本法に基づく権限を行使する際に担当官が必要とする支援を提供するものとする。

47. 監督に関する違反

 以下の者は法律違反を犯したことになり、有罪判決を受けた場合、1万リンギット以下の罰金または1年以下の禁固または両刑に処すものとする。

 (a) 担当官または担当官を補佐する者に職場への立入りを拒否した者、
 (b) 本法または本法に基づいて制定された規則に基づく権限の行使に際して担当官を妨害した者、または担当官を妨害するように他者を教唆した者、もしくは教唆しようとした者、
 (c) 本法に基づいて担当官が要求した文書の呈示を拒否した者、
 (d) 担当官に対して設備もしくは物質の場所または他の者の存在を隠匿した者、
 (e) 他の者が担当官を支援することを邪魔し、または邪魔しようとした者、
 (f) 上記以外の方法で、本法または本法に基づいて制定された規則に基づく権限の行使に際して担当官を妨害した者。

48. 改善通知と使用禁止の通知

(1) 職場、設備、物質または工程が危険で、人身損害を引き起こす可能性があり、または労働者の健康に重大なリスクを及ぼし、または財物の損害を引き起こす可能性があると担当官が判断する場合、担当官はかかる職場、設備、物質または工程を管理する者に改善通知を送達して、担当官が定めた期間内に危険を除去し、または不良部分を是正することを義務づけるものとする。その際、通知の期間が満了した場合でも、担当官が満足できるように危険が除去され、不良部分が修復されるまで、かかる職場、設備、物質または工程は使用または利用してはならない。

(2) (1)項に定める不良部分が直ちに生命または財物の危険を招くと担当官が判断する場合、担当官が満足できるように危険が除去され、不良部分が修復されるまで、かかる職場、設備、物質または工程の使用を禁止する通知を送達するものとする。

(3) (1)項または(2)項に基づく改善通知または使用禁止の通知には、
 (a) 職場にある設備、物質または工程に関して、危険で、人身損害を引き起こす可能性があり、または労働者の健康に重大なリスクを及ぼし、または直ちに生命もしくは財物の危険を招くと担当官が判断していること、およびかかる判断の理由を明記し、
 (b) 関係する活動が本法または本法に基づいて制定された規則に基づく違反行為であり、または違反行為である可能性が高いと担当官が判断する場合は、関係する規定を明示し、かかる判断の理由を明記するものとする。

(4) 改善通知または使用禁止の通知には、通知に関係する危険、危険の可能性、リスク、事項または活動を除去または排除するために講じるべき措置に関する指示を盛り込むことができる。かかる指示は承認済の産業活動規範を参照することができる。

(5) (2)項に定める規定に限定されることなく、担当官が必要と見なす場合、上記の目的に最適と考える手段によって、職場、設備、物質または工程を使用できなくする措置を講じることができる。

(6) (5)項に基づき担当官が措置を講じた場合において、担当官が適当と見なすときは、関係する職場、設備、物質または工程の責任者、担当官または占有者から措置を講じるためにかかった費用を回収することができる。

49. 通知の不遵守に対する処罰

(1) 第48条に基づいて改善通知または使用禁止の通知が交付された者は、既に通知に対して上訴を提起した場合でも、かかる通知を遵守しなければならない。

(2) 合理的な免責理由なしに、第48条に基づいて交付された改善通知または使用禁止通知の遵守を怠った者は、法律違反を犯したことになり、有罪判決を受けた場合、5万リンギット以下の罰金または5年以下の禁固または両刑に処すものとし、また違反行為の継続中は、1日につき、500リンギットの追加の罰金が課されるものとする。

50. 不当な取扱いを受けた者は上訴することができる

(1) 第48条に基づいて交付された通知によって不当な取扱いを受けた者は、通知の日から30日以内に、総局長に上訴することができ、総局長は上訴の内容を検討してから、書面でかかる通知を確認、変更または取り消すことができる。

(2) (1)項に基づいて総局長が下した命令によって不当な取扱いを受けた者は、決定の日から30日以内に、第63条に基づき主務大臣が任命した上訴委員会に上訴することができる。

(3) 総局長または副総局長が第48条に基づいて付与された権限を行使するために改善通知または使用禁止の通知を交付した場合は、第63条に基づき主務大臣が任命した上訴委員会に上訴するものとする。


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