調査・研究
調査研究概要
配達業務を安全に ~リスクアセスメント、交通事故、交通事故防止対策などの活動好事例集~
配達業務は近年急速に需要が拡大し、私たちの生活に密着した仕事となっている。そこで、配達業務に携わる方々が安全に働けるような取り組みをしている7企業から直接お話を伺い、その内容を事例集としてまとめた。
全文(1~6ページ)(PDF 4,494KB)
全文(7~14ページ)(PDF 2,126KB)
全文(15~20ページ)(PDF 1,239KB)
全文(21~29ページ)(PDF 4,319KB)
配達業務の労働災害の状況
配達業務に関する業種は、運送会社による荷物の配達をはじめ、郵便配達、新聞配達、また、外食産業による食事の出前・宅配、小売業による食料品や生活雑貨の配達、さらには緊急時に駆けつけるセキュリティーサービスなど、多岐にわたっている。
これら配達業務のうち、例えば新聞販売業(新聞配達)における休業4日以上の労働災害による死傷者数は、ここ数年2,000人を超え、増加傾向にある。特に交通事故は、死亡災害や重篤なケガになる可能性がある(資料1)。
資料1 配達業務における災害事例
安全衛生管理体制の事例
- 2010年より、社長をはじめ役員、営業部門のトップ、スーパーバイザーをメンバーとした安全運転対策本部を本社に設置。会議は年6回開催され、ドライブレコーダーやスピードリミッターの導入、外部コンサルタントと連携してのドライバー用初期教育ツールの共同開発などを行っている(配達飲食サービス業)。
- 安全衛生委員会の下部組織として交通安全委員会を位置づけ、総括責任者(総務部長)が原則2カ月に1回委員を招集し、交通事故防止・削減のための活動をしている(飲食店)。
災害別対策事例
もらい事故防止対策事例
- 業界団体が、組織ぐるみで配達時の反射ベスト着用を義務づけた(新聞販売業)。
犬咬(か)まれ対策の事例
- 朝礼(昼礼)で、犬咬まれ労災の状況について資料を配布し、情報を共有している(小売業)。
居眠り運転防止の対策事例
- 一部の従業員に負担がかかる勤務体制や24時間を超える連続勤務などによって、漫然運転や居眠り運転が起きないよう、労務管理を改善した(警備業)。
リスクアセスメントの事例
- 全国安全週間の時期に各事業所において職場で災害につながるリスクがないかみんなで話し合ったり、リスクアセスメントに取り組んだりしている。リスク低減対策を実施後は、その写真やイラストを一覧にして記録している(資料2)(貨物運送業)。
- 2010年より安全衛生管理規程に基づいた「労働安全衛生リスクアセスメント実施要領」を制定し、展開している(小売業)。
資料2 リスクアセスメント事例集
ドライブレコーダーの導入事例
- ドライバーに危険な運転を抑止するよう、意識づける効果が期待できる(配達飲食サービス業)。
- ドライブレコーダーの活用方法は、日ごろから安全運転認定員などがその画像を分析し、運転手の悪癖(急発進、急加速など)とヒヤリ・ハットを取り出し、矯正と削減の取り組みを行っている(警備業)。
安全衛生教育・交通安全教育の事例
- 「安全指導長制度」がある(貨物運送業)。
- 新入の従業員は6カ月間育成教育を受ける。特に運転に関してはオリジナルの安全運転マニュアルをもとに安全運転や必要な基本行動や基礎知識を詳しく学ぶ(小売業)。
- 変わりつつある交通事情に対応するよう教育している(小売業)。
- 欠くことができないのは日々の教育であり、「毎回言う」「その都度言う」ことを徹底する(配達飲食サービス業)。
- 「できるだけ早く届けたい」「時間に遅れないようにしたい」という心理が働きやすいが、とにかく"慌てない"ことを常日ごろからドライバーに伝えている。
- 出勤時と出発時に従業員が安全運転宣言を読み上げている(飲食店)。
お問合せ
中央労働災害防止協会(中災防)
教育推進部 業務課
TEL 03-3452-6389
FAX 03-3453-3449
E-mail: kyoiku@jisha.or.jp