中災防の個人ばく露測定

中災防の個人ばく露測定 ~初期調査における測定と確認測定等~

1 吸入ばく露における健康障害防止のためのリスクアセスメント

化学物質のリスクアセスメントの過程で行われる個人ばく露測定は、労働安全衛生法および作業環境測定法の改正により作業環境測定に位置付けられ、作業環境測定士に実施させることが義務付けられました。

吸入ばく露による健康障害防止のためのリスクアセスメントを行う場合のフローは、図1に示したとおりです。作業環境測定に位置づけられた個人ばく露測定は、この図の【測定の実施】の「確認測定」と「リスクアセスメントのための測定」であり、初期調査におけるばく露の推定で行われる簡易的な測定、予備的な個人ばく露測定には該当しません。

図1 吸入ばく露のリスクアセスメント
図1 吸入ばく露による健康障害防止のためのリスクアセスメントのフロー

(化学物質による健康障害防止のための濃度の基準の適用等に関する技術上の指針(令和5年4月27日技術上の指針公示第24号)より作成:一部省略


初期調査では、化学物質のばく露の程度を最小限度とするには、必ずしも実測しなくても、クリエイト・シンプルなどの数理モデルを用いて、化学物質の使用量や作業状況を考えて労働者の呼吸域の濃度を推定することができます。しかし、推定には制約や限界があるので、数理モデルの結果が正しいばく露濃度を推定していないと考えられる場合があります。その場合には、場の測定、検知管やリアルタイムモニターによる簡易的な測定、労働者の呼吸域にサンプラーを装着した予備的な測定を行って、「濃度基準値を超えるおそれのある屋内作業場があるか」や「一定以上のリスクがある作業があるか」を判断することが可能です。

クリエイト・シンプルの次は個人ばく露測定でなくても良いのです

中災防は、予備的な測定についても、サンプルの受託分析をお受けしております。
また、初期調査から指導をご希望の事業場からのご依頼もお受けいたします。
なお、中災防は、個人ばく露測定について登録を行った作業環境測定機関でもありますので、「確認測定」を含む個人ばく露測定をご依頼により実施させていただくことができます。

リスクアセスメント対象物に対するリスクの見積り測定、または技術上の指針に基づく確認測定をご希望の方は、中災防の作業環境測定士を派遣しますので、地区安全衛生サービスセンターまでお問い合わせください。

これら【初期調査】、【リスクの見積り】、【測定の実施】、【リスク低減措置】の具体的な実務は、化学物質管理者選任時テキストをご覧ください。

2 予備的な測定

手間をかけずに、予備的な測定をしたいとき
個人ばく露測定は、作業環境測定士が立ち会い、作業状況を把握しつつ、ポンプや測定器具などの状況を随時確認しますので、手間や費用がかります。しかし、

  • CREATE-SIMPLEによるばく露推定結果が予想外に高いなど、検証してみたい場合
  • 建築工事などで、作業者にサンプラー器具やポンプの装着が困難な場合
などもあります。

100物質以上の揮発性の有機溶剤については、小型(直径3cm厚さ5㎜程度)のバッジにより、ポンプを使用せずに予備的な測定を行うことが可能です。
サンプリング後にパッシブサンプラーをお送りいただければ、測定結果を報告いたします。
詳細は【パッシブサンプラーを用いた個人ばく露測定】をご覧ください。

この他の予備的な測定のサンプルについても分析を受託しておりますので、お問い合わせください。
※捕集方法、捕集後の検体の保存や輸送の状況により、分析をお引き受けできないことがありますので、
サンプリング前に分析担当者に必ずご相談ください。

3 濃度基準値設定物質

濃度基準値設定物質とは、「一定程度のばく露に抑えることにより、労働者の健康障害を生ずるおそれがないものとして厚生労働大臣が定めるもの」として、物質毎の濃度の基準を定めたもので、令和8年10月1日時点で、256物質が該当します。リスクアセスメント対象物のうち濃度基準設定物質を製造し、または取り扱う業務を行う屋内作業場においては、事業者は、労働者のばく露の程度を、濃度基準値以下とする必要があります。従来のような特別則の下での管理濃度(作業場所の作業環境の良否判断する管理上の指標)とは異なり、濃度基準値を超えてのばく露は法令違反となり、健康障害のおそれがあるとして、漏洩事故における大量ばく露同様に、リスクアセスメント対象物健康診断(第4項健診)を速やかに実施する義務が課されます。

詳しくは、技術上の指針(令和5年技術上の指針公示第24号)を参照ください。
濃度基準値以下であることを確認する方法等の実務については、化学物質管理者選任時テキストをご覧ください。