化学物質管理強調月間 安全衛生相談員コラム

化学物質管理強調月間に寄せて

(とある金属製品製造業(いわゆる金属加工業)の事業場に勤務するAさんと、安全衛生相談員とのやりとりです)

Aさん
Aさん
リスクアセスメント対象の化学物質が令和8年4月から約2900物質に拡大されるそうですね
相談員
相談員
そうです。対象が大きく増えるので、多くの事業場が対応しなければなりません。金属加工、自動車・電機・金属製品・化学製品などの製造業や建設業だけでなく、清掃業、卸売・小売業、飲食店、医療・福祉など、化学物質を扱うほとんどの事業場が対象です。
Aさん
Aさん
私の金属製品製造業の事業場では、何をすればいいですか。
相談員
相談員
まず、取り扱っている化学物質が「SDS(安全データシート)交付義務対象物質」かどうか、販売業者に確認してください。対象物質なら、SDSの交付を受けて、その情報を使ってリスクアセスメント(危険・有害性の評価)を行います。またSDS交付対象物質を取り扱っている場合、その管理のために「化学物質管理者」を選任する必要があります。
Aさん
Aさん
職場で使っている化学物質が含有された材料は、全部確認する必要がありますか。
相談員
相談員
基本的にはそうです。家庭用に販売されている製品を家庭と同様に使用するときは対象外ですが、工業的に又は事業規模で使用する場合は、SDSの交付を受けてリスクアセスメントを実施する必要があります。また、その管理のために「化学物質管理者」を選任する必要があります。
Aさん
Aさん
私の事業場の化学物質管理者は、どのようなことをすればよいのですか。
相談員
相談員
取り扱い事業場の管理者の主な仕事は四つです。
1つ目は、SDS交付対象物質のSDSを譲渡・提供者(販売事業者)から入手し、化学物質の危険・有害性等の情報を正しく把握すること(ラベル表示とSDS交付に関すること)。
2つ目は、自社の労働者の安全衛生確保のために、製造・取り扱う化学物質についてリスクアセスメントの実施・その結果をふまえたばく露時の措置をすること。
3つ目は、リスクアセスメント等、その結果に基づく措置等を記録し管理すること。
4つ目は、自社製品を製造・販売している場合は、譲渡・提供先に含有する化学物質の危険・有害性等の情報を正しく伝えること(ラベル表示とSDS交付に関すること)。
Aさん
Aさん
ラベル表示とSDS(安全データシート)について、もう少し教えてください。
相談員
相談員
事業者はリスクアセスメント対象物を含む製品についてGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に従って分類し、その結果に基づいたラベルの作成及び譲渡・提供先へ SDS 作成交付が義務付けられています。
化学物質管理者にGHSの知識や経験が不足している場合は、社内の担当者や外部業者に作業を委託することもできます。
Aさん
Aさん
化学物質のリスクアセスメントは、どのように行うのですか。
相談員
相談員
リスクアセスメントでは、
・爆発や引火など設備・機器に関わる危険(危険性)
・健康障害など人への悪影響(有害性)
の両方を評価します。
搬入、保管、使用、廃棄など作業ごとに区分し、SDS等でその作業ごとの危険性・有害性を確認し、リスクの大きさを見積もり、どのような対策(リスク低減措置)が必要か検討してください。
Aさん
Aさん
リスクの見積もりやリスク低減措置の具体例などリスクアセスメントの実施に参考になるものはありませんか。
相談員
相談員
「ケミガイド」と検索すると、厚生労働省が開設している「職場の化学物質管理の道しるべ『ケミガイド』」にアクセスでき、化学物質に関する様々な情報にアクセスできます。また、独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所が開設している「職場の化学物質管理総合サイト『ケミサポ』」では、リスクアセスメント等の化学物質管理を進める手順を4つのステップにわけて説明していますので、参考にしてください。
Aさん
Aさん
リスクアセスメントが終わった後も、化学物質管理者の安全衛生に関する仕事は続きますか。
相談員
相談員
はい。リスクアセスメントの結果に基づき、ばく露防止措置(作業者が化学物質を吸い込んだり触れたりしないようにする対策)を行い、実施状況を管理するのも職務です。また、対象物が原因の労働災害が起きた場合の対応や、そのような事態を想定した応急措置の訓練・計画づくりも重要な仕事です。
Aさん
Aさん
化学物質管理者の役割は、とても重要で大変ですね。
相談員
相談員
そのとおりです。職務をしっかり行えるように、化学物質管理者には必要な権限を与えることが大切です。また、総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者などとの協力・連携も欠かせません。
2月1日から「第2回 化学物質管理強化月間」が始まります。
この機会に、日常の化学物質管理の総点検を実施してはいかがでしょう。
Aさん
Aさん
「化学物質管理強化月間実施要項」にある「日常の化学物質管理の総点検」を実施して、適切な管理を進め、無災害を継続していきたいです。

令和8年2月
中小規模事業場安全衛生相談窓口

ご案内

厚生労働省の補助事業として、中小規模事業場が抱える課題や悩みの解決をお手伝いする中小規模事業場安全衛生窓口を設けております。安全衛生の専門的知見やノウハウを持った専門家が無料でアドバイスいたします。お気軽にお問い合わせください。

本コラムおよびイラストの全部または一部の加工や切り取り、商用利用は禁じます。事業場の安全衛生活動にお役立てください。