タイ日系企業安全大会 プログラム

見どころ・聞きどころ

見どころ・聞きどころ(PDF 995KB)

日タイの安全衛生専門家による講演やタイ日系企業の安全衛生担当者の現場の取り組み活動など、幅広いテーマで皆様の安全衛生活動に生かせるプログラムを準備しています! 詳細は上の「見どころ・聞きどころ」ボタンをクリックしてご覧ください。

参加のメリット
  • 日タイ両国の安全衛生分野の最新の知識を知る。
  • 日系他社の安全衛生の取組事例を知る。
  • 日タイ両国の安全衛生意識の理解・向上に寄与する。
  • 日タイ両国の安全文化を理解する。
  • 日本本社とタイ拠点の連携を深めるきっかけになる。
  • 日系他社の安全衛生担当者とネットワークを構築する。
  • タイ拠点にKY活動を導入するヒントを得る。
  • タイ人安全担当者等の日頃の成果発表の場となる。
  • 日タイ両国の労働災害防止へ貢献する。
  • タイ人安全担当者の参加の場合、タイ国内で必要とされる法定教育の時間にカウント(2日間参加で12時間程度)。

基調講演

三宅 淳巳(みやけ あつみ)氏

横浜国立大学 総合学術高等研究
上席特別教授 / 学長特任補佐 / 名誉教授
「企業の安全管理 事故から学ぶリスクマネジメント」
 社会情勢が劇的に変化し先行きが見通せない現在、企業は多岐にわたる安全管理が不可欠である。また、一度重大事故や災害が発生するとその影響は当該の組織のみならず地域社会や市民生活にも及ぶため、組織の強み、弱みを適切に分析するとともに、万一の事態に備えたシナリオ想定と予防ならびに減災に向けた十分な事前評価と対策が必須である。本講演では、過去の事故事例から得られた教訓を基に、組織のリスクマネジメントならびに安全文化醸成のための基本的考え方について紹介する。

飯野 謙次(いいの けんじ)氏

失敗学会 副会長・事務局長
東京大学環境安全研究センター 特任研究員
「失敗情報をデータベースに集め、危険予知に役立てる」
 失敗学会ホームページでは1,000件以上の産業界事故や失敗について情報、分析を集め公開している。過去の事故や災害に学ぶことは失敗に対する感性を高め、その軽減には重要である。そして気を付けようなどといった精神論ではなく、失敗しないための仕組みを考えることにもつながる。 この失敗知識データベースは、原因、経過、結果を抽象化して短い言葉で表現している。しかし、これから何かをしようとするとき、実行者は失敗の原因や経過については考えが及ばず、何をするかという意図しかない。失敗学会では過去の事例と今後集積する事例について、実行者の「意図」を紐づけ、意図検索を実現する。これは危険予知活動にも大いに役立つ。

Dr. Kiattisak Batsungnoen

スラナリー工科大学 公衆衛生学術院 助教授
「ナノテクノロジーと先端材料による労働安全衛生」
 ナノテクノロジーと先端材料は、建設と環境工学に大きな利益をもたらしている。例えば、光触媒セメントには、大気汚染物質を分解し、都市のスモッグを減少させる二酸化チタンナノ粒子が組み込まれている。しかし、これらのナノ粒子は、微粒子を吸入すると呼吸器系や全身に影響を及ぼす可能性があるため、製造、塗布、解体の段階で労働衛生上のリスクをもたらす可能性がある。同様に、ディーゼル燃焼は、炭素質粒子や金属含有粒子を含む超微細ナノ粒子の主要な発生源であり、これらは発がん性物質として認識されており、曝露した労働者に酸化ストレス、炎症、心血管疾患を引き起こす可能性がある。したがって、包括的なリスク評価、効果的な換気、個人保護具、および作業員訓練を通じて、これらの人工ナノ粒子または偶発的ナノ粒子への作業員の暴露を評価、監視、管理することが不可欠である。持続可能な開発におけるナノテクノロジーと先端材料の利点を実現しながら労働者を保護するためには、予防的な労働安全衛生の枠組みを統合することが重要である。

特別発表

奥村 英輝氏

厚生労働省 大臣官房 国際労働交渉官
「タイ日系企業における「ビジネスと人権」の理解促進に向けて」
 企業活動における人権尊重への関心が高まっている。また、グローバル・サプライチェーン上における労働者の権利の確保が重要視されている。タイでは、日系企業が多く操業し多様なビジネス活動を展開しているが、これに当たり、人権尊重の取組を進めていくことが重要である。この人権の中には、本大会のテーマでもある労働者の安全と健康の確保が含まれているが、こうした「ビジネスと人権」について関係者の理解が進むよう、今回説明したい。

江口 尚 氏

産業医科大学 産業生態科学研究所産業精神保健学研究室 教授
「働く人々のウェルビーイングの向上のために:日本の経験」
 日本企業の海外展開が急速に進む中、進出先においては現地の文化や風土を理解したうえで、日本人スタッフと現地スタッフとの連携を図ることが不可欠である。さらに、現地化の推進も重要であるが、その過程で両者の間にトラブルが生じるケースも増えている。本講演では、日本において“失われた30年”を経て関心が高まりつつある「ウェルビーイング経営」に注目し、その理念を日系企業がタイにおいてどのように活かせるかについて考察する。

北條 理恵子 氏

長岡技術科学大学大学院システム安全工学専攻 准教授
「安全・教育に対するウェルビーイングの関わり ー仮設機材をモデルとした実験事例」
 SDGs等の世界の潮流の中で、well-beingにも注目が集まっている。Well-beingに関する実践や研究のほとんどは、メンタルヘルスや幸福といった側面に言及している。我々が行った調査・研究では、well-beingが安全や教育、マーケティングといった領域においても、現状把握や改善、対策の評価等に適用の可能性があるとの結果が得られた。本講演ではその概要を報告する。

Ms.Rattakun Promjan, 修士課程学生
Dr.Teeraphun Kaewdok 講師

タマサート大学 公衆衛生学部
「サムットプラカン県のある倉庫における労働者作業から見た人間工学的リスク管理について」
 倉庫作業は、職業病、特に筋骨格系障害(MSD)の危険な仕事の一つである。本研究は、サムットプラカン州の倉庫労働者におけるエルゴノミクス曝露のMSDsリスクを評価することを目的とした。本研究は2つのフェーズから構成され、第1段階は危険の特定と人間工学的リスク評価のための横断的記述研究、第2段階は人間工学的改善、試験、評価段階である。本発表ではこれらの評価によって得られた結果などをご紹介する。